• 更新日 : 2023年7月31日

PDFの請求書は法的に認められる?電子帳簿保存法との関係も解説

PDFの請求書は法的に認められる?電子帳簿保存法との関係も解説

従来、紙でやり取りされていた請求書の発行をPDFのファイル形式にて電子データで行う企業が増えています。ペーパーレス化によって業務の効率化とコスト削減ができることが背景にあります。

PDFであれば、メール送信することも簡単にできますが、電子帳簿保存法の関係で注意すべき点もあります。

この記事では、PDFの請求書が法的に問題ないのか、発行方法などのほか、改正電子帳簿保存法との関係で押さえておくべき点について解説していきます。

請求書はPDFとして発行しても法的に認められる?

まず、請求書をPDF化することは結論からいえば法的に問題ありません。請求書の形式としては、紙に手書きしたもの、印刷されたもの、電子発行したものでも何ら問題はありません。

ビジネスでは、取引内容を明らかにして代金を相手に請求するための書類として、請求書は重要な役割を果たしています。民法上は、債権者が債権を行使することができることを知ったときから5年で消滅時効になるため(法166条1項1号)、請求書の法律上の有効期限も5年ということになります。この間にトラブルになった場合を想定し、証拠資料として発行しておく必要があります。

また、消費税の複数税率(8%、10%)に対応するために2023年10月から導入されるインボイス制度(適格請求書等保存方式)では、売手である登録事業者は相手方(課税事業者)から求められたときには、インボイス(適格請求書)の発行義務と控えの保存義務があります。いずれにしても、ビジネスの常識として紙であれ、PDFであれ、請求書は発行して控えは適切に保存することが大切です。

請求書に書くべき項目

では、請求書にはどのような事項を記載すべきなのでしょうか。取引内容の証拠資料としての請求書では、下記の記載事項が挙げられます。

  1. 請求者の氏名又は名称
  2. 取引年月日
  3. 取引内容
  4. 取引金額
  5. 請求書の交付を受ける事業者名

なお、2023年9月30日までの消費税の仕入税額控除の適用を受けるための区分記載請求書では、次の5点が記載事項となっています。

  1. 書類の作成者の氏名又は名称
  2. 課税資産の譲渡等を行った年月日
  3. 課税資産の譲渡等に係る資産又は役務の内容(課税資産の譲渡等が軽減対象資産の譲渡等である場合には、資産の内容及び軽減対象資産の譲渡等である旨)
  4. 税率ごとに合計した課税資産の譲渡等の税込価額
  5. 書類の交付を受ける当該事業者の氏名又は名称

また、2023年10月からのインボイス制度では、区分記載請求書の④については、「税率ごとに区分した課税資産の譲渡等の税抜価額又は税込価額の合計額及び適用税率」とされ、さらに⑥「税率ごとに区分した消費税額等」が追加されます。また④や⑤以外に、①にも「適格請求書発行事業者の登録番号」が追加されます。

したがって、2023年10月1日から適用開始する適格請求書(インボイス)には次の記載が求められます。(下線部分が区分記載請求書に追加された部分です)

  1. 適格請求書発行事業者の氏名又は名称及び登録番号
  2. 課税資産の譲渡等を行った年月日
  3. 課税資産の譲渡等に係る資産又は役務の内容(課税資産の譲渡等が軽減対象資産の譲渡等である場合には、資産の内容及び軽減対象資産の譲渡等である旨)
  4. 税率ごとに区分した課税資産の譲渡等の税抜価額又は税込価額の合計額及び適用税率
    税率ごとに区分した消費税額等
  5. 書類の交付を受ける当該事業者の氏名又は名称

引用:インボイス制度に関するQ&A目次一覧|国税庁
消費税の仕入税額控除制度における 適格請求書等保存方式に関するQ&A(問52参照)

請求書の作り方については、下記記事で詳しく説明しています。

電子帳簿保存法で定められている要件は?

