- 更新日 : 2024年8月30日
封入封緘機(インサーター)とは?機能やメリット・デメリットを解説
封入封緘機(インサーター)は、紙書類の封入封緘を自動化し、その作業時間を大幅に短縮できる機材です。しかし、いざ導入しようと思っても、どんな種類があり、どう導入すればよいか分からない方も多いでしょう。この記事では、封入封緘機の機能、導入のメリット・デメリット、主要なメーカー、導入方法に至るまで網羅的にご紹介します。
目次
封入封緘機(インサーター)とは?
封入封緘機(ふうにゅうふうかんき)とは、インサーターとも呼ばれ、紙の書類を取引先に送付する際にそれらを折って封筒に入れ、糊付けまでを自動で行う機材です。
デジタル化が進んだ現代でも、請求書等の商取引にかかる文書や、カタログ等の広告宣伝を目的とした書類は、紙で送付されることが少なくありません。このような場合、送付先が多くなるため、手作業で行うと時間がかかるうえに、ヒューマンエラーのリスクが高まります。この作業時間を短縮し、エラーを減らすために開発されたのが、封入封緘機です。
封入封緘機の機能
ここでは、封入封緘機の主要な機能を紹介します。具体的には「書類を折りたたむ」「書類を封入する」「封緘(糊付け)する」の3つです。
書類を折りたたむ
書類を折りたたむ作業は、封入封緘機が一番に行う作業です。2つ折り・3つ折り・4つ折りと複数の折り方に対応しているモデルが多く、操作パネルで予め指定できます。
封入封緘機は人が手作業で折るのと比較して、短時間で正確に折りたためるのがメリットです。特に、手作業で行うとズレが起きやすい3つ折りなどの折り方で、効果を実感できるでしょう。
書類を封入する
対応する封筒のサイズは、封入封緘機によりさまざまですが、多くの機材が長形から角形までの定型封筒に対応、さらに定形外の封筒に対応する機材もあります。
封入できる書類も、1枚ではなく複数枚を封入することが可能です。書類の厚みは一般的に2~3mm程度、高価格帯の製品のなかには厚みのあるカタログ等を封入できる機材もあります。
封緘(糊付け)する
封緘(糊付け)の作業については、カートリッジ式のテープ糊を使用する機材もあれば、アラビア糊が予め塗布された封筒を利用する機材もあります。
手作業で行うと、はみだした糊が手や封筒に付くトラブルがありますが、封入封緘機を使用することで、それらのトラブルなくきれいな封筒に仕上げられます。
封入封緘機の導入に必要な準備
実際に経理担当者が導入することを想定して、封入封緘機の導入に必要な作業を3つの観点から紹介します。
機材の選定
まずは、機材を選定します。選定にあたってのポイントは2つあります。1つ目は、自社で封入封緘を予定する書類の量・種類・送付先数です。量が多い場合や、複数の書類を自動で仕分けて封入する必要がある場合は、大型で多機能な機材である必要があります。また、送付先が多く、仕分け作業が大変な場合は、送付先別に自動仕分けする機能のある機材を選ぶ必要があります。
2つ目は、機材を提供するメーカーに問い合わせ、見積もりをしてもらうことです。1つのメーカーが複数の機材を取り扱っていることが多いので、担当者に会社のニーズを伝えると、ベストな機材と購入・リース等のオプションを提案してもらえます。
設置スペースの確保
小型卓上サイズであれば、オフィスデスク1~2個分のスペースが必要です。大型の機材であれば、機材に合わせた専用スペースを用意しておきましょう。
担当者のトレーニング
大型の機材になるほど、多くの機能を有しており、自社のニーズに合わせて、さまざまな使い方ができます。しかし、それゆえに担当者への十分なトレーニングが欠かせません。なお、ほとんどの機材は、電子操作パネルで直感的に操作ができるため、過剰な心配は不要です。
封入封緘機の導入に必要なコストはいくらくらい?
小型卓上サイズの場合、購入すると新品は30万円台から、中古品は10万円台から提供されています。これに別途メンテナンスコストが加わります。大型サイズの場合、購入すると新品は百万円台から、中古品でも数十万円台からの提供になり、別途メンテナンスコストが必要です。
リースの場合は、メーカーによりけりですが、小型・大型いずれも数万円/月からのプランがメンテナンスコスト込みの料金で提供されることが多いようです。
封入封緘機を導入するメリット
ここでは、封入封緘機を導入するメリットについて2点紹介します。いずれも、封入封緘作業において経理担当者を悩ませてきた問題を解決する画期的なものです。
事務作業を効率化できる
送付する封筒の枚数は膨大であり、作業には時間がかかります。送付先によって封入するべき書類が異なる場合は、送付先別に書類を仕分ける作業が加わります。
封入封緘機を導入すると、作業時間を大幅に削減できます。小型の封入封緘機でも1時間に1,000通以上の封筒を自動で処理できます。名寄せ機能を利用すれば、送付先それぞれへの書類の仕分けも自動化が可能です。書類に小型のバーコードやQRコードを印刷し、それを封入封緘機に読み込ませることで、どの書類をどの送付先に送付するのかを自動で判別し、それらをまとめて封入封緘できます。
ヒューマンエラーを防止できる
封入封緘機による自動化によって、書類の折りたたみが乱れるといったミスから、封入する書類の枚数や種類を間違えるといったミスまで防止できます。
特に、封入する書類の誤りは、取引先の秘密情報や個人情報が漏洩してしまうリスクにつながります。封入封緘機の名寄せ機能によって、このリスクを解消できます。
封入封緘機を導入するデメリット
封入封緘機の導入はメリットばかりのようですが、一方でデメリットもあります。以下に3点、代表的なデメリットを紹介します。
初期投資に必要なコストが高い
