- 更新日 : 2023年3月23日
請求書業務の代行とは?外注先の選び方やメリットを解説
請求書業務は膨大な書類をミスなく処理するスキルが求められ、負担が大きくなりがちな仕事です。請求書に関する業務量の多さが課題になっている場合は、外注サービスの活用を検討しても良いかもしれません。
請求書業務の代行業者や発行・受け取りシステムなどを利用すれば、業務の大部分を削減できます。今回は請求書代行サービスでできることや外注先の選び方、メリットについて解説します。
目次
請求書業務の外注(代行)サービスとは?
お金にかかわる請求書関連の業務はミスが許されません。回収にも関与するため心理的な負担も大きくなりがちです。請求書業務の外注によって、請求書の作成や送付にかかる事務作業以外に、代金の回収や与信審査などの負荷が高い業務まで削減できます。
対応範囲が多岐にわたるため、経理部門のスリム化にもつながります。請求書代行業者やシステムが対応できる具体的な業務内容は次のとおりです。
請求書の作成代行
請求書作成サービスは請求書の作成や発行、封入、郵送などを請け負い、業者への依頼とシステム利用の2種類に大きく分かれます。
業者が請け負う請求書の作成代行サービスは、請求アウトソーシング業者のほか、税理士事務所や経理事務所が事業の一環で手掛ける場合もあります。
請求書発行システムの場合、フォーマットやレイアウトを作成して販売管理システム等から各種帳票データをアップロードするだけで、請求書の作成・発行が可能です。請求書以外に見積書や注文書、納品書、領収書などの発行にも対応していることが多いです。
代金の回収代行
代金の回収業務を代行するサービスも存在します。具体的には。掛け売りで支払いが滞っている場合の督促や、未回収金の取り立ても代行します。心理的負担の大きい業務を一任できるため、経理担当者の負担軽減につながるでしょう。
回収代行サービスの中には、貸し倒れや焦げ付きなどの事態に対して債権を保証するサービスもあります。請求書代行サービスを利用することで、未回収リスクの不安が軽減し、安定した利益を確保できるようになる可能性が高いです。
また、取引先からの入金確認も一任できます。取引数が多いと金額の照合だけでも多大な労力を要するため、効率化に役立ちます。
与信審査の代行
掛け売りは当事者間の信頼関係によって成り立つため、取引先を信用できるかが重要です。返済能力をはじめ、信用度を図るために行われるのが与信審査です。
請求代行サービスでは、与信審査にかかる業務も代行しています。自社で審査を行う場合、基準の設定やデータベースを活用した財務状況のリサーチなどに時間を要してしまいます。
取引にいたる過程がスムーズでないと契約をキャンセルされる恐れもあり、重大な機会損失を生みかねません。請求代行サービスでは業態・業種にかかわらず素早い審査が可能なものもあります。
取引先が増えるほど与信審査にかかる負担は大きくなります。請求業務のスリム化を目指すなら、与信審査に応じているサービスの利用がおすすめです。
請求書業務を外注するメリット
請求書業務を外注する一番のメリットは業務効率化です。請求書の発行だけでなくさまざまな業務を委託できるため、経理担当者の負担を大きく軽減できるでしょう。
郵送代や印刷費、人件費の大幅な削減につながりやすいのも、請求書業務を外注する強みです。また、チェックや送付時のヒューマンエラーを防ぐことにもつながります。
上記のような請求書業務を外注する3つのメリットについて、それぞれ詳しく説明します。
業務効率化に寄与する
請求書の作成やチェック作業を削減できるため、業務効率化に繋がります。コア業務へ重点的にリソースを割けるようになり、月度や年度の締めの早期化につながります。
企業成長において決済業務の効率化が重要だと考える企業は少なくありません。
BtoB取引においては未だに請求書払いが主流のため、キャッシュレス決済が進んでいないのが現状です。請求書代行を活用することにより、封入や発送などの事務処理を大幅に減らせるだけでなく、督促のような心理的負荷の高い業務まで外注できることもあります。
請求書業務の効率化を考えるなら、ぜひ外注を検討してみてください。
コスト節約につながる
請求書業務の外注化によって、人件費や用紙代、印刷代、封筒代などのコストを節約できる場合もあります。請求書代行サービスは月額費用無料のものも多く、コストを抑えて利用可能です。
業務削減の結果、従業員はコア業務に集中できるようになるため、業務効率化にもつながります。
経理は高い専門性を有する仕事のため、人材の確保が難しいのも特徴です。せっかく採用したのに短期離職してしまうと、採用コストが生じます。アウトソーシングは人員不足の解消や採用コストの削減につながる有用なサービスです。
人為的なミスの発生を防げる
作業をシステムに委ねることで、宛先の誤りや請求漏れのような人為的なミスの発生を防げます。手作業では請求書の郵送先を間違うなど、ヒューマンエラーのリスクをゼロにはできません。
とくに取引先の数が少なく請求書の発行を頻繁に行わない企業や、担当者の経験が浅い場合はミスが発生しやすいです。積極的に研修を行う余裕がない場合は、アウトソーシングを活用した方が短期間で効果を期待できるでしょう。
請求書業務を外注する際のポイント
請求書業務の外注を活用する場合、外注に切り替える際に業務フローを変更することになるため、新たなシステムの活用方法を関係部署に周知しなくてはいけません。また、請求書代行サービスは便利な反面、長期的な観点では社内にノウハウが蓄積されないリスクもあります。
万一金額に誤りがあった場合、修正の手続きが煩雑になりがちなのもデメリットと言えるでしょう。