電子帳簿保存法においては、請求書・領収書・契約書・見積書などに関する電子データを発行・受領した場合には、一定の要件を満たした状態で保存することが義務付けられています。

つまり、電子帳簿保存法には次の3つの区分がありますが、このうち電子取引についてはその電子データの保存が求められるわけです。

  1. 電子帳簿等保存:紙で保存するか、電子データで保存するかは会社の任意
  2. スキャナ保存:同上
  3. 電子取引:電子取引においては、電子データの義務がある(2024年1月1日より)

請求書を発行・保存する際に求められる要件

電子取引に係る保存のためには、真実性の確保と可視性の確保という2つの要件があります。

①真実性の確保

真実性の確保の要件では、次の4点が求められています。

イ.タイムスタンプが付された後、取引情報の授受を行うこと

ロ.取引情報の授受後において、速やかにタイムスタンプを付して保存すること

ハ.記録事項の訂正・削除を行った場合、その修正等を確認できるシステムか、または訂正・削除ができないシステムを利用すること

ニ.正当な理由がない訂正や削除の防止に関する事務処理規程を定め、その規程に沿った運用を行うこと

②可視性の確保

可視性の確保については、次の3つの要件が挙げられています。

イ.保存場所付近にパソコン、プログラム、モニター、プリンター、操作マニュアル等を備えて、整然かつ明瞭な状態で速やかに出力できること

ロ.電子計算機処理システムの概要書を備え付けること

ハ.検索機能を確保すること

電子取引におけるデータの検索機能については原則としては以下のとおりですが、税務調査などにおいてデータのダウンロードができる場合には検索要件は不要となります。

  1. 取引年月日、取引金額及び取引先による検索ができること。
  2. 日付又は金額について、範囲指定して検索ができること。
  3. 2つ以上の任意の項目を組み合わせて検索ができること。

参考:電子帳簿保存法一問一答(Q&A)~令和4年1月1日以後に保存等を開始する方~|国税庁、電子帳簿保存法一問一答(問41参照)

なお、2年(期)前の売上高が5,000万円以下で、税務調査時にデータのダウンロードを求められたとき、税務職員への提示に対応できる場合には、検索機能の確保は不要とされています。(2024年1月より施行)

参考:パンフレット(過去の主な改正を含む)|国税庁、電子帳簿保存法の内容が改正されました

電子帳簿保存法の詳しい内容は下記の記事をご覧ください。

電子データで送受信した請求書の保存方法

これまでは、PDFで送られてきた請求書を紙に印刷して保存していました。しかし、2024年1月からは原則として、紙でプリントアウトして保存のではなく、受領したPDFファイルを電子データで保存しなければなりません。

しかし、2024年1月以降において電子データの保存を前提として次の猶予措置が整備されます。

次の2つの要件の両方を満たせば、電子データ保管について検索機能などの対応は不要です。

  1. 保存要件に沿って電子データを保存ができなかったのには、相当の理由があると税務署⻑が認める(事前申請等不要)
  2. 税務調査等において、電子データのダウンロードの求めに応じ、電子データをプリントアウトした書面の提示などに応じることができる

参考:パンフレット(過去の主な改正を含む)|国税庁、電子帳簿保存法の内容が改正されました

請求書をPDF化した際の保存期間

請求書の保存期間は、電子データでも紙の場合と同じです。電子帳簿保存法でも請求書の保管期間自体は、従来と変わりません。

①法人における請求書の保管期間

7年です。ただしまた2018年4月1日以降に開始の事業年度で、欠損金の生じた年度は10年間保管することになります。

②個人事業主における請求書の保管期間

5年です。ただし消費税の課税事業者は7年間保管します。

請求書をPDF化するメリットは?

最近、請求書をPDF化する企業が増えているのは明らかなメリットがあるからです。では、どのようなメリットがあるのでしょうか。

保存がしやすい

PDF化すれば、パソコンやサーバーなどにデータを保存できるため、請求書を保存するための物理的スペースを確保する必要はありません。

また、PDF化した請求書なら、ファイル名で検索して必要なデータを速やかに確認しやすいなど管理も簡単です。

コスト削減につながる

PDF化した請求書の場合、用紙代・インク代などの印刷コスト、封筒代・郵送代などの配送コストを削減できます。

また、これまで請求書発送業務で生じていた工数がなくなり、人的コストの削減にもつながります。

請求書をPDF化する際の注意点は?

