• 更新日 : 2024年10月17日

請求書の管理方法は?エクセルの課題やおすすめのシステムも解説!

日々の経理業務で扱うことの多い請求書ですが、上手に管理する方法をご存じでしょうか?法律では、原則として個人で5年間、法人で7年間、請求書を保管することとされており、その間の請求書だけでも膨大な量になります。

この記事では、多くの請求書をまとめるためのファイルのしかたやエクセルで管理する際の注意点など、請求書の上手な管理方法について説明します。また、請求書管理システムの導入によって、どのような効果があるかについても解説します。

請求書には、「得意先に送る請求書」と「仕入先からもらう請求書」の2種類があります。まずは、2つを分けることが重要であるため、この2種類それぞれに適した管理方法を紹介します。

請求書の保存期間は?

個人、法人などの区分によって、それぞれ請求書の保存期間に違いがありますので、注意しましょう。

【法人の場合】

原則として、事業年度における法人税確定申告期限の翌日から7年間保存する必要があります。
ただし、平成30年4月以降において青色繰越欠損金が生じた事業年度等では10年間の保管が必要となります。

【個人事業主の場合】

個人の場合には、青色申告白色申告とも確定申告期限の翌日から5年間保存する必要があります。
この場合、請求書に記載された日付は関係なく、同じ申告分の請求書については同じ保存期限となります。

なお、請求書などの保存期間について詳細は以下の記事を参照ください。

請求書管理の2パターン

自社が発行した請求書も、取引先から受け取った請求書においても、主に2つの管理方法があります。

管理の上では、基本的にどちらかの保管方法に寄せることが推奨されます。以下では、それぞれの方法を詳しく解説します。

月ごとにファイル

請求書を発行した月ごとにまとめてファイルします。この方法は、請求書発行の証跡が把握しやすい点がメリットです。

取引会社が10社程度の場合には、月ごとにファイルする管理方法が適切でしょう。

しかし、請求書を送付する相手方の会社が多数の場合は、後から探すのが大変になるというデメリットがあります。

得意先ごとにファイル

得意先ごとのファイルを作成し、請求書の発行日順にファイルする方法もあります。1つのファイル内に入るのが1つの得意先のみのため、取引の状況を把握しやすいメリットがあります。

一方、月ごとのファイルではないため、ファイルするのに手間がかかるなどのデメリットもあります。

送った請求書の管理方法

得意先に送るための請求書作成後、実際に管理するのは送った請求書の控え(写し)です。

請求書控えの管理方法で重要な点は、入金済みであるか、入金待ちであるかということです。入金の状態によってフォルダを分けるようにしましょう。

なお、この手順は紙媒体による請求書控えを想定しています。控えを電子データで管理している場合には、後述の請求書管理システムを利用する方法なども適宜ご参照ください。

\発行請求書の管理をラクに/

「未入金」と「入金済み」でファイルを分けるのがポイント

発行した請求書を入金前後で分けて管理する方法でわかりやすくしましょう。

①請求書を発行したら、請求書控えを「未入金請求書控えファイル」などに入れます。
入金の確認が行いやすいように、支払い期限の順にファイルしましょう。

②入金が確認できたものには「入金済み」と記入、もしくは印を押します。
加えて入金日も記入すると、後に確認する場合に便利です。

③入金済みの請求書を「入金済み請求書控えファイル」に入れます。
入金済みのファイルについては、入金日順、請求日順など資金繰り管理等と連動したファイリング方法が効率的です。
「入金済み請求書控えファイル」は、月ごとに分ける方法と得意先によって分ける方法があります。

受け取った請求書の管理方法

次に、受け取った請求書の管理方法について説明します。

受け取った請求書において重要なのは、支払いの前か後かです。支払い漏れや二重払いが起こらないように、下記の手順にしたがって管理しましょう。

①請求書を受け取ったら、速やかに「未確認請求書ファイル」に入れます。
このファイルは一時的なファイルであり保管する期間は短いため、ファイルではなく箱などでもよいかもしれません。

②請求書の記載事項を確認し、正しければ、「支払い可能請求書ファイル」に移します。
支払承認などが必要な場合には「支払い承認用ファイル」などを設け、支払い締めなどのタイミングで速やかに決裁を受けましょう。

