- 更新日 : 2025年3月7日
個人事業主におすすめの請求書買取サービスは?デメリットや選び方も解説
個人事業主が事業を続けていく上でネックになりやすいのが、資金調達です。売掛金のある個人事業主には、金融機関からの融資以外に請求書買取サービスを利用する方法があります。今回は、請求書買取サービスの特徴や利用の流れ、おすすめのサービスについて紹介します。
目次
請求書買取サービスとは
請求書買取サービスとは、請求書(債権)の支払期日が到来する前に、本来の債権者から請求書(債権)を買い取るサービスです。請求書買取サービスの事業者は新たに債権者となり、請求書を売却した元債権者は、手数料分を割り引いた請求書記載の残額を早期に現金化できます。
請求書買取サービスとファクタリングの違い
ファクタリングとは、ヨーロッパで発達したシステムで、債権譲渡と同時に信用リスクや回収管理を事業者が引き受ける債権管理の総合的なサービスのことです。
日本において、ファクタリングは独自に発展を遂げており、売上債権の決済保証や売掛債権の早期現金化、海外取引でのサポートなどの意味があります。請求書買取サービスは、ファクタリングの一種です。
なお、ファクタリングは、債権管理回収業に関する特別措置法により弁護士法の制限を受けません。そのため、許認可や登録を受けずにファクタリングを事業にできます。ただし、不良債権に関しては特別措置法の規制により許可を受けた業者しか回収することが認められていません。
個人事業主が請求書買取サービスを利用するメリット
個人事業主が請求書買取サービスを利用する主なメリットを紹介します。
請求書を早期に現金化できる
資金調達方法として広く利用される金融機関からの借り入れは、事業の将来性を見越して金融機関が金銭を貸し出すサービスです。金融機関の融資は、事業の将来性や返済の見込みなどを重視することから、あらゆる角度からの審査が必要になります。
対して、請求書買取サービスは、利用者が将来的に受け取る売掛金を支払期日よりも前に現金化できるサービスです。債務者である請求書発行事業者の財務状況などが悪化しない限りは債権の回収可能性が高いことから、金融機関の融資ほどの審査は必要とされません。融資よりも早期に現金化がしやすいため、個人事業主の資金繰りの調整に役立ちます。
売掛金の回収リスクを軽減できる
売掛金は、将来的に金銭として受け取れる可能性があるものの、取引先の財政状況次第では貸し倒れになるリスクもあります。請求書買取サービスは、請求書自体を買い取ってもらうサービスです。債権は請求書買取サービス事業者に移転するため、将来的に貸し倒れが生じたとしても影響が及ばないメリットがあります。
ただし、契約時に本来の債権者に金銭を請求できる償還請求権が付加されている場合を除きます。償還請求権のある契約では、対象の売掛金が貸し倒れとなる場合、請求書買取後であっても本来の債権者である請求書の譲渡者に貸し倒れ分の請求が行われます。
個人事業主も利用しやすい
請求書買取サービスの利用時には審査があります。ただし、重視されるのは請求書に記載されている債権の回収可能性です。請求書の発行元の信用が重要であるため、サービス利用者の属性などは請求書の発行事業者ほど重要視されません。そのため、個人事業主でもサービスを利用して資金調達を実現しやすいメリットがあります。
個人事業主が請求書買取サービスを利用するデメリット
個人事業主が請求書買取サービスを利用することでの主なデメリットを紹介します。
融資と比較して手数料が高くなる可能性がある
請求書買取サービスを利用した場合、本来の請求書の金額から手数料を差し引いた金額が利用者に支払われます。サービスの利用に手数料が発生するのは、貸し倒れのリスク対策や請求書買取サービス事業者の利益確保など、さまざまな理由があるためです。
実際に支払う手数料は、請求書の信用リスクなどで異なります。結果として、金融機関で同額の融資を受けて利息を支払うよりも、請求書買取サービスの手数料が高額になる可能性があることに注意が必要です。
取引先との関係に影響が出る可能性がある
請求書買取サービスには、利用者とサービス業者間で完結する2者間ファクタリングと、請求書発行事業者を加えた3者間ファクタリングがあります。3者間ファクタリングは、取引先の承諾が必要な取引で、2者間ファクタリングよりも手数料が低いのが特徴です。ただし、3者間ファクタリングは取引先に請求書買取サービス利用の事実が伝わることから、今後の取引先との関係に影響が生じる可能性もあります。
悪質な業者も存在する
請求書買取サービスは、資金調達としての側面もあることから、基本的に法律で規制されていません。そのため、先述したように許認可や登録を必要とせずに事業を展開できます。登録などが必要ないということは、悪質な業者が入り込む余地も十分にあるということです。相場よりも高額な手数料を請求されたり、契約書を発行してもらえなかったり、償還請求権のある取引で巧みに契約させられそうになったりするなどのトラブル事例があります。
個人事業主が請求書買取サービスの利用するまでの流れ
請求書買取サービスは、以下のような手順で利用します。
