• 更新日 : 2024年11月7日

入場券等回収特例とは?具体例や帳簿の書き方について解説

入場券等回収特例は、帳簿の保存だけで仕入税額控除が認められる特例制度です。

この記事を読めば、「入場券等回収特例の対象かどうかがわからない」「特例を適用するための帳簿の書き方は?」という悩みを解決できます。

本記事で、入場券等回収特例の注意点について確認していきましょう。

入場券等回収特例とは

入場券回収特例は、適格請求書の入場券が回収されて手元に残らない場合に、帳簿の保存だけで仕入税額控除を認める制度です。具体的には、映画館・博物館・動物園・水族館などの入場券を取り扱っている施設があります。

領収書や請求書と違い、入場券は書類を手元に残せないため、帳簿に必要事項を記載して仕入税額控除を受けます。

インボイス制度で帳簿のみの保存で仕入税額控除が認められる特例

インボイス制度では、消費税の仕入税額控除を受けるために、帳簿や請求書等の保存が必要です。しかし、請求書等の交付を受けることが困難な以下の取引は、一定事項を記載した帳簿の保存のみで消費税の仕入税額控除が認められます。

  • 適格請求書の交付義務が免除される3万円未満の公共交通機関による旅客の運送
  • 古物営業を営む者の適格請求書発行事業者でない者からの古物の購入
  • 質屋を営む者の適格請求書発行事業者でない者からの質者の取得
  • 宅地建物取引業を営む者の適格請求発行事業者でない者からの建物の購入
  • 適格請求書発行事業者でない者からの再生資源及び再生部品の購入
  • 適格請求書の交付義務が免除される3万円未満の自動販売機及び自動サービス機からの商品の購入等
  • 適格請求書の交付義務が免除される郵便切手類のみを対価とする郵便・貨物サービス
  • 従業員等に支給する通常必要と認められる出張旅費等

自身の事業活動の中で、頻繁に出てくる取引がある場合には事前に帳簿の記載方法などを確認しておきましょう。特に、公共交通機関の特例や出張旅費の特例、自動販売機の特例については業種を問わずに使える可能性があるため、優先度は高いでしょう。

社長や営業担当者、経理担当者など経費を使う人や経費を確認する人の立場の目線を整理することで、自社で使えそうな特例制度について思いつくこともあります。

入場券等回収特例と公共交通機関特例の違い

入場券等回収特例と同じ帳簿のみ保存の特例の中に、公共交通機関特例があります。公共交通機関特例は、公共交通機関による旅客の運送は3万円未満まで帳簿のみの保存で仕入税額控除が認められる制度です。

入場券等回収特例は入場券が回収されることが要件のため、公共交通機関の利用で回収された乗車券も要件の1つを満たしているでしょう。しかし、入場券等回収特例のすべての要件は満たしていないため、まったく別の特例制度となります。

JR乗車券に入場券等回収特例は適用される?

入場券回収特例の要件は、適格簡易請求書の記載事項が記載されている入場券等が使用された際に回収される取引となります。そのため、インボイスに該当する入場券等が回収される場合だけ特例の適用が可能です。

新幹線等の乗車券や特急券は、登録番号などのインボイス制度に必要な記載事項は記載されていません。改札で乗車券等が回収された場合ではインボイスに該当する乗車券等が回収されていないため、入場券等回収特例は適用できません。

通常の領収書や請求書を保存する方法に比べて、帳簿のみの保存で仕入税額控除が認められる特例は複数の要件があります。すべての要件に合致するかどうかを確認しておきましょう。

仕入税額控除の特例を受けるための帳簿の書き方

帳簿のみ保存の特例を適用するためには、下記の事項を記載した帳簿の保存が必要です。

  • 課税仕入れの相手方の氏名又は名称
  • 取引年月日
  • 取引内容(軽減税率対象の場合、その旨)
  • 対価の額
  • 課税仕入れの相手方の住所又は所在地
  • 特例の対象となる旨

適格請求書が不要な特例であっても、通常仕入税額控除に必要な項目は帳簿に記載する必要があります。対象となる特例についても明記が必要となるため、経費がどの特例の対象になるか確認して、帳簿に忘れず記載しましょう。

特例を適用するためには、上記の事項を記載する必要がありますが、以下に該当する事業者からの課税仕入については、「課税仕入れの相手方の住所又は所在地」の記載が不要です。

  • 適格請求書の交付義務が免除される3万円未満の公共交通機関(船舶、バス又は鉄道)による旅客の運送について、その運送を行った者
  • 適格請求書の交付義務が免除される郵便役務の提供について、その郵便役務の提供を行った者
  • 課税仕入れに該当する出張旅費等(出張旅費、宿泊費、日当及び通勤手当)を支払った場合の当該主張旅費等を受領した使用人等

帳簿への記載が不要な項目を覚えておくことで、経理担当者の負担を和らげられます。複雑なインボイス制度ですが、特例制度を活用して効率化に繋げましょう。

また、記載が不要な項目を記入した場合もペナルティは無いため、慣れるまでは住所や所在地についても明記しておくと安心かもしれません。特例の適用に共通して必要な項目だけを押さえておけば、帳簿のみ保存の特例は問題なく使えます。

特例適用に必要な帳簿の書き方を覚えよう

帳簿のみ保存の特例を適用するためには、下記の事項を記載した帳簿の保存が必要です。

  • 課税仕入れの相手方の氏名又は名称
  • 取引年月日
  • 取引内容(軽減税率対象の場合、その旨)
  • 対価の額
  • 課税仕入れの相手方の住所又は所在地
  • 特例の対象となる旨

特例の対象となる旨は、必須の記載事項となります。帳簿のみの保存で仕入税額控除を受けられる特例の種類を覚えておいて、対象の経費が出てきたときに迷わないようにしておきましょう。


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