- 更新日 : 2024年10月17日
送付状の宛名の書き方は?御中や様の使い方も解説
ビジネスにおける書類のやり取りにはさまざまなマナーがありますが、書類を郵送する際に同封する送付状の宛名にもマナーと書き方があります。とくに「御中」や「様」といった、敬称をどのように使い分けたらよいのかわからない方もいるでしょう。
ここでは、送付状の宛名における、敬称の適切な使い分けと封筒への書き方について解説します。
目次
送付状の宛名の書き方
ビジネスにおいては請求書や見積書をはじめ、重要書類からメモ書きまで様々な書類に宛名を書く機会があります。宛先も顧客や社内の別部署の担当者など、多岐にわたります。宛名を書く際には、相手に応じた敬称を適切に使い分ける必要があります。
書類を郵送する際に同封する送付状にも宛先を記載しますが、その際にに添える敬称は相手に対するこちらの姿勢を示す重要な文言です。社会人として適切に敬称を使い分けられるよう、正しく把握しておく必要があります。
なお、送付状自体の書き方やテンプレートを参考にしたい場合は、以下の記事を参照ください。
宛名は敬称の適切な使い分けが重要
送付状の宛名の敬称を使い分けることは非常に重要です。例えば、取引先の企業宛の敬称と企業の担当者宛では、適切な敬称が異なります。誤った用い方をすると、差出人はもちろん、所属する部署や企業のマナーを疑われかねません。
送付状を受け取る相手にとって、送付状の差出人は単なる企業に所属する個人ではなく、企業の代表と捉えられます。常に社会人として恥ずかしくない振る舞いができるように、備えておきたいものです。
法人宛ての場合は「御中」
宛名が法人の場合、敬称は原則として「御中」を用います。
御中は宛先が個人名ではない場合の、法人に所属する皆様宛という意味があり、それ自体に敬称としての意味も込められている言葉です。法人宛以外にも、法人の部署宛や行政官庁などの団体宛にも用いられます。
担当者宛ての場合は「様」
宛先が担当者個人の場合は、敬称として一般に氏名の後に「様」と記載します。「様」は相手の地位や年齢、性別などに関係なく用いられ、尊敬の念を示す言葉です。書き言葉だけでなく話し言葉にも使えるため、幅広い場面で使われます。
例えば求人応募の際、採用担当者の氏名がわからなくても「採用ご担当者様」という使い方もできます。
受け取る担当者がわかっているのに「株式会社〇〇御中」にとどめることは避けましょう。送り先の企業のどこに届ければよいのかわからず、到着が遅れたり未着となったりするリスクもあるため注意しましょう。
教育者や特定の職種の個人には「先生」
宛先のなかには個人でも、特別な敬称で呼ばれる場合があります。その代表例が「先生」です。先生は主に教師や講師、大学教授、医師などに用いられますが、より広い範囲でいえば弁護士や税理士、作家などの専門家の敬称としても使われます。
ただし「先生様」や「先生殿」は二重敬称になるため、使い方としては誤りです。もし先生としてよいか迷った場合は、より広範囲で使える「様」とすることをおすすめします。
「殿」は原則として使わない
「殿」という敬称もありますが、基本的に目上の立場から目下に対して用いる敬称です。そのため、ビジネス上で取引先など、組織外とのやり取りには原則として使用しません。
よく用いられるのは、社内において上司が部下を表彰するようなケースです。ただし「殿」を用いるのは、あくまでも個人に対してであり、「総務部殿」など組織や部署に対して使うことは適切ではありません。
送付状の宛名を書く際の注意点
ここまでに紹介した宛名の使い分け以外にも、送付状の宛名には注意すべき点が3つあります。どのように使うべきなのか、わかりづらい点もあるため、この機会にきちんと把握しておきましょう。
「御中」と「様」を併用しない
転職活動における応募書類のように、礼儀を重んじる必要がある書類の宛先には「〇〇株式会社御中 人事課〇〇様」と併用したくなるかもしれません。しかし、この表現は不適切です。この記載の場合、企業宛なのか個人宛なのかが曖昧になっています。
そのため、宛先には「人事課〇〇様」と記入し、先方の担当者を絞ることが必要です。
