- 更新日 : 2023年6月30日
領収書のファイル保存方法や効果的なファイリングについて解説
取引が増えるにつれてたまっていく領収書は、ファイリングにも手間がかかります。領収書は精算し記録したら終わりではありません。その後チェックする際に探しやすいよう、適切にファイリングすることも重要です。
ここでは、領収書のファイリング方法の種類と分類、より効率化する方法を解説します。
目次
領収書はファイリングなどで保管が必要?
領収書は、請求書や納品書と並び会計処理に不可欠な書類です。支出の証拠として機能するため、帳簿への正確な記録だけでなく、将来の税務調査などでの確認にも活用されます。そのため、領収書の保存は照合しやすい方法で行われなくてはいけません。
ここでは、領収書の保存が必要な理由や法的に定められた保管期間、さらに他の保管手段について確認しておきましょう。
領収書は一定期間保管の義務がある
個人事業主の場合は所得税、法人の場合は法人税を計算するためには、正確な収入と支出の把握が重要です。領収書は支出の根拠となる証憑書類であり、所得税法や法人税法などの法律によって一定期間の保存が義務づけられています。
法律によって定められている領収書の保管期間は、次のとおりです。
領収書に定められている保管期間 | |
---|---|
法人 | 原則7年間(最長10年間) |
青色申告する個人事業主 | 7年間 |
白色申告する個人事業主 | 5年間 |
これらの会計書類は、年度ごとにすべて間違いない根拠に基づいて作成されているのが基本です。税務署による調査においても適切に提示できなくてはなりません。
提示できなければその取引は事実と認められず、会計処理の修正を求められ、納税額も変わってしまいます。領収書が提示できないだけで、支出を増やしてしまう可能性はあるでしょう。
このような事態を避けるため、領収書は紛失などしないよう適切にわかりやすく保存する必要があります。
参考:国税庁 No.5930 帳簿書類等の保存期間
参考: 国税庁 個人で事業を行っている方の記帳・帳簿等の保存について
領収書の代わりにレシートでもOK
領収書とよく比較されるのがレシートです。どちらも商品の購入やサービスの利用による支出の証拠となりますが、次のような違いがあります。
領収書 | レシート | |
---|---|---|
確認できる金額 | 主に合計金額のみ | 合計金額と内訳ごとの明細金額 |
支払いの用途の確認 | ただし書きのみ | 明細が表示されるため個別に確認できる |
領収書で確認できる内容は、おおむねレシートでも確認可能です。そのためレシートでも、宛名や金額、日付などの内容が記載されていれば、経費として処理することが認められています。必ずしも領収書である必要はありません。
ただしこの原則とは別に、さまざまな事情から一部の企業では、社内規定でレシートを証憑として認めないと定めていることがあります。経費を使うときは、事前にこのような規定がないかの確認が必要です。
領収書をファイリングして保管する方法
領収書は重要な証憑書類ですが、その様式に定めがないため、支払先によって形やサイズが異なります。正確な帳簿を作成するためには、領収書を慎重に管理して紛失しないようにファイリングなどで保管することが重要です。
ここでは、領収書の保管方法を3つご紹介いたします。
封筒を使う
領収書を紛失しないためには、まずは封筒を使用して領収書を「なくさない」ようにまとめることをおすすめします。事業規模に応じて領収書保管用の専用封筒を作成し、発生した領収書を迅速に封筒に収納することで紛失のリスクを回避できるでしょう。その後、帳簿に記録する際には、月ごとや項目ごとに整理すると便利です。
領収書の枚数が増えると、小さな封筒では収納しきれなくなります。その場合は、ある程度大きな封筒を利用したり、週ごとまたは日ごとにまとめるなどの工夫が必要です。
ノートに貼り付けてまとめる
領収書を封筒に入れるだけでは、何かの拍子にこぼれ落ちる可能性もあるでしょう。より確実な保管方法として、領収書をノートに貼り付けて固定する方法があります。領収書が発生した順番に丁寧にノートに貼り付けていけば、紛失する心配はほとんどありません。
ただし、貼り付け作業には手間がかかるデメリットがあります。また貼り付け方によっては、ある程度の枚数を超えるとノートの厚みが増えてしまい、ページを使い終わる前に貼り付けができなくなる可能性もあるでしょう。したがって大量の領収書が発生する場合は、ノートではなくスクラップブックを使用することもおすすめです。
ファイリングする
市販されているファイルやファイルボックスには、領収書の保管に適したアイテムもあります。領収書の大きさや枚数に応じて使いやすいものを選び、領収書をファイリングすることをおすすめします。ページや収納ポケットが多いものなら、月別や種類別などに分けて整理し、ラベルを付けておくと後で見返す際にわかりやすくなります。
