- 更新日 : 2023年4月14日
請求書の意味や役割は?見積書や領収書との違いも解説

ビジネスでは日常的に請求書のやり取りが生じます。しかし普段、当たり前のように扱っていることから、法律的な観点から役割や意味を考えたことがない人もいるのではないでしょうか。
この記事では、請求書の意味や役割などの基礎知識のほか、見積書や領収書などとの違いについても解説していきます。
請求書の意味や役割は?
請求書とは、品物またはその代金などを請求するための文書です。
ビジネスにおいては、取引先に提供した商品またはサービスに対する代金を文書で確定し、回収するために発行します。
ビジネスの現場では代金の未払いなどのトラブルが発生することもあります。取引関係が生じていることや、商品やサービスの提供が実行されていることを証明し、訴訟などに備えることが大切です。請求書は、その証明書としての役割もあります。
請求書は、代金の回収という実務上の役割の他にも、契約上のリスクヘッジの観点でもビジネスにおいて不可欠な文書と言えるでしょう。
請求書の発行は義務?
重要な役割を担っていながら、実は請求書の発行は法律で義務付けられているわけではありません。
しかし、法律上の観点から知っておくべきポイントが2つあります。
まず、消滅時効との関係で請求書には有効期限があることです。民法166条1項1号では、代金支払請求権などの債権は原則として支払期日の翌日から5年で消滅時効にかかるとしています。
これに伴い、請求書の法律上の有効期限も5年ということになり、この間は請求書を保管しておく必要があります。
次に、2023年10月から導入される適格請求書等保存方式(インボイス制度)との関係です。
インボイス制度は、売手である「適格請求書発行事業者」が適格請求書(インボイス)に正確な適用税率や消費税額等を記載し、買手である相手方(課税事業者に限ります)に交付することで、買手は売上にかかる消費税の二重課税を解消できる仕入税額控除の適用を受けられるというものです。
インボイス制度について、詳しくは下記の記事で紹介しています。
売手の「適格請求書発行事業者」は、買手である課税事業者から求められた場合は適格請求書(インボイス)の交付義務があります。
参考:民法|e-Gov法令検索
請求書と見積書・納品書・領収書との違い
ビジネスの現場では、請求書以外に「見積書」「納品書」「領収書」などの帳票があります。
それぞれどのような違い、役割があるのでしょうか。いずれも売買など契約に係る帳票であり、一連の手続きの流れの中でやり取りされるものです。売買などの契約に係る一連の流れをまとめると、下記の図のようになります。
見積書は、発注者が契約するかどうかを決めるための判断基準として受注者に見積依頼し、それに対して代金の概算額などを提示し、発注の意思表示を促す帳票です。
発注者は、見積書の内容で納得すれば、発注します。契約では発注書の発行は契約の申込みに当たります。
物品の売買の場合であれば、物品を引渡した時点で申込みを承諾したことになり、契約が成立します。受注者は契約内容を履行したことの確認として納品書を発行します。
発注者は、物品を確かに受け取った事実を証明するために受領書を発行し、それを受けて受注者は物品の代金の支払いを求めるために請求書を発行します。
発注者は代金を支払い、受注者は代金を受領したことの証明として領収書を発行するという流れになります。
それぞれの帳票の役割をまとめると、下記のようになります。
帳票 | 役割 |
---|---|
請求書 | 代金回収の促進、契約上のリスクヘッジ |
見積書 | 代金の概算額の提示、発注の意思表示の促進 |
納品書 | 契約内容を履行したことの確認 |
領収書 | 代金を受領したことの証明 |
請求書には何を記載すべき?
請求書の発行は法律で義務付けられていないため、記載事項も任意ということになります。
しかし、請求書が契約上のリスクヘッジという役割を担うことから、最低限、次の5つの項目については必要事項として記載すべきです。
- 請求者の名前
- 取引年月日
- 取引内容
- 取引金額
- 請求書の交付を受ける事業者名
また、上記の5項目に加え、ビジネスマナーとしては以下の5つの項目も請求書には入れておくとよいでしょう。
- 請求書のタイトル
- 請求書番号
- 振込の期限
- 振込先の口座
- 振込手数料の負担者
請求書の詳しい記載事項については、下記の記事をご覧ください。
請求書の意味や役割を知っておこう!
請求書の意味や役割などの基礎知識のほか、見積書や領収書などとの違いについて解説してきました。
あらためて売買など取引の流れの中で請求書の位置づけを確認しておきましょう。
よくある質問
請求書の意味は?
品物またはその代金などを請求するための文書です。詳しくはこちらをご覧ください。
請求書と見積書の違いは?
請求書は代金回収の促進などのためのものですが、見積書は代金の概算額を提示して発注の意思表示を促す役割を担います。詳しくはこちらをご覧ください。
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