請求書買取サービスを選定する
さまざまな業者が請求書買取サービスを提供しています。個人事業主やフリーランス向けに特化したサービスもあります。対象者やサービスを利用できる金額の下限、来店の有無、手数料など、重視したい部分を優先して比較し、請求書買取サービスを選定します。
必要書類を提出する
利用するサービスによるものの、基本的にサービス利用のもととなる請求書のみでは申し込みできません。身分証明書や取引先との契約書、直近の確定申告書など、請求書買取事業者に提出を求められている書類を集めて提出します。
申し込み・審査を受ける
申し込み手続き完了後、請求書買取サービス事業者の審査に移行します。主に審査の対象になるのは、請求書発行事業者である取引先の信用リスクです。なお、請求書買取サービスの多くは、対象となる請求書の発行元を信用リスクの観点から法人に限定しています。取引先の多くが個人事業主の場合は、利用前にサービス事業者に確認しておきましょう。
契約を締結する
利用する請求書買取サービスによって、債権譲渡契約の締結の有無は異なります。一般的に、請求書発行元である取引を交えた3者間ファクタリングを行う場合、債権譲渡契約の締結が必要です。
入金される
請求書買取の契約締結後、手数料が差し引かれた請求書の金額が利用者に支払われます。なお、取引先が介入しない場合の2者間ファクタリングでは、本来の債権者に請求書の金額が支払われるため、売掛金の入金期限の日に利用者から請求書買取業者に対して請求書の入金額の支払いが必要です。
個人事業主におすすめの請求書買取サービス
個人事業主におすすめの請求書買取サービスをいくつか紹介します。
FREENANCE(フリーナンス)
GMOインターネットグループのFREENANCEは、フリーランス向けに各種事業を展開しているサービスです。請求書買取サービスとして、手持ちの請求書をすぐに現金化できる「即日払い/ファクタリング」を提供しています。
請求書買取サービスは、会員登録後すぐに利用できます。会員登録時の身分証明書などに問題がなければ、登録完了までの時間は通常2時間程度です。その後、即日払い/ファクタリングの申し込みが可能です。審査は最短30分で完了し、最短即日で入金されます。
特徴は、請求書買取サービス以外のフリーランス向けのサービスを利用できることです。屋号やペンネームで開設できる「フリーナンス口座」、フリーランス向けの保険「あんしん補償」、ビジネス用のカード決済機能「フリーナンス決済リンク」などを利用できます。
手数料 | 3~10% |
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入金スピード | 最短即日 |
特徴 |
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QuQumo
QuQumo(ククモ)は、電子契約サービス「クラウドサイン」を提供する弁護士ドットコムが監修するサービスです。クラウドサインを利用して契約締結を行うため、不測の事態にも対応できるセキュリティ対策が魅力です。
売掛金のある法人と個人事業主のどちらにも対応しており、請求書と通帳の2点があれば申し込みできます。申し込みから見積もり、送金完了まで最短2時間であるため、早期に現金化したい場合にも便利です。
請求書の売掛金の上限設定がなく少額でも利用できるため、1回あたりの請求金額が少ない個人事業主も利用しやすいサービスとなっています。
手数料 | 1%~ |
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入金スピード | 最短2時間 |
特徴 |
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参考:QuQuMo(ククモ)
ペイトナーファクタリング
ペイトナーファクタリングは、利用手数料10%の固定で利用できるサービスです。利用手数料が一律で決まっているため、現金化する際のコストを想定しやすい特徴があります。支払期日まで70日以内、最小利用金額1万円から利用できるため、個人事業主も利用しやすいサービスです。
スピーディーな入金を期待できるのもペイトナーファクタリングの魅力です。画像データなどで請求書や必要書類をアップロード後、AIによる審査が行われ、最短10分でメールでの審査結果の報告と入金が実行されます。遅くても当日中に結果がわかるため、すぐに現金化したい場合におすすめです。
手数料 | 10%・振込手数料250円 |
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入金スピード | 最短即日(最短10分) |
特徴 |
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PAYTODAY
PAYTODAYは、オンライン完結のAI審査で即日の入金を実現する請求書買取サービスです。最大90日後の買取に対応しており、支払期日が長い請求書も買い取ってもらえる可能性があります。
