- 更新日 : 2024年8月30日
【30年ぶり・最大34.9%】2024年10月1日に郵便料金が値上げに!家計・企業への影響と対策とは?
2024年10月から郵便料金が値上げされます。特に、通常はがきや定形郵便物など、利用頻度の高い郵便物について、30%超の値上げ幅となっているため、紙書類の多い企業では、郵送料の増加などの影響が懸念されています。この記事では、郵便料金の改定の詳細や背景、実際の影響額と郵送料を減らすための対応策などを説明します。
目次
2024年10月1日(火)から郵便料金が最大34.9%値上げされる
2024年10月1日(火)から郵便料金が値上げされます。特に値上げ幅の大きい通常はがきは63円→85円で約35%の値上げとなり、一般的によく利用される定形郵便物(25g)以下については、84円→110円の約31%の値上げとなります。
値上げの背景
今回の郵便料金の値上げの背景について、総務省では以下のとおり説明しています。
郵便物が減少した
郵便物数は、インターネットやSNSの普及、請求書等のデジタル化の影響等により、2001年度をピークに毎年減少しています。国内郵便は2001年度~2022年度の21年間で、45.0%(年平均2.8%)減少している状況です。
人件費や燃料費の高騰で価格転換が必要になった
賃金引き上げによる人件費や燃料費等の物価高騰の影響などもあり、日本郵便の営業損益は2022年度が△211億円の赤字、2023年度が△896億円の赤字となりました。
日本郵便の営業損益は、近年、黒字額が減少傾向にあり、業務の効率化などにより、営業費用の削減を行ってきました。しかし、今後も赤字幅が拡大することが予想されており、物価高騰の影響を郵便料金に価格転換し、値上げを行うことで、収益改善を図る目的があります。
サービスの水準を維持するため
日本郵便において、郵便の利用拡大や業務効率化などの取組を行ってきたものの、郵便物の減少や物価高騰の影響に伴い、郵便事業の営業損益の見通しは非常に厳しい状況です。
そのため、郵便事業の安定的な提供を継続し、サービス水準を維持するために、郵便料金の値上げを行う必要があります。
参考:資料88-1 郵便法施行規則の一部を改正する省令案及び民間事業者による信書の送達に関する法律施行規則の一部を改正する省令案|総務省
過去にも郵便料金の値上げは実施されている
過去にも郵便料金の値上げはありましたが、消費税率の引き上げによる値上げを除くと、第一種郵便(定形など)では1994年1月が最後の料金改定であり、30年ぶりの値上げとなりました。
一方、第二種郵便(はがき)については、2017年6月にも10円の値上げを行っており、7年ぶりの値上げとなります。
郵便料金の値上げ対象となった郵便物は?
郵便料金の値上げ対象となった郵便物は以下のとおりです。
定形郵便物(25g以下、50g以下)・定形外郵便物 ※第一種郵便物
第一種郵便物の定形郵便物、定形外郵便物(規格内、規格外)はそれぞれ値上げとなります。
特に定形郵便物については、25g以下と50g以下で料金の違いがなくなり、一律110円となります。定形外郵便についても、重さにより値上げ率は異なりますが、最大で30%程度の値上げとなります。
はがき ※第二種郵便物
第二種郵便物のはがきと往復はがきについては、それぞれ値上げとなります。
特にはがきについては、63円→85円で約35%の値上げとなります。
レターパック・特殊取扱料金
レターパックライトやレターパックプラス、スマートレターについては、それぞれ16%程度の値上げとなりました。
また特殊取扱料金のうち、速達料金(約15%)や特定記録料金(約30%)などの一部の郵便料については、値上げとなりました。
郵便料金の値上げ対象外となった郵便物は?
