• 作成日 : 2023年2月22日

領収書の「上様」はどのような宛名?経費申請時の注意点も解説

領収書の「上様」はどのような宛名?経費申請時の注意点も解説

領収書を受け取る際には、宛名の欄に「上様」と書かれることがあります。これでは誰宛の領収書なのかがわからないのですが、経費として認められるのでしょうか?そもそもなぜ「上様」なのでしょうか?

今回は領収書の「上様」の有効性や、領収書が経費として認められるためにはどのように宛名を書いてもらうべきかについてご説明します。

領収書に記載する「上様」とは

領収書を発行する際には宛名欄に「上様」と記載することがあります。相手の名前がわからない場合、あるいは相手が個人である場合に、このような記載方法をするという商習慣です。まずはこの「上様」の意味や経費として認められるかどうかについて見ていきましょう。

上様の読み方と意味

「上様」は一般的には「うえさま」と読みます。他にも「かみさま」「じょうさま」と読むこともあるようです。

領収書に「上様」と記載するようになった理由は諸説あります。時代劇でもよく見るように、昔は天皇や将軍を「上様」と読んでいたことから、お客様を敬う意味で「上様」と記載するようになった説と、「上客様」「上得意先様」という意味合いで「上様」と記載するようになった説などがあります。

宛名が上様の場合も経費精算できる?

基本的に領収書は「誰宛のものか」が明確になっていなければならないため、「上様」と書かれているだけでは不十分といえます。仕入れに係る消費税額の控除について定めた消費税法第30条9項でも、領収書が有効である要件として「書類(領収書)の交付を受ける当該事業者の氏名又は名称」と定められています。

ただし、小売業や旅客運送業(鉄道会社や航空会社、タクシー会社など)、旅行関連の会社、飲食業、駐車場業が領収書を発行する場合は、交付を受ける当該事業者の氏名や名称は要件となっていないため、「上様」でも問題ないとされています。

参考:消費税法|e-Gov法令検索

領収書の宛名はどう書いてもらうべき?

例えば、小売店で備品を買った場合や飲食店で打ち合わせや接待を行った場合、出張先でタクシーを利用した場合などは、領収書の宛名が「上様」でも法律上は経費計上できることになっています。

実際にこれらの業種を利用した際に「上様」と書かれた領収書を受け取るケースも多いですが、税務署から経費として認められなかったり会社のルールとして経費精算を受け付けてくれなかったりするケースもあります。最近ではしっかりと宛名を聞いているお店や、「上様」では領収書を発行しないというルールを決めている会社も増えてきているようです。

ここからは領収書の宛名をどう記載してもらうかについてご説明します。

領収書の宛名には会社の正式名称を記載

領収書の宛名は受け取る人の氏名や会社名を正確に記載してもらうことが大切です。会社で経費精算をしてもらう場合は会社名を書いてもらいましょう。略称や通称は避け、「●●株式会社」「有限会社●●」というように正確に記載してもらう必要があります。個人事業主や自営業者の場合は個人の氏名、もしくは屋号名を記載してもらいましょう。

お店のレジで領収書の発行を受ける際に、メモ紙に宛名を書くよう求められることもあります。その場合は、宛名欄に記載してほしい名称を書けば、そのとおりにスタッフが記載してくれます。口頭で「宛名はどのようにいたしましょうか?」と聞かれた場合、間違いを防ぐのであれば名刺などを提示するとスムーズです。

領収書の宛名を訂正してもらう場合

領収書の宛名が間違っていた場合、訂正してもらうか再発行を受ける必要があります。訂正してもらう場合は、間違った宛名の上に二重線を引き、そこに訂正印を押してもらい、その上や下などの空白に正確な名称を記載してもらいます。

ただし、その方法で訂正した場合は領収書が見づらくなってしまううえ、経費として認められない場合もあります。領収書の宛名が間違っていたら、可能な限り領収書を再発行してもらいましょう。後日間違いに気付いた場合は、領収書を発行したお店や事業所に間違った領収書を持参し、再発行してもらう必要があります。

宛名がない領収書でも経費にできる?

前述のとおり、消費税法では原則として領収書が有効である要件として発行を受ける事業者名や氏名が記載されていることが必須になっており、宛名がない場合は経費として認められません。小売業や飲食業など、一部の業種では宛名は必須ではないものの、税務調査があった際に税務署から経費として認められない可能性があるので、極力書いてもらうようにしましょう。

宛名がない領収書の法律上・経理上・税務上の扱いや領収書の宛名が必要な理由については、こちらの記事でも詳しくご説明しています。

「上様」ではなく正式な宛名を書いてもらうことがベター

特に小売店や飲食店、タクシーや旅行などの交通関連の会社では領収書の宛名欄に「上様」と記載されることがあります。受け取る側もそのほうが楽なのですが、経費として認められないリスクも高いです。宛名無しの領収書も同様に認められない可能性があります。

基本的に誰宛なのかがわからない領収書は認められないと意識し、受け取る際には極力正式な会社名や屋号名、氏名を記載してもらうようにしましょう。

よくある質問

領収書の宛名としての「上様」はどのような意味ですか?

諸説あり、昔天皇や将軍を「上様」と呼んでいたことからお客様を敬う意味で定着したという説と、「上客様」「上取引先様」という意味合いで使っているという説があります。詳しくはこちらをご覧ください。

宛名が「上様」の領収書でも経費精算できますか?

基本的には認められていません。消費税法では、領収書が有効である要件として「交付を受ける当該事業者の氏名又は名称」と定められています。一部業種では免除されていますが、それでも正式名称を記載してもらうことが大切です。詳しくはこちらをご覧ください。


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