• 更新日 : 2022年12月21日

インボイス制度がフリーランスライターに与える影響まとめ

インボイス制度がフリーランスライターに与える影響まとめ

新たに導入されるインボイス制度は、フリーランスや個人事業主のライターにも影響を与えます。免税事業者のままだとインボイスを発行できず、取引相手は消費税の仕入れ額控除を受けることができません。免税事業者は課税事業者になるか判断しなくてはなりません。

今回はインボイス制度がフリーランスのライターにどのような影響を与えるかについて紹介します。

フリーランスライターが知っておきたいインボイス制度

2023年10月1日から導入されるインボイス制度(適格請求書等保存方式)は、売り手が買い手に対し、適用税率及び消費税額などを記載した「インボイス(適格請求書)」を交付する制度です。これまでは消費税の納付義務がなかった免税業者にとって、取引の状況に影響を与える可能性があります。

ここではインボイス制度の概要を説明し、課税事業者と免税事業者の違いについて紹介します。

インボイス制度とは?

インボイス制度とは「インボイス」の交付と保存により、仕入税額控除が受けられるものです。インボイスとは正確な適用税率や消費税額等を記載した書類で、買い手が売り手にインボイスを交付し、売り手が保存することで仕入税額控除の適用を受けることができます。

売り手であるフリーランスや個人事業主のライターは、「適格請求書発行事業者」でなければインボイスを発行できません。

一方の買い手側はインボイスを受け取らないと仕入税額控除ができないため、これまでより支出が増えることになります。

インボイス制度は、以下の記事で詳細を説明しています。

参考:国税庁 インボイス制度の概要

課税事業者と免税事業者の違いは?

課税事業者とは、消費税を納付する義務がある法人や個人事業主です。所定の期間内において年間の課税売上高が1,000万円を超える場合は課税事業者になります。

一方で免税事業者とは、所定の期間内において年間の課税売上高が1,000万円以下の事業者で、受け取った消費税の納付義務はありません。ただし免税事業者のままではインボイス制度の適格請求書発行事業者になれず、買い手からインボイスの交付を要求されても対応できないことになります。

課税事業者については、以下の記事で詳しい内容を確認できます。ぜひチェックしてみてください。

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フリーランスライターが受けるインボイス制度の影響

インボイス制度の導入により、フリーランスや個人事業主のライターは影響を受ける可能性があります。課税事業者の要件に当てはまらなければ課税事業者にならなくてもよく、消費税の申告義務はありません。

しかし免税事業者のままでは不利になる場合があります。フリーランスなどのライターがインボイス制度で受ける影響をみていきましょう。

消費税の申告が必要な場合

フリーランスや個人事業主のライターは、前々年度の課税売上高が1,000万円を超える場合、もしくは前年の1月1日から6月30日までの課税売上高が1,000万円を超え、かつ給与等支払額が1,000万円を超えている場合は課税事業者となり消費税の申告が必要です。

これらに該当しない場合は免税事業者となり、消費税の申告義務はありません。ライターの執筆料に加算される消費税はそのまま受け取ることができます。

免税事業者が不利になる可能性も

現在の取引では、課税事業者は消費税を算出する際に課税売上の消費税から課税仕入れの消費税額を仕入税額控除として差し引くことができます。ライターに執筆を依頼する外注費も課税仕入れとなり、発注元が課税事業者の場合は支払った執筆料の消費税は仕入税額控除の対象です。

しかし、2023年10月から導入されるインボイス制度のもとでは、仕入税額控除を受けるためにインボイスが必要になります

免税事業者はインボイスを発行できないため、フリーランスのライターは免税事業者のままだと取引で不利になる可能性があるのです。

仕入税額控除は直ちに受けられなくなるのではなく、制度の導入から6年間は経過措置が設けられています。しかし、課税事業者である取引先にとって負担が大きくなることには変わりありません。

フリーランスライターに求められる対応

インボイス制度の導入を前に、フリーランスや個人事業主のライターは何らかの対応が必要です。課税事業者と免税事業者に分けて説明しましょう。

課税事業者の場合

課税事業者のフリーランスライターの場合、適格請求書発行事業者の登録申請書を税務署に提出すればインボイスの発行ができます。

インボイス制度がスタートする2023年10月1日からすぐにインボイスを発行できるようにするには、2023年3月31日までに登録申請書の提出が必要です。登録申請書の受付はすでに始まっているため、早めに提出しておきましょう。

免税事業者の場合

フリーランスや個人事業主で働くライターの多くは免税事業者であり、そのままではインボイスの発行ができません。ライティングの発注元が課税事業者である場合、インボイスを発行できないことで取引が中止になる可能性があります。消費税の控除ができない分、執筆料の減額を交渉される場合もあるでしょう。

そのような事態を考慮した上で適格請求書発行事業者になるのであれば、まず「消費税課税事業者選択届出書」を提出して課税事業者にならなければなりません。

届出を出して課税事業者になれば、年間の売上高が1,000万円以下であっても消費税の申告義務が生じます。納税事務の負担を軽くするためにみなし仕入れ率を適用できる簡易課税制度もありますが、これまでは納付義務を免れていた消費税を納付することになるのは変わりありません。

インボイス制度がスタートする2023年中に適格請求書発行事業者の登録をすれば登録を受けた日から課税事業者となり、消費税課税事業者選択届出書を提出しなくて済みます。

フリーランスライターの収入への影響は?

インボイス制度の導入により、フリーランスや個人事業主であるライターの収入が変わらない場合と変わる場合があります。

収入が変わらないのは課税事業者の場合であり、免税事業者の場合は収入が下がる可能性が高いでしょう。それぞれのケースを説明します。

収入が変わらないケース

ライターがすでに課税事業者である場合、収入はほとんど変わらないと考えられます。適格請求書発行事業者に登録すればインボイスを発行でき、発注元が課税事業者であってもこれまで通り仕入税額控除を受けられるためです。取引はそのまま継続される可能性が高いでしょう。

免税事業者のままでも、発注元が課税事業者でなければインボイス制度の影響は受けず、基本的に収入の変化はないといえます。

収入が下がるケース

ライターが免税事業者の場合はインボイスを発行できないため、課税事業者の発注元が不利益を受けます。同じような仕事ができる課税事業者がいれば、そちらに仕事を依頼する可能性も考えられます。あるいは、仕入税額控除ができなくなった分、減額の交渉をされるかもしれません。いずれにせよ、収入が下がる可能性が高いです。

そのような状況を避けるために課税事業者になる場合も、消費税の納付義務が生じます。これまで利益となっていた消費税を納付することで、収入が下がる結果になると考えられます。

フリーランスライターは早めにインボイス制度の対応を決めよう

フリーランスや個人事業主のライターは、インボイス制度により影響を受ける可能性があります。ライターが免税事業者の場合は課税事業者との取引でインボイスの交付ができないため、取引が中止になるかもしれません。課税事業者になれば、これまでは納付義務のなかった消費税を申告することになります。
取引の状況に合わせ、対応方法を早めに決めるようにしましょう。

よくある質問

フリーランスライターはインボイス制度の影響を受けますか?

インボイス制度導入後も免税事業者のままでいる場合、取引が中止になるなどの影響が出る可能性があります。詳しくはこちらをご覧ください。

フリーランスライターはインボイス制度に備えてどのような対応をすべきですか?

課税事業者の場合は適格請求書発行事業者に登録する必要があり、免税事業者の場合は課税事業者になるかどうかの検討が必要です。詳しくはこちらをご覧ください。


※ 掲載している情報は記事更新時点のものです。

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