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  • 更新日 : 2021年4月9日

一人親方が確認すべきインボイス制度とは?年間売上1,000万円以下に消費税の納税義務!?

インボイス制度とは?年間売上1,000万円以下の一人親方にも納税義務!?

2023年10月1日導入のインボイス制度は、これまで一人親方として働いてきた事業者にとっても大きな制度変更となりました。インボイス制度によって、年間売上1,000万円以下の一人親方にも消費税の納税義務や、仕事が減少するといった影響が考えられます。

当記事ではインボイス制度の概要と一人親方との関係、一人親方がインボイス制度に関して備えておくべき準備について解説します。

インボイス制度とは

インボイス制度は、消費税が複数税率なったことにより制定された、新しい仕入税額控除の方式です。消費税と深く関わる制度であるため、まずは消費税の仕組みとインボイス制度の概要をおさらいしておきましょう。

一人親方がおさらいしておきたい消費税の仕組みについて

消費税とは商品・製品の販売やそのほかのサービス提供などのさまざまな取引に対し、公平に課せられる税です。消費税は税金を負担する方と税金を納める方が異なる「間接税」に分類されます。

例えば、スーパーで商品を買うとき、消費税を支払うのは商品を購入した方ですが、実際に税金を納めるのはスーパーです。これが間接税の仕組みになります。一方、自分で税額を申告して納める税金は「直接税」と呼ばれ、所得税や法人税が該当します。

消費税は2019年10月1日より、一部の飲食料品や新聞に課せられる軽減税率と、それ以外の標準税率に分かれました。それぞれの税率は次のとおりです。

  • 軽減税率:8%(消費税率6.24%、地方消費税率1.76%)
  • 標準税率:10%(消費税率7.8%、地方消費税率2.2%)

消費税を徴収して納める義務があるのは、基準期間もしくは特定期間中の課税売上が1,000万円を超えた事業者である「課税事業者」です。個人事業主と法人それぞれの基準期間と特定期間を確認していきましょう。

 基準期間特定期間
個人事業主前々年の1月1日~12月31日前年の1月1日~6月30日
法人前々年の事業年度前年の事業年度開始以後の6ヶ月間

上記に当てはまらない場合は「免税事業者」となり、消費税の納付義務が免除されます。もし免税事業者が消費税を受け取っていた場合は、消費税を納める必要がないため、その消費税は「益税」として免税事業者の利益扱いとなります。

課税事業者が申告して納める消費税額は、二重課税にならないように「課税売上に係る消費税額」から「課税仕入れ等に係る消費税額」を差し引くことが可能です。

例えば、ある事業者の取引が「売上額70,000円+消費税額7,000円」と「仕入れ額50,000円+消費税額5,000円」だった場合、納める消費税額は7,000円-5,000円の2,000円です。仕入れに係る消費税を「仕入税額控除」と呼びます。

消費税及び地方消費税の負担と納税の流れ

基準期間の課税売上が5,000万円以下の場合は簡易課税制度の適用も可能ですが、原則としては取引ごとに税額を算出して申告します。

ここまでが従来の消費税および仕入税額控除の仕組みです。しかし、インボイス制度が適用されると、仕入税額控除を行うためにはインボイスが必要になります。また、免税事業者が課税事業者となるため、益税の仕組みが解消されるといった影響が出てきます。

インボイス制度の概要

インボイス制度(適格請求書等保存方式)とは、2019年9月30日まで適用されていた「請求書等保存方式」に代わる新しい制度です。これまで消費税の仕入税額控除は帳簿や請求書等の保存をしていれば適用できましたが、インボイス制度が始まると代わりにインボイス(適格請求書)の保存が必要になります。

2019年9月30日までにおいて、仕入税額控除等を受けるためには、以下の情報が記載されている請求書や領収書の保存が必要でした。

  • 請求書や領収書発行者の氏名または名称
  • 取引年月日
  • 取引内容
  • 取引金額
  • 交付を受ける者の氏名または名称

インボイスとして認められるには、上記の記載内容にプラスして以下の情報を記載しなければなりません。

  • インボイス発行者の氏名または名称と登録番号
  • 取引内容のうち軽減税率の対象品目をわかるようにしたもの
  • 税率ごとに区分して合計した対価の額もしくは適用税率(8%と10%のこと)
  • 税率ごとに区分した消費税額等(8%と10%のこと)

インボイスを発行するには「インボイス発行事業者(適格請求書発行事業者)」として税務署長の登録を受ける必要があります。

もちろん建設やそのほかの現場で事業を行う一人親方も、インボイス発行事業者にならなければ発行できません。

インボイス制度についての詳しい内容は、以下の記事にて解説しています。

インボイス制度と一人親方の関わり

インボイス制度と一人親方には非常に深い関わりが存在します。「インボイス制度はよくわからないけどなんとかなるだろう」と思っている一人親方は、仕事が激減し収入減に対応できない問題が発生するかもしれません。インボイス制度と一人親方の関わりについて解説します。

一人親方同士の仕事依頼がしづらくなる?

