• 更新日 : 2023年4月21日

請求書の時効は何年?未払い・未請求の売掛債権が消滅する期限

請求書の時効は売掛金の発生時期により、5年か2年と定められています。では、時効が迫っている場合は、どのような対処をすべきでしょうか。本記事では請求書の時効を延ばす方法や、請求書の未払い・出し忘れが発生した場合の対処方法について解説していきます。

請求書の時効は売掛金の発生時期によって変わる

2020年(令和2年)に民法の債権関係の規定が改正され、これまで2年だった時効期間が5年になりました。以前は職業ごとに短期の時効(報酬債権は2年)が定められていましたが、国民一般にはわかりにくかったため、5年に統一されたようです。

上記の理由により、請求書の時効は売掛金の発生時期により5年か2年と定められています。

売掛金の発生時期民法の適用時効
2020年4月以降新民法5年
2020年3月以前旧民法2年

請求書の法律については、別の記事で詳しく解説しています。

請求書発行後に未払いが発生した場合の3つの対応方法

請求書を送ったにもかかわらず未払いが発生した場合は、以下のように対処するといいでしょう。

  • 先方の担当者に連絡して確認する
  • 内容証明書を送付する
  • 支払督促を申請する

いきなり内容証明を送付したり支払の督促を行ったりすると、取引先との関係に支障をきたす恐れがあります。まずは請求内容を確認して、こちらに非がない場合は、先方の担当者に連絡して確認をとるようにしましょう。

先方の担当者に連絡して確認する

請求内容に問題がない場合は、先方の担当者にメールまたは電話で連絡しましょう。その際は取引先を責めたり、勝手な入金を指示したりしてはいけません。

未払いの原因の多くは、請求書の紛失などにより支払い手続きが漏れていることにあります。連絡して確認すると、すぐに支払うよう対応してくれる場合がほとんどのため、入金予定日などを確認して、請求書を再発行する準備を進めるといいでしょう。

まれに取引先が故意で代金を支払わない場合もあります。その場合は内容証明郵便を送付して支払いの催促を行い、法的手段を検討する必要があります。

内容証明郵便を利用する

電話やメールにより連絡が取れない場合や、相手から明確な返答が得られない場合は、内容証明郵便を利用して文書を送付するようにしましょう。内容証明郵便とは、郵便物の内容を記録に残して文書を送付する方法です。

「いつ・誰が・どこに・どのような文書を送ったのか」を公的に証明できるため、支払いを催促した記録を残すことができます。内容証明郵便による催促は法的な「催告」にあたり、時効を6ヶ月延長することができます。

支払督促を申請する

内容証明郵便により催告を行っても入金されない場合は「支払督促」の申し立てに向けて準備を進めましょう。

簡易裁判所へ支払督促を申し立てることにより、裁判所から支払督促が発付されます。債務者(取引先)が支払督促を受け取ってから2週間以内に異議の申し立てを行わない場合は、債権者(自社)の申し立てにより強制執行の手続きが行えます。

債務者(取引先)が異議の申し立てを行った場合は請求額に応じて、地方裁判所または簡易裁判所で民事訴訟の手続きへと移行することになります。強制執行手続きが行われた場合は、債務者(取引先)の預金や財産が差し押さえられ、裁判所は強制的に未払い金が支払われるよう手続きを実行します。

請求書の未送付が見つかった場合の対応手順

支払いがなかった原因が請求書の未送付であった場合は、以下のように対応しましょう。

  1. ミスが発生したことを上司と先方に連絡する
  2. すぐに請求書を再発行して送付する
  3. 社内でミスが発生した原因を究明して改善策を考える

1.ミスが発生したことを上司と先方に連絡する

まずは自身(もしくは他の担当者)のミスにより、取引先へ請求書が送付できていなかったことを上司へ報告するようにしましょう。この場合は費用が入金されないことよりも、こちらのミスにより取引先へ迷惑をかけてしまうことのほうが問題だからです。

請求書が未送付であったことに気づいた経緯や、社内で他に送付した人がいなかったことを上司へ伝え、今後の対応について指示をあおぎます。場合によっては取引先へ伺い、直接の謝罪が必要になるかもしれないため、決して自己判断で行動することのないようにしましょう。

