• 更新日 : 2024年10月21日

フリーランスの領収書ガイド!宛名や書き方をテンプレート付きで解説

総務省が実施した「令和4年就業構造基本調査」によると、本業がフリーランスの数は209万人で、有業者の3.1%を占めています。これらフリーランスが取引で発生する領収書等の書類数も増えてきていることでしょう

この記事では、フリーランスと領収書という観点から、領収書の授受や書き方について考えます。

【受領】フリーランスが領収書をもらうときの宛名は?

厚生労働省の「フリーランスとして安心して働ける環境を整備するためのガイドライン」では、次のような人をフリーランスとしています。

実店舗がなく、雇人もいない自営業主や一人社長であって、自身の経験や知識、スキルを活用して収入を得る者

引用:フリーランスとして業務を行う方・フリーランスの方に業務を委託する事業者の方等へ |厚生労働省フリーランスとして安心して働ける環境を整備するためのガイドライン

法人・個人を問わず、上記のように雇用以外の働き方をしているフリーランスと位置付けて見ていきます。まず、領収書を受け取った場合から見てみましょう。

領収書の宛名がないとどうなる?

例えば、フリーランスで働く人が領収書を受けたときに、宛名がなかったとします。スーパーやタクシーの領収書で、宛先のないものをよく見かけます。これらは、不特定かつ多数の者と取引を行う場合のみのものであり、消費税インボイス制度において一定の業種のみ認められているものです。

上記一定業種以外で宛名がない領収書は、税務調査などで他人への領収書と疑われる可能性も出てきます。領収書を受領したら、発行日、宛名、金額、ただし書き、内訳、発行人が正しく記載されているかを確認しましょう。

フリーランスは確定申告で領収書の提出が必要?

取引の際に交付される他の書面の有無によっても、領収書の必要性が変わります。請求書が正しく作成され、その請求額を銀行振り込みで支払った場合などは銀行の振込票を支払の根拠として利用することもできるためです。

したがって、すべての場合に領収書が必要とは限りませんが、現金にて支払った場合等には必ず領収書を交付してもらいましょう。

確定申告において領収書の提出は不要

確定申告とは、フリーランス活動の総括として1年間の収入と経費から法人税や所得税を計算し、税務署に申告することです。個人の場合は1月1日から12月31日までの1年間、法人の場合は事業年度(原則1年間)が対象となります。

所得税でも法人税でも、確定申告においては領収書そのものの提出は求められず、「領収書等から計算された結果として」確定申告書と添付書類を提出します。所得税の場合には、「青色申告決算書」や「収支内訳書」などが添付書類になります。

一方、受領した領収書には保管義務があります。領収書は、個人の場合は7年、法人の場合も7年(原則)間の保管が義務付けられているため注意しましょう。保存期間中に、税務署等から照会があった場合には提示できるようにしておくためです。

参考:No.5930 帳簿書類等の保存期間(法人税)|国税庁記帳や帳簿等保存(所得税)|国税庁

フリーランスの領収書の保管方法は?

上述のとおり、領収書を受領した場合には領収書を一定期間保存する必要があります。基本的に紙で受け取った場合には、そのまま紙で保管します。感熱紙タイプのものは字が薄くならないように、極力熱や光のあたらない場所に保存する等配慮しましょう。

いろいろな保管方法

紙でもらう領収書の場合にはいろいろな保管方法がありますが、簡易的な保管方法としてよく行われているものを挙げておきます。

ノートに貼る

ノートやスクラップブック等に整理後の領収書等を順番に貼っていく方法です。感熱紙は溶剤に反応する場合があり、のりの成分により黒くなることもあります。感熱紙にのりを貼るときには注意しましょう。

封筒にまとめる

領収書等があまり多くない場合には、月別や費目別に専用封筒を用意してその中に収納する方法があります。封筒はやや大き目のものを準備しましょう。

クリアファイルなどで整理する

最近は領収書用のクリアファイルなどもあるため、ファイルにインデックスを付けて管理するのもよいでしょう。月別、科目別、取引先別など整理しやすく、探しやすい分類を心がけましょう。

なお、電子取引において領収書を受領した場合でも保存期間は変わりませんが、電子帳簿保存法のルールに則り、領収書データを格納する必要があります。

参考:電子帳簿保存法一問一答(Q&A)|国税庁電子帳簿保存法一問一答

【発行】フリーランスも領収書を発行する?

