• 更新日 : 2023年3月23日

領収書を紛失したときの対処法を解説

領収書を紛失したときは?

経費精算のための領収書を紛失し、「再発行してもらえる?」「自腹を切らないといけない?」と困っている方もいることと思います。

この記事では、領収書を紛失したら再発行してもらえるのか、再発行してもらえないときにはどうしたらよいのかといった疑問を解説します。併せて、領収書などの書類についての詳しい解説も紹介しますので、領収書の紛失で困っている方はぜひ参考にしてください。

領収書を紛失した際はどう対応すべき?

領収書は「金銭を受け取った」という事実を証明するための書類で、会計帳簿作成の根拠資料として必要です。領収書の受け手が一旦受け取った領収書を紛失した場合は支払いが証明できないため、税務調査において経費として認められなくなるリスクがあります。

しかし、支払ったのは事実ですから、何らかの対処が必要です。領収書を紛失した場合の対処法は、以下のものがあります。

  • 領収書の再発行をしてもらう
  • レシートで代用する
  • 出金伝票で代用する
  • 病院では支払証明書を発行してもらう※個人

これらのそれぞれについて、以下で詳しく見ていきましょう。

領収書の再発行について

領収書に紛失に気がついたら、まず試みるべきは再発行の依頼です。再発行してもらえれば、問題は解決します。ただし、多くの事業者は領収書を再発行してくれません。

その理由は第一に、領収書の再発行は法的に義務付けられていないためです。領収書の発行については支払者の求めがあれば求めに応じることが義務付けられていますが、再発行は発行者の裁量に任されます。

第二の理由は、再発行した領収書は悪用の可能性があることです。1回の支払いに対して2枚の領収書があれば、それぞれの領収書で経費申告が可能となり、「経費の水増し」ができてしまいます。領収書の再発行依頼を受ける側では、支払者が本当に領収書をなくしたのか、それとも経費の水増しをしようとしているのか区別ができないため、積極的に再発行に応じようとはしないでしょう。

もし経費水増しのための領収書再発行なら、それに応じてしまえば税務署から「脱税に加担している」とみなされてしまう可能性があります。そのため、多くの事業者は領収書の再発行に消極的なのです。

とはいえ、中には紙面に「再発行」と明記し、悪用を防いだうえで、領収書再発行に応じてくれる事業者もあります。会社の取引先などのため再発行依頼が失礼に当たるなどでなければ、まずは聞いてみて損はないといえるでしょう。

領収書をレシートで代用する

領収書を紛失してもレシートがあるならば、そのレシートが領収書の代わりになります。

会社での経費精算、あるいは確定申告での経費計上では、宛先に会社名が入っている手書きの領収書が必要と思っている方もいることでしょう。しかし、書類に支払先と発行の日付、支払った金額、明細が書かれていれば、費用計上の根拠資料として認められます。レシートはこの条件を十分満たしているため、領収書の代用として活用が可能です。

むしろ、レシートのほうが手書きの領収書より、税務上は信頼があるという意見もあります。手書きの領収書は「お品代」などと書かれているだけで取引内容の明細がない、あるいは金額や相手先の加筆・変更が可能など、税法上の問題点がレシートより多いからです。

ただし、レシートには宛名が記載されないため、会社の経費精算などでは、私的な買物を会社に経費請求する可能性を排除できません。そのため、基本的に会社の経費とするための領収書には、「宛名」を書いてもらいます。

また、レシートは感熱紙が使用されることが多いため、時間が経つと印字が薄れてしまいます。長期保存のためには、電子帳簿保存などの検討も必要となるでしょう。

領収書とレシートの違いについては、以下の記事で詳しく説明しています。

出金伝票の活用

出金伝票は、確定申告の際に領収書の代わりに使用できます。

出金伝票とは、個々の取引内容を記録するための伝票の一つです。以下のような、一般に領収書が発行されない取引は、出金の証明として出金伝票を作成します。

  • 電車やバスなどの交通費
  • 冠婚葬祭の慶弔費
  • 割り勘で支払った接待交際費
  • 自動販売機で購入した飲み物代

作成する出金伝票には、以下の項目を記載します。

  • 日付
  • 支払先(出金先)
  • 勘定科目
  • 適用(品物やサービスの内容)
  • 金額

これらの項目の記載により、やむを得ない場合には、出金伝票を領収書の代替として利用できます。領収書を紛失し、再発行できずレシートもない場合には、出金伝票を作成しましょう。