2.すぐに請求書を再発行して送付する

取引先へ連絡して理解が得られた場合は、早急に請求書を再発行して送付します。請求書を再発行するためには新たな入金日を記載する必要があるため、忘れずに取引先と調整しておくようにしましょう。

WordやExcelで請求書を作成している場合は、記載をミスしないよう慎重に請求書を作成します。請求書作成ソフトなどを利用して請求書を作成している場合は、入金日などを編集して再度発行するといいでしょう。

3.社内でミスが発生した原因を究明して改善策を考える

取引先からの入金が確認できたら、請求書が未送付だった原因を究明して、再発防止策を講じましょう。単なるヒューマンエラーで片付けてしまうと、また同じミスを繰り返してしまう可能性が高いからです。

以前も同じようなミスがあった場合は、請求書を送付する仕組みに問題がある可能性が高いため、請求書の送付方法自体を見直す必要があるかもしれません。

請求書を送り直しても時効は延びない

請求書を送ったにもかかわらず、取引先から入金されないまま時効が迫っている場合は、時効を延ばすために法的手段を用いる必要があります。請求書をいくら送り直したとしても、そのたびに時効が更新されるわけではないからです。

先述の通り時効が成立する前に請求書を送り直せば「催告」として時効が6ヶ月延長されますが、この延長は1度しか認められません。そのため、時効が迫っている場合は、提訴や督促の申し立てによる法的手段を検討する必要があります。

時効を延ばすためには内容証明郵便で請求書を送る方法が有効

取引先からの未入金に気づいてから1度も催促を行っていない場合は、内容証明郵便を利用して再度請求書を送付するようにしましょう。内容証明郵便は送付日時や内容などが記録されるため、時効を一時的に延ばす「催告」に適しているからです。

内容証明郵便を送付する際は以下のものを準備しておきましょう。

  • 取引先に送付する内容文書
  • 内容文書の謄本2通(差出人および郵便局で保存)
  • 取引先および自社の住所を記載した封筒
  • 内容証明料を含む郵便料金

時効の中断が必要であれば提訴の準備を進めること

時効の中断を行うためには以下のような方法が有効です。

  • 少額訴訟を行う
  • 民事調停の申し立てを行う
  • 強制執行の申し立てを行う

時効が成立してしまうと、入金を請求する権利が消滅してしまいます。法的手段による申し立てを行う場合は訴訟費用がかかりますが、請求権が消滅することを考えると多少の費用は仕方ないと考えたほうがいいかもしれません。

売掛金の未回収を防ぐポイント

売掛金の未回収を防ぐためには、請求書作成ソフトの活用をおすすめします。請求書作成ソフトを活用することにより、請求書の作成日や送付日、現在の入金状況などが確認できるようになるからです。

また、システムを利用することでヒューマンエラーによるミスも防げるため、売掛金の未回収などの問題が生じた場合でも早急に対処できるはずです。問題が長期化して請求書の時効が迫る前に、問題に早く対処できる環境を構築すると良いでしょう。

支払期限の設定方法については、別の記事で詳しく解説しています。

請求書には有効期限があるため管理を徹底しよう!

本記事では請求書の時効や、時効が迫っている場合の対処方法について解説してきました。2020年4月以降に発生した売掛金の時効は原則として5年ですが、4月以前の時効は2年のため請求書の日付に注意して確認するようにしましょう。

発行する請求書の枚数が多くなってきた場合は、有効期限の把握が難しくなるのではないでしょうか。有効期限が把握しきれなくなってしまうと、売掛金の未収や請求書の送付漏れなどのミスに発展してしまうかもしれません。大きな問題に発展する前に、請求書作成ソフトの利用などを検討してはいかがでしょうか。

よくある質問

請求書の時効は何年ですか?

売掛金の発生時期により、5年か2年と定められています。2020年(令和2年)の法改正により、これまで2年だった時効期間が5年となりました。詳しくはこちらをご覧ください。

請求書の未送付が見つかった場合の対応方法は?

取引先への謝罪が必要になる場合もあるため、まずは上司に相談しましょう。その後は入金日の調整を行い、請求書を再発行して取引先へ送付します。再発行する際は、入金日などを編集する必要があります。詳しくはこちらをご覧ください。


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