• 更新日 : 2022年9月20日

インボイス制度が海外取引に及ぼす影響は?

インボイス制度が海外取引に及ぼす影響は?

法律に基づく消費税率引き上げによる対策で軽減税率が導入されたことで、混在する複数税率による消費税額を正確に算出するため「インボイス制度(適格請求書等保存方式)」が2023年10月1日から開始されます。

この記事では、インボイス制度の海外取引における影響について解説していきます。

インボイス制度が海外取引に及ぼす影響は?

2023年10月1日から、インボイス制度(正式名称は適格請求書等保存方式)が始まります。

インボイス制度は、適格請求書発行事業者からの請求書であることなど一定の要件を満たさないと消費税の仕入税額控除が認められないことから、適格請求書を発行できない免税事業者である法人や個人事業主にも影響がある制度です(※ただし開始から6年間は一部の仕入税額上古を認める経過措置が設けられます)。

ここではインボイス制度の概要と外国法人と取引を行う際に確認しておきたいポイントについて解説していきます。

そもそもインボイス制度とは

インボイス制度は、一定の記載事項を満たした適格請求書を発行するための制度です。

売り手側である適格請求書登録事業者は、買い手である課税事業の求めに応じて適格請求書を交付する必要があります。

また、買い手側である課税事業者は、消費税の仕入税額控除の適用を受けるため、原則として適格請求書登録事業者の発行した適格請求書の保存が求められます。

インボイス制度は、法律に基づく軽減税率の導入をきっかけに、制度が開始されることとなりました。適格請求書登録事業者になるには課税事業者である必要がありますので、現在免税事業者である個人事業主や法人にも影響のある制度です。

インボイス制度の詳細については、こちらの記事で詳しく解説しています。

取引先の外国法人に確認すべきこと

Permanent Establishment(恒久的施設、以下PE)が国内になければ課税はされない、という国際的原則があります。これにより、国内にPEのない外国法人は、法人税の課税対象から外れます。

消費税においてはPEの有無は重視されません。内国法人、外国法人に関わらず、国内における資産の譲渡における課税売上がいくらであったかが重視されるためです。外国法人であっても、消費税の課税事業者となるケースもあります。

外国法人と国内で取引をする場合は、以下の点について確認しておく必要があるでしょう。

  • 消費税の課税事業者であるか
  • 適格請求書登録事業者であるか

※国税庁の「適格請求書発行事業者公表サイト」で適格請求書登録事業者の登録番号を確認できます。

取引先である外国法人が消費税の課税事業者で、適格請求書登録事業者の登録がない場合は、仕入税額控除を受けられるようにするため、登録してもらえるよう対応していく必要があります。

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インボイス制度で影響を受ける海外取引

国内に住所がない個人事業主、国内にPEのない外国法人であっても、日本国内で資産の譲渡等を行い、かつ次いずれかの要件を満たすときは、消費税の課税事業者として届け出る必要があります。

  • 課税期間(個人は年、法人は事業年度)の基準期間(個人は前々年、法人は前々事業年度)の課税売上が1,000万円超
  • 特定期間(個人は前年の1月1日から6月30日まで、法人の場合は原則として前事業年度開始から6ヶ月)の課税売上が1,000万円超
  • 課税期間の基準期間がない法人で課税期間開始日の資本金や出資金の額が1,000万円以上の法人など

具体的には、PEのない外国法人などが、日本国内の事業者から仕入を行い、別の日本国内の法人に販売した場合などが想定されます。

課税事業者となる外国法人もインボイス制度の対象となりますので、取引先である外国法人の仕入に関して自社が仕入税額控除を受けたい場合は、適格請求書登録事業者の登録の対応をしてもらう必要があるでしょう。

インボイス制度の影響を受けない海外取引

輸入業者が行う海外の事業者からの輸入取引は、インボイス制度の影響を受けません。

国内にPEのない海外の個人事業主や外国法人との輸入取引において、保税地域から仕入れた課税貨物の代金に対し、輸入業者(輸入申告を行う者)は税関に消費税(輸入消費税)を納付する必要があります。この際、海外事業者に適格請求書発行の対応は求められませんが、輸入取引においては輸入許可通知書が適格請求書と同等の効力を持つ証憑となるため、仕入税額控除の対象に含めることが認められます。

ただし、輸入にかかる消費税を仕入税額控除に組み入れられるのは輸入申告を行う者に限ります。輸入業者が支払うべき輸入消費税を課税事業者である顧客に負担してもらったとしても、顧客は負担した消費税を仕入税額控除に組み入れることは認められません。

海外取引でもインボイス制度の影響を受けるケースがある

インボイス制度は日本国内の消費税に関わるものですので、日本企業や個人事業主に影響があることはイメージしやすいかもしれません。しかし、海外取引であっても、取引の内容次第ではインボイス制度の影響があることもあります。どのようなケースで影響があるのか確認し、早めに必要な対応を取引先の外国法人に取ってもらうようにしましょう。

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よくある質問

インボイス制度の開始で影響を受ける海外取引はどのようなものですか?

PEのない外国法人などが、日本国内で仕入を行い、別の日本国内の法人に販売した場合などは影響があります。詳しくはこちらをご覧ください。

インボイス制度の開始で影響を受けない海外取引はどのようなものですか?

輸入業者(輸入申告者)が海外から仕入れた輸入品の代金にかかる輸入消費税を支払った場合、輸入許可通知書が適格請求書と同等の効力を持つため、インボイス制度の影響を受けないものと考えられます。詳しくはこちらをご覧ください。


※ 掲載している情報は記事更新時点のものです。

監修:福留 聡 (公認会計士)

福留聡税理士事務所代表、監査法人パートナー、MFクラウドプラチナメンバーで日米の公認会計士及び税理士資格を有し、法定監査、IPO支援、決算支援、IFRS導入支援、日米の法人の税務顧問等を行っている。本、雑誌、DVD等で約50の出版をしており、代表的な著作として『7つのステップでわかる税効果会計実務入門』がある。

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