封入封緘機を購入する場合、初期投資として相応のコストを覚悟しなければなりません。機材によって大きく変わるものの、安くても十万円以上の費用がかかります。リースを選択してもリース費用が毎月発生します。
スペースを占拠してしまう
大型の封入封緘機になると、オフィス用の複合機と同等かそれ以上のスペースが必要です。オフィスのデスク2~3つ分のワーキングスペースがなくなるとイメージしておくとよいでしょう。
メンテナンスコストがかかる
封入封緘機の不具合や故障を修理してもらうための費用です。都度修理を依頼することも可能ですが、主要なメーカーは年間での保守サービスを提供しています。ただし、有償となる機材が多いため、やはりコストがかかります。
封入封緘機の種類
封入封緘機の種類については、大きく分けて「小型卓上サイズ」「大型サイズ」の2種類が存在します。
小型卓上サイズ
小型卓上サイズの封入封緘機は、新品で30万円台からと大型サイズに比べるとリーズナブルな価格設定です。中古品では10万円台から流通しています。オフィスデスクの上に置いて使用できるので、設置スペースをとらない点もメリットです。
機能面では、多様な折り方に対応する一方、定型封筒への封入に限られる等の制限がある機種もあります。また、処理速度は1時間あたり1,000~3,000通程度で大型サイズには劣ります。
大型サイズ
大型サイズの封入封緘機は、新品で100万円台から、中古品でも数十万円と、小型卓上サイズと比較すると高額です。設置スペースもオフィスデスク2~3台分は必要なため、設置のためだけに専用スペースをオフィス内に設ける必要があります。
一方で、機能面は充実しています。定形外の封筒に対応したり、送付先ごとに違う書類を封入したりする仕分け作業も可能です。処理速度も1時間あたり約5,000〜8,000通と、小型卓上サイズと比較して高い機能を有しています。
主要な封入封緘機のメーカー
ここでは、国内外の主要な封入封緘機メーカーを紹介します。会社の特徴に加えて、どのような種類の封入封緘機を扱っているかも記載しますので、ぜひ参考にしてください。
マックス株式会社
マックス株式会社は、1942年に設立された事務機器メーカーです。ニッチ市場で世界初・日本初の製品を多く世に送り出してきており、ホッチキスでは国内トップシェアを握っています。封入封緘機においては、長形3号・角形8号まで対応する小型の卓上封緘機を取り扱っています。
デュプロ販売株式会社
ディプロ販売株式会社は、1954年に設立されたIT機器に強みを持つ総合商社で、自社ブランドの製品を多く揃えているのが特徴です。封入封緘機においては、バーコードやQRコードを読み取り、宛先に基づいた封入枚数や封入物選択を行えるリーディングシステムを備えた、中型~大型機器を得意としています。
ピツニーボウズジャパン株式会社
ピツニーボウズジャパン株式会社は、発送・郵送に強みを持つグローバル企業「ピツニーボウズ」の日本法人です。封入封緘機においては、小規模から大規模に至るまでさまざまな発送ボリュームに対応しています。コンプライアンス遵守に力を入れており、ファイル・コントロール機能で、すべての顧客の文書の処理を追跡・確認できます。
クアディエントジャパン株式会社
クアディエントジャパン株式会社は、パリに本社を置き、郵便関連事業を世界各国で展開するグローバル企業「Quadient」の日本法人です。封入封緘機においては、操作性のよさ、高い生産性、機密性と安全性に特徴があり、小型から大型までラインナップしています。
株式会社プリマジェスト
株式会社プリマジェストは、1968年に設立されたシステムインテグレーターです。企業オペレーションの自動化やDX化、ハードウェア・ソフトウェアの開発・製造、それらのメンテナンス・保守を事業としています。封入封緘機においても、オフィス環境への適用を念頭においた静音設計、自動化等に対応した機器を提供しています。
株式会社光文堂
株式会社光文堂は、1946年に設立された印刷機器メーカーです。現在は印刷関係の総合商社となっており、他社製品も取り扱っています。封入封緘機においては、定型封筒から定形外に至るまでさまざまなニーズに対応した製品を送り出しています。
取り扱う書類が多い場合は書類の電子化を検討しよう
紙にこだわらない前提であれば、書類を電子化し、オンラインで送付できるクラウドサービスの利用を検討するのがおすすめです。
ここでは、クラウドサービスのメリットを2点紹介します。
クラウドならコストを最小限に抑えることができる
クラウドサービスを利用すれば、請求書といった書類の作成・発行・送付をオンラインで行えます。
封入封緘作業そのものが不要になるため、機材の購入・リース料などの設備コストに加えて、紙代・印刷代・糊代・郵送費用といった運用コストも不要です。
特に運用コストは、書類の取扱量に応じて発生します。書類の取扱量が多いほど、クラウドサービスの導入効果が大きいと言えるでしょう。
メンテナンスコストがかからない
クラウドサービスを利用すれば、封入封緘機が不要となり、メンテナンスコストがかかりません。
すべてインターネット上で完結するため、インターネットにアクセスする環境が担保されていれば、特別なメンテナンスは必要ありません。
封入封緘作業を自動化してコストダウンと業務効率化を目指そう
封入封緘は、多くの時間や手間がかかる作業ですが、封入封緘機やクラウドサービスの導入により、自動化を図れます。これらには、作業時間の大幅な短縮、コストの削減、ヒューマンエラーの解消等、多くのメリットがあります。ぜひ、自社の状況に合う形で導入を検討し、業務の効率化を目指してみてください。
※ 掲載している情報は記事更新時点のものです。
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