領収書が大量になる場合は、スマートフォンなどで領収書の写真を撮影し、画像や電子データとしてまとめて保存する方法も有効です。収納しているファイル名にラベルを記載しておけば、必要なときに簡単に検索できます。
紙の領収書の整理方法や分類
紙の領収書は、枚数が増えると保存場所に悩みます。発生する枚数が多いと、ただ保管するだけでは後から探しづらく、帳簿作成にも手間がかかるためなんらかの分類や整理が必要です。
ここでは紙の領収書の分類例や、整理方法を解説します。
月ごとにまとめておくのがおすすめ
市販されているファイルやファイルボックスには、領収書の保管に適したアイテムもあります。領収書の大きさや枚数に応じて使いやすいものを選び、領収書をファイリングするのがおすすめです。ページや収納ポケットが多いものなら、月別や種類別などに分けて整理し、ラベルを付けておくと、後で見返す際にわかりやすくなります。
領収書が大量になる場合は、スマートフォンなどで領収書の写真を撮影し、画像や電子データとしてまとめて保存する方法も有効です。収納しているファイル名にラベルを記載しておけば、必要なときに簡単に検索できます。
分類は業態に応じてわかりやすく工夫する
業種や業態、事業規模によって、発生する領収書の種類や枚数は大きく変わります。たとえば飲食業では食材の仕入れで発生する領収書は多く、一方で事務用品費はおそらく少ないでしょう。
他にも次のような分類方法があります。
業態ごとにそれぞれ、便利な分類方法、整理方法には違いがあります。発生する枚数や傾向などから、よりスムーズに処理できるような分類や整理方法を考えてみましょう。
領収書の保管を効率化する方法
紙の領収書はその性質上、増えれば増えるほどスペースを取り、封筒やノートに貼りつけるなどの手間も必要です。しかし領収書を電子化し、ファイルとしてクラウドに保存することによって、さまざまな手間を省けるでしょう。ここでは、紙の領収書を電子化することのメリットについてご紹介します。
領収書を電子化するメリット
所得税や法人税などの国税関連書類を電子化して保存することは、電子帳簿保存法によって正式に認められています。紙の領収書もスマートフォンなどでスキャンし、PDFファイルなどの形式で保存することが可能です。
電子化することにより、領収書を封筒にまとめたりノートに貼り付けたりする手間が不要になります。明確なルールを定めれば、外出先で領収書をスキャンし、その場で経理担当者に送信して提出する仕組みも構築できます。
これにより、経理担当者は手間や時間を大幅に節約することが可能です。各部署の担当者も領収書を締め日までに経理に提出しやすくなります。これまでの領収書の発生から精算までにかかる時間を短縮することは、大きなメリットだといえるでしょう。
電子データなら場所を取らず検索も簡単
領収書を電子化し電子データにすると、これまで使用していたファイルやノート、封筒などの保存用具は不要になります。なぜなら、電子データに必要なスペースは、最大でもハードドライブの容量程度で十分だからです。
また、紙の領収書は整理すれば比較的すぐに検索できますが、調べ方によってはファイルを1つずつ手作業で開いて確認する必要があります。しかし電子データ化し、ルールに基づいてファイル名を付けておけば簡単に検索できます。
紙の領収書を保管するための倉庫やスペースにかかるコストや、領収書の検索に費やす人件費は、電子化することで大幅に削減することが可能です。領収書の電子化は、効率的な証憑書類保存方法として、多くのメリットをもたらす理想的な方法だといえるでしょう。
領収書は保管の目的を踏まえてファイリングしよう
領収書は、所得税法や法人税法などの法律によって、一定期間の保管が義務付けられている重要な書類です。これらの法令に基づき納税金額を計算した証拠として、漏れなく確実に保管することが求められます。
ただし事業の種類や規模によっては、大量の領収書が発生することもあるでしょう。したがって紛失を防ぐためには適切に整理し、いざというとき迅速に提示できるように保管しておくことが重要です。紙の領収書の場合は、事業の性質に応じて月ごとなどに分類し、効率的に処理するための工夫もしなくてはいけません。
さらなる効率化を図りたい場合には、領収書の電子化がおすすめです。電子化することによって、広い倉庫の必要性はなくなり、領収書の検索にかかる手間も大幅に削減できます。もし現在、領収書の保管や取り扱いに不安がある場合は、ぜひ電子化による保存を検討してみましょう。
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