今回の値上げでは、以下の郵便物については、値上げの対象外となります。
一般書留および現金書留や簡易書留、ゆうパックなど一部の郵便物は値上げ対象外に
一般書留および現金書留、簡易書留については、2023年10月に料金の値上げがあったため、今回は改定されません。
また、第三種郵便物(承認を受けた雑誌などの定期刊行物)や第四種郵便物(学術刊行物など)、ゆうパック・ゆうパケット・ゆうメールについても、値上げの対象外です。
アメリカなど海外への国際郵便も変更なし
海外への手紙・はがき、印刷物(航空便・船便等)やEMS(国際スピード郵便)などの国際郵便についても、2022年6月、2023年10月と料金改定が続いたため、今回の料金改定はありませんでした。
郵便料金の新旧比較表
郵便料金の主な新旧比較表は以下のとおりです。
種類 | 重量 | 2024/9/30まで | 2024/10/1以降 | 値上げ率 |
---|---|---|---|---|
定形郵便物 | 25g以内 | 84円 | 110円 | 31.0% |
50g以内 | 94円 | 110円 | 17.0% | |
定形外郵便物規格内 | 50g以内 | 120円 | 140円 | 16.7% |
100g以内 | 140円 | 180円 | 28.6% | |
150g以内 | 210円 | 270円 | 28.6% | |
250g以内 | 250円 | 320円 | 28.0% | |
500g以内 | 390円 | 510円 | 30.8% | |
1kg以内 | 580円 | 750円 | 29.3% | |
通常はがき | – | 63円 | 85円 | 34.9% |
速達 | 250g以内 | 260円 | 300円 | 15.4% |
1kg以内 | 350円 | 400円 | 14.3% | |
4kg以内 | 600円 | 690円 | 15.0% | |
特定記録郵便 | – | 160円 | 210円 | 31.3% |
一般書留および現金書留 | – | 480円 | 480円 | 変更なし |
簡易書留 | – | 350円 | 350円 | 変更なし |
レターパックプラス | – | 520円 | 600円 | 15.4% |
レターパックライト | – | 370円 | 430円 | 16.2% |
スマートレター | – | 180円 | 210円 | 16.7% |
定形郵便物とは?
定形郵便物は、一般的な封筒や手紙です。一定の範囲内のサイズで、25gまたは50g以下の重量のものです。
- 最小サイズ:長辺14cm、短辺9cm
- 最大サイズ:長辺23.5cm、短辺12cm、厚さ1cm
グリーティングカードや長形封筒(A4コピー用紙数枚を3つ折り)、長形封筒、洋形封筒(招待状や案内状)などは、定形郵便で送ることができます。
定型外郵便物とは?
定型外郵便物は、サイズと重さによって「規格内」と「規格外」に分けられます。
規格内 | 規格外 | |
---|---|---|
重さ | 1kg以内 | 4kg以内 |
大きさ (最大) | 縦34cm×横25cm×厚さ3cm | 縦が60cm以内かつ 縦・横・厚みの合計が90cm以内 |
大きさ (最小) | ①円筒形かこれに似た形のもの 直径3cm×長さ14cm ②①以外の14cm×9cm |
A4サイズの封筒を送る場合には、定形外郵便となります。その他、上記のサイズに収まるものであれば、厚みのあるものやA4サイズより大きいものなども送ることができます。
郵便料金の値上げに伴う差額分の対応は2024年9月2日(月)から
変更後の料金および差額に対応した額面の郵便切手は、2024年9月2日(月)から販売されます。16円~300円の普通切手9種類+慶事用など3種類の計12種類が販売されます。
定形郵便物とはがきのコストシミュレーション
値上げ率の大きい定形郵便物とハガキについて、100件の取引先がある企業を想定して、実際の影響額についてコストシミュレーションを行ってみます。
定形郵便物のコストシミュレーション
100件の取引先に対して、毎月請求書などを定形郵便物(25g以下)で送付している場合、料金改定前は100,800円(84円×100件×12か月)ですが、改定後は132,000円(110円×100件×12か月)で31,200円の郵送コストの増加となります。
はがきのコストシミュレーション
100件の取引先に対して、年賀状や暑中お見舞い、お知らせ等で年3回はがきを送る場合、
料金改定前は18,900円(63円×100件×3回)ですが、改定後は25,500円(85円×100件×3回)と6,600円の郵送コストの増加となります。
郵便料金の値上げによる家計や事業者への影響は?
