- 更新日 : 2019年10月15日
医師の請求書の書き方

医師国家試験に合格して免許を与えられ、2年以上の臨床研修を終えると、本格的に医師としての業務につくことができます。
大学病院のように分業体制をとっている医療機関では、医師が自ら診療に対する会計業務に携わることはほとんどないでしょう。しかし、開業して医師が自ら経営の責任者としての立場も兼ねると、そういうわけにはいかなくなります。レセプト(診療報酬明細書)のチェックのように、人任せにできない業務が増えるのも開業医ならではです。
学校医や休日・時間外診療所の当番医を務めるなど、外部の仕事も発生します。外部の仕事では診療報酬とは別の請求が発生することも多くなります。そうした際に、知っておいた方が良いのが請求書の書き方です。
目次
医師の請求書の書き方と他の書類との関連性
医師が行った診療行為への報酬は、保険診療によるものと自由診療によるものの2つに分けられます。
保険診療では、まず診療費の一部を患者から自己負担分として受け取ります。残額は医師から健康保険組合や市町村(保険者)へ診療報酬明細書(レセプト)を提出し、まとめて支払いを受けます。レセプトは保険診療の請求書の役割を果たしていますが、定められた書式があるため、これに従わなければなりません。レセプトは、ここで言う請求書の書き方とは異なりますのでご注意下さい。
自由診療では、診療費の全額が自己負担となります。医師と受診した患者との間で料金のやり取りを行いますので、この場合に請求書が活用されます。人間ドックのような診療以外での受診も、健康保険の適用がないので同様のケースになります。
また、手術や治療などの入院によって一定期間の自己負担分をまとめる場合にも、請求書の発行が有効です。請求書によって未払い分の金額と内容を伝え、支払いを促すことができます。
医師の請求書の書き方と必要な明細
自由診療の請求書では、レセプトコンピューター(レセコン)では入力できない独自の項目について、一般の請求書を使った書き方で対応します。レセコンを使わない請求書を発行することで、混合診療に対する配慮を行っている医療機関であることを示すことができます。
企業の依頼に応じた医療相談などへの対応でも、個別の請求書を用いたほうが効率的です。相談料や委託料といった明細の書き方で診療報酬に含まれない業務をカバーすることができます。
入院費の請求書の書き方では、「出来高払い方式」と「包括評価方式」のどちらかによって算出された金額と明細を記載します。「出来高払い方式」では、診療ごとの料金を積算します。「包括評価方式」では、「出来高払い方式」で分けていた診療ごとの料金を包括し、1日あたりの定額として計算に加えます。どちらの方法でも、手術費、麻酔代、輸血費用、透析やリハビリの費用、給食費などについては別立ての明細として請求書に加えます。
医師の請求書の書き方
実際にマネーフォワード クラウド請求書を使って、ケース別の請求書の書き方をみてみましょう。
企業の依頼で禁煙に関する講演と個別相談を行った医師の請求書の書き方
企業の主催する禁煙講習会でレクチャーし、その後、希望者と個別面談でアドバイスを行なったとしましょう。アドバイスは、診療報酬が認められる医療行為の範囲ではないものとします。
・明細
往診や訪問診療とは異なるため、基本的に支払い側の税務資料としての体裁が整っていることが求められます。具体的には「相談料」や「顧問料」などで、講演を行った日付と場所などを付記しておきます。
入院による自由診療の手術と薬物治療を行った医師の請求書の書き方
一連の入院前の検査と、診断、10日間の投薬治療と療養を行い、入院中は特別療養環境室を利用したものとします。
・明細
「出来高払い方式」を採用し、どのような治療を行ったかを明示することで、自由診療に対する信頼度を高めます。
なお、消費税は健康保険適用のあるものは非課税ですが、それ以外は課税対象となります。
まとめ
レセコンの普及で、開業医でも請求書の書き方にわずらわされることが減ったかもしれません。一方で、医師の業務は社会の多様化に対応した柔軟性が求められ、医療行為にとどまらない対応も増えています。
そうした状況ではなおさら、医師の活動を報酬と結びつける請求書の書き方が重要性を増しています。

マネーフォワード クラウド請求書の導入事例
複雑な料金計算のミスや、月末に関係者が集まって請求書を確認する作業がなくなりました。郵送代行もしてもらえるので、紙を折って、封入して、という手作業がなくなり効率的に。請求業務にかかる時間は1/3に減りました。
株式会社ワーク・ライフバランス
大西 友美子 様 / 堀江 咲智子 様
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