- 更新日 : 2025年1月31日
請求書の保存期間はいつまで?
仕事で扱う請求書の保存期間・保存方法をご存知ですか?請求業務を経理・請求専門の担当外の方が担当している企業は少なくありません。そのような方にまず知ってほしい請求書の基本的な保存期間と保存方法についてお伝えします。
目次
受領した請求書の保存期間
まず、受領した請求書の保存期間について解説します。
法人の請求書の保存期間は「7年~10年」
法人の請求書の保存期間は7年間と定められています。7年間の間は帳簿とともに保存しておかなければいけません。7年間とは、請求書が発行された日を起算日にするということではなく、その事業年度の確定申告の提出期限の翌日から7年間という数え方をします。確定申告の提出期限は、事業年度の終了日から2か月以内です。
法人の請求書の保存期間の数え方
<例>8月が決算の場合
確定申告の期限日:10月31日
請求書の発行期間:2014年9月1日~2015年10月31日
請求書の保存期間:2021年10月31日まで
ただし、2015~16年度の法改正に伴い、「2018年4月1日以後に開始する欠損金が発生する事業年度に発行された請求書」は保存期間が10年に延長されました。
個人事業主の請求書の保存期間は「5年~7年」
個人事業主は法人と異なり、請求書の保存期間は5年間と定められています。請求書を保存する際は、起算日に注意しましょう。個人事業主の場合も法人と同様、請求書が発行された事業年度の確定申告の期限日の翌日から5年間となります。
個人事業主の請求書の保存期間の数え方
<例>
確定申告の期限日:3月15日
請求書の発行期間:2014年1月1日~2014年12月31日
請求書の保存期間:2019年3月15日まで
また、前々年度の課税売上高が1,000万円以上になると「課税事業者」という扱いになり、請求書の保存期間は法人同様7年間となります。
発行した請求書の保存期間
発行した請求書の控えも法人税法施行規則第59条などに基づき保管義務があります。ただし、請求書の控えを作成する義務はないため、控えを作成しなければ保管義務もありません。
2023年10月1日からのインボイス制度では、消費税の仕入税額控除を受ける「適格請求書発行事業者」には、インボイス(適格請求書)の控えを作成し保管する義務があります。
2023年からのインボイス制度(適格請求書等保存方式)では保存期間は「7年」
インボイス制度は、2023年の10月1日以降に導入される新しい制度のことで「適格請求書等保存方式」とも呼ばれます。インボイス制度では、適格請求書とその控えの保存が義務化されます。また、請求書を発行した側、受け取った側のどちらも7年間保存しなければなりません。複数税率の記入や事業者登録番号などの記入も必要になります。
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請求書の保存方法
主な請求書の保存方法としては、次の2つが挙げられます。
紙
紙で発行された請求書は、紙のまま保存することが原則ですが、保存条件を満たす場合はスキャナで読み取り、CDやDVDとして保存することも可能です。
紙の書類は紛失しやすく、探しにくい点に注意が必要です。取引時期や取引先ごとにファイルを作成し、整理した状態で保管しておくようにしましょう。また、これまでは電子データで作成された書類もプリントアウトして紙で保存することができましたが、電子帳簿保存法の改正により、電子データで作成された電子取引の取引情報は電子保存が必須となりました。
電子データ
電子データで受け取った請求書だけでなく、紙の請求書もスキャナを使用することで電子データで保存することが可能です。電子データで保存すると請求書を簡単に検索できるだけでなく、物理的な保管場所を必要としないため、整理しやすくなります。
なお、電子データで請求書などの書類を保存する場合は、3ヶ月前までに所轄の税務署長の承認を得ることが必要でした。しかし、電子帳簿保存法が改正されたことで、承認を得ずに書類保存をできるようになっています。
請求書以外の保存義務のある経理関連書類
請求書以外にも、保存義務のある経理関連の書類は多数存在します。保存義務の期間別に、どのような書類に保存義務があるのか解説します。
5年以下の保存期間
労働基準法や雇用保険法などに関わる書類は、5年以下の保存期間が義務付けられている傾向にあります。
保存期間 | 書類の種類 |
---|---|
2年 | 健康保険・厚生年金保険・雇用保険に関する書類(被保険者に関する書類以外)など |
3年 | 労災保険に関する書類、解雇や雇用、賃金などの労働関係の書類(2020年4月以降は保存期間は5年に改正。経過措置として3年でも可能)など |
4年 | 雇用保険の被保険者に関する書類など |
5年 | 白色申告事業者が受け取った領収書や請求書、納品書など、前々年度の所得が300万円以下の青色申告事業者が受け取った領収書や請求書、納品書など、健康診断の個人票など |
7年の保存期間
保存期間が7年と定められている書類は多くあります。一例を紹介します。
- 法人が受け取った領収書や納品書など
- 前々年度の所得が300万円を超える青色申告事業者が受け取った領収書や納品書など
- 決算関連の目的で作成された書類
- 売掛帳、買掛帳、経費帳、固定資産台帳などの帳簿類
- 源泉徴収簿など
10年の保存期間
保存期間が10年の書類もあります。重要書類が多いので、適切に保管しましょう。
永久保存
法令で保存期間が定められていない書類の中には、重要度が高く、保管しないことで不都合が生じるものもあります。永久保存が望ましいとされている書類としては以下のものが挙げられます。
請求書の保存期間には充分ご注意を
この記事では、請求書の保存期間についてまとめました。税務調査の際に、保存されているべき書類がないと青色申告の取り消しや税金の再計算などが起こる可能性があるので、期間を確認し、決められた期間は請求書の紛失がおこらないようにしましょう。
よくある質問
法人における請求書の保存期間は?
請求書を含む証憑書類の保存期間は7年間です。詳しくはこちらをご覧ください。
個人事業主における請求書の保存期間は?
青色申告、白色申告にかかわらず5年間です。詳しくはこちらをご覧ください。
請求書の保存方法は?
紙、スキャナー保存、マイクロフィルム、電磁気(電子データ)で保存する方法があります。詳しくはこちらをご覧ください。
※ 掲載している情報は記事更新時点のものです。
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