- 更新日 : 2023年8月7日
請求書作成のときに見落としがちなポイント
請求書とは、主に金銭の支払いを相手に求めるために発行する文書です。書き方や記載事項に規定やフォーマットがあるわけではありませんが、その役割を果たすことはもちろん、ビジネスマナーに則り、失礼のない書面にしたいものです。
請求書を作成する際に記載すべき内容や発行の仕方、また、個人事業主やフリーランスの方が請求書を作成するときに見落としがちなポイントについて解説します。
なお、この記事は請求書全般について述べるものであり、2023年10月1日から始まるインボイス制度における適格請求書については、下記のサイトなどを参考にしてください。
参考:適格請求書等保存方式(インボイス制度)の手引き|国税庁
請求書の記載事項
一般的な請求書作成にあたっての書き方に明確なルールやフォーマットはないとはいえ、その役割を果たすために必要な記載事項はあります。
ここでは「区分記載請求書」に準じた請求書の概要としますが、消費税の課税事業者の場合には、区分記載請求書(2023年10月以降は適格請求書)の記載事項をよく確認ください。
- 請求書を発行する者の氏名または名称
- 取引年月日
- 取引内容
- 取引金額(税込み)
- 請求書を受ける事業者の氏名または名称
この5つが書かれていなければ、せっかく請求書を作成してもその役割を果たすことはできません。
参考:インボイス制度に関するQ&A目次一覧|国税庁、消費税の仕入税額控除制度における適格請求書等保存方式に関するQ&A(問52の区分記載請求書欄参照)
小売業・飲食店業・写真業・旅行業等を営む事業者が交付する書類については、「請求書を受ける事業者の氏名または名称」の記載を省略することができます。作成にあたっては、手書きの請求書でも市販の請求書を使ってもかまいませんが、請求書のフォーマットを作成しておき、毎回同じものを使うようにしましょう。
ただし、実際の商慣習においては以下の事項も押さえておきましょう。
- 発行者の印鑑
- 請求番号
- 請求日・支払い期限
- 振込先:金融機関名・口座の種類・口座名義・口座番号
- 請求金額詳細:数量×単価・小計・消費税・合計
こちらの内容についても、2023年9月30日までは区分記載請求書、2023年10月1日以降は適格請求書のそれぞれの記載事項についてよく確認しましょう。とくに消費税が関連する部分については要注意です。
参考:2023年9月30日まで 消費税軽減税率制度の手引き|国税庁
2023年10月1日以降 適格請求書等保存方式(インボイス制度)の手引き|国税庁(P13参照)
請求書を郵送する場合、従来は挨拶文や請求書を送付する旨を記した送付状を添付することがよくありましたが、最近では省略することも多くなっています。そのほか、送付についてもエクセルなどのアプリケーションで作成した請求書をPDFデータで保存して、PDFデータのままメール送付することを取引先に求められることもあります。
電子データでの送信は電子帳簿保存法の「電子取引」に該当しますので、取扱いに注意しましょう。また、取引先によってはFAXで送ることを求められる場合もあります。
自分の常識だけを押しつけるのではなく、間違いなく互いに確認するための文書ですから、相手先も納得のいく送り方を決めておくことが大切です。
取引によっては、請求書ではなく、「納品書兼請求書」としたり、支払い側からの「支払明細書」を請求情報として利用したりすることもあります。新たな取引先と契約をする際には請求の仕方についても事前に明らかにしておきましょう。
請求書の保管期間
消費税の仕入税額控除を受けるためには、2023年10月以降は適格請求書(インボイス)と呼ばれる形式の請求書が必要です。仕入れなどに関する帳簿と請求書などを保存しておく必要があります。
適格請求書(インボイス)につきましては、下記の情報を参考にしてください。
参考:適格請求書等保存方式(インボイス制度)の手引き|国税庁
請求書の保管期間は、個人事業主が受領した請求書については、所得税の確定申告期限の翌日から5年間、法人が受領した請求書については、その事業年度の確定申告期限の翌日から7年間です。事業者の納税地またはその事業に係る事務所に保存しておきましょう。
見落としがちな確認ポイント
- 宛先は事前に取引先に確認しましょう。会社名だけでなく、部署名または担当者名が必要な場合もあります。
- 企業名や団体名、部署名には「御中」を添えますが、個人名には「様」をつけます。担当者名まで書く場合は「御中」は要りません。なお、「御中」と「様」の両方を使うのはNGです。
- 請求書番号があるか確認しましょう。請求書番号の記載は必須ではありませんが、請求書を作成する場合、納品書や見積書の伝票番号などと照らし合わせられるようにさせておけば管理上便利です。例えば、問い合わせや再発行の依頼があったとき、スピーディにどの案件か特定できます。
- 発行日に問題がないか確認しましょう。請求書を作成しても提出するタイミングが悪いと印象を損なうことにもなりかねません。提出するタイミングは大切です。一般に、個人の場合は発行年月日を書き、会社の場合は締日を発行日として書きます。取引先の締日を記載することが多いようです。いずれにしても事前に確認しておきましょう。
- 消費税を掲載するかどうか確認しましょう。消費税を請求書に掲載する場合、2023年10月以降においては、「適格請求書(インボイス)」の記載事項が必要となります。
参考:2023年9月30日まで 消費税軽減税率制度の手引き|国税庁
2023年10月1日以降 適格請求書等保存方式(インボイス制度)の手引き|国税庁 - フリーランスの場合、原稿料や講演料、デザイン料や撮影費、弁護士や会計士など特定の資格を持つ人に払う報酬、プロスポーツ選手やモデル、外交員、芸能人、接客業等は源泉徴収の対象となります。こうした請求書の作成にあたっては、作業に対する対価の金額、税額、源泉徴収金額を明記しておくとわかりやすいでしょう。
源泉徴収金額の算出方法は以下の通りですが、支払先によって異なるので先方に確認しましょう。
(例)
○100万円以下→支払い金額×10.21%
○100万円超→(支払い金額-100万円)×20.42%+102,100円 - 振込先や振込期限を明記しましょう。請求書は入金を求めるものです。資金繰りにも影響しますし、取引発生時や契約時に支払い期限を決めておきたいものです。とくに取り決めがない場合は、支払う会社の社内規程となります。例えば、「月末締翌月末払い」の会社に対して今月末までに請求した場合、翌月末に支払われることになります。請求書を作成する段階で、支払期限が決まっている場合は、明記しておくと確認ができます。
- 振込手数料を先方に負担してほしい場合は、備考欄などに「恐れ入りますが振込手数料はご負担ください」などと明記しましょう。取り決めや申し出がない場合、民法では原則として、支払い側の負担となります。
- 郵送の場合、封筒に「請求書在中」と記載またはスタンプを押すことをおすすめします。相手側の処理がスムーズになります。
よくある質問
請求書の記載事項は?
「発行者の氏名または名称」「取引年月日」「取引内容」「取引金額(税込み)」などがありますが、2023年10月以降は消費税が発生する場合にはインボイス制度のルールを確認しましょう。 詳しくはこちらをご覧ください。
請求書の保管期間は?
原則として個人の場合は5年間、法人の場合は7年間となります。詳しくはこちらをご覧ください。
請求書作成のときに見落としがちな確認ポイントは?
宛先は事前に取引先に確認することや、発行日を確認することだけでなく、取引先の意向を組み入れる場合もあります。詳しくはこちらをご覧ください。
※ 掲載している情報は記事更新時点のものです。
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