• 作成日 : 2022年6月10日

インボイス制度が整体院や整骨院に与える影響まとめ

インボイス制度が整体院や整骨院に与える影響まとめ

2023年10月から導入されるインボイス制度とは、所定の要件を満たした適格請求書を交付・保存することで仕入税額控除が受けられる制度です。インボイス制度の導入によりさまざまな事業者に影響を与えます。

整体院や整骨院、鍼灸院などにも影響がある場合があり、制度導入に向けて対応が必要です。

本記事では免税事業者と課税事業者について紹介するとともに、整体院や整骨院の収益にどのような影響があるかについて解説します。

整体院や整骨院とインボイス制度の関わり

インボイス制度は、正式名称を適格請求書保存方式といいます。所定の記載要件を満たした適格請求書(インボイス)の発行を受けて保存することにより、消費税の仕入税額控除を受けることができる制度です。取引における消費税額を正確に把握することを目的としています。

制度は売主と買主の双方に適用され、売主は買主からインボイスを求められた場合は交付しなければなりません。買主は、原則として売主から交付を受けたインボイスの保存が必要です。

インボイスを発行するためには、制度が始まるまでに「適格請求書発行事業者」の登録を受けなければなりません。

参考:国税庁 インボイス制度の概要

整体院や整骨院にはどんな影響があるのか

インボイス制度によって影響を受けるのは、取引の相手が課税事業者の場合です。そのため、整体院や整骨院の顧客のほとんどが個人客の場合はあまり影響を受けません。免税事業者のままでも問題がないともいえるでしょう。

しかし、課税事業者である法人客を持つ整体院や整骨院は、インボイスを発行できる適格請求書発行事業者であることが必要です。

整体院や整骨院はどんな対応をしなくてはならないのか

課税事業者の顧客がいる整体院や整骨院は、治療費を支払った顧客からインボイスを請求されることになります。インボイスを発行するためには、免税事業者でも適格請求書発行事業者にならなければなりません。

適格請求書発行事業者になるには、届出書を提出し、課税事業者に変更する必要があります。ただし、2023年10月1日に属する課税期間中、適格請求書発行事業者の登録を受ける場合は、登録を受けた日から課税事業者になるという経過措置が設けられています。この経過措置を受ける場合は、課税事業者に変更する届出は必要ありません。

登録手続きは申請書を管轄の税務署に提出し、審査を受けるという流れです。審査に通過して手続きが完了してから、通知と登録番号が送られてきます。

申請の受付は2021年10月1日から開始されており、制度が導入される2023年10月1日から登録を受けるには、原則として2023年3月31日までに申請が必要です。

インボイス制度については、以下の記事で詳しく解説しています。ぜひ参考にしてください。

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課税事業者と免税事業者のおさらい

インボイス制度の影響を受けるのは課税事業者と、課税事業者と取引のある免税事業者です。インボイス制度が始まる前に、課税事業者と免税事業者について確認しておきましょう。

それぞれの概要を紹介します。

課税事業者とは

課税事業者とは消費税を除く年間売上が1,000万円を超え、消費税の納税義務がある法人や個人事業主のことです。

課税事業者はインボイスの発行が義務となるため、適格請求書発行事業者の登録をしなければなりません。適格請求書発行事業者として登録を受けると、取引先の求めに応じたインボイスの交付と保存が必要です。

免税事業者とは

免税事業者とは消費税を除く年間売上が1,000万円以下の事業者で、多くの個人事業主やフリーランスが該当します。

免税事業者は適格請求書発行事業者登録ができず、インボイスの交付ができません。課税事業者はインボイスを受け取れないと、取引で支払った消費税につき仕入税額控除を受けることができなくなります。

そのため、免税事業者は課税事業者から取引を断られる可能性があるでしょう。課税事業者と適格請求書発行事業者の登録をしなければ取引先が減り、収入が減少する可能性があります。

参考:国税庁 No.6501 納税義務の免除

整体院や整骨院の収益はどうなる?パターン別に整理

インボイス制度導入後、整体院や整骨院の収益は変わる場合と変わらない場合があります。まず、免税事業者でも顧客が個人客だけの場合は変わらないと考えられます。

しかし、免税事業者が課税事業者に変更した場合は消費税を納付する義務があり、これまでよりも収益が減ります。また、免税事業者のままでも収益が減る可能性があるでしょう。

それぞれ、ケース別に紹介します。

収益が変わらないケース

整体院や整骨院の収益が変わらないのは、以下のようなケースです。

  • 免税事業者で、顧客が完全に個人客である場合
  • 課税事業者で、適格請求書発行事業者登録をしている場合

免税事業者で顧客が完全に個人客である場合は、インボイスの交付が必要ありません。これまでどおり、受領した消費税は収益となります。

課税事業者が適格請求書発行事業者登録をしている場合は法人客が顧客でもインボイスの交付ができるため、顧客を減らすことなく収益も変わらないでしょう。

収益が下がってしまうケース

一方、インボイス制度が施行されると収益が下がるのは、顧客に法人客が多い場合です。
インボイスを発行できない免税事業者との取引は仕入税額控除が認められないため、ほかの整体院や整骨院に移動する可能性があるでしょう。そのため、売上が減ることになります。

取引先を減らさないために適格請求書発行事業者登録をする場合でも、収益は下がります。これまで、免税事業者は消費税を納付する義務を免れていたため、受け取った消費税は収益となっていました。

しかし、課税事業者になれば消費税を納付しなければならず、これまでの収益はなくなります。

整体院や整骨院はインボイス制度の影響について考えよう

インボイス制度の施行にあたり、これまで免税事業者であった整体院や整骨院は収益が下がる可能性があります。顧客に法人客が多い場合は、課税事業者および適格請求書発行事業者の登録も検討しなければなりません。

マネーフォワード クラウドの「インボイス制度の登録申請」なら、適格請求書発行事業者の登録申請書をフォームに沿って入力するだけで簡単に作成できます。

「インボイス制度の登録申請」なら、適格請求書発行事業者の登録申請書をフォームに沿って入力するだけで簡単に作成できます。

登録申請書の受付は既に開始しています。インボイス制度が始まる2023年10月1日から登録を受けるには、原則として2023年3月31日までに申請を行う必要があるため、できるだけ早めに準備するとよいでしょう。

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よくある質問

インボイス制度とは?

消費税率、消費税額などの記載要件を満たした適格請求書を発行・保存する制度で、仕入れ側は消費税の仕入税額控除を受けることができます。詳しくはこちらをご覧ください。

インボイス制度の導入で整骨院や整体院の収益はどうなる?

顧客が個人か課税事業者であるかで異なります。詳しくはこちらをご覧ください。


※ 掲載している情報は記事更新時点のものです。

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