- 作成日 : 2023年1月27日
領収書の写真でも経費精算は可能!撮影後は原本を破棄できる?
電子帳簿保存法改正の影響で、帳簿書類の電子化を進めたり、アプリなどを導入して写真でも経費精算できるよう整備を進めたりする企業も多く見られるようになりました。スマホ撮影で写真保存した画像の領収書も原本と相違なく経費精算の対象になります。この記事では、領収書を写真で保存する要件や注意点を解説していきます。
目次
スマホなどで撮影した領収書の写真でも経費精算は可能
原則として、領収書などの帳簿書類は原本で保管することが義務付けられています。しかし、電子帳簿保存法に則って電子保存を行えば電子化されたものも認められます。
スマホ撮影により写真保存した領収書の画像も、電子帳簿保存法のスキャナ保存の要件を満たしていれば経費精算の対象になるということです。
従業員が領収書をスマホ撮影して経費精算をする場合、対応したアプリがあるとスマホからすぐに申請ができて便利です。領収書を写真撮影したものを経費申請する方法として、スマートフォン向けの「マネーフォワード クラウド経費」アプリがあります。
経費精算に使える領収書の写真の要件は?
領収書をスマホ撮影して写真保存することで電子保存したい場合、電子帳簿保存法のスキャナ保存の要件を満たす必要があります。領収書はスキャナ保存の書類の区分のうち重要書類に区分されますので、より厳格な要件となっています。具体的なスキャナ保存の要件は次のとおりです。
- 入力期間の制限
早期入力方式(受領後からおおむね7日営業日以内に入力)、または業務処理サイクル方式(最長2ヶ月の業務処理の通常の期間経過後おおむね7日営業日以内に入力)に入力期間が限定されます。 - 一定水準の解像度
解像度200dpi相当以上が必要です。 - カラー画像
赤・緑・青の階調が各256階調以上必要です。 - タイムスタンプ
入力期間内に認定のタイムスタンプを付す必要があります(システム上などで入力期間内に入力したことが確認できる場合はこの限りではありません)。 - 読取情報の保存
解像度、階調、書類の大きさ情報を保存しておく必要があります。ただし受領した領収書の大きさがA4以下の場合は書類の大きさの情報は不要です。 - ヴァージョン管理
記録事項の訂正や削除ができないこと、あるいは記録事項の訂正や削除の内容が確認できるシステムを使用している必要があります。 - 入力者等情報の確認
透明性確保のために記録事項の入力者または監督者の情報を確認できるようにします。 - 帳簿との相互関連
領収書の記録事項と関連する帳簿の記録事項の相互関係を確認できるようにします。 - 見読可能装置の備え付け
電子化した領収書画像をすぐに印刷して確認できるように、14インチ以上のカラーディスプレイとカラープリンター、これらの操作説明書の備え付けが必要です。 - 整然・明瞭出力
整然とした形式、明瞭、拡大縮小可能、4ポイントの文字認識ができる状態で印刷できるようにしておく必要があります。 - 電子計算機処理システムの概要書
システムの概要や操作説明書、システム開発時の書類などを備え付けておかなくてはなりません。 - 検索機能の確保
次の3つの要件で検索ができる必要がありますが、質問検査権に基づきダウンロードに応じられる場合は2と3の要件は不要です。- 取引年月日や金額、取引先で検索できる
- 日付また金額の記録事項について範囲指定の検索ができる
- 2つ以上の記録事項を任意に組み合わせて検索できる
スキャナ保存の要件は、写真保存時に気を付けるというよりは、システム上で満たすべき要件が多いです。領収書を電子化して経費精算に対応したい場合は、電子帳簿保存法に対応したシステムやアプリを導入するとスムーズでしょう。
ここまでスキャナ保存の要件を説明してきましたが、電子化された領収書をインターネット経由で受け取るケースもあるかと思います。受領した領収書は電子取引に該当するものとなりますので、スキャナ保存ではなく、電子取引の要件を満たして電子保存する必要があります。
電子保存の要件は以下の記事で詳しく解説していますので、こちらをご覧ください。
領収書の写真があれば原本は破棄してもいい?
以前のスキャナ保存では定期的な検査が行われていたため、一定期間は原本を保存する必要がありました。
しかし、2022年1月1日以後に保存するものについては、スキャナ保存したものと原本が同等のものか確認後に原本を破棄できるように改正されています。スマホに写真保存して、スキャナ保存に対応したアプリを介して電子化したような画像は原本を破棄しても問題ないということです。
ただし、入力期間を経過した原本や備え付けのプリンターの最大出力よりも大きい書類については電子保存と合わせて原本の保存が必要になりますので注意しましょう。
領収書の管理を電子化するメリット
先述したように、経費精算のためにスマホでの撮影で写真を保存し、電子帳簿保存法に対応したアプリにアップロードした領収書は、基本的に原本を破棄しても問題ありません。電子化することで次のようなメリットがあります。
- 保管スペースの削減
- 経費精算業務の効率化
- 紛失や改ざんリスクの削減
電子化することで原本を破棄できるため、領収書原本を保管する物理的なスペースの削減につながります。保管スペースを借りていた場合はコスト削減にもなるでしょう。また、電子化により領収書を検索しやすくなるため、業務効率化のメリットもあります。
領収書やレシートを電子化するメリットは、以下の記事で詳しく取り上げています。
領収書の管理を電子化する際の注意点
領収書の原本を電子化して経費精算したい場合、電子帳簿保存法のスキャナ保存に適った形で電子化しなければなりません。そのため、次のような点に注意する必要があります。
- 原本と同等と確認できるようスキャン(スマホ撮影)しなければならない
- 入力期間に制限がある
- 解像度や階調の要件を満たして画像を保存しなければならない
- 原則としてタイムスタンプの付与が必要
- 領収書の電子化に対応したシステムの導入を検討する必要がある
スマホ撮影した写真の領収書も要件を満たせばOK
領収書の原本を写真に収めたものであっても、電子帳簿保存法のスキャナ保存の要件を満たせば経費精算できます。社内で経費精算の円滑化を進めたい場合、領収書の電子化や対応するアプリの導入などを検討すると良いでしょう。
よくある質問
領収書の写真でも経費精算はできますか?
電子帳簿保存法のスキャナ保存の要件を満たせば写真撮影した領収書も経費精算の対象になります。詳しくはこちらをご覧ください。
どのような領収書の写真であれば、経費精算に使えますか?
入力期間の制限やタイムスタンプ要件など、スキャナ保存のうち重要書類の要件を満たした領収書であれば、写真であっても経費精算に対応できます。詳しくはこちらをご覧ください。
※ 掲載している情報は記事更新時点のものです。
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