• 更新日 : 2023年7月10日

インボイス制度が声優に与える影響を解説

個人事業主として声優の仕事をしている方は、インボイス制度が始まることで領収書などに記載する内容が変わるだけでなく、手元に残る金額が減る可能性があります。インボイス制度とはそもそもどのような制度か、また個人事業主の声優は何に注意する必要があるのかまとめました。ぜひ参考にして、適切な対応をしておきましょう。

声優が知っておきたいインボイス制度

個人事業主として活動する声優が受け取る報酬には消費税が発生します。基準年度等の売上高が1,000万円超の場合は課税事業者になります。また、インボイス制度においては場合によって売上高にかかわらず、適格請求書発行事業者の登録を行い、インボイス(適格請求書)を発行する必要がでてきます。

インボイス制度とは

インボイス制度(適格請求書等保存方式)とは、消費税の適用税率や税額を伝える「インボイス」を交付し、インボイスを受領した課税事業者が仕入税額控除の適用を受ける制度のことです。

インボイス制度においては、発注側からインボイスが求められた場合には交付し、また受注側も交付したインボイスの写しを取っておく必要があります。反対に発注側にとっては、受注側からインボイスの交付を受け、仕入税額控除の適用を受けることができます。

インボイス制度についてより詳しい情報は、以下の記事で解説しています。インボイスが免税事業者にどのような影響を与えるのかも紹介していますので、ぜひご覧ください。

参考:国税庁 インボイス制度の概要

適格請求書発行事業者とは

インボイスを発行できるのは、適格請求書発行事業者として登録した事業者です。適格請求書発行事業者とは、税務署長に適格請求書発行事業者の登録を申請した事業者のことを指します(以下、インボイス発行事業者といいます)。

2023年10月1日から適格請求書発行事業者の登録を受けるためには、2023年9月30日までに登録申請書を提出する必要があります。

一般には、免税事業者はインボイスの申請に合わせて「課税事業者選択届出書」の提出により課税事業者となりますが、2023年10月1日から2029年9月30日までは、インボイスの申請のみで課税事業者を選択したことになります。

ただし、登録通知が2023年10月1日までに届かない場合には、インボイスの交付を後にするなどの方法で、登録通知後にインボイスの発行をすることになります。

参考:インボイス制度に関するQ&A目次一覧|国税庁
消費税の仕入税額控除制度における 適格請求書等保存方式に関するQ&A(問7、問8を参照)

インボイス制度が声優に与える影響

事務所に所属している・していないにかかわらず、個人事業主として請求書などを発行している場合には、インボイス制度施行により影響が及ぶことがあります。インボイス制度の影響について、消費税の課税事業者と免税事業者に分けて解説します。

消費税の申告が必要な場合

消費税の課税事業者は、原則としてインボイス制度に対応するほうが有利な場合があります。

課税事業者がインボイス発行事業者となりインボイスを発行すれば、相手先が課税事業者のときは仕入税額控除が可能になるため、現状の取引関係を継続する可能性が高いということです。
しかし、課税事業者でも相手先が消費者ばかりであればインボイスの発行も不要なので、インボイス発行事業者にならないという選択もあり得ます。

免税事業者が不利になる可能性も

基準期間における年間の課税売上高が1,000万円以下の事業者は、免税事業者となります。免税事業者は消費税を申告する必要がありません。

この場合、相手先が課税事業者であればインボイスを受け取れないため仕入税額控除を適用できず、消費税の納付額が増大していまいます。
したがって、インボイスに対応するかどうかの交渉を求められたり、取引についての見直しを打診されたりする可能性が想定されます。

声優が検討すべき事項

インボイス制度が施行されることで、個人事業主の声優にも何らかの対応を求められることがあります。課税事業者と免税事業者に分けて解説します。

課税事業者の場合

課税事業者は、発注先が課税事業者である場合には適格請求書発行事業者の登録をおすすめします。またインボイスを発行できるようにフォームや書類の準備をしましょう。

なお消費税の計算は、簡易課税制度を利用することで手間を省くことが可能です。簡易課税制度では声優はサービス業に分類され、50%をみなし仕入れ率とすることができます。

参考:No.6505 簡易課税制度|国税庁
簡易課税の事業区分について(フローチャート)|国税庁

免税事業者の場合

インボイス制度は消費税に関する制度のため、免税事業者は、インボイスの発行や消費税の申告納付は不要です。しかし、取引先との話合いによりインボイスに対応できないとなると、取引先を失うことも想定されるため、報酬を低く設定するなどの対応となることがあり得ます。

そこで、インボイス発行事業者として登録し、インボイスに対応する方法も検討してみましょう。インボイスを発行できるようになると、インボイス(適格請求書)を交付できます。

また、取引先の話合いにおいて不利な条件のみを強引に押し付けるような場合には、独占禁止法違反、下請法違反なども疑われますので、下記を参考に公的な機関にお問い合わせ下さい。

参考:免税事業者及びその取引先のインボイス制度への対応に関するQ&A|公正取引委員会など

インボイス制度への対応策を固めていこう

課税事業者であれば事業者登録とインボイス発行への対応、免税事業者であれば取引先との関係強化などを検討する必要があります。どちらも相手先の状況をよく踏まえて決めることが重要です。制度施行前に各自が取るべき対応を確認しておきましょう。

よくある質問

インボイス制度とはなんですか?

2023年10月1日に始まるインボイス制度とは、新たな仕入税額控除の方式です。適格請求書発行事業者として登録すると、適格請求書を発行・保管する義務が生じることを指します。詳しくはこちらをご覧ください。

インボイス制度が声優に与える影響は?

所定期間における年間の課税売上高が1,000万円を超えているときは課税事業者として登録し、インボイスの発行・保管を行う必要があります。超えていない場合も任意でインボイス発行事業者になれます。詳しくはこちらをご覧ください。


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