- 更新日 : 2024年10月18日
見積書が複数枚にわたる場合の書き方を解説
見積書は、案件の内容によってはときに2枚以上にわたることもあります。複数枚になったときにどう作成すればよいのか、何か追記が必要なことがないのかが気になってしまう人もいるでしょう。
そこで本記事では、取引先に送付する見積書が複数枚にわたる理由や書き方、注意点について解説していきます。
目次
見積書が複数枚にわたるケースはある?
見積書をよく作成する仕事に携わっていても「複数枚にわたる見積書を見たことがない」という人は多いかもしれません。見積書は基本的にシンプルで、1枚にまとまることの多いためです。
経験がある人なら「何枚も何を書くのだろうか」と感じるでしょう。ここでは、まず見積書の役割を振り返り、必須の項目から複数にわたる理由を解説します。
見積書の主な役割
見積書とは、ビジネスにおいて注文を受けたときに発行する証憑の1つです。通常、正式な受注の前に発行し、先方が注文するかどうか、また金額や明細、条件など取引の詳細を検討するための資料として利用されます。
注文を検討している側は、見積書を複数の企業から取り寄せ、比較検討するのが通例です。注文を受けようとする側は、見積書の発行を経て受注できるかどうかが決まります。それだけに内容はミスのないよう正確に、わかりやすく記載することが大切です。
しかし一方で見積書には、一般に法的効力はないと考えられています。発行が義務付けられているわけではなく、法的な拘束力もありません。社会の中で培われた、取引をスムーズに進めるための習慣の1つといえます。
見積書に記載すべき項目
見積書に記載する項目は、取引内容によって名称などに違いはあるものの、おおむね次のようなものです。
- タイトル:「見積書」などの書類の目的を示すもの
- 発行元の情報:発行元の名称や住所、電話番号、メールアドレスなど
- 発行先の情報:見積書を受け取る取引先の名称や住所、電話番号、メールアドレスなど
- 見積書番号:見積書を適切に管理するための通し番号で、通常は発行元が設定
- 見積日:見積書を作成した日付
- 見積書の有効期限:見積書にある取引の受け入れ可能な期限で、過ぎると見積書は無効
- 見積金額:合計だけでなく小計や割引、税金など必要に応じて別掲する
- 見積金額の内訳:取引する商品・サービスの名称や数量、単価、仕様、品番などの情報
- 納期:見積書の取引の納期予定日
- 支払条件:現金や振込などの支払方法や、振込先金融機関の口座番号、支払期限、一括か分割かといった条件
- その他の条件や注意事項:キャンセルポリシーまたは返品・返金に関するポリシー、品質保証など取引に関する注意事項
見積書が2枚に分かれる理由
見積書は1枚に収まることが多いかもしれませんが、次のようなケースでは2枚以上に分かれる可能性があります。
- 明細書に記載する商品・サービスの種類が多い
- 納期や納品場所、支払期限ごとに明細を分けて記載する
- 複数の取引を比較するため、商品やサービスごとに見積書を発行する など
このうち2と3のケースは、見積書そのものが複数と考えることもできます。一方、1のケースは1件の見積書に対して明細が多く、一覧しづらい状態です。もし工夫するなら、先方が重視するポイントを押さえる必要があります。
たとえばプリンタの見積書であれば、多種のプリンタ本体すべての合計額、設置費用の合計額、予備の消耗品代の合計額、送料の合計額に分けると、先方は他社の見積もりと比較しやすく便利です。しかしそうすると、明細はすぐにいっぱいになり、複数枚に分けざるを得なくなってしまうでしょう。
そこで、見積書が2枚以上にわたる場合の書き方を詳しく見ていきましょう。
見積書が2枚以上にわたる場合の書き方
見積書が2枚以上、複数枚にわたる場合、見積書が1枚で収まるときとはやや事情が変わります。1枚の見積書と同じように作成すると、たとえば全部で何枚あるのか、合計金額はどこに書いてあるのかなどが、すぐにはわからない書き方になる可能性があります。
見積書が複数枚にわたる場合、書き方も変える必要があるのでしょうか。ここでは、このような場合の書き方の注意点を解説します。
記載事項は1枚のときと大きく変わらない
見積書は、書き方が法律で決まっているわけではありません。原則として記載すべき項目が記載されていれば見積書の目的は達成できます。その意味では、複数枚にわたる見積書も1枚の見積書と記載事項が大きく変わることはありません。
変わることがあるとすれば、それは先方への配慮が必要なことでしょう。複数枚で1組の書類は「すべてそろっているか」が重要です。そのため合計で何枚かわかりやすいように工夫しておくと、確認後取引先は「すべてそろっている」ことを確認できます。
