• 作成日 : 2023年3月3日

領収書の再発行は義務ではない?紛失時の対処法や注意点を解説

領収書の再発行は義務ではない?紛失時の対処法や注意点を解説

ビジネスでは、代金納入後に領収書を受領することもあります。領収書は、実際に代金を納入した証拠や、経費精算として必要です。
しかし、発行した領収書を紛失してしまう場合もあるでしょう。その際、再発行を求めることはできるのでしょうか。また、再発行は法的に義務付けられているのでしょうか。
本記事では、領収書の再発行について解説します。

領収書の再発行は義務化されていない

領収書は、いつ、誰に、いくら支払ったのかを証明する書面です。法律上、企業間取引に関わらず、代金受領者は支払者による領収書発行の求めに応じなければなりません(民法486条1項)。

しかし法律上、領収書の再発行については何も義務付けがありません。そのため、支払者は代金受領者に対して領収書の再発行を請求することはできません。実際に領収書の再発行は原則として拒否されることが多いです。
それは、領収書の「二重発行」をを基本的に避ける事業者が多いからです。

領収書の二重発行とは

同一の代金支払いについて二重に領収書を発行してしまうことを領収書の「二重発行」といいます。
領収書を二重発行すると、領収書を受け取った側は、架空取引の売上を立てたり、経費の水増し請求をしたりできてしまいます。そのため、そのような不正に繋がりかねない領収書の二重発行は基本的に避ける事業者が多いのです。

詳細は以下のページをご参考ください。

領収書の再発行を依頼された場合の対処法

もっとも、横領や脱税などの不正目的ではなく、単に紛失したために領収書の再発行を依頼されることはあり得ます。特に、継続してお付き合いする取引先などが相手だと、簡単に拒否するわけにはいかない場合もあるでしょう。
領収書の再発行を依頼された場合は、どのように対処すればいいのでしょうか。

再発行ができない旨を伝える

対処法の1つとしては、やはり再発行できない旨を伝えることです。その際には、仮に税務調査などがあった場合に不正の疑いをかけられるなど、社会的な企業評価への影響を再発行できない理由として伝えるといいでしょう。
また、取引相手に対しては丁寧にお断りすることはもちろんのこと、代金支払いの前の段階で領収書の再発行はできない旨を伝えておくと、スムーズに対処できるでしょう。

領収書以外の書類で代用してもらう

もう1つの対処法は、領収書以外の書類で代用してもらうことです。
特に企業間の取引では、多くの書面を用います。その中でも、代引きの「納品受領書」や銀行振込の「振込受領書」「払込受領書」などがあれば、それによって取引や支払いの存在を証明し、経費の精算を行うことができます。

再発行したことを明示した領収書を作成する

そのほかに、再発行したことを明示した領収書を作成することで対処できます。再発行分であるということを明示すれば、代金受領者は領収書の二重発行によって不正に加担したと疑われることはありません。
しかし、いくら不正を疑われないような形を取っていたとしても、領収書を再発行していることには変わりありません。
再発行の際に注意すべき点を次章で解説します。

領収書を再発行する際の注意点

領収書の再発行を行う場合は、下記2点が重要です。

  1. 不正な再発行請求でないことの確認を行う
  2. 再発行の過程において代金受領者が不正に関与したわけではないという証拠を残す

そのためには、以下のような対策を取るよう注意しましょう。

最初に発行した領収書がある場合は回収する

まず、最初に発行した領収書がある場合には回収しましょう。最初に発行した領収書が存在した状態で領収書を再発行すると、万一の場合、代金受領者側も不正に関与したと疑われかねません。
領収書が破損した場合や、紛失したと思っていたが見つかったなどという場合には、最初に発行した領収書の回収が必要となります。

経緯を記録する

次に、再発行の経緯を記録することも重要です。
仮に領収書を再発行した後に、税務調査などが実施され、代金受領者側が不正に手を貸したなどと疑われるのは本意ではありません。しっかりとリスクヘッジをするためにも、取引先の情報や再発行の依頼を受けた日付、再発行の理由、どのように対処したのかなどについて記録しておきましょう。

再発行した領収書にも収入印紙は必要

領収書の金額が5万円を超える場合は、領収書に収入印紙を貼る必要があります。収入印紙は納税の証明であり、金額が5万円を超えるにもかかわらず収入印紙を貼っていない場合には、印紙税法違反としてさらなる金銭徴収(懈怠税)が行われます。
再発行した領収書であっても、金額が5万円を超える場合には収入印紙を貼らなければならないことに注意が必要です。

領収書を紛失した場合の対処法

それでは、代金の支払者、つまり領収書の受領者としては、領収書を紛失した場合にはどのように対処すれば良いのでしょうか。適切な対処を怠ると、経費の精算ができなくなるばかりか、横領などの不正の疑いをかけられてしまいます。
以下では、領収書を紛失した場合の対処法について解説します。

領収書の再発行を依頼

領収書の紛失が発覚した場合には、まず再発行を依頼しましょう。
再発行は法的には義務付けられていませんが、取引相手の裁量によって再発行してもらえる場合もあります。

レシートでの代用

レシートがある場合は、レシートでの代用を考えましょう。
レシートは証憑書類として領収書よりも劣るという見解もありますが、むしろ取引内容の詳細が機械的に明示されており、領収書よりも信用性が高いとの見解もあります。そのため、レシートで代用できる可能性はかなり高いといえます。

出金伝票の活用

ほかにも、出金伝票を活用して対処することも考えられます。出金伝票は個々の取引内容を記録した伝票です。日付、支払先(出金先)、勘定科目、適用(品物やサービスの内容)、金額を記載することで出金伝票は領収書の代わりになります。
業務日報や契約書、納品書と一緒に保存するなどすると、信頼性が高まるでしょう。

領収書の再発行には不正利用の対策が必要

領収書の再発行は法的には義務付けられていません。他方で、代金受領者の裁量で再発行も可能です。
仮に再発行する場合、不正に加担したという疑いをかけられないようにすることが重要です。最初に発行した領収書の回収や、再発行するまでの経緯の記録を忘れないようにしましょう。

また、領収書の受領者が領収書を紛失した場合は、取引相手に再発行を請求するだけではなく、レシート等の代用なども検討してみましょう。

よくある質問

領収書は再発行できる?

法律上、領収書の再発行を義務付ける規定はなく、基本的には再発行できませんが、代金受領者の裁量で再発行することは可能です。詳しくはこちらをご覧ください。

領収書を再発行する際の注意点は?

領収書を再発行する際の注意点は、最初に発行した領収書の回収や、再発行までの経緯を記録しておくことです。詳しくはこちらをご覧ください。


※ 掲載している情報は記事更新時点のものです。

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