請求書をPDF化するにあたって、どのような注意点があるのでしょうか。ここでは3点をご紹介します。

発行相手からPDFで発行することへの合意を得る

長年の慣行を急に変えることで、業務的に負荷がかかる場合もあります。取引先には事前に告知し、これまでの紙の請求書からPDFで請求書を送付することに関して、了解を得ておくことが大切です。

現状では、請求書を紙で保存・管理しているところも少なくないと思われます。こうした場合は、一方的に変えることはできないため、従来通り、紙での請求書発行となります。PDF化対応が可能な取引先かどうかを事前に整理しておくことが重要です。

電子印鑑が必要か取引先に確認する

紙の請求書の場合、発行する会社が承認した正式な書類である証明として、一般的に請求書には印鑑を押印します。しかし、PDF化した電子データに押印する電子印鑑は法的な効力を持つわけではなく、押印は義務付けられていません。(紙での発行においても条文上押印は求められません)。

とはいえ、会社によっては社内規定に準じて押印を求めるケースもあるため、取引先に事前に確認したほうがよいでしょう。さらに、社内でも社印などの取扱規定と整合するかを検討すべきでしょう。

電子帳簿保存法に則った形で作成する

前述の通り、PDF化した請求書の電子データの発行は電子取引に該当し、電子帳簿保存法を遵守して作成する必要があります。相手先のことを考えれば、請求書送付の前にタイムスタンプを付して送りましょう。また、作成においては、可視性の確保の要件における検索機能の確保に注意しましょう。

請求書をPDFとして発行する方法

実際に請求書をPDF化して発行するには、いくつかの方法があります。また、ファイル名の付け方についても配慮することが大切です。

紙の請求書をPDFにする場合

取引先から紙で受領した請求書をPDF化するには、スキャナを使用します。スキャナとは、紙の書類を電磁的記録に変換する入力装置のことですが、スキャナ専用機や複合機だけでなく、国税庁ではスマートフォンやデジタルカメラなどの使用も認めています。

ただし、スキャナ保存を行うシステムには一定の要件が求められています。

Excelなどで作成した請求書をPDFにする場合

ExcelやWordなどを利用した場合にはデフォルトでPDFに変換する機能があります。変換方法は、まずExcelで請求書を作成し、左上にある「ファイル」をクリックし「名前を付けて保存」を選択します。次に保存場所を選び、「ファイルの種類:Excelブック」をクリックしてプルダウンから「PDF」を選択すれば、PDF化することができます。

なお、当記事ではデータ化する際のデータフォーマット形式を「PDF」としています。PDFはデータ保存形式として一般的ではあるものの、電子帳簿保存にあたっては特にデータフォーマットにはこだわりません。BMPやTIFF、JPPGなどデータフォーマットはいくつかあります。

下記国税庁のサイトでも「PDF等」としており、他のデータフォーマットによる運用もありうることがわかります。

参考:電子帳簿保存法一問一答(Q&A)~令和4年1月1日以後に保存等を開始する方~|国税庁電子帳簿保存法一問一答【電子取引関係】

請求書をPDF化した際のファイル名の付け方

検索機能の確保という点からもファイル名は検索しやすくしておく必要があります。具体的には「取引年月日」「取引金額」「取引先名(自社名)」を含んだファイル名で統一することをおすすめします。

こうすることによって、税務署から提出を求められた際にも、すぐにダウンロードして提示することができます。

請求書の発行は電子帳簿保存法対応ソフトが安心

ここまで、請求書を電磁的記録で発行・送付する方法について解説してきました。「請求書を送る際はPDFなどに変換する」「メールで送信する」といったポイントがありますが、「全ての経理社員に同じレベルで対応させるのが難しい」「経理社員が忙しすぎて請求書作成までなかなか手が回らない」という企業もあるのではないでしょうか。

もし、請求書発行をもっと簡単に、より正確に、より安全に行いたいというのであれば、「マネーフォワード クラウド請求書」のようなクラウド型の電子帳簿保存法対応ソフトを利用すると安心です。

よくある質問

電子帳簿保存法とは?

業務に必要な書類を電子データ(電磁的記録)で保存する方法について定めた法律です。詳しくはこちらをご覧ください。

請求書をPDF発行する場合の注意点は?

請求書をPDF化するにあたり、発行相手からPDFで発行することへの合意を得る、電子印鑑が必要かなどを取引先に確認するなどがあります。詳しくはこちらをご覧ください。


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