- 更新日 : 2023年7月28日
工事における納品書の書き方は?建設業向けのテンプレをもとに解説
受注した工事の完了後に客先に納品書を送付することがあります。工事を行う場合、納品書の送付は義務になるのでしょうか。建設業の納品書のテンプレートを例に、書き方や発行のタイミング、注意点などを解説していきます。
目次
工事における納品書とは
納品書は、顧客に引き渡す納品物を示す書類です。建設業のように工事を行う業種では、どのような工事を行ったかを納品書に記載します。
納品書の役割
工事の納品書は、工事を行った業者がどのような工事を行ったかを記載して顧客に提示する書類です。顧客は見積書記載の工事内容などと比較して、漏れなく工事が行われたどうかを書面上で確認できます。
顧客に工事の内容に問題はないか確認してもらう意味でも、当初の契約どおりに引き渡しが行われているか確認してもらう意味でも意義のある書類です。
納品書に発行義務はある?
納品書は商習慣としてよく発行されますが、発行義務はありません。そのため、納品書を発行しなかったとしても法律上の問題はないです。納品書を発行せずに、請求書に納品物の明細書を添付して発行するようなケースもあります。建設事業者などが公共工事を請け負う場合についても、納品書の発行義務は定められていません。
ただし、完成通知書や引渡書などの工事の完了や引き渡しのための書類は法律で作成の定めがありますので注意が必要です。
納品書を発行するタイミング
納品書の発行のタイミングは、納品物の引き渡しのときが一般的です。工事であれば、工事が完了して引き渡す際に納品書を提示します。顧客は工事が完了したタイミングで工事内容に問題がないか現物と照らし合わせながら確認ができます。
建設業向けの納品書テンプレート
下記リンクから工事を行う建設業向けのエクセルテンプレートをダウンロードできます。必要な項目が準備されていますので、ダウンロードしてご利用ください。建設業向けの納品書の各項目の書き方や具体例は次の項で詳しく説明しています。
工事における納品書の書き方や具体例
工事の納品書の記載項目に特に決まりはありませんが、次のような項目を記載するのが一般的です。建設業向けの納品書のテンプレートの記載項目を例に、それぞれの書き方を説明します。
納品№
納品№は、自社で管理する納品書の番号を表します。必要なときにすぐに納品書を参照できるように、工事内容ごと、あるいは得意先ごとに、数字や英字を組み合わせるなどして番号を割り振っておくと管理がしやすくなります。
【具体例】
発行日
納品書を発行した年月日を記載します。
【具体例】
発行先
発行先は、納品書を受領することになる顧客のことです。顧客が個人の場合は「○○様」、顧客が法人の場合は「◯◯会社御中」のように記載します。法人の場合は、必要に応じて、相手先の担当者名や担当者の所属部署名なども記載します。
【具体例】
発行元
発行元とは、工事を行い、納品書を発行した事業者のことです。納品書の内容に誤りがある場合などに顧客が問い合わせできるよう、会社名や住所のほか、電話番号やFAX番号、メールアドレス、担当者がいる場合は担当者名などが記載されることが多いです。
【具体例】
東京都新宿区片町○○番地 ○○ビル
電話:12-3456-7869
メール:○○@○○.jp
件名
工事の納品書の場合、件名には工事名などを記載します。表中の明細に具体的な工事の内容を記載しますので、件名に記載するのは全般的な内容になります。
【具体例】
納期
契約時に取り決めた納期、あるいは実際の納品日を記載します。納期である引き渡しの日に納品書を発行したときは、納期と発行日の日付は同じになります。
【具体例】
納品場所
納品物の引き渡しが行われる場所やエリアを記載します。
【具体例】
合計金額
納品書全体の工事の合計金額を、消費税を含めた税込金額で記載します。
【具体例】
明細
納品書は顧客に工事の内容を明確に伝える役割がありますので、基本的には、工事の内容を材料や人工(作業人員)などに細かく分けて計算します。それぞれの数量や単価により算出された金額は合計され、合計金額へと流れていく仕組みです。
一般の顧客向けに工事の納品書を作成する場合は、専門用語はできるだけ使わずに誰が見てもわかりやすいように記載するのが望ましいでしょう。
【具体例】
単価:5,000円
金額:5,000円
備考
特筆事項や相手に伝えておきたいことなどを記載します。備考欄は何も記載しないことも多いです。
【具体例】
納品書を作成する際の注意点
納品書を作成する側の主な注意点を3つ取り上げます。
納品書と控えの保管期間
納品書は、税法上の帳簿書類(国税関係帳簿書類)に該当します。国税関係帳簿書類は、一定期間の保存義務がある帳簿書類です。
法人であれば確定申告書提出期限の翌日から原則7年(青色申告で欠損金額が生じた事業年度、または災害損失金額が生じた事業年度で青色申告書を提出していない事業年度については10年)、個人事業主であれば原則5年間の保存が必要です。
原則は、紙に出力して原本を保存します。ただし、電子メールやインターネット上でデータとして納品書を送付した場合は電子取引に該当するため、電子帳簿保存法に従って、一定の要件を満たしたうえで電子データにより保存する必要があります(※2023年12月31日までは経過措置としてデータを紙に出力して保存することも認められます)。
修正点が見つかった場合の対応
発行した納品書に修正すべき点が見つかった場合、納品書に直接訂正を加えずに、必要な箇所を修正したうえで再発行するのが一般的です。ただし、先方のルールで再発行ではなく訂正となったときは、訂正印を押印して訂正します。
なお、納品書に誤りが見つかった場合、後に発行する請求書などにも修正部分を反映させる必要がありますので、社内で納品書の新旧取り違えがないように管理しましょう。
発注内容と同じか確認する
納品書が発注内容と相違がないか、基本的には双方で合意した見積書の内容と比較して確認したうえで送付します。相手の誤解を生まないように、同じ内容であれば、見積書の表記と統一して作成するのが望ましいです。
工事の納品書は顧客に確認してもらう意味もある
納品書は発行義務のある書類ではありませんが、どのような工事内容が実施されたのか、発注内容と相違ないか、顧客に確認してもらう役割を持っています。発行する際は、見積書の表記に合わせて、顧客に理解してもらいやすいように詳細を記載して発行するとよいでしょう。
※ 掲載している情報は記事更新時点のものです。
※本サイトは、法律的またはその他のアドバイスの提供を目的としたものではありません。当社は本サイトの記載内容(テンプレートを含む)の正確性、妥当性の確保に努めておりますが、ご利用にあたっては、個別の事情を適宜専門家にご相談いただくなど、ご自身の判断でご利用ください。
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