③支払いが終わった請求書は、支払い済みであることを明らかにして「支払い済み請求書ファイル」に移します。
このとき、後から確認を容易にするため、支払い済みの請求書に支払決裁済み、振込済みがわかる書類などを連動するよう保管しておきましょう。

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支払い済み請求書の管理のポイント

「支払い済み請求書ファイル」は、請求書の日付順にファイルすると取引日がわかりやすくなり、会計帳簿を確認する際に簡単です。

受け取った請求書についても、月別にファイルする方法、仕入先別にファイルする方法がありますが、請求書控えのファイリング方法と同様に支払先の数によって選択するとよいでしょう。

請求書をエクセルで管理する方法

エクセルのイメージ

エクセルでの請求書管理は、小規模なビジネスや取引数が多くない場合に適しています。

請求情報には機密性が高いデータが含まれるため、ファイルのセキュリティ設定を適切に行い、アクセスできる人を限定します。パスワード保護や暗号化を施すことをおすすめします。

発行・送付する請求書の場合

1. 請求先の情報をExcelシートに整理する

最初に、情報は検索しやすいように、請求先の情報をExcelシートで整理します。

記載項目例
  • 会社名
  • 郵便番号、住所
  • 部署名
  • 担当者名
  • 商品名、数量
  • 請求書番号
  • 請求日
  • 請求金額、消費税
  • 支払期限
  • 振込先
  • 請求状況

2. 請求書のテンプレートを作成する

次に、毎回請求書を一から作成する手間を省くために、請求書のテンプレートを作成します。請求先の詳細情報がテンプレートに対応する入力欄に配置されるように設計するとべんりです。

マネーフォワード クラウドでも請求書の無料テンプレートを多数ご用意していますので、ぜひお気軽にご連絡ください。

請求書テンプレート一覧

3. 専用フォルダで請求書を管理する

請求書のテンプレートを作成したら、それを専用のフォルダで管理します。フォルダとファイル名には固有のIDを付けるなど規則性を持たせ、検索しやすいように整理することが重要です。

4. 請求書のステータスを管理する

請求書を送付した後は、Excelの一覧表において請求状況を「請求済み」などのステータスに更新します。

ステータスの更新はプルダウンメニューを使用することで、入力のバリエーションを排除し、一貫性を保ちながら効率的に作業を進めることができます。

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受け取る請求書の場合

1. 取引先と請求書の一覧を作成する

同じように、Excelで取引先ごとに整理された一覧表(支払管理簿)を作成します。支払いステータス(未確認、支払い可能、支払い済みなど)も含めておくようにしましょう。

2. 請求書の確認とファイル保管

受領した請求書の内容が正確かどうかを確認し、必要に応じて取引先に修正を依頼します。

確認後の請求書は、法的要件に従い一定期間(法人の場合は7年、個人事業主の場合は5年)保管します。

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請求書をエクセルで管理する課題とは?

請求書を管理するにはいろいろな方法がありますが、最初に思いつくのがエクセルを利用する方法でしょう。エクセルはどのパソコンでも手軽に利用でき、大変便利な表計算ソフトですが、いくつか課題もあります。

課題回避のためには、エクセルファイルの表やシート、構成は極力シンプルなものをおすすめします。

次のように、1つのエクセルブックを何年も利用しているか、複雑な利用方法であるために管理が難しくなることがあります。

  • 5年又は7年分のデータを1つのエクセルブックで管理すると、容量が増え、処理速度が落ちる
  • 請求書控えを管理する場合、一度会計システムから出力したものを人が入力すると、入力ミスが起こる可能性がある
  • エクセル内での関数の利用やセルの参照により入力ミスは防げても、罫線や色付けなどによりどうしても容量は大きくなる
  • エクセルにマクロなどを作成すると容量も削減でき効率的であるが、要員異動などによるメンテナンスの継続が難しい

これは請求書管理に特化した課題ではありません。しかし、取引情報として複数の人が参照したいファイルをエクセルで管理するときは注意したいものです。

請求書の管理はなぜ必要?

