• 作成日 : 2022年6月10日

請求書をPDFで送付・発行する際のポイント – 電子帳簿保存法に注意

請求書をPDFで送付・発行する際のポイント – 電子帳簿保存法に注意

「簡単に取引先に送ることができる」「送付から到着までのタイムラグがない」という理由から、PDF等の電子データ(電磁的記録)で発行した請求書を電子メールなどで送付する企業も多くなっています。紙による発行・保存の手間がなくなり便利になる一方、現在も電子帳簿保存法は定期的な改正が続けられており、2022年1月に改正された「電子帳簿保存法」で定められたルールを知らないという企業も少なくないようです。

今回は、請求書をPDF等で発行する際の注意点、そして電子帳簿保存法とは何か、詳しくご紹介します。

請求書のPDF送付・発行には電子帳簿保存法の考慮が必要

電子帳簿保存法を背景に、PDFによる発行などの「請求書の電子化」が浸透しています。請求書を電子化するにはどのような対応が必要なのか、その具体的な要点を見ていきましょう。

    • 請求書の作成と発行

従来は、文書作成ソフトや表計算ソフトで作成された請求書を紙で出力し、取引先へ郵送で送付していました。現在は電子帳簿保存法により、PDF等の電子データによる請求書をメールやクラウドサービスなどを介して取引先に送付できるよう制度が整えられています。この電子データ化による請求書には、文書作成ソフトや表計算ソフトで作成されたものだけでなく、紙で作成された文書をスキャナで読み取り電子データ化したものも含まれます。

    • 請求書の保存

電子帳簿保存法では、PDF等の電子データで送信、もしくは受け取った請求書はプリントアウトして紙の状態で保存をせずに、電磁的記録のまま保存するように求められています。

ただし、請求書の電子保存は各事業者が各々自由なルールで行ってよいわけではありません。請求書の電子保存は、あくまで電子帳簿保存法で定められた形式で行う必要があります。

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電子帳簿保存法とは

電子帳簿保存法とは、国税に係る帳簿書類を電磁的記録で保存する際の考え方や手続きの方法について定めた法律です。これまでに数度の改正が行われており、最新の2022年1月改正では以下の点が変更となりました。

    • 事前承認手続きの廃止

電子帳簿保存は税務署長の承認が必要でしたが、今回の改正で2022年1月1日以降に保存する国税関係の書類については事前承認が不要となりました。

    • タイムスタンプ要件の緩和

スキャナ保存をする際は電子データへのタイムスタンプ付与が必要ですが、今回の改正で付与期間が最長2カ月程度に統一されました。

    • 検索要件の緩和

「スキャナ保存」された電磁的記録の検索要件が「取引年月日とその他の日付」「取引金額」「取引先」に限定され、さらに国税庁などからの電磁的記録のダウンロードに即座に応じる場合には、範囲指定や項目の組み合わせによる検索機能の確保が不要となりました。

また「電子取引」の電磁的記録もスキャナ保存と同様の改正が行われたほか、2年(期)前の売上が1,000万円以下であり、税務調査の際に電磁的記録のダウンロードの求めに対応できる場合には、検索要件の全てが不要とされました。

    • 適正事務処理要件の廃止

以前は「電子帳簿保存に関する社内規定」の整備や2名以上での対応が求められていましたが、改正でこれらの要件は廃止されました。

    • 電子取引における書面の保存の廃止

所得税・法人税等に関する電子取引データは、出力して紙で保存することが認められていましたが、改正により、紙での保存は認められないことになりました。

    • 電子保存義務化の猶予期間が2年間設けられる

上記の電子帳簿保存ができない場合は、2年間の猶予期間が認められます。その間は従来の方法での処理でも構いません。

2022年1月改正の電子帳簿保存法についてはこちらもご覧ください。

請求書をPDF送付・発行する場合の注意点

上記の改正電子帳簿保存法を踏まえ、請求書をPDF送付・発行する際はどのような点に気をつけないといけないのかを確認しましょう。

件名や日付を明確にしておく

請求書は国税関連書類に属しており、これらの書類は基本的に7年間の保存義務があります。請求書関連書類を電子データで保存する際は、ファイル名に件名や日付を明確に記載し、書類の内容や種類、保存義務期間がすぐ分かるようにしておきましょう。

