- 更新日 : 2024年10月18日
領収書とレシートはどう違うのか?納品書は領収書代わりになる?
営業活動においては、経費の精算をするために、会計時に領収書を受け取る必要があります。
ただ、「経費に計上するためには、領収書が有効でレシートは無効だ」と思っている人は少なくないはずです。領収書とレシートの持つ税務上の意義を理解しなければ、経費計上において、領収書なら問題なく、レシートはダメといった不確かな認識を持ち続けることになります。
この記事では、「税務申告における会社の必要書類としてどの書類が適切なのか?」「レシートと領収書では、どちらが経費計上において有効なのか?」という疑問を解決するために、領収書とレシートの違いについて詳しく解説します。
目次
経費を精算するにはレシートでも有効なのか?
経費精算のために、宛名に会社名が記載された手書きの領収書をもらう必要があると思っている人も少なくないでしょう。しかし、領収書の本来の目的は「お金を支払った」ことの証明です。
税法上において領収書は「金銭または有価証券の受理を証明するために作られた受取書」とされています。そのため、支払い先や領収書が発行された日付、支払った金額や明細が記載されていれば、領収書だけでなく、レシートも有効になります。また、「代済」「相済」「了」と記載された書類や、「お買い上げ票」と記された書類も領収書に該当します。
さらに、消費税法の関係する条文(仕入れに係る消費税額の控除)には、「事業者に交付する請求書、納付書やこれに類する書類」と書かれており、領収書という言葉は記載されていません。領収書は「これに類する書類」に当たるので、領収書もレシートも同等の書類ということになります。
領収書よりもレシートのほうが税務上は信頼性がある?
税務上、取引の証拠となる領収書には、基本的に「取引の年月日」「取引相手の名前」「取引の金額」「購入した品物の名前」の記載が必要です。
経費精算のために別途発行してもらう領収書の場合、宛先欄に「上様」と記載されていたり、内容が「お品代」になって詳細内容が省略されていたりするので、取引の証拠資料としては問題が残ってしまいます。さらに、手書きの領収書は後から金額や相手先を変更することが可能なため、筆跡を慎重に確認する必要があります。
それに比べて、レシートは取引の証拠として認められる項目が基本的にすべて印字されているため、領収書よりも信頼性が高いということになります。税務調査のリスクを考慮しても、簡単に内容を変更できないレシートの方が良いのです。
領収書を発行する際に気をつけること
税務上、領収書は重要な書類となるため、領収書の発行側は宛名や但し書きを省略せずに記載する習慣を守り、発行先への配慮を持ってやり取りを行う必要があります。
なぜなら、消費税法において、領収書には「購入者の名前(3万円以上の場合)」「購入の年月日」「購入の金額」「購入先の名前」「購入した品名」の記載が必要とされていますので、配慮を欠いた領収書の発行が、受け取る側の税務申告上のトラブルにつながる可能性もあるからです。
また、二重発行といって、レシートと領収書を二重に渡してしまうことがあります。法的に問題はありませんが、経費の二重計上のようなトラブルの原因となってしまいます。誤って二重発行してしまった際は、どちらか片方を破棄していただくよう伝えるなど、発行先への配慮が必要です。
納品書は領収書代わりになる?
取引先から商品などが納品される際に、納品書が発行されるのが一般的です。納品書には、納品された商品の品目、数量、納品日時、納品先といった情報が記載されます。
納品書の様式によっては、領収書に記載される事項がすべて記載されていることもありますが、原則として納品書は領収書の代わりにはなりません。納品書で取引の内容はわかるものの、商品を先に受け取って後で支払うケースなどもあり、納品書を受領した時点で代金を支払ったかどうかは確定できないためです。
領収書が無い場合は、納品書に紐付いた請求書や支払証明書などの発行・保管が必要です。
領収書やレシートの意義を理解しておきましょう
経費精算には領収書を要すると知る人が多いなか、税務上はレシートのほうの信頼性が高いという判断もあります。領収書の意義と、経費計上のためになぜ領収書が必要なのかという点をしっかりと理解し、やり取りを行うことが重要です。
よくある質問
経費精算はレシートでも有効?
発行元の名称、発行日、金額や明細の記載があればレシートでの経費精算も有効です。また、消費税の区分記載請求書等保存方式(令和元年10月1日~令和5年9月30日まで)においては、「軽減対象資産の譲渡等である場合にはその旨」の記載が必要です。詳しくはこちらをご覧ください。
納品書は領収書代わりになる?
納品書には支払関係の事実を証明する情報が記載されないため、納品書単体では領収書の代わりにはなりません。別途請求書や支払通知書といった書類の発行が必要です。詳しくはこちらをご覧ください。
※ 掲載している情報は記事更新時点のものです。
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