- 更新日 : 2024年10月17日
後納の郵便料金はいくら?別納との違いも解説
後納郵便とは、郵便で利用した1ヶ月分の料金を翌月にまとめて支払えるサービスです。切手を貼らずに差し出せるため、発送業務を効率化できます。
郵便料金は2024年10月から値上げされますが、後納郵便も対象なのでしょうか?本記事では、後納郵便の概要を解説するとともに後納郵便の料金計算・支払方法や値上げ情報についてまとめています。会計担当者は、ぜひご一読ください。
目次
後納郵便とは?
後納郵便とは、郵便で利用した1ヶ月分の料金を翌月にまとめて支払えるサービスです。郵便物を出す際は、はがきや封書へ切手を貼り付ける必要がありますが、料金後納郵便の場合は切手の代わりに「料金後納郵便」という専用のラベルを表示することで、切手を貼り付けることなく郵送ができます。
切手を貼る手間が省けるため、大量に発送する企業などの場合は、発送業務を効率化できる点がメリットです。
ただし、利用には毎月まとまった枚数の郵便を出すことが条件とされます。ここでは、後納郵便の利用条件や利用シーンについて解説します。
後納郵便の利用条件
後納郵便を利用できる条件は、次のとおりです。
- 郵便物・荷物を毎月50通(個)以上出す
- 事前に管轄郵便局に問い合わせのうえ、料金後納の承認を受けておく
- そのほか、1ヶ月間に差し出す郵便物・荷物の料金等の概算額の2倍以上に相当する額の担保の提供を求められることもある
後納郵便を利用するためには、毎月一定以上の郵便物・荷物を出す必要があります。また、事前に管轄郵便局の承認も受けなければなりません。
承認手続きでは、「料金後納承認請求書」「後納郵便物等他局差出承認請求書」など複数の書類を管轄郵便局へ申請しますが、承認が下りるまでに日数を要するため、即日利用できない点は理解しておきましょう。
後納郵便の承認に必要な書類は以下のページからダウンロードできます。
そのほか、1ヶ月間に差し出す郵便物・荷物の料金等の概算額の2倍以上に相当する額の担保の提供を求められることもあります。
担保となるのは、次のうちのいずれかです。
- 現金
- 日本郵便が定める有価証券(※)
- 日本郵便が定める保証(※)
後納郵便の利用を検討しているのであれば、上記の利用条件をしっかり把握しておきましょう。
後納郵便の利用シーン
後納郵便は、DMなど毎月定期的に発送する郵便物が向いています。そのため、後納郵便の利用を検討する場合は、定期的に郵便物を発送するか?という観点で考えるとよいでしょう。
そのため、DMなどの郵便物・荷物を、1ヶ月に大量に発送する会社や自治体、さまざまな形態で大量の郵便物・荷物を出す企業などが利用すると、発送業務における事務処理や経理業務を効率化できます。
後納郵便の料金計算・支払方法
後納郵便の料金計算・支払方法について解説します。
料金計算する際には、料金後納取引の利用明細を確認する方法があります。郵便局のビジネス向け法人ポータルサイト「JP Business ToolBox」にログインし、料金後納利用状況確認インターネットサービスから確認可能です。
後納郵便の料金の支払いは、1ヶ月分をまとめて翌月末日(金融機関休業日の場合は前営業日まで)までに指定口座へ振込で支払います。また、事前に料金後納の承認を受けた郵便局の承認を受けておけば、金融機関の預貯金口座から振替で支払うことも可能です。
なお、口座振替の場合は、引落日が翌月20日となるため、注意しましょう。
後納郵便の出し方、手順
後納郵便の出す際は、次の項目を確認したうえで、後納郵便物等差出票・ゆうびんビズカードを添えて料金後納の承認を受けた郵便局が指定する郵便局に差し出しましょう。
- 「料金後納郵便」の表記が郵便物に記載されているか
- 「後納郵便物等差出票」の記入が済んでいるか
後納郵便と別納郵便の違い
後納郵便と似たサービスに、別納郵便というものがあります。別納郵便とは、発送のたびに郵便費用を一括で支払う仕組みのことです。
料金後納と同様、切手を貼る手間はありませんが、料金をその都度(現金か郵便切手で)支払う必要があります。
別納郵便は利用条件が少なく、事前承認も必要ないため、後納郵便よりも気軽に利用可能です。また、ゆうパックや国際小包、EMSの場合は1通でも料金別納が利用できます。
別納郵便を申し込む条件は、次の2つです。
- 差し出す郵便物・荷物はすべて同じ料金であること
- 同時に10個以上差し出すこと
また、以下を確認したうえで、郵便局の窓口に申し入れるだけで利用できます。
- 郵便物に「料金別納郵便」の表記が記載されているか
- 「別納郵便物等差出票」の記入が済んでいるか
なお、ポストへの投函はできません。
別納郵便を利用するメリットとしては、切手を貼る手間を省けること、料金を一括して支払えて便利なこと、郵便物・荷物の差出状況(月日、通数、金額)の記録ができることなどが挙げられます。
後納郵便のメリット
後納郵便を利用するメリットについて紹介します。主なメリットは、次の2点です。
- 発送作業が効率化できる
- 経理作業が効率化できる
発送作業が効率化できる
1つめのメリットが、発送作業を効率化できる点です。
通常、封書を差し出す際は計量をし、それに応じた金額の切手を貼り付ける必要があるため、大量に荷物を送る場合は手間になってしまいます。
その点、後納郵便であれば、「料金後納郵便」のラベルを印字した封筒に入れてポストに投函するだけで発送が完了します。
さらに、送った郵便物の料金は郵便局側で計算し、1ヶ月ごとに合計金額を算出してくれるため、発送作業を大幅に効率化できるでしょう。