申込金額に上限や下限が設定されていないサービスで、利用者全体の個人事業主・フリーランスの割合も高いサービスです。開業から1年未満の事業者にも対応しており、直近の月次試算表などを提出することで利用できます。
手数料 | 1~9.5% |
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入金スピード | 最短即日(最短30分~) |
特徴 |
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参考:PAYTODAY
ビートレーディング
ビートレーディングは、申し込みから契約までオンラインで完結できるサービスです。資金調達の取引実績が多く、月間約1,000件の契約が行われています。請求書だけでなく、受注時点の注文書ファクタリングにも対応しているのが特徴です。
申し込みから入金までのスピードは、最短即日から3日程度が目安です。サポートも充実しており、LINEでの相談に対応しているほか、オペレーターに直接相談することもできます。
手数料 | 2者間は4~12%、3者間は2~9%程度が目安 |
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入金スピード | 最短即日(最短2時間) |
特徴 |
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参考:ビートレーディング
請求書買取Pay
請求書買取Payは、2者間ファクタリングにより取引先の承認を要しないサービスです。ノンリコースで安心して利用できるのも特徴です。万が一、買い取ってもらった請求書発行元の取引先の財政状況悪化などで支払遅延や回収不能などの事態が発生しても、請求書の売却者にさかのぼって請求されることはありません。
LINEPayに対応しているのも特徴です。100万円を上限に振込手数料の負担なしに、即日LINEPayを利用して現金化できます。
手数料 | 1%~ |
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入金スピード | 最短即日(最短2時間) |
特徴 |
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参考:請求書買取Pay
個人事業主が請求書買取サービスを選ぶポイント
個人事業主が請求書買取サービスを利用する際にはどのような部分に注目するべきか、サービス選定のポイントを5つ紹介します。
手数料の安さ
請求書買取サービスの手数料は、信用リスクなども加味して決定されるため、買い取ってもらう請求書によって異なります。請求金額のおおむね2%~18%程度が目安です。また、2者間ファクタリングよりも、取引先を含む3者間ファクタリングの方が手数料は低い傾向にあります。手数料が高いと現金として残る金額も減少するため、できるだけコストを抑えて現金化を目指すなら、手数料の安さも注目したいポイントです。
入金スピード
一般的に、請求書買取サービスは金融機関の融資よりも資金調達のスピードが速いことから、早期の現金化方法としても選択肢にあげられます。ただし、申し込みから入金までのスピードは、請求書買取サービスによって異なります。資金繰りの関係ですぐに現金化を希望する場合は、入金までのスピードも重視したいポイントです。
個人事業主に対応しているか
請求書買取サービスの審査は、請求書の発行元である事業者の信用を重視します。しかし、サービスの利用者自体を制限している事業者もゼロではありません。個人事業主やフリーランスという属性だけで利用が難しくなる場合があります。個人事業主が請求書買取サービスを利用する際は、個人事業主の利用が可能か確認しておきましょう。
少額利用ができるか
請求書買取サービスによっては〇万円以上など少額取引が制限される場合もあります。個人事業主は法人と比べると1取引あたりの請求額が少額になることもあるため、サービスを利用しにくいという問題も発生します。少額取引の制限がないかも確認しておきましょう。
2者間ファクタリング・3者間ファクタリングに対応しているか
2者間ファクタリングは請求書の現金化を早期に望める、3者間ファクタリングは2者間よりも手数料を抑えやすいなど、それぞれにメリットがあります。いずれか利用したいサービスに対応しているか、または選択の余地の観点から両方に対応しているかも確認しておきたい部分です。
請求書買取サービスは個人事業主の資金調達法のひとつ
信用力の観点から、個人事業主の資金調達は法人と比べてうまくいかないこともあります。金融機関からの融資やビジネスローン以外で個人事業主の資金調達できる方法に、請求書買取サービスがあります。請求書の受領がある売掛金を有する事業者であれば利用できるサービスです。手数料や入金スピード、提出書類などはサービスごとに異なるため、利用する際は十分に比較検討し、安心して利用できるサービスを選択しましょう。
※ 掲載している情報は記事更新時点のものです。
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