請求書は、個人事業主や法人が備え付けるべきとされる会計書類の1つです。
会計において、帳簿とは、仕訳帳総勘定元帳などのいわゆる会計帳簿のことをいいます。
そして書類とは、会計帳簿を元に作成した貸借対照表損益計算書などの他、取引の証拠となる注文書、注文請書、契約書、請求書、領収書などのことです。そしてそれぞれの法律により保存することが義務付けられています。

例えば、青色申告法人の場合には法人税法第126条に次の規定があります。

第百二十一条第一項(青色申告)の承認を受けている内国法人は、財務省令で定めるところにより、帳簿書類を備え付けてこれにその取引を記録し、かつ、当該帳簿書類を保存しなければならない。

引用:第百二十六条(青色申告法人の帳簿書類)|e-Govポータル

確定申告等により税務署に提出するのは決算書や申告書であり、それらの根拠となる書類はそれぞれの会社で期限まで保存しておく必要があります。なかでも請求書は、頻繁に発生する書類の1つとして重要な位置にあります。

また、請求書について、令和5年10月から開始した消費税のインボイス制度とも密接な関係がありますので、受領する請求書の保管だけでなく、発行する請求書の控えについても管理するようにしましょう。

請求書管理システムを導入するメリットは?

請求書管理システムとは、請求書の発行から発送までを自動化し、請求書管理を支援するシステムです。紙の請求書をいきなり電子データの請求書に変更するには、社内外の調整もあるため一気に進めづらいものです。

しかし、請求書管理システムを導入してシステムを介した請求書としてやりとりすることには、いくつかのメリットがあります。

コスト削減

請求書管理システムを導入することで、請求書の作成や送付、追跡などに関わる作業時間が大幅に削減されます。具体的には、従業員の残業が減少し、それに伴い残業代などの人件費が削減されることが期待できます。

また、紙ベースの管理からデジタル化への移行により、印刷や郵送にかかるコストも削減されます。これらの削減によって、全体的な運営コストの低下に寄与します。

業務効率化

請求書管理システムは、請求書の発行から送付、入金確認までのプロセスを自動化し、効率化します。自動化によって、手作業で行っていた入力作業やデータのチェックが減少し、それに伴い人為的なミスも低減されます。例えば、システムが自動で請求書を生成し、エラーが発生した場合には警告を出してくれるため、ミスの早期発見と修正が可能になります。

さらに、繰り返し行う作業の自動化により、従業員がより戦略的な業務に集中できるようになるため、生産性の向上が見込めます。

データの一元管理

システムを導入することで、企業内の請求書に関するデータを一元管理することが可能になります。これにより、各部門が同じデータにアクセスし、情報の一貫性を保つことができます。情報の一元化は、経営の意思決定を迅速に行うための正確なデータ提供を可能にし、必要な情報をすぐに取り出すことができるため、効率的な業務運営をサポートするでしょう。

また、監査や法的な規制への対応が容易になるという点も大きな利点です。

売掛金回収(入金)と買掛金支払(出金)の自動管理

発行した請求書については「売掛金回収(入金)」、受け取った請求書については「買掛金支払(出金)」と連動します。資金についてのタイムリーな情報把握をすることで資金異動などをスムーズに進められます。

売掛金回収(入金)

システムは発行した請求書に対する入金を自動で追跡し、入金が確認された際には対応する売掛金口座を更新します。

これにより、入金の遅延や未入金が即座に識別され、迅速な対応が可能となるでしょう。

また、入金状況に基づいたリマインダー機能や自動通知システムを設定することで、顧客へのフォローアップが容易になるでしょう。

買掛金支払(出金)

受け取った請求書に基づいて支払いが必要な買掛金の管理も同様に自動化されます。支払い期日の追跡、期日前のリマインダー送信、および支払い後の口座更新がシステムを通じて行われるため、支払い漏れや二重支払いのリスクが低減されます。この自動化により、会計処理の精度が向上し、財務の透明性が確保されます。

請求書管理システムの選び方

請求書管理ツールは数多くありますが、まずは、以下のポイントを考慮すると良いでしょう。

機能性

  • 自動化機能: 請求書の作成、送付、追跡、入金確認が自動で行えるかどうかを確認します。
  • 統合性: 既存の会計ソフトウェアやERPシステムとの統合が可能かどうかを検討し、データの一元管理が容易になるかを確認します。

