- 更新日 : 2026年4月16日
適格請求書発行事業者に登録しないとどうなる?取引先への影響や登録方法も解説
適格請求書等保存方式(インボイス制度)が始まっていますが、適格請求書発行事業者に登録していないけど問題ないのかな?と不安に思っている事業者もいるでしょう。では、適格請求書発行事業者に登録しないとどのような影響があるのでしょうか?
本記事では、適格請求書発行事業者に登録しなかった場合の影響や登録するメリット・手順などについて解説します。
目次
適格請求書発行事業者とは?
そもそも、適格請求書発行事業者とは、税務署の審査を受けて登録される事業者のことです。適格請求書発行事業者の登録が完了すれば、適格請求書の発行を行えるようになります。
インボイス制度に対応できるのは適格請求書発行事業者のみ
適格請求書等保存方式(インボイス制度)とは、消費税の仕入税額控除の方式です(2023年10月1日開始)。
背景として、2019年10月から消費税が複数税率になったことにより、経理処理が煩雑になったことが挙げられます。税率別に異なる消費税額を正確に把握し、ミスや不正を防止するために、制度が導入されました。
インボイス制度は、「売り手(商品やサービスを提供する側)」と、「買い手(購入する側)」の両方に適用されます。売り手側、買い手側それぞれに求められる対応は、次のとおりです。
- 売り手側:「適格請求書」を発行し、写しを保存する
- 買い手側:売り手から発行された「適格請求書」を保存する
適格請求書とは、適用税率や消費税額などが記された請求書や納品書のことです。必要項目がすべて記載されていれば、適格請求書として交付できるようになります(手書き/電子問わず)。
ただし、適格請求書を発行できるのは、適格請求書発行事業者のみです。適格請求書発行事業者として登録可能なのは、消費税の課税事業者で、法人・個人事業主・フリーランスなどの事業形態は問いません。
適格請求書発行事業者に登録しないと取引減少や値下げ交渉をされる可能性がある
では、適格請求書発行事業者に登録しないとどのような影響があるのでしょうか?主な懸念点は、次の2つです。
- 取引先が減少する可能性
- 消費税分の値下げを交渉される
ここでは、登録しないことによる懸念点を解説します。
取引先が減少する可能性
適格請求書発行事業者に登録していない免税事業者は、取引先からの仕事が減る恐れがあるため、注意しましょう。とくに、課税事業者と取引をしている個人事業主や中小企業の場合は注意が必要です。
適格請求書発行事業者に登録していない免税事業者は、適格請求書発行事業者として認められないため、適格請求書の発行ができません。そうすると、免税事業者との取引において課税事業者は仕入税額控除ができず、消費税の負担が高くなります。
その結果、課税事業者とすれば税金負担を減らすために、適格請求書発行事業者のみとの取引に変更したり、免税事業者との取引を辞めたりする恐れもあるでしょう。
消費税分の値下げを交渉される
適格請求書発行事業者に登録していない免税事業者は、取引先の課税事業者から消費税分の値下げを要求される可能性もあります。
課税事業者からすると、適格請求書発行事業者に登録していない相手との取引にはメリットが多くはありません。仕入税額控除ができず、免税事業者との取引は登録事業者と比べると税負担が増えてしまうためです。
その結果、取引を辞めないまでも、その差を埋めるために消費税分の値下げや他の部分での優遇を求める交渉をしてくるケースが考えられるでしょう。
適格請求書発行事業者に登録するメリット
適格請求書発行事業者に登録するメリットについて解説します。主なメリットは、次の2点です。
- 業務の効率化ができる
- インボイス制度開始下では取引が有利になる可能性がある
それぞれ詳しく見ていきましょう。
業務の効率化ができる
インボイス制度では、電子データ形式での電子インボイスの送付や保管が認められています。電子インボイスとは、適格請求書発行事業者が発行できる適格請求書(インボイス)を電子化したデータのことです。
書式が統一されれば、企業によって異なるシステムから発行された請求書でも自動取込が可能で、業務の効率化ができます。また、自動的に請求書を取り込むため、人為的ミスやデータの改ざんなども防ぐことが可能です。