また、請求書の内容や送付先をすぐに確認できるよう、ファイル名に以下の項目を入れておくとよいでしょう。

  • 送付元企業名
  • 取引年月日
  • 金額

これらの項目を入れておくと、請求書送付先の企業も電子データでの保存がしやすくなります。

印鑑は必要なし

請求書への押印は法的に義務付けられているわけではありません。しかし、送付される請求書への押印を求める取引先や、請求書への押印を規定する発行元の企業があるかもしれません。

今後さらに請求書の電子化は進んでいきますので、社印の電子印鑑化によるデータ上での押印や、押印に対する社内の規定見直しといった対応を検討するとよいでしょう。

パスワードを設定する

送付時には請求書の内容が外部に漏れないよう、パスワードの設定や暗号化、タイムスタンプなどの併用がセキュリティ上有効です。とはいえ、請求書のファイルを圧縮して送付し、圧縮ファイルの解凍パスワードを別途メールで送るという方法は送付側の手間がかかります。送付されたほうも管理に戸惑う場合もあるでしょう。できれば、圧縮しないまま安全に送付する方法を考えましょう。

上書き、修正されない形式で送る

送付する請求書のファイルは上書き、修正されない形式で送付しましょう。具体的には文書作成ソフトや表計算ソフトのまま送るのではなく、PDFに変換して送付するなどの対策が必要です。PDFファイルも、編集がされないようセキュリティ設定などをしておくことが望まれるでしょう。

送付した書類が何かを明確にしておく

請求書を送付する際は、メールの件名に「〇月分請求書送付の件」などと入れ、送付したファイルの内容が明確に分かるようにしておきましょう。特に請求書は取引先が誤認しないように確実に受け取ってもらうことが重要です。他のメールと混じって行方不明になることだけは絶対に避けるように対策を立ててください。

請求書の発行は電子帳簿保存法対応ソフトが安心

ここまで、請求書を電磁的記録で発行・送付する方法について解説してきました。「請求書を送る際はPDFに変換する」「メールで送信する」といったポイントがありますが、「全ての経理社員に同じレベルで対応させるのが難しい」「経理社員が忙しすぎて請求書作成までなかなか手が回らない」という企業もあるのではないでしょうか。

もし、請求書発行をもっと簡単に、より正確に、より安全に行いたいというのであれば、「マネーフォワード クラウド請求書」のようなクラウド型の電子帳簿保存法対応ソフトを利用すると安心です。

請求書を発行する企業は改正電子帳簿保存法の把握が必須

2022年1月の電子帳簿保存法改正で、請求書のデータ送付は今まで以上に一般化するでしょう。

しかし、簡単にデータ送付できるからこそ、改正電子帳簿保存法で定められているように「必ずPDFデータ化して修正されない形で送る」「請求書データのファイル名に送付側の企業名、取引年月日、金額を入れ、内容や保存期間がすぐに分かるようにする」といったことが重要になってきます。改正電子帳簿保存法を必ず把握しておきましょう。

また、これから請求書のデータ送付を検討するのならば、電子帳簿保存法対応ソフトを利用し、間違いが起きないような仕組みづくりを行うことをおすすめします。

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よくある質問

電子帳簿保存法とは?

業務に必要な書類を電子データ(電磁的記録)で保存する方法について定めた法律です。詳しくはこちらをご覧ください。

請求書をPDF発行する場合の注意点は?

関係のない人にファイルを開かれないようにパスワード設定を行う、ファイル名に「送付側の企業名、取引年月日、金額」を入れるという対策を行ってください。詳しくはこちらをご覧ください。


※ 掲載している情報は記事更新時点のものです。

監修:岡 和恵 (税理士 / CFP)

大学卒業後、2年間の教職を経て専業主婦に。システム会社に転職。 システム開発部門と経理部門を経験する中で税理士資格とフィナンシャルプランナー資格を取得。 2019年より税理士事務所を開業し、税務や相続に関するライティング業務も開始。

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