- 更新日 : 2024年10月17日
定期請求とは?流行の背景や課題、請求をシステム化する際の注意点を解説
定期請求とは、定期的に行われる請求のことです。サブスクリプションサービスやWebサイトのサーバー費用、住宅やオフィスの家賃などでよく用いられています。
本記事では、定期請求が何を指すのかという基本的な内容から定期請求ビジネスが流行っている背景、 定期請求をシステム化するメリットなどについて解説します。
目次
定期請求は3種類ある請求方法の1つ
定期請求とは、定期的に行われる請求のことを指します。定期的と一口に言っても、毎月や半年ごとなど期間はさまざまです。たとえば、次のような場合が考えられるでしょう。
- 業務:Webシステムの保守や機器の定期メンテナンスなどを請け負っている
- 頻度:毎月
保守や定期メンテナンスでかかった費用を毎月(定期的に)請求することが定期請求に該当します。
なお、定期請求には一括請求や分割請求などもあります。ここでは、その他の定期請求についても見ていきましょう。
一括請求
一括請求とは、納品物の代金や契約金額などを一括で請求する方法です。役務提供の場合は、一定期間の契約金額を一括で請求する方法となり、物販においては、納品後に代金を請求することになります。
たとえば、次のような場合が該当します。
費用が毎月5万円するWebシステムの年間ライセンス契約に対して、1年間分(12回分)60万円をまとめて請求する場合
この場合、入金されたお金は、前受収益といわれます。
分割請求
分割請求とは、次のような請求方法を指します。
- 役務提供の場合:一定期間(1年間など)の契約に対して毎月分割して請求する方法
- 物販の場合:割賦に対して請求する方法
役務提供の場合は、契約金額に対しての請求が分割請求になるため、仮に240万円のWebシステムの年間ライセンスを契約した際は、役務提供が完了した月に12回に分割して20万円ずつ請求します。
一方で物販の場合は、割賦に対しての請求が分割請求になるため、240万円の製品を販売した際、12回に分割して、毎月20万円ずつ請求するといった形です。
なお、手付金を請求して、残りの代金を納品後に請求する場合も分割請求に入ります。
定期請求を利用しているサービスの例
ここでは、定期請求を利用しているサービスについて解説します。
サブスクリプションサービス
近年流行している動画配信サービスなどのサブスクリプションサービスは、定期請求を利用しているサービスのひとつです。サブスクリプションサービスとは、一定期間定額料金で、商品やサービスを利用できる仕組みのことです。
たとえば、月額課金制で国内外の映画やドラマ、アニメが見放題になったり、電子書籍やマンガが読み放題になったりするサービスがあります。
他にも、冷凍食品や調理キットが定期的に届く食品のサブスクリプションサービスや洋服、靴、アクセサリー、高級ブランド品を借りられるサブスクリプションサービスなど、さまざまなサービスが存在しています。
サーバー費用
Webサイトのレンタルサーバー代にも定期請求が利用されています。サーバーとは、Webサイトのデータを保管しておく場所のことです。
レンタルサーバーの費用は、利用するサーバーのスペックや容量、利用時間などによって決まっており、ハイスペックなサーバーや大容量のストレージを利用する場合は、費用も高くなる傾向にあります。こちらも利用に応じて費用が請求される仕組みです。
住宅やオフィスの家賃
比較的イメージしやすいものとして、住宅やオフィスの家賃が挙げられます。家賃(賃料)とは、賃貸物件の使用者(入居者)から貸主に支払われる賃貸料金のことです。
通常は、1ヶ月ごとの金額が設定され、それを使用者に請求します。そして、使用者は毎月決められた額の家賃を払うことで、家やオフィスを借りられます。
ファンクラブなどの会費
歌手や芸能人などのファンクラブ、ジムやフィットネスクラブなどの会費も定額請求のひとつです。近年通う人が増えているジムなどでは、会員契約を柔軟に変更または解約できるように、月会費がよく採用されています。
定期請求ビジネスが流行っている背景
では、定額請求ビジネスが流行っている背景にはどういったことが考えられるのでしょうか。ここでは、定額請求ビジネスが流行る背景について詳しく解説します。
スマートフォンの普及
まず、インターネットの普及が挙げられるでしょう。インターネットの普及にともない、ソフトウェアをダウンロードして直接購入できるようになりました。さらに、そのソフトウェアを提供する手段としてサブスクリプションサービスが脚光を浴びるようになったことも、定額請求ビジネスが軌道に乗った一因として挙げられます。