また、切手を会社にストックしておく必要もないため、在庫管理の手間も軽減可能です。
経理作業が効率化できる
2つめのメリットが、経理作業を効率化できる点です。後納郵便では、郵便料金を1ヶ月分まとめて支払えるため、経理業務を効率化できます。
また、郵便物・荷物の発送業務は、「通信費」「荷造運賃」という項目で経費を計上する必要もあります。
その点、後納郵便であれば郵便物を差し出すたびに経費申請を行う必要がなく、従業員も個別に領収証などを提出する必要がありません。
後納郵便のデメリット
後納郵便を利用するデメリットについて紹介します。主なデメリットは、次の3点です。
- 事前承認が必要
- 少量の発送には不向き
- 差し出せる郵便局が決まっている
それぞれ詳しく見ていきましょう。
事前承認が必要
後納郵便は、これまで解説してきたように、利用したいと思ってもすぐに利用できるサービスではありません。事前に管轄の郵便局へ書類を提出して申請を行い、承認を得る必要がある点は注意が必要です。
さらに、承認が下りるまでにある程度時間がかかることも理解しておきましょう。
少量の発送には不向き
後納郵便の利用には、毎月50通以上の郵便物・荷物を差し出す必要があります。そのため、少量の発送には不向きな点はデメリットです。
差し出せる郵便局が決まっている
後納郵便は、差し出せる郵便局も決まっています。全国どの郵便局でも差し出しができるわけではなく、集荷業務を行っている郵便局に限られるため、注意が必要です。
後納郵便を利用する際は、事前に管轄郵便局が対応しているのか、確認しておくようにしましょう。
郵便局の公式サイトから取扱郵便局の検索を行うことができます。また料金後納の承認請求の様式集も用意されています。
郵便料金の値上げで後納郵便はいくらに?【2024年10月より】
郵便料金の値上げに伴って、後納郵便の運賃自体には変更はありません。しかし、料金受取人払・着払の手数料が変わるため注意しましょう。
変更前後の料金は、次のとおりです。
料金後納とするもので、かつ、郵便私書箱に配達するもの 1通(個)につき | 15円→19円 |
---|---|
料金後納とするもの 1通(個)につき | 20円→26円 |
なお、料金受取人払とは、ハガキや封筒の郵便代金(送料)を、受取人が負担(支払う)するサービスです。たとえば、大量に配布して、実際に返信してくれた分の「郵便代金(送料)」と「手数料」だけを払えばよいため、郵便コストを削減できます。
一方の着払とは、受取人に運賃・料金と手数料を支払ってもらうものです。
その他の郵便料金については以下の記事をご覧ください。
後納郵便の郵便料金の差額分はどうする?
後納郵便の郵便料金の差額分はどうなるのでしょうか?
料金は後納であるため、変更になるサービスを利用している場合は、郵便局からの請求額が変わります。
請求額を確認し、通常通り支払いを行いましょう。
後納郵便の郵便料金値上げに伴う年間コストは?
後納郵便の郵便料金値上げに伴う年間コストは、料金受取人払・着払を利用している場合は上がることが予想されます。
ここでは、料金後納とするもので、かつ、郵便私書箱に配達するものを例としてコストの変化を見てみましょう。
料金変化:1通(個)につき 15円→19円
仮に、普段アンケートを年間100通送っていて、料金受取人払としていた場合、
返信数:1通~100通
改定前のコスト:15円~1,500円
改訂後のコスト:19円~1,900円 の手数料が発生することになります。
後納郵便の郵便料金の値上げに対する事業者の対策例
後納郵便の値上げに対する事業者の対策例を2つ紹介します。
電子化の検討
現在紙ベースで郵送しているものを電子化してペーパーレス化する方法があります。それにより、紙の使用量を減らすことができ、郵送コストを削減できるでしょう。
<PDFなどで発行しメール送信する方法>
郵送している請求書や納品書などをPDFデータとして発行する方法があります。Excelなどで作った電子データをPDF化してメールで相手へ送信する方法です。
変更に伴うコストがかからない点や、送信してから到着するまでの時間が郵送と比べて短いことはメリットといえます。
<請求書や契約書を電子化する方法>
請求書や契約書を電子化する方法もあります。郵送コストはもちろん、印刷コストも削減可能です。その際は、電子帳簿保存法に対応したシステムを導入することが重要です。そうすれば、法的にも問題なく運用できます。
大量発送・印刷する
大量発送・印刷する方法も費用節約には効果的です。郵便局からDMを発送する場合、送る数が多いほど、割引されるシステムがあります。
お得な割引サービスの一例は次のとおりです。
- バーコード割引:1,000通以上発送で、割引率3%
- 広告郵便割引・利用者区分割引:2,000通以上発送で、割引率3%
ほかにも、さまざまな割引があります。郵便局のHPから探してみましょう。
後納郵便の仕組みを理解しておこう
後納郵便とは、郵便で利用した1ヶ月分の料金を翌月にまとめて支払えるサービスです。切手を貼らずに出せるため、発送業務を効率化できます。ただし、後納郵便の利用には承認作業や差し出す荷物の数など条件がいくつかあるため、事前に確認しておくようにしましょう。
後納郵便は郵便料金の値上げ後、料金受取人払・着払の手数料が変わります。該当するサービスを利用している経理担当者は、あらかじめ仕組みを理解しておきましょう。
※ 掲載している情報は記事更新時点のものです。
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