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  • 更新日 : 2021年10月4日

飲食店経営者が押さえるべきインボイス制度とは?レシートの扱い方も解説

飲食店経営者が押さえるべきインボイス制度とは?レシートの扱い方も解説

インボイス制度の導入に際し、多くの飲食店経営者がその対応を迫られることになりました。飲食店は軽減税率と標準税率の2つの税率が入り交じりやすい業務であるため、インボイス制度における消費税の扱いや、レシートの発行方法について事前に知っておく必要があります。

当記事ではインボイス制度と飲食店の関係、飲食店のレシートの扱い方などを解説します。

飲食店経営者が理解しておきたいインボイス制度とは

インボイス制度は、2023年10月1日よりスタートした「消費税の仕入税額控除」の仕組みです。飲食店経営ならびに軽減税率と大きく関係する制度であるため、事前に内容を確認しておきましょう。インボイス制度の概要と軽減税率との関係を解説します。

インボイス制度の概要

インボイス制度(適格請求書等保存方式)は、これまでの「請求書等保存方式」に代わる消費税の仕入税額控除方式です。

これまでは条件を満たした請求書や領収書があれば「売上に係る消費税額」から「仕入れ等に係る消費税額」を差し引けました。しかし、インボイス制度の適用後は、インボイスを発行できる事業者から交付されるインボイスが必要とされています。

事業者がインボイスを発行するには、所轄の税務署にて「インボイス発行事業者(適格請求書発行事業者)」として登録する必要があります。登録できるのは「課税事業者」かつ「適格請求書発行事業者の登録申請書を所轄の税務署に提出した事業者」のみです。

課税事業者の定義、およびに課税事業者でない免税事業者の定義は以下のとおりです。

  • 課税事業者:買手から預かった消費税額を税務署へ申告し納付を行う事業者
  • 免税事業者:買手から預かった消費税額の申告と納付の義務が免除された事業者

課税事業者に該当するのは、基準期間または特定期間の間で「課税売上1,000万円超」となった事業者です。基準期間と特定期間の基準を、個人事業主と法人に分けてみていきましょう。

  • 個人事業主の基準期間:前々年の1月1日~12月31日
  • 個人事業主の特定期間:前年の1月1日~6月30日
  • 法人の基準期間:前々年の事業年度
  • 法人の特定期間:前年の事業年度開始以後の6ヶ月間

もし、免税事業者であっても「消費税課税事業者選択届出書」を提出して登録手続きを行った場合は、インボイス発行事業者として認められます。

インボイス制度についての詳しい内容は、以下の記事にて解説しています。

軽減税率とインボイス制度の関係性

もともとインボイス制度は、消費税を軽減税率と標準税率に分けた複数税率に対応するために作られた制度です。そのため、軽減税率とインボイス制度の関係性は非常に深いといえるでしょう。

まず、2019年10月に軽減税率制度が導入され、対象となった品目に限り消費税8%が適用されました。その時点ではインボイス制度に先駆けて「区分記載請求書等保存方式」がスタートしています。その後の2023年10月にインボイス制度が導入という流れです。

軽減税率の対象となるのは、「酒類・外食を除く飲食料品」と「週2回以上発行される新聞(定期購読契約にもとづくもの)」の2種類です。具体的な品目をみていきます。

  • テイクアウトや宅配の飲食料品
  • 有料老人ホーム等で行う飲食料品の提供
  • 飲食料品全般(外食は除く)
  • おもちゃ付きのお菓子といった一体商品の一部および税抜価格が1万円以下・食品の価格の占める割合が3分の2以上のもの

など

インボイスして認められる条件として「税率ごとに区分して合計した対価の額および適用税率」と「税率ごとに区分した消費税額等」の記載があります。つまり、軽減税率の対象となる品目を扱う事業者は、軽減税率8%と標準税率10%の区分を明確にしたインボイスを発行しなければなりません。

例えば、店内提供とテイクアウトの2択がある飲食店の場合は、軽減税率8%と標準税率10%を明確に分ける仕組みが必要です。

インボイス制度と飲食店の関わり

飲食店の業務は軽減税率と標準税率の両方を扱うことが多いため、インボイス制度への対応が強く求められる点が特徴です。また、飲食店が免税事業者に当てはまるか、課税事業者に当てはまるかによっても、インボイス制度への対応が違ってきます。

免税事業者と課税事業者の2つの立場から、インボイス制度と飲食店の関わりを解説します。

免税事業者の場合

免税事業者とは、商品やサービスの買手から預かっている消費税について、その申告や納付を免除されている事業者のことです。課税事業者は商品やサービスを販売して得た消費税を税務署に申告して納付する必要がありますが、免税事業者は預かった消費税を益税として自分の利益にできます。

免税事業者の場合

しかし、インボイス制度が適用された場合は、商品や原材料の仕入先との取引が減ったり打ち切りになったりする免税事業者が増えるかもしれません。

例えば、取引先が課税事業者だった場合を考えてみましょう。取引先から見ると免税事業者との取引ではインボイスの交付が受けられないため、仕入税額控除を行えません。つまり「課税仕入が控除できないから、インボイスを発行できるほかの取引先を探そう」と判断されるリスクがあるのです。

とはいえ、飲食店が免税事業者だった場合は、インボイス制度の影響がほかの業種と比べて少ないでしょう。飲食店の売上は、インボイスの交付を必要としない消費者相手から消費税を預かるケースが多いからです。

しかし、影響がゼロではありません。もし消費者の中で会社の接待に店舗を利用している方がいる場合は、接待交際費を計上するために領収書やレシートをインボイスとして利用します。「この飲食店はインボイスもらえないから、今後はほかの店を接待に使おう」となる可能性があります。