ここでは、以上のような請求書業務の外注時に意識すべきポイントを解説します。
請求書代行サービスの活用方法を社内に周知する
請求書代行サービスの導入にあたって、新たな業務フローを構築する必要があります。
変更後のルールにスムーズに移行できるよう、関係部署に対する周知の徹底が必要です。部署や社員間で認識のズレがあると、アウトソーシングのメリットを十分に享受できません。
具体策としては全社規模のセミナーの開催や、情報共有の場を整備しておくことなどが挙げられます。利用時の疑問やトラブルを集約して受け付ける問い合わせ先のルートも準備しましょう。
スムーズに切り替えが進むとは限らないため、社内で混乱が生じたときの体制の整備が重要です。
安易な丸投げは避けた方がよい
業務負担が減る反面、請求書業務のノウハウを社内に蓄積するチャンスを棒に振ることになってしまうため、安易な丸投げは好ましくないと言えます。
配置換えによって人員を減らしてしまうと、外注をストップした際、内製化を始めるのが難しくなります。将来的にノウハウの伝承や継承を考えているなら、委託業務範囲を限定するのもおすすめです。
人手の余裕がない中小企業でも、極力請求業務は複数人で回すよう心がけましょう。専門的な知識を持つメンバーが抜けても、知識やノウハウの伝承によって業務が滞るリスクを抑えられるからです。
ツールや外注は便利な方法ですが、丸投げや依存につながらないよう気を付けましょう。予算的な余裕があっても、中長期的に考えると企業の衰退を招きかねません。
請求書の修正や内容変更が難しくなる
請求代行サービスでは、突発的な修正や急な内容変更に対して柔軟な対応ができない可能性があります。代行先に変更の旨や修正内容を伝える必要があり、時間がかかりやすいためです。
また、請求情報を業者やシステムに送る作業は自社で行わねばなりません。そもそもデータの生成時にミスがあると、後の訂正や変更が難しくなってしまいます。
請求書の記載に不備が多いのであれば、まずは細かな見落としをなくすことを心がけましょう。
請求書代行の外注先を選ぶポイント
数あるサービスの中から自分に合った業者を選ぶためのポイントを紹介します。
- 幅広い業務に対応しているか
- セキュリティ対策は充実しているか
- 会計ソフトや基幹システムとのデータ連携は可能か
業務の幅広さを基軸に据えると、自社のニーズに合ったツール選びにつながります。請求書は重要な機密情報が記載された書類なため、セキュリティ対策の充実度も重視すべきポイントです。また、使いやすさや操作性の観点から、自社システムとの互換性も考慮する必要があります。
幅広い業務に対応しているか
請求書の発行だけでなく、入金管理や代金回収、消し込み、督促、与信管理など、幅広い業務まで請け負っているサービスを選んだほうがよいでしょう。中には、給与計算や勤怠管理のような、経理以外のジャンルにも手を広げている会社もあります。
業務範囲が狭いサービスは料金が安価に利用できる傾向はありますが、業務効率化の実現には不向きです。イレギュラー対応に応じているか、依頼から作業までどの程度の時間を要するかなど幅広い観点で業者選びを進めると良いでしょう。
セキュリティ対策は充実しているか
取引先の情報や売上金額などは重大な機密情報です。請求書代行サービス選びではセキュリティ体制の確認が、極めて重要になります。クラウド型のサービスは場所や端末にかかわらずアクセス可能なため、情報漏洩やハッキング被害のリスクも考慮しなくてはなりません。
請求書業務代行サービス側で講じている対策の内容やスタッフへの教育体制をチェックするようにしましょう。アクセス時の認証方式、権限設定、IP制限、個人情報の取扱いなど詳細な部分まで確認しましょう。第三者による監査の仕組みはあるか、脆弱性のモニタリングは行っているかなども要確認です。
会計ソフトや基幹システムとのデータ連携は可能か
販売管理システムや会計ソフトなどとの連携ができないと業務効率化にはつながりません。
依頼先によって管理システムも異なるため、自社のツールに対応しているか要チェックです。
会計システムと連携できれば請求内容を転記する手間を省けるため、作業時間の短縮化や人的ミスの減少を期待できます。
連携方法には自社システムで作成したCSVファイルを外部ツールにインポートする方法が一般的です。転記の必要がなくAPI処理で自動連携が可能なサービスもあります。効率化のためにどのような機能が欲しいか確認した上で選びましょう。
請求書代行サービスの対応範囲は広い
経理部門は、利益を回収する重要な役割を持っています。正確性やスピードが求められるほか、債権回収時の心理負担を考えると大変な仕事です。アウトソーシングは手軽に請求書業務を削減できる方法と言えるでしょう。
請求書代行サービスは請求書の作成や発行のほか、与信審査や売掛金の回収などを外注できます。請求書関連の業務を大幅に削減できるため、業務効率化やコスト削減に効果的です。
業者選びでは対応範囲やセキュリティ対策の充実度、基幹システムとの連携は可能かなどのチェックが必要です。
よくある質問
請求書業務の外注とは?
請求書の作成や送付などのアウトソーシングを指し、業者によっては消込や回収、与信審査にも対応しています。詳しくはこちらをご覧ください。
請求書を代行依頼するメリットは?
自社でこなすべき請求書関連の業務が減り、業務効率化やコスト削減、ミスの防止が期待できます。詳しくはこちらをご覧ください。
※ 掲載している情報は記事更新時点のものです。
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