さらに、請求書の印刷や郵送の費用がかからず、費用削減にもつながるでしょう。
インボイス制度開始下では取引が有利になる可能性がある
インボイス制度に登録した適格請求書発行事業者の取引が有利になる可能性が考えられます。課税売上高1,000万円以下の個人事業主は、インボイス制度に登録しないで業務を継続することも可能です。しかし、課税事業者からすると、インボイス制度に登録した仕入税額控除が可能な個人事業主のみと取引したいと考える可能性もあり得ます。
そのため、登録したという事実が企業へのアピールとなる場合もあるでしょう。個人事業主からすると、インボイス制度への登録の有無が、課税事業者との今後の取引継続のカギになることは理解しておきましょう。
適格請求書発行事業者に登録する手順
適格請求書発行事業者に登録する手順も確認しておきましょう。
適格請求書発行事業者の登録申請書を提出する
適格請求書発行事業者として登録するためには、「適格請求書発行事業者の登録申請書」を税務署に提出(e-Taxでも可)し、審査を受けます。
登録に必要な書類は、次のとおりです。
- 適格請求書発行事業者の登録申請書
- 本人確認書類(マイナンバーカード・番号確認書類・身分証明書など)
登録申請書は、登録希望日初日から起算して15日前までに提出しなければなりません。
※2023年10月1日から2029年9月30日までに適格請求書発行事業者の登録をする場合は、経過措置が設けられています。適格請求書発行事業者の登録申請書に登録希望日(提出日から15日以降の登録を受ける日として事業者が希望する日)を記載することで、その登録希望日から課税事業者になれます。上記期間中に申請すれば、消費税事業者選択届出書の提出は不要です。
適格請求書発行事業者の登録通知書を受け取る
登録に必要な書類を提出したら、審査が実施されます。その後、適格請求書発行事業者に登録された場合は、税務署から「登録通知書」が郵送で送付されます。
※e-Taxで提出した場合:e-Taxでの受け取りを希望した場合は、e-Taxで通知が届きます
登録が完了したら、国税庁サイトの「適格請求書発行事業者公表サイト」で登録番号や事業者名などの登録情報を確認できます。
登録番号を確認する方法は、次のとおりです。
- メインメニューの通知書等一覧>確認画面へ
- 適格請求書発行事業者通知書>下部の適格請求書発行事業者通知書一覧へを選ぶ
- 登録番号を確認できる
適格請求書発行事業者の登録は取り消しできる?
適格請求書発行事業者の登録は取り消せるのでしょうか?登録は「適格請求書発行事業者の登録の取り消しを求める旨の届出書」を管轄の税務に提出することで、取り消すことが可能です。
<提出した日を含む課税期間の翌課税期間の初日から登録の効力を失わせる場合>
届出書を課税期間の翌課税期間の初日から15日前までに提出すること
※上記の期日を経過して提出した場合は、効力失効が翌々課税期間の初日になるため、注意しましょう。
参考:国税庁 適格請求書発行事業者の登録の取消しを求める手続
参考:国税庁 適格請求書発行事業者の皆様へ
取引先が適格請求書発行事業者に登録していない場合の対応
取引先が適格請求書発行事業者に登録していない場合や簡易課税制度を利用している場合、インボイスによる仕入税額控除の適用を受けません。そのため、インボイス登録をしなくても、取引には支障はないです。
ただし、判断を下すうえで取引先が実際にインボイス登録をしていない事業者や簡易課税を利用している事業者であるかは、確認する必要があります。普段から取引先とのコミュニケーションを密にとっておくことが重要です。
適格請求書発行事業者に登録するメリットは多い
適格請求書発行事業者に登録しないと、取引減少や値下げ交渉をされる可能性があることを理解しましょう。そのうえで適格請求書発行事業者に登録するメリットには、業務の効率化ができたり、インボイス制度開始下では取引が有利になる可能性があったりします。総合的に考えて、適格請求書発行事業者に登録するかどうかを検討しましょう。
この記事をお読みの方におすすめのガイド4選
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