以上の点から、将来的には課税事業者になることも視野に入れた経営も考えておきましょう。免税事業者が課税事業者になるには、前述のとおり「消費税課税事業者選択届出書」を提出し登録を受けてください。

課税事業者の場合

課税事業者とは、買手から預かった消費税を税務署に申告し、納める義務を負った事業者です。もともと課税事業者だった飲食店の場合は「適格請求書発行事業者の登録申請書」を所轄の税務署へ提出すればインボイスを発行できます。

課税事業者の場合

インボイス制度が適用された後に自社が免税事業者と取引する場合は、インボイスの交付がない取引先からの仕入分だけ消費税の負担増となります。もし取引先が免税事業者だった場合は、長年の信頼から取引を続けるのか、取引を見直すのかといった選択が必要です。

また、免税事業者から課税事業者になった場合の注意点として、これまで免除されていた消費税申告と納付の義務が発生することが挙げられます。益税として受け取れた消費税分の利益減少についての考慮も必要になるでしょう。

インボイス制度におけるレシート

飲食店が発行するレシートは、必要な事項を記載して発行することで簡易インボイス(適格簡易請求書)の扱いになります。簡易インボイスとは「不特定多数に対して営業を行う一定の業種」が発行できる、インボイスの内容を簡略化したものです。飲食店はその業種に当てはまります。

以下で、さらに詳細をみていきましょう。

軽減税率対応のレシートとは

軽減税率対応のレシートとは、軽減税率8%・標準税率10%それぞれの商品・サービスが明確に区分されたレシートのことです。レシートがインボイスならびに簡易インボイスとして認められる条件として、適用税率や適用税率ごとの消費税額などの記載が必要になります。

レシートを簡易インボイスとして発行する具体的な記載内容は以下のとおりです。

  1. インボイス発行事業者の氏名または名称および登録番号(T+13桁の法人番号または13桁の数字)
  2. 取引年月日
  3. 取引内容
  4. 税率ごとに区分して合計した対価の額
  5. 「税率ごとに区分した適用税率」もしくは「税率ごとに区分した消費税額等」のどちらか

上記はあくまで簡易インボイスの記載事項になります。通常のインボイスの場合は「書類の交付を受ける事業者の氏名または名称」と「区分した適用税率と消費税額」の両方の記載が必要です。

以下ではレシートを用いた簡易インボイスの記載例を紹介します。

適格簡易請求書の記載例(適用税率のみを記載する場合)

【参考】厚生労働省|適格請求書の記載事項

なお、インボイスの記載条件さえ満たせば、レシートも簡易インボイスではなくインボイスとして発行可能です。しかし、インボイスの条件には「書類の交付を受ける事業者の氏名または名称」が含まれているため、大人数の消費者を相手にする飲食店が1人ひとりに発行するのは現実的ではありません。

飲食店が簡易インボイスを発行できる業務と認められているにもかかわらず、わざわざインボイスとして発行するメリットは少ないと考えられます。

レシートと領収書の違い

飲食店ではレシートのほかにも手書きの領収書を渡すことがあります。この手書きの領収書も記載事項さえ満たせば、簡易インボイスとして扱うことが可能です。

しかし、手書きの領収書の場合、レジを利用して機械的に発行したレシートと比べると以下のリスクが存在します。

  • 数値や氏名を書き間違える可能性がある
  • 不正や改ざんが疑われる
  • 消費者との取引数が多いほど手書きでの対応が難しくなる

など

特別な会計を除き、基本的にはレシートを簡易インボイスとして発行することをおすすめします。

飲食店がインボイス制度に対応するために必要な準備

飲食店がインボイス制度に対応するために必要な準備は、次のとおりです。

  • 複数税率(軽減税率)対応のレジを導入する
  • 複数税率(軽減税率)対応の経理システムや会計ソフトを準備する
  • 小規模事業者持続化補助金といった補助金制度が利用できないか検討する
  • インボイス対応のレシート・領収書の書式を決める
  • インボイスや消費税の基本的な事項を理解する
  • 課税事業者と免税事業者のどちらで営業を続けるか考える

など

勉強時間や経費が必要となりますが、上記の内容についてはコストをかけてでも一度検討しておくことをおすすめします。

インボイス制度導入に向けて理解を深めよう

店内提供とテイクアウトの両方の選択肢が取れる飲食店の場合、インボイス制度は経営に大きな影響を与えます。インボイス制度導入に向けて理解しておくべき点は以下のとおりです。

  • インボイス制度の概要を頭に入れておく
  • 課税事業者としてインボイス発行事業者になるための方法を確認しておく
  • 課税事業者・免税事業者それぞれの対応の違いを知っておく
  • レシートで簡易インボイスを発行できるように準備にしておく

インボイス制度に関しては必ず対応が必要になるため、時間をかけてでも対応策を準備しておきましょう。

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よくある質問

インボイス制度とは?

これまでの「請求書等保存方式」に代わる消費税の仕入税額控除方式です。詳しくはこちらをご覧ください。

インボイス制度と飲食店の関わりは?

飲食店が免税事業者に当てはまるか、課税事業者に当てはまるかによってインボイス制度への対応が違ってきます。詳しくはこちらをご覧ください。

インボイス制度におけるレシートの取り扱いは?

飲食店が発行するレシートは、必要な事項を記載して発行することで簡易インボイス(適格簡易請求書)の扱いになります。詳しくはこちらをご覧ください。


※ 掲載している情報は記事更新時点のものです。

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