郵便料金の値上げによって、どれくらいのコストが増加するのでしょうか。家計・企業・個人事業主ごとに想定される年間のコスト増加をシミュレーションしてみます。
家計への影響
総務省統計局の2023年度の家計調査の結果によると、1世帯(2人以上)あたりの郵便料金の支出額は3,102円であり、世帯の年間消費支出額3,527千円の0.1%未満です。
郵便料金が30%値上げされた場合の影響額は、年間でも1,000円程度のため家計に与える影響は大きくないでしょう。
企業への影響
企業の場合には、多くの郵便物を毎月発送していることが多いため、郵便料金の値上げによる郵送コストが増加することが想定されています。
特に、値上げ率が大きかった定形郵便(25g以下)やはがきなどは、請求書の送付や挨拶状などで利用する機会も多いため、企業規模が大きくなるほど業績に与える影響は大きくなるでしょう。
紙請求書 月間通数 | 現在の年間費用 (¥84/通で計算) | 値上げ後 | インパクト |
---|---|---|---|
300通 | ¥302,400 | ¥396,000 | +¥93,600 |
500通 | ¥504,000 | ¥660,000 | +¥156,000 |
1,000通 | ¥1,008,000 | ¥1,320,000 | +¥312,000 |
個人事業主への影響
個人事業主の場合には、企業と同様に定形郵便やはがきなどを利用する機会があります。
企業のコストシミュレーションのように、年間で数万円程度の影響はあるでしょう。
企業や個人事業主は電子化によるコスト削減の検討を
郵送コストを削減する方法として、請求書や契約書などの書類の電子化を検討するのもおすすめです。
電子メール、SMSに切り替える
請求書などを紙で作成・郵送している場合には、書類をPDF等に電子化し、電子メールやSMSに添付する方法に変更することで、郵送コストを削減できます。
日頃からメールなどでやりとりしている相手であれば、比較的容易に導入することができますが、誤送信などのリスクやセキュリティ面の課題もあるため、先方の了承を得たうえで切り替える必要があります。
請求書や契約書はクラウドサービスを取り入れる
請求書や契約書の作成については、電子契約書や請求代行サービスなどのクラウドサービスを利用することで、郵送コストの削減のみでなく、業務効率化などのメリットもあります。
インボイス制度や電子帳簿保存法などの法改正に対応しているため、自社で電子化を行うよりも、効率的に切り替えることが可能です。
紙で作成しているカタログやパンフレットは電子化する
紙で作成しているカタログやパンフレットについても、PDF等に電子化することにより、電子メールで送信できるようになり、郵送コストを削減できます。
また電子化することで、紙の資料を大量に保管する必要がなくなり、保管コストや改定時の廃棄コストも削減することができます。
紙の郵送による送付・保管の手順
請求書や契約書を紙で作成する場合の手順と電子化の有無について説明します。
請求書や契約書の記入・作成 ※電子化可能
まず、自社のフォーマットで請求書や契約書を作成します。
電子化する場合でも、書類を作成する作業は必要となりますが、請求代行サービスなどを利用する場合には、必要なデータを共有することで請求書の作成を委託することが可能です
プリンターで印刷 ※電子化で不要
作成した請求書や契約書は紙に印刷して、押印や印紙の添付などを行います。
電子化した場合には、作成したデータをPDFなどに変換する作業が必要となりますが、印刷は不要となります。
封筒やレターパック、切手の購入 ※電子化で不要
印刷した書類を送付するための封筒や切手を購入する必要があります。
電子化した場合には、メール等で送付するため、封筒などの消耗品や切手などを事前に用意する必要がなくなります。
封入・封かん ※電子化で不要
印刷した書類を封筒に入れて、封をする必要があります。
この時、宛先の間違い等がないかを注意する必要があります。電子化した場合には、封入・封かん作業は不要となります。
請求書や契約書の郵送 ※電子化可能
請求書や契約書をポストや郵便局から郵送します。
電子化した場合には、PDF化した書類をメールなどに添付して送付できますが、宛先の間違い等がないかを確認する必要があります。請求代行サービスを利用すると、取引先へのメール送付も行ってもらえます。
受領書類の管理 ※電子化可能
請求書や契約書などの重要書類は、ファイル等に整理したうえで一定期間保管する必要があります。
また、紙書類を保管するための場所が必要であり、保管コストがかかります。電子化した場合にも、PCやサーバー内での整理や管理は必要となりますが、紙の書類に比べて、保管コストは少なくすみます。
保管資料の廃棄 ※電子化可能
保管期間が過ぎた書類については、破棄する必要があります。機密情報が含まれていることがあり、一般的なごみとして処分できないため、廃棄コストがかかります。
電子化した場合には、PC内に保存されていたデータを削除するだけなので、廃棄コストなどはかかりません。またボタン一つで削除できるため、時間もかかりません。
個人利用者への影響はわずか
上記でも記載のとおり、一般家計への影響の目安は年間で約1,000円程度とそれほど多くありませんが、メールやLINEなどのメッセージアプリ、SNS等を活用することで、郵便料金への値上げに対応することが可能です。
郵送コスト削減のため、電子化を検討してみませんか。
請求書などの電子化も進んできていますが、従来通りに紙で作成・郵送している企業にとっては、郵便料金が3割値上げされる影響は大きいです。郵送コストの削減のため、クラウドサービスの導入などを含めた電子化を検討してみるのはいかがでしょうか。
※ 掲載している情報は記事更新時点のものです。
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