出金伝票の作成と併せて、業務日報を作成しているなら、支払いを裏付ける資料となるため一緒に保存しましょう。現金での支払いなら現金出納帳へも記載します。出金にかかわる契約書や納品書などがある場合には、それらも一緒に保存します。このように複数の書類を併せて保存することにより、出金伝票の信頼性が高まります。

ただし、支払者が自分で作成する出金伝票は、支払先から受け取る領収書のような、証拠としての客観性はありません。せいぜい「ないよりはあったほうがよい」という程度のものです。

高額な場合、あるいは出金伝票を頻繁に利用している場合には、税務調査で怪しまれる可能性があるため、多用は避けるのが賢明です。出金伝票を利用する際には、決裁権限者が支払いを承認するルールを設け、適切に運用するとよいでしょう。また、税務署は支払先に対して反面調査を行うこともあるため、架空の経費を出金伝票で計上するのは絶対にしてはいけません。

なお、領収書がない出費は必ず出金伝票を使用しなければならないというわけではありません。出張費や旅費の精算なら出張精算書、慶弔費なら冠婚葬祭に参加する旨を報告する社内報告書などの書類などが精算の根拠になります。社内規定により発行ルールが定められた書類や、社内で承認を受けた書類は出金伝票よりも信頼性が高いため、精算対象に応じて適切な書類を選択しましょう。

出金伝票について、詳しくは以下の記事をご覧ください。

病院では支払証明書を発行してもらおう

個人においては、高額医療制度の適用や、確定申告の医療費控除を受ける場合は、病院の領収書が必要です。病院の領収書を紛失した場合はどうすればよいでしょうか。

まず、病院に領収書再発行のお願いをしてみましょう。多くの病院では「領収書の再発行は行わない」と、領収書に明記してあります。ただし、これは「領収書再発行は事務手続きが煩雑になる」という病院側の都合なため、中には再発行してくれる病院もあるかもしれません。

次に、もし領収書の再発行をしてもらえなくても、病院では「支払額証明書」や「領収額証明書」などの名前の、支払った金額を証明してくれる書類を発行してくれます。発行手数料は有料とはなりますが、こちらを発行してもらいましょう。この証明書が医療費控除に有効かどうかは、病院によって異なるため尋ねる必要があります。

支払証明書発行の手数料は高い場合があります。発行してもらうかどうかは、医療費控除の還付金の金額がどの程度かによるでしょう。

なお、医療費控除を受けるためには「医療費控除の明細書」を作成する必要があります。一般的には領収書から作成しますが、医療保険者から交付を受けた医療費通知がある場合には、医療費通知の添付によって明細書の記載を簡略化することが認められています。

領収書を紛失したら再発行、またはレシート・出金伝票・支払証明書で代用しよう

領収書は経費精算や確定申告に必要な書類です。もし領収書を紛失した場合には、まずは再発行してもらえないかを聞いてみましょう。領収書再発行は悪用の可能性があるため、多くの事業者が消極的ですが、中には応じてくれる場合もあるでしょう。

再発行してもらえない場合には、レシートや出金伝票を領収書の代用にできます。病院での支払いは、支払証明書を有料で発行してもらうことで証明できるでしょう。

ただし、領収書の再発行はしないに越したことはありません。まずは領収書を紛失しないよう、大切に保管しましょう。

よくある質問

領収書を紛失したときはどうすればいい?

まずは再発行してもらえないか聞いてみましょう。再発行してもらえない場合は、レシートや出金伝票での代用、支払証明書の発行などの対処法があります。詳しくはこちらをご覧ください。

領収書はレシートで代用できる?

代用できます。そのほか、出金伝票や支払証明書などでの代用も可能です。詳しくはこちらをご覧ください。


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