- 作成日 : 2023年2月22日
見積書に消費税の記載は必要?正しい書き方を解説
2021年4月1日から事業者が消費者に対してあらかじめ価格を表示する場合、値札や広告などにおいて、消費税額を含めた価格(総額表示)を表示することが義務化されました。
では、見積書に消費税額を含めた記載をする必要はあるのでしょうか。
本稿では、総額表示義務の概要と見積書での取り扱いの解説のほか、見積書のテンプレートを紹介します。
見積書への消費税の記載は義務ではない
総額表示義務とは、事業者が消費者に対してあらかじめ価格を表示する場合に、消費税額(地方消費税額を含む)を含めた価格(税込価格)を表示することを義務付けるものです。
消費税額を含む価格がひと目でわかる総額表示の義務化の背景には、税抜価格だけの表示では会計時にいくら支払えばいいのか即時にわからないこと、税抜表示の事業者と税込表示の事業者が混在しているために価格の比較がしにくいことの2つがありました。
実は、総額表示は、すでに2004年4月1日から義務化されています。しかし、消費税率が2014年に8%、2019年に10%と二度にわたって引き上げられた際、事業者による値札の貼り替えといった事務負担に配慮するなどの観点から、総額表示義務の特例が設けられました。
2013年10月1日から2021年3月31日までの間、現に表示する価格が税込価格であると誤認されないための措置を講じていれば、税込価格を表示することを要しないというものです。
この特例措置が2021年3月で失効し、消費税法の原則に従って税込価格を表示することが必要となったわけです。
そして、見積書が消費税を含めた総額表示をしなければならないか、という点についてですが、結論からいえば不要とされています。
総額表示の義務付けは、不特定かつ多数の者に対する値札や広告などにおいて、あらかじめ価格を表示する場合が対象となります。見積書、契約書、請求書等は消費税を含めて価格表示する必要はありません。
なお、特定の顧客に対する見積書であっても、税込価格があらかじめ表示されていたほうが取引金額に齟齬が生じないため、法的には税込・税別がわかるように表記するのがよいでしょう。
「見積書」の詳しい内容については、こちらの記事をご覧ください。
見積書に消費税を記載する場合の書き方
総額表示義務では、「税込価格である旨」を表示することを義務付けているわけではなく、商品の税込価格が表示されていればよいとされています。
しかし、本来、総額表示義務のない見積書では税込価格だけを表示すると誤解される可能性があります。
見積書に消費税の税込価格を表示する場合、税込である旨を明らかにするほうがよいでしょう。
具体的な記載方法を示すと下記のようになります。
なお、「お見積金額」については、記載例とは別に次のような表示方法もあります。
- ¥33,000円(うち消費税額等¥3,000)
- ¥33,000円(税抜価格¥30,000)
- ¥33,000円(税抜価格¥30,000、消費税額等¥3,000)
- ¥33,000円(税抜価格¥30,000、消費税率10%)
- ¥30,000円(税込価格¥33,000)
見積書の作成はテンプレートを活用すると、記載ミスを減らせます。下記リンクからさまざまなビジネスシーンで利用できるエクセル形式の見積書を無料でダウンロードすることができます。
消費税込みの総額表示が必要になる場合
消費税込みの総額表示は、事業者が不特定かつ多数の者に、あらかじめ販売する商品等の価格を表示する場合に税込価格を表示することを義務付けるものです。
具体的には消費者に対して、商品の販売、役務の提供などを行う場合、小売段階の価格表示をするときに総額表示することが求められます。
表示媒体は、不特定かつ多数の者に対するものであれば、商品本体に貼付する値札、店頭表示、チラシ・広告など、すべて対象となります。
前述のように取引に際し、特定の相手方に交付する見積書のほか、契約書、請求書、領収書等は、不特定かつ多数の者にあらかじめ価格を表示しているものではないため、総額表示義務の対象となりません。
ただし、広告やホームページで「お見積り例」などを表示する場合は、不特定かつ多数の者にあらかじめ価格を表示することになるため、総額表示が必要となります。
見積書の消費税の記載について知っておこう!
総額表示義務の概要と、見積書での取り扱いについて解説してきました。
総額表示の対象となるかどうかのポイントは、その媒体が不特定かつ多数の者にあらかじめ価格を表示しているか、ということになります。
見積書は、基本的に総額表示義務はありませんが、対象となる場合もあることに注意しましょう。
よくある質問
見積書に消費税の記載は必要?
基本的に必要ありません。詳しくはこちらをご覧ください。
見積書の消費税を書く場合の記載方法は?
「お見積金額¥〇〇〇(税込)」のほか、いくつかの表示方法があります。詳しくはこちらをご覧ください。
※ 掲載している情報は記事更新時点のものです。
※本サイトは、法律的またはその他のアドバイスの提供を目的としたものではありません。当社は本サイトの記載内容(テンプレートを含む)の正確性、妥当性の確保に努めておりますが、ご利用にあたっては、個別の事情を適宜専門家にご相談いただくなど、ご自身の判断でご利用ください。
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