• 更新日 : 2023年6月23日

請求書での端数処理は切り捨てが一般的?インボイス制度導入で変化は?

請求書での端数処理は切り捨てが一般的?インボイス制度導入で変化は?

請求書の消費税に1円以下の端数が生じることは、良くあります。端数処理の方法は「切り上げ」「切り捨て」「四捨五入」のいずれかで、どの方法を選択しても問題ありません。

インボイス制度の導入によって、端数処理に不安を感じている方も多いでしょう。今回の記事では、請求書の消費税の端数処理について詳しく解説していきます。

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請求書における消費税額の端数処理はどうする?

請求書の消費税に1円未満の端数が出た場合、処理方法には次の3種類があります。

  • 切り捨て
  • 切り上げ
  • 四捨五入

国税庁の指針によると、上記の3種類の処理方法のうちどの方法を採用するかは事業者ごとの判断とされています。つまり、どの方法で処理してもよいことになりますが、処理方法によっては請求書の数字が変わってきます。

具体例を見ていきましょう。例えば商品の代金が1,525円で消費税が10%の場合は、下記のようになります。

例:1,525円×10%=152.5円

上記のように1円未満の端数が出てしまいます。このような場合に、それぞれの処理方法による計算は下記のようになります。

  • 切り捨て:1円未満(0.5円)を切り捨て、152円
  • 切り上げ:1円未満(0.5円)を切り上げ、153円
  • 四捨五入:1円未満(0.5円)を四捨五入して、153円

このように処理方法によって、1円の差が出ていることが分かります。1円といえども取引件数が多くなってくると大きな差になり、端数の処理方法が重要であることが分かるでしょう。

参考:総額表示に関する主な質問 : 財務省

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請求書で端数処理する際の注意点

請求書で端数処理する際の注意点は、「売上額の端数処理」「回数」「社内で統一すること」の3点です。それぞれの内容について、見ていきましょう。

売上額の端数処理

売上の端数処理の方法は自由に決めてよいことになっていますが、受注側が勝手に判断しないようにしましょう。端数の処理方法については、必ず取引先と事前に確認しておく必要があります。お互いが処理方法について共通認識を持っていないと、思わぬことでトラブルに発展してしまう可能性があるため、注意が必要です。

端数処理の回数

現行の制度では、消費税の端数処理の回数に関するルールはありません。そのため、品目ごとに端数処理を行っているケースも多いでしょう。現在、このように端数処理に関しては気にする必要がありませんが、2023年10月から導入されるインボイス制度では注意が必要です。

インボイス制度では端数処理に関するルールが定められており、ひとつの請求書の中で税率の異なる品目ごとに1回行うとされています。ひとつの請求書に8%と10%の税率がある場合は、それぞれに端数処理を行って合計します。インボイス導入後の端数処理については、次で詳しく紹介するため参考にしてください。

端数処理方法は社内で統一すること

端数処理に関するルールは、社内で統一するようにしましょう。担当者によって端数処理の方法が違っていては、請求書によって端数処理が違うことになるため、取引先とのトラブルに繋がります。端数処理の方法は社内で統一することで、無用なトラブルを防げます。

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インボイス制度導入後の端数処理

2023年10月1日から、インボイス制度(適格請求書等保存方式)が導入されます。インボイス制度とは要件を満たした適格請求書(インボイス)を発行・保存することで、消費税の仕入控除が受けられる制度です。インボイス制度の詳細は、下記で詳しく説明しています。

請求書1つに対し税率毎に端数処理を行なう

インボイス制度が導入されると、消費税の端数処理についてもルールが定められます。先ほども紹介したように、ひとつの請求書で異なる税率ごとに端数処理を行い、それぞれを合計して消費税を算出することが必要です。ただし端数処理の方法については、これまで通り任意で決めてよいことになっています。

積上げ計算と割り戻し計算から方法を選択

インボイス制度が導入されると、消費税の計算方法が変わります。これまでの消費税の計算は1年間の売上総額に対して計算する、「割り戻し方式」しか認められていませんでした。インボイス導入後は、売上の都度消費税を計算する「積み上げ方式」を採用できるようになります。

小売店や個人向けサービス業のように一般消費者を相手にしている業種の場合は、「積み上げ方式」のほうが消費税が安くなる傾向にあります。このように有利な計算方法を選べるようになる点も、インボイス制度の影響のひとつです。

免税事業者の請求書は端数処理に変化なし

上記のような影響を受けるのは、課税事業者が発行するインボイスのみです。免税事業者が発行する請求書には、端数処理の面では変化がありません。

しかし、買い手が課税事業者である場合、インボイスを受け取れなければ仕入税額控除を受けられません。インボイスを発行できない免税事業者との取引を見直す可能性もあるため、状況に応じた対応が必要です。免税事業者も、インボイス制度の概要を押さえて、必要に応じた対応をするようにしましょう。

納付税額の端数処理はどうする?

消費税を納税する際の端数は、100円未満を切り捨てます。これまで請求書などでは1円未満と説明してきたので分かりにくいかもしれませんが、税額の計算では100円未満を切り捨てと決められています。下記に消費税の計算タイミング別の、処理方法を記載しているので整理しましょう。

消費税の計算タイミング端数処理の単位端数処理の方法
売上に係る消費税1円未満切り捨て・切り上げ・四捨五入
仕入れに係る消費税1円未満切り捨て・切り上げ・四捨五入
納税時の消費税100円未満切り捨てのみ

仕入れや売上に関する消費税は、1円未満の端数を事業者が任意の方法で処理します。消費税の実額を計算する際は、売上に係る消費税から仕入れに係る消費税を引いて計算します。そのため計算過程では1円未満で処理して、納税の際には100円未満を切り捨てると考えると覚えやすいでしょう。

請求書における消費税の端数処理はインボイスで大きく変わる

請求書のおける消費税の端数処理は、現行ルールでは「切り捨て」「切り上げ」「四捨五入」か選べばよく、また回数に決まりはありません。しかし、2023年10月以降のインボイス制度導入後は、端数処理の回数はひとつの請求書の税率ごとに計算すると決められています。

また仕入れ控除を受けるためには、適格請求書(インボイス)が必要です。免税事業者は受注を避けられてしまう可能性があります。このようにインボイス導入の影響は大きいため、ぜひ本記事を参考にしてください。

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