合計金額の書き方はさまざま
見積書の記載には明確なルールがありません。そのため合計金額の書き方もさまざまで、1枚目に大きく記載することもあれば、明細の最後にフォントや色を変えて記載することもあるでしょう。
単純に複数のページに合計金額を記載してしまうと、金額がそのページの小計なのか、そのページまでの累計なのか、見積もりの合計額なのかはわかりづらくなり、混乱します。見積書は、相手にとってわかりやすく見やすいことが大切です。
合計金額もさまざまな書き方が認められているからこそ、先方にわかりやすいような配慮が求められます。
明細1枚ごとに小計を設けるとわかりやすい
明細だけで複数枚にわたる場合は、合計金額欄とは別に、明細1枚ごとに小計を設けるとわかりやすくなります。すべてのページの同じ位置に小計があれば、見落としを防ぐことにもつながるでしょう。
小計欄には、内税・外税という消費税区分の表示も必要です。また消費税区分は、見積書全体を通して統一しておくことが求められます。1枚目の合計欄にはあるが、2枚目以降の小計欄にないと、先方は混乱したり追加して再発行を求めたりしてしまいます。
見積書が2枚以上にわたる場合の注意点
見積書はビジネスでも重要な証憑であるため、2枚以上の複数枚にわたるときは取引先にわかりやすく、1案件の見積書が複数枚にわたっていることを正確に表示する必要があります。これはルールというより、ビジネス上のマナーまたは配慮といってよいでしょう。
ここでは見積書が2枚以上にわたる場合に注意したいポイントを解説します。
備考欄に見積書が複数枚ある旨を記載する
見積書には通常、その他の補足事項を記入するための備考欄を設けます。見積書が2枚以上にわたる場合、備考欄の一部を使ってページ数を記入しておくと、相手も書類の全体が把握しやすくなるのでおすすめです。
たとえば全部で4ページに渡った見積書の場合を考えてみましょう。備考欄はすべてのページにあるため、ページごとに1枚目には「1/4(「4ページのうちの1枚目」という意味)」、2ページ目には「2/4」とページ数を振っておけば、もし紛失したとしても何ページ目がないかがすぐわかります。
ただしこのときのページ数は、記載されている補足事項と間違えないような配慮が必要です。できるだけ間を空け、別内容であることがわかりやすくなるよう努めましょう。
メールや送付状などで見積書の枚数を伝える
見積書のような証憑書類を郵送するときは通常「送付状」を添付します。送付状とは、書類の発送元や宛先、同封されている書類の内容が記載されている添え状です。メールにファイルとして見積書を添付する場合、添え状の役割はメール本文が果たします。どちらも見積書そのものを見る前に目にするため、事前に枚数を伝えるという役割は同じといえるでしょう。
見積書が1枚ではないとき、送付状またはメール本文に「見積書が◯枚である」と明記しておくと、見積書そのものを見る前に先方は枚数がわかるだけでなく、その場で枚数を確認し間違いなくあるかどうかが判断できます。
備考欄への記入だけでは、先方が見落とす可能性もあるため、送付状への記載も併用するのがおすすめです。
ページごとにわかりやすいよう2枚目以降に枝番を振る
見積書には管理用に、通し番号を振るのが一般的です。形式はさまざまですが、ただ1から順番に、または区分しやすいよう「第2営業-0001」(「第二営業部が発行した0001番の見積書」という意味)という形式に、時期ごとに分けるなら「202306-001」(「2023年6月度の001番の見積書」という意味)などあるため、適切な方法を採用する必要があります。
複数枚の場合は、枝番を振るのがおすすめです。たとえば先の例の「第2営業-0001」の場合、1枚目が「第2営業-0001-1」、2枚目が「第2営業-0001-2」となり、最後の数字が枝番となります。ページ数と連動させておくと、先方からの問い合わせにも素早く対応できるため便利です。
複数枚の見積書の送付では取引先への配慮が重要
見積書は1枚だけの書類となる場合も多い証憑ですが、先方からの要望や、明細の数などの事情から複数枚にわたることも少なくありません。しかし書類は枚数が多いほど、枚数に間違いがないか十分な注意が必要です。
これは送付する取引先にとっても重要で、十分な配慮が求められます。記載する項目は見積書1枚の場合と大きく変わることはありませんが、ページ数や書類の順番を明記し、相手にわかりやすくすることが大切です。送付状や明細の備考欄などを併用するなどして先方の見落としを防ぎ、よりスムーズに取引できるよう努めましょう。
※ 掲載している情報は記事更新時点のものです。
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