消費者の「コト消費」へのシフト
消費者の意識が「コト消費」へ変化したことも定額請求ビジネスが流行した背景にあります。近年の若者は、所有にコストをかける「モノ消費」よりも、体験にコストをかける「コト消費」を重視する傾向があり、モノを所有する必要性が薄れてきているのが特徴です。
たとえば、音楽好きであれば1,000曲のCDを所有するためにはそれなりの部屋が必要でしたが、今はサブスクの音楽サービスを利用すればスマホ1つで同じことができます。
こういった意識の変化が、体験提供型のビジネスであるサブスクリプション(定期請求)にとって追い風となったほか、現代の消費者の価値観と合致して流行につながったといえるでしょう。
顧客満足度の向上
顧客満足度の向上も定額請求ビジネスが流行している一因です。定期請求ビジネスでは、サービス継続や契約ごとなどが自動化されているため、利用者は商品やサービスの利用を継続するために、何かをする必要はありません。
利用者にかかる手間が少なくなるほど、顧客満足度は高くなるため、定額請求ビジネスが流行り続けるというわけです。
企業の財務が安定しやすい
定額請求ビジネスを採用すると、企業の財務が安定しやすくなることも定額請求ビジネスが流行した背景にあります。
定額請求ビジネスでは、キャンセルや支払いミスなどの変動要因が存在するため、各月の収入を正確に把握することはできません。
しかし、定期請求のモデルを採用すると、企業は収入予測の精度を向上させられ、今後の手持ち現金を把握できるようになります。その結果、企業の財務が安定しやすくなる点は企業側にとってのメリットです。
また、定額請求では、支払いの失敗を減らす以下のような工夫も施されています。
- 保存済みの決済手段を使用して支払いを自動化する
- 有効期限が近づいている場合、期限切れ前に特定し利用者に決済カード情報の更新を促す
利用者・企業の双方にとって満足度が高いビジネスモデルであるため、スムーズに浸透していったといえるでしょう。
物流の進歩
定額請求ビジネスが普及した背景には、物流の進歩も挙げられます。
近年では、インターネットで注文した商品が翌日には届くほか、さまざまな場所にも宅配できるようになりました。それも物流が進歩したおかげです。
物流の進歩によって、定期請求ビジネスを以前より広い分野で展開できるようになったほか、これまで以上に多くの消費者からの支持を得られたことで、定額請求ビジネスは流行の一途をたどっています。
定期請求に関わる課題・問題点
定額請求ビジネスが流行っているとはいえ、定額請求には課題や問題点も存在します。主な課題・問題点は次の3点です。
- 請求内容の確定が煩雑
- 請求書を発行する手間
- 経理処理が複雑
それぞれ詳しく見ていきましょう。
請求内容の確定が煩雑
1つめの課題・問題点として、請求内容の確定が煩雑であることが挙げられます。多くの定期請求ビジネスでは、複雑な料金体系を採用していたり、料金プランの変更を容易に行えたりします。
ほかにも、オプションサービスの追加で料金が加算されたり、お試し期間のみ無料であったりといったように、利用者によっても利用状況はさまざまです。
これらの組み合わせ次第で、請求内容は幾通りにも変わります。利用者にとっては都合のよい料金体系が、請求する側にとっては業務を煩雑化させる要因になってしまっているといえるでしょう。
請求書を発行する手間
2つめの課題・問題点が、請求書を発行する手間がかかることです。請求書の作成はそれぞれの契約内容を確認したうえで行わなくてはなりません。また、顧客ごとに月一括、半年一括、一年一括など支払いサイクルが異なる場合もあるでしょう。
1つひとつに対応するだけでも膨大な手間がかかりますが、請求書の発行タイミングを間違えると、企業の信頼を傷つけかねません。
ミス防止のために、データを何重にもチェックしなければならない点は、企業にとってかなりの手間といえるでしょう。
経理処理が複雑
3つめの課題・問題点が、複雑な経費処理です。定期請求ビジネスでは、利用者が増加すればするほど、計上タイミングを間違える恐れも高まります。
また、入金消込作業を人の手で行っているような企業であれば、消込を見落とすようなミスも発生しかねません。
定期請求をシステム化するメリット
課題・問題点を解決するうえでも、定期請求のシステム化がおすすめです。定期請求システムを導入するメリットとしては、次のようなことが挙げられます。
- 自動で請求内容が確定される