フリーランスの場合、領収書の発行は必要なのでしょうか?

そもそも「領収書」はなぜ必要?

個人、法人の別なく請求書提出後、銀行振り込みなどではない場合、お金のやり取りについて証明するものが必要となります。領収書は、金銭の受け渡しが正しく行われたことを証明する書類です。

この証明は、取引相手だけでなく確定申告などでも証明する必要があり、領収書は取引上の重要な役割を果たすだけでなく、税務上も必要不可欠なものと言えます。

したがって、フリーランスにおいても売上が計上され、お金を受け取ったら、どんな形で領収を証明するかを考えておく必要があります。

フリーランスが使える領収書の無料テンプレート

マネーフォワード クラウドでは、フリーランスや個人事業主の方が使える、領収書のテンプレート・ひな形をご用意しています。

フリーランスの領収書の記載項目・正しい書き方

領収書を消費税のインボイスとして利用することもありますが、ここでは一般的な領収書について説明しましょう。領収書には下記項目のすべてについて、事実を正しく記入することが求められます。

日付、宛名、取引金額

日付は「領収」のあった日を記入します。取引年月日と領収日が異なる場合、領収書の日付欄には領収日を記入します。宛名について、取引先から「支店名を入れてほしい」などの依頼があれば、できるだけ合わせるようにしましょう。

取引金額については、冒頭に「¥」や「金」を入れ、3桁ごとにカンマを打った領収額を記載します。また、数字末尾には「-(ハイフン)」などを入れて改ざん防止を心がけましょう。

同時に2つの取引があった場合に領収書が2枚となるのは問題ありませんが、1つの取引について不自然に分割して領収書を発行するのは避けましょう。

ただし書き、内訳

ただし書きには、「ただし、飲食代として」「但し、〇月分会費として」などと、その後の追記を防ぐようにします。できるだけ具体的に記載するようにしましょう。

内訳は省略されることもありますが、ただし書きについての詳細を記載するためのもので、商品名や数量、単価、小計などを記載します。なお、インボイスに対応する領収書の場合には、消費税についての内訳を記載することがあります。

収入印紙、発行者名

領収書は、その金額が5万円を超えると収入印紙が必要となります。領収金額やその種類(売上代金かそれ以外か)によって貼付する収入印紙は異なるため、下記を参考にしてください。

参考:No.7105 金銭又は有価証券の受取書、領収書|国税庁

発行者名は、発行者が特定できるように屋号や発行者名、住所、電話番号などを記載します。なお、領収書に偽造防止用に商慣行として押印することがありますが、押印は必須ではありません。

フリーランスの領収書発行で必要なもの

フリーランスとして領収書を発行する場合に、どんなものが必要でしょうか?

取引と金銭等の授受の確認

領収書を発行するのは、代金等を受領したタイミングです。どの取引に対しての入金かを確認し、相手先や金額に間違いがないかも確認してから作成しましょう。また、二重払い防止の観点からも、領収書の発行控えは必ず作成しておきましょう。

領収書フォーマット

領収書の作成には、市販の領収書用紙、Excel等のソフトなどさまざまな方法があります。作成頻度にもよりますが、領収書発行をルーチン作業にできるようにしておきましょう。

業務内容に合わせて、上記領収書テンプレートなどを利用するのもよいでしょう。

領収書番号の付番

領収書の番号は発行者の任意ですが、月単位や年度単位での通し番号を付番することにより、外部に対して取引の透明性をアピールできます。

領収書控えの保管

先述のとおり領収書を発行したら、必ず領収書控えを保管しましょう。

ときどき「領収書の再発行依頼」を受けるときがあります。業務内容に照らした対応が求められますが、再発行に応じる場合にはその領収書が「再発行分」であることを明示するのが一般的です。

領収書は限定的に利用しよう

取引に対する入金の事実を証明する領収書は、取引の双方について重要な書類です。しかしながら、領収書発行の頻度が多くなりすぎると手間や時間がかかります。1人で活躍するフリーランスの負担にならないように、取引があったら請求書を発行し、銀行振込での入金を促すなどの工夫も大切です。

領収書発行をある程度限定的にした上、作成業務をルーチン化することで大きな負担にならないようにしましょう。


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