- 更新日 : 2022年2月25日
請求書に収入印紙が必要な場合とは
契約書や領収書に貼ることが多い収入印紙ですが、請求書には、基本的には収入印紙を貼る必要はありません。
しかし、請求書が領収書を兼ねる場合には、収入印紙を貼る必要があります。請求書に「代済」などと記載して代金の受け取りを証明している場合は、領収書とみなされます。
請求書が領収書を兼ねることは特殊なケースですが、そのような場合に必要な収入印紙の金額と、収入印紙の貼付方法をご紹介します。
目次
基本的に請求書に収入印紙は不要
請求書は、代金が支払われる前に商品を引き渡したりサービスを提供したりしたときに、代金を請求するための書類です。
請求書と同様に、商取引で作成される機会の多い書類として、契約書や領収書があります。契約書や領収書には収入印紙を貼ることがありますが、基本的に請求書に収入印紙を貼る必要はありません。
請求書が領収書を兼ねる場合は収入印紙が必要
まれに請求書が領収書を兼ねる場合があります。このような場合は、印紙税法に定める課税文書にあたるため、収入印紙を貼る必要があります。
具体的には、請求書に「代済」、「相済」、「了」などと記入またはゴム印を押すなどして代金の受け取りを証明している場合などです。
印紙税法に定める課税文書にあたるかどうかは、その名称ではなく内容で判断します。そのため、名称が「請求書」であっても、代金を受け取った事実を証明するものであれば印紙税の課税対象となります。
収入印紙と印紙税
収入印紙とは、印紙税法に定める課税文書に貼って印紙税を納税するためのものです。
印紙税は、経済取引にともなって作成される文書に対して広く課税されています。印紙税法に定める課税文書のうち代表的なものは、次のとおりです。
・契約書(対象外のものもあり)
・約束手形、為替手形
・株券、出資証券、社債券、受益証券
・定款
・預金証書、貯金証書
・貨物引換証、倉庫証券、船荷証券
・保険証券
・信用状
・配当金領収証、配当金振込通知書
・預金通帳、貯金通帳、信託通帳、掛金通帳など各種通帳
・判取帳
請求書が領収書を兼ねる場合に必要な収入印紙の額
請求書が領収書を兼ねていて収入印紙を貼る必要があるとき、必要となる収入印紙の額は次のように定められています。
受け取った代金が売上代金である場合は、受け取った代金として記載されている金額に応じて、必要となる収入印紙の額は段階的に上がります。
記載金額 | 収入印紙の額 |
---|---|
5 万円未満のもの | 非課税 |
5 万円以上 100 万円以下のもの | 200 円 |
100 万円を超え 200 万円以下のもの | 400 円 |
200 万円を超え 300 万円以下のもの | 600 円 |
300 万円を超え 500 万円以下のもの | 1,000 円 |
500 万円を超え 1,000 万円以下のもの | 2,000 円 |
(出典:金銭又は有価証券の受取書、領収書|国税庁HP)
表では記載の金額が1,000万円以下の場合について掲げていますが、1,000万円を超える場合はさらに高い税額が必要になります。
受け取った代金が売上代金でない場合は、受け取った代金として記載されている金額が5万円以上であれば一律200円の収入印紙が必要です。
収入印紙の貼付方法
収入印紙を文書に貼るだけでは印紙税を納めたことにはなりません。貼った収入印紙に消印をすることで、はじめて印紙税を納税したことになります。消印には、収入印紙の再利用を防止する目的があります。
消印は、文書と収入印紙にまたがって印鑑を押す方法と、文書と収入印紙にまたがって署名する方法があります。
収入印紙を貼らなかった場合
領収書を兼ねている請求書に収入印紙を貼らなかった場合は、過怠税が課されます。領収書でないことを理由に収入印紙を貼らなかった場合や、そもそも印紙税が課税されることを知らなかった場合であっても免除はされません。
過怠税は、請求書に本来貼るべきであった収入印紙の額の3倍になります。ただし、収入印紙を貼らなかったことを自ら申し出た場合は1.1倍に軽減されます。
請求書に貼った収入印紙に消印をしなかった場合も、消印をしなかった収入印紙の額面と同額の過怠税が課されます。
収入印紙を誤って貼ってしまった場合
最後に、請求書に誤って収入印紙を貼ってしまった場合の対処方法をご紹介します。収入印紙を貼る必要のない請求書に誤って収入印紙を貼ってしまった場合や、収入印紙を貼る必要がある請求書に過大な額の収入印紙を貼ってしまった場合があてはまります。
収入印紙を誤って貼ってしまった場合は、切り取ったりはがしたりしてはいけません。収入印紙を誤って貼ってしまった請求書をそのまま税務署に提出して、印紙税の還付を受ける手続きを取ります。
具体的には、税務署に用意してある「印紙税過誤納確認申請書」に必要事項を記入のうえ、収入印紙を誤って貼ってしまった請求書とともに税務署に提出します。手続きには印鑑(法人であれば代表者印)が必要です。
印紙税はその場では還付されず、後日、銀行・郵便局を通じて送金されます。
まとめ
一般的には、請求書に収入印紙を貼る必要はありません。ただし、請求書に代金の受け取りを示す事項を記載して領収書を兼ねる場合は、収入印紙を貼る必要があります。
請求書に収入印紙を貼る必要があるかどうかわからない場合、勝手な判断をすると、納めなくてもよい印紙税を納めたり、反対に過怠税が課されたりすることがあります。不明な点があれば、近くの税務署に問い合わせることをおすすめします。
よくある質問
請求書に収入印紙は必要?
契約書や領収書には収入印紙を貼ることがありますが、基本的に請求書に収入印紙を貼る必要はありません。詳しくはこちらをご覧ください。
請求書に収入印紙が必要な場合は?
請求書が領収書を兼ねる場合は、印紙税法に定める課税文書にあたるため、収入印紙を貼る必要があります。詳しくはこちらをご覧ください。
請求書が領収書を兼ねる場合に必要な収入印紙の額は?
受け取った代金が売上代金である場合は、受け取った代金として記載されている金額に応じて、必要となる収入印紙の額は段階的に上がります。詳しくはこちらをご覧ください。
※ 掲載している情報は記事更新時点のものです。
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