- オンライン上で請求書の発行・送付ができる
- 自動で入金状況を確認できる
自動で請求内容が確定される
システム化すると、自動で請求内容が確定されるため、請求作業にかかっていた工数を減らせます。
そのほか、それまで人力で行っていた場合、システム化することで手作業によるミスの削減が可能です。それまで請求内容の確定作業を行っていた人材を別の業務に充てられるため、業務の効率化にもつながるでしょう。
オンライン上で請求書の発行・送付ができる
定期請求システムを導入すると、オンライン上で請求書の発行や送付を行えるようになります。事前に送付先などの情報を入力しておけば、自動で発行や送付作業を行ってくれるため、請求タイミングを間違えるリスクもなくなるでしょう。
自動で入金状況を確認できる
定期請求システムには、金融機関と連携してデータ管理を行えるものもあります。それらのシステムであれば、決済情報と連携して支払日・入金実績が正確に把握可能です。
また、入金データと連動して自動で消込作業を行ってくれるシステムであれば、振込名義や金額の間違いから消込を見落とすようなミスも発生しなくなります。
定期請求システム導入で請求書管理が効率化した企業事例
ここでは、定期請求システム導入で請求書管理が効率化した企業事例を2つ紹介します。
毎月の請求書発行漏れがなくなった|株式会社コルク
株式会社コルクは、漫画家や小説家、エンジニアなどクリエイターのエージェンシー業務を行っている会社です。これまで表計算ソフトで請求書を一枚一枚作っており、請求書の発行漏れが発生しており、それを防止する目的で、マネーフォワード クラウド請求書を導入しました。
システム導入後は、請求業務にかかる時間を短縮できたほか、「毎月自動作成」機能を使用することで毎月の請求書発行漏れもなくなったそうです。
月次決算を4分の1まで短縮|株式会社FOR YOU
広告・芸能をワンストップで手がける株式会社FOR YOUでは、表計算ソフトで運用・管理する際の属人化に頭を悩ませていました。また、上場に向けて内部統制の強化を実現するべく、マネーフォワード クラウドを導入しました。
システム化することにより、業務の標準化と効率化を達成し、バックオフィスのスマート化に成功したほか、内部統制が強化され、会計基準に準拠した会計業務が可能になったそうです。また、それまで月次決算にかかっていた時間も4分の1まで短縮され、ミスの少ない決算が行えるようになっています。
定期請求をシステム化する際の注意点
定期請求のシステム化は非常に便利なものですが、リスクがないわけではありません。ここでは、システム化する際の注意点を2つ紹介します。
情報漏洩のリスク
1つめの注意点が、情報漏洩のリスクです。システム化すると、外注先に顧客情報を渡すことになるため、社内で対応していたときに比べて漏洩リスクは高まります。
もしも、顧客情報が情報漏洩すると、損失は計り知れません。全面的に外注先に非があった場合でも、責任はシステム会社を選んだ企業側にも及びます。そのため、システム化する際は、相手側のセキュリティ体制を確認することが重要です。
システム障害の可能性
2つめの注意点が、システム障害の可能性があることです。外注先にシステム障害が発生した場合、自社に問題がなくても、請求機能がマヒする恐れがあることは理解しておきましょう。
そうなれば、顧客のサービス利用に重大な影響を及ぼすほか、課金トラブルが発生する原因にもなります。外注する場合は、どこまでを外注に任せるか慎重に検討する必要があります。
定期請求をシステム化して効率化を図ろう
定額請求とは毎月や半年ごとなど、定期的に行われる請求のことです。代表的な例としては、サブスクリプションサービスや家賃、ファンクラブの会費などが当てはまります。
定期請求ビジネスが流行っている背景としては、スマートフォンの普及や消費者の意識の変化、物流の進歩などがあります。しかし、定期請求においては、請求内容の確定が煩雑であったり、請求書の発行が手間だったり、経費処理が複雑であったりと、さまざまな課題や問題点が存在するのも事実です。
それらの課題や問題点を解消するためには、定額請求のシステム化が有効です。システム化できれば、請求内容の確定の自動化やオンラインでの請求書の発行や送付が可能になるなど、さまざまなメリットがあります。
定期請求の作業でお悩みの場合は、システム化を検討してみてはいかがでしょうか。
※ 掲載している情報は記事更新時点のものです。
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