連名の場合はそれぞれの名前に「様」をつける
同じ部署の担当者が2人いて連名の場合、並べて記載した2人の氏名に1つだけ「様」をつけた宛先はマナー違反です。この場合は両名に対して敬称がついていないと捉えられる可能性もあります。
連名の場合は、1人に1つずつ「様」をつけるのがマナーです。連名が3人でも4人でも、必ず1人ずつ「様」を書くようにしましょう。
複数の人に送る場合は「各位」を使用する
複数の人が宛先となる送付状の場合は、敬称に「各位」を用いるのがマナーです。各位には「様」の意味が含まれているため、以下のような誤った使い方をしないよう注意しなくてはいけません。
誤)株式会社〇〇 関係者各位の皆様 → 正)株式会社〇〇 関係者各位
誤)取引先各位様 → 正)取引先各位
いずれも「各位」と「様」の二重敬称となるため不適切です。
郵送する際の封筒と宛名
御中などの敬称は、送付状だけではなく、郵送する際の封筒にも記載します。封筒の宛名は、間違いなく先方に届けるために重要なものです。みやすく、明確に書くことが求められます。
また、先方から折り返し返送してもらう返信用封筒の書き方にも、特別な注意が必要です。ここでは通常の宛名に加え、返信用封筒の宛名の書き方について解説します。
郵送する封筒への宛名の書き方
こちらから郵送する場合の宛名は、次のような項目を、縦書きの場合は右から、横書きの場合は上から順番に、封筒へ記載します。
- 郵便番号:縦書きの場合は上部に横書きで記載
- 住所:都道府県名を省略せず、ビル名や部屋番号まで記載
- 法人名・組織名:会社形態(株式会社や有限会社など)を省略しない
- 部署名・役職・個人名:役職は4文字以内であれば同じ行の個人名の上に、5文字以上なら部署名の後に役職を書き次の行に個人名を記載
返信用封筒の宛名には「宛」または「行」
返答を文書で送ってもらう書類もあります。その場合、返信用封筒を同封しておくと、先方も返信しやすいためおすすめです。返信用封筒には、差出人である当方の宛名を書きますが、宛名の後には次のとおり「行(ゆき)」または「宛(あて)」を用います。
- 返信先の宛名が法人名や部署名の場合:〇〇株式会社 人事部 行 など
- 返信先の宛名の最後が個人名の場合:〇〇株式会社 人事部 採用担当〇〇(個人名) 宛 など
返送の際は、先方が当方に向けて敬称をつけることにはなりますが、現時点で当方がつけるのは誤りです。「御中」や「様」をつけることのないよう注意しましょう。
こちらから返信する場合は「行」を消して「御中」
返信用封筒を使って先方に郵送するときは、記載されている「行」または「宛」を二重線で消し、「御中」または「様」に書き直すのがマナーです。先方は当方に敬意を払う意味で「行」や「宛」を用います。そのため、敬称を正式なものに直した後、発送しなくてはいけません。
御中などの敬称は送付状にも適切に用いよう
書類を送付する際に送付状を同封することはビジネスにおけるマナーの1つです。記載する内容はもちろん、よりわかりやすくするためには、書く位置や文字の大きさにも配慮しなくてはなりません。なかでも戸惑うことが多いのは「御中」など敬称の用い方です。
「御中」は法人名や続く部署名に、さらに詳しく担当者名を宛名とするときは「様」を用います。また返信用封筒には、こちらに送り返すものには「行」または「宛」を、先方へ返送するときはこれらの敬称を二重線で消し「御中」または「様」に書き換えるのがマナーです。
送付状の宛先に用いる敬称を適切に用いるためには、宛先が法人・部署名なのか個人名なのかを事前に判断しましょう。
よくある質問
送付状の宛名の書き方は?
届けたい相手に確実に届くよう相手によって敬称を適切に用いて宛名を書きます。詳しくはこちらをご覧ください。
御中と様はどのように使い分ける?
法人や部署宛なら「御中」、個人宛なら「様」を用いるのが基本です。詳しくはこちらをご覧ください。
※ 掲載している情報は記事更新時点のものです。
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