• 更新日 : 2023年7月13日

インボイス制度が古物商に与える影響とは?特例も解説

インボイス制度が古物商に与える影響とは?特例も解説

2023年10月にインボイス制度が始まると、古物商も適格請求書を保存しなければ仕入税額控除の適用を受けられなくなります。ただし、古物商特例・質屋特例により、古物商が一定の要件を満たす場合は、適格請求書の保存が免除されます。

本記事では、古物商の定義や古物商特例を適用する際の注意点などをわかりやすく解説しています。

古物商が知っておきたいインボイス制度

2023年10月1日より、新たな消費税のしくみとしてインボイス制度が始まります。制度が開始されると、各業界でさまざまな影響が生じる見込みです。

インボイス制度が古物商に与える影響も少なくありません。税金や取引・事務の手間などに変化が生じることが予想されます。

まず、インボイス制度の概要や古物商の定義について確認しておきましょう。

参考:知っていますか?インボイス制度|国税庁

インボイス制度とは

インボイス制度(適格請求書等保存方式)とは、インボイスを交付・保存することで消費税を計算して納付する制度です。インボイス(適格請求書)とは、請求書や領収書などに「登録番号」「適用税率」「消費税額等」などが追加されたものを指します。

インボイス制度が始まると、買手は仕入税額控除が受けられるように、売手から交付を受けたインボイスを保存しなければなりません。一方、課税事業者の売手は、課税事業者の買手から求められた際にインボイスの交付や写しの保存が必要です。

つまり、今後買手はインボイスを発行できる業者と取引しなければ、仕入税額を控除できないおそれがあります。

インボイス制度の詳しい説明については、以下の記事も参考にしてください。

参考:インボイス制度の概要|国税庁

古物商とは

古物商とは、古物を売買する商売のことです。古物営業法第2条第1項第1号、第2条第3項では、古物商に関して詳しく定義されています。

古物商を営むためには都道府県公安委員会の許可を受けなければなりません(古物営業法第3条)。またインターネットを通じた取引をおこなう際に、許可を受けていることを取引の相手方に明らかにするために、HP上で「許可を受けた公安委員会名」「許可証番号」「氏名又は名称」の表示をすることが必要です。

古物商の許可が不要のケースもいくつか存在します。代表例が以下の通りです。

  • 自己使用していたものや、自己使用のために買ったが未使用のものを売却する場合
  • 顧客に売ったものを買い戻す場合や、買い戻した商品を転売する場合
  • 全くの無償、あるいは処分する手数料などを受け取って引き取ってきたもの

つまり自分が使っていたものを事業目的ではなくフリマアプリなどを通じて売却する場合は、古物商の許可が必要ありません。ただし古物商がオークションサイトやフリマアプリを利用する場合は、古物商であることの表示が必要です。

参考:古物商許可申請をされる方へ|警視庁
古物営業法Q&A|大阪府警察

古物商特例・質屋特例とは

インボイス制度が始まると、適格請求書などを保存し、仕入税額控除の適用を受けることになります。仕入税額控除とは、簡単にいうと、経費にかかる消費税のことです。納める消費税は「売上にかかる消費税額-仕入れ税額控除額」になるため、仕入税額控除が受けられないと、高い税額を納めることになります。

ただし、古物商で一定の要件を満たした場合、古物商特例(質屋の場合は質屋特例)により適格請求書(インボイス)を保存する必要はありません。

満たすべき主な要件は以下4つです。

  1. 古物商か質屋を営んでいること
  2. 古物・質物が適格請求書発行事業者以外からの仕入れであること
  3. 仕入れた古物・質物が棚卸資産であること
  4. 帳簿の保存

特例を適用する場合でも、帳簿の保存は必要です。

帳簿には、下記の5つの事項を記載します。

  • 取引先の氏名(名称)や住所(所在地)
  • 取引年月日
  • 取引内容
  • 支払対価の額
  • 古物商特例または質屋特例の対象となる旨

参考:古物商・質屋の方へ 消費税の仕入税額控除の方式として開始される適格請求書等保存方式(インボイス制度)に対応が必要となります。|和歌山県警察

古物商特例の注意点

古物商特例にはさまざまな要件が設けられていることから、特例適用時に注意が必要です。

まず、棚卸資産であることが要件のため、自社で使用するために購入した商品については、特例を適用できません。また、適格請求書発行業者でないことが要件のため、取引先がインボイス発行可能であれば、相手に発行してもらわないと仕入税額控除を適用できない点にも注意しましょう。

特例適用要件を満たしていることをはっきりさせるため、取引時に顧客に適格請求書発行者でないことを明記させることがポイントです。例えば、毎回買取時に顧客に記入してもらう書類に、「適格請求書発行事業者でない」という文言とチェック欄を付け加えておけば、スムーズに進められます。

インボイス制度開始後は古物商特例を意識する

2023年10月1日より、インボイス制度が始まります。以降、仕入税額控除するために適格請求書や帳簿の保存が必要です。

ただし古物商は、古物商特例を適用することで帳簿の保存のみの対応にできます。適格請求書発行事業者以外から購入した古物である、古物が棚卸資産であるなどが要件です。

これからは、古物商特例を意識しつつ営業するようにしましょう。

よくある質問

インボイス制度が古物商に与える影響はありますか?

はい、適格請求書を保存しておかなければ、今後仕入税額控除を受けられなくなります。詳しくはこちらをご覧ください。

古物商特例とはなんですか?

一定の条件を満たすことで、古物商が適格請求書を保存しなくても仕入税額控除を適用できる制度です。詳しくはこちらをご覧ください。


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