使いやすさ

  • ユーザーインターフェース: 直感的で使いやすいインターフェースを持つツールを選ぶことで、研修時間の短縮と効率的な運用が可能になるでしょう。
  • アクセシビリティ: クラウドベースのツールは場所を選ばずアクセス可能であり、遠隔地からの作業の際にも便利です。

コスト

  • 初期コストと運用コスト: 購入費用だけでなく、維持管理に必要な費用も含めて総コストを検討しましょう。
  • スケーラビリティ: 企業の成長に伴いユーザー数や機能を拡張できるかどうか、追加コストはどの程度かを確認しておくのがおすすめです。

サポート体制

  • サポート体制: 問題が発生した際に迅速かつ適切なサポートを受けられるか、サポートの利用時間や言語に制限がないかを確認します。
  • カスタマーレビュー: 既存のユーザーのレビューや評価を参考に、実際の使用感や問題点を把握しておくと安心です。

請求書管理だけでなく「請求管理」も効率化するには

請求書管理に加え、請求管理も効率化できると、日々の業務がよりラクになります。

請求管理とは、商品やサービスを提供した後、請求書を作成・顧客に送付し、その代金を回収するまでのプロセス全体を指す言葉です。

請求管理の正確さは企業の資金流動に直接影響を及ぼすため、非常に重要です。特に、取引の量が多い場合、エラーを防ぐために細心の注意を払いながら管理を行う必要があります。正確で効率的な請求管理システムを構築することは、企業の安定した運営には欠かせません。

請求方式には主に2つのタイプがあります。

①掛売請求方式(締め)
掛売請求方式では、事前に合意した締め日に基づき、その期間内の取引全てについて一括で請求を行います。
②都度請求方式
各取引が完了する都度に請求書を発行します。この方式は請求と入金の回数が増えるため、通常は新規の取引先に対して用いられることが多いです。

請求管理の流れ

1.請求の締め

取引の内容に基づいて請求の詳細を確定します。通常、事前に定められた締め日に全ての取引情報を集計し、請求可能な状態かどうかを確認します。この時、取引先との間で設定した基準が遵守されているかも確認が必要です。

2. 請求書の発行

請求の締め後、正確な情報をもとに請求書を作成します。取引内容、支払期限、合計額など、必要な情報を明記し、間違いがないか厳密にチェックします。請求書は通し番号を振ることで管理を容易にし、後々のトラブルを避けるためにもフォーマットを統一すると良いでしょう。

3. 請求書の送付

請求書を作成したら、取引先に対して送付します。これは郵送や電子メールなど、事前に確認された方法で行います。請求書は支払期日の数週間前には送るようにし、間違いなく取引先に届けるための確認作業が重要です。

4. 入金確認

支払期日になったら、銀行口座を確認し、入金が行われたかをチェックします。取引先からの支払いが正確に行われているか、名義や金額が合っているかを確認します。早めに入金状況を確認し、異なる場合は速やかに対応を取ります。

5.入金リストの消込

入金が確認できたら、それを請求リストに記録し、消込作業を行います。これにより、どの取引先がいつ、どれだけの金額を支払ったかを記録し、未払いがないかを管理します。適切な消込作業によって、企業の財務状態が正確に反映されます。

マネーフォワード クラウドで請求管理全体をラクに

マネーフォワードクラウドでは、請求管理全体を効率化する製品を複数ご用意しております。

機能の違いなど、分かりにくい部分もあると思いますので、ぜひお気軽にご相談ください。

【法人用窓口】サービス導入に関するご相談

請求書は「発行するもの」と「受け取るもの」により、社内の取扱いが変わります。それぞれ別に管理して会計と連動することが大切です。

現業務の実態に合わせ、請求書管理において何がネックになっているかをよく検討し、順次導入することも可能です。

よくある質問

得意先に送った請求書控えの管理方法は?

請求書控えで重要な点は、入金済みであるか、入金待ちであるかです。そのため、入金の状態によって分けるようにしましょう。詳しくはこちらをご覧ください。

「入金済み請求書控え」の分類方法は?

月ごとにファイルする方法と、得意先によってファイルする方法があります。詳しくはこちらをご覧ください。

受け取った請求書の管理方法は?

受け取った請求書において重要なのは、支払い前であるか支払い済みかどうかです。支払い漏れが起こらないように、こちらの手順にしたがって管理しましょう。


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