「一人親方同士の仕事依頼がしづらくなる」というのは、具体的には「インボイスを発行できない免税事業者の一人親方へ依頼すると、仕入れに係る消費税が控除できず、消費税を余分に支払うリスクがある」ということです。

例えば、税別50万円で仕事を依頼した場合、一人親方に支払う金額は消費税10%をプラスした55万円です。

取引先から見ると、これまでなら消費税5万円分は仕入税額控除として納税予定の消費税額から差し引けました。しかし、免税事業者のままの一人親方相手の場合、インボイスの交付が受けられないため、支払った5万円分が控除できません。結果的に5万円の費用が、追加で発生するわけです。

課税事業者としてインボイスを発行できる法人や一人親方が相手の場合は、これまで通り仕入税額控除が適用できます。そのため、今後仕事を依頼するときには「免税事業者の一人親方は損だから止めておこう」となる可能性があります。

こうした事情から「免税事業者の一人親方へ依頼する仕事が減るのでは?」という懸念が出ているのです。実際に余計な支払いを免れるために取引先を見直したり、下請けや業務委託先に課税事業者になるように働きかけたりする動きが見られます。

年間売上1,000万円超の課税事業者の場合

年間課税売上1,000万円を超えた課税事業者である一人親方がインボイスを発行するには、税務署に「適格請求書発行事業者の登録申請書」を提出するだけで手続きが終了します。逆にいえば、課税事業者であろうと、登録しなければインボイスは発行できません。

大まかな流れは次のとおりです。

  • 納税地を管轄する税務署に適格請求書発行事業者の登録申請書を提出する
  • 税務署の審査後、登録名簿へ登録され公表される(インターネット上で確認可能)
  • 税務署から登録の旨や登録番号が通知される

手数料は無料です。登録は任意ですが、もともと消費税申告の義務がある課税事業者にとっては、登録するデメリットは手続きに時間がかかるだけです。何もなければ登録を済ませておきましょう。

売上1,000万円以下の免税事業者でも消費税を納税する?

適格請求書発行事業者に登録せずに免税事業者のままでいれば、これまでどおり消費税の申告は免除され、受け取った消費税を利益にすることが可能です。

ただし、インボイスを発行できない一人親方は、仕入税額控除の関係で仕事が減ってしまうリスクがあります。これまでどおりの取引を続けるには「消費税課税事業者選択届出書」を提出して課税事業者になるほうが無難でしょう。

しかし、もしこの方法で課税事業者となった場合としても、例え基準期間と特定期間で売上1,000万円を超えていなくても消費税申告と納税、帳簿付けの義務が発生します。労力の増加や益税分の利益低下が予想されます。

偽装請負の一人親方とインボイスについて

一人親方の働き方に関しては「偽装請負の一人親方」という問題が潜んでいます。偽装請負の一人親方とは、法人が高額の社会保険料の支払いを免れるために社員を一人親方(個人事業主)に転換させ、社員と同じように働かせることです。

この働き方によって業務負担が社員時代と変わらないにもかかわらず、社会保険や残業代、そのほかの福利厚生などの恩恵が受けられない問題が発生していました。法人の支払い負担だけ免れている形です。

しかし、インボイス制度の導入によって「一人親方になると仕事が減るかもしれない」という事実を一人親方の脆弱性と一緒に話すことで「社員から一人親方になるのはデメリットが大きいから止めておくべき」「わざわざ一人親方を勧めてくるのはおかしい」と本人に説得力を持って伝えられます。

こうした呼びかけにより、一人親方問題を解決できる可能性があると、国土交通省も発信しています。

一人親方がインボイス制度に関して注意する点は?

一人親方がインボイス制度に関して注意する点は次のとおりです。

  • 益税分の利益がなくなることを前提とした資金繰りを行う(収入額や設備投資できる額が減ることを考慮する)
  • インボイスに対応した証憑書類(請求書や領収書など)の書式を見直す
  • インボイスの書き方を理解する
  • 新しい会計ソフト導入を視野に入れる

など

収入面や作業面の両方でさまざまな影響が出ます。もし不安がある場合は専門家へ相談したり、インボイス制度に対応したシステムを導入したりするなど、第三者の力を頼ることも考えておきましょう。

一人親方の皆様、インボイス制度についてご理解いただけたでしょうか?

一人親方にとってインボイス制度は、仕事数や収入に直接関わる重要な制度です。課税事業者であろうと免税事務者であろうと必ず仕事に影響を与えます。

「自分はインボイスを発行できる課税事業者になるのか、免税事業者のままでいるのか」を含め、インボイス制度への対応についてはしっかりと検討しておきましょう。


※ 掲載している情報は記事更新時点のものです。

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