- 更新日 : 2024年11月7日
インボイスの登録申請はスマホで可能!対象者やメリット、登録方法を解説
インボイスの登録申請はスマホで簡単に行えます。スマホでe-Taxソフト(WEB版)を利用すれば、国内の個人事業者は24時間いつでも簡単に申請が可能です。直感的に入力でき、登録通知も早く受け取れるため、効率的な経理業務につながります。本記事で、スマホの申請手順やメリットを理解し、効率的なインボイス登録を目指しましょう。
目次
インボイスの登録申請とは
インボイス制度に対応するためには、所轄の税務署長に登録申請が必要で、「e-Taxによる電子申請」と「書面による郵送申請」の主に2つの方法があります。それぞれの方法には特徴があり、事業者の状況に応じて選択できます。
申請方法によって手続きの流れや必要な準備が異なるため、自身の状況に合わせて適切な方法を選んでください。
e-Taxによる申請
e-Taxを利用した申請は、オンラインで手続きを完了できる便利な方法です。24時間いつでも手続きが可能で、申請から登録までの処理もスムーズなため、郵送に比べて時間短縮が期待できます。
申請にあたっては、マイナンバーカードまたはe-Tax用の電子証明書、利用者識別番号(新規取得可能)、インターネット接続環境の準備が必要です。これらの必要事項をあらかじめ準備しておくことで、スムーズに手続きを進められます。
郵送による申請
郵送での申請は、e-Taxを利用できない場合や書類形式での申請を希望する場合に利用できます。
国税庁のWEBサイトから申請書をダウンロードし、必要事項を記入した後に、インボイス登録センターへ郵送してください。必要な書類は、適格請求書発行事業者の登録申請書と本人確認書類の写し(個人事業者の場合)の2種類です。ただし、郵送申請は処理に時間を要し、申請状況の即時確認もできません。
また、書類の不備や記入ミスがあった場合、再提出が必要となり、さらに時間を要する可能性があることにも注意が必要です。
参考:国税庁 D1-64 適格請求書発行事業者の登録申請手続(国内事業者用)
参考:国税庁 各局(所)インボイス登録センターのご案内
e-Taxソフト(WEB版)ならスマホで登録申請手続きが可能
e-Taxソフト(WEB版)を利用すれば、スマホやタブレットから簡単にインボイス登録申請が可能です。スマホを使って時間や場所の制約なく申請が可能で、事業者の利便性は大幅に向上しています。
ただし、スマホやタブレットからの利用は国内の個人事業者に限られており、法人や海外事業者の場合は、従来のパソコンからのe-Tax利用が必要です。
スマホから e-Taxソフト(WEB版)で登録できるのは国内の個人事業者のみ
スマホからe-Taxソフト(WEB版)を使って登録できる事業者は、以下の条件を満たす場合に限られます。
- 日本国内に住所を有する個人事業者であること
- マイナンバーカードを所持していること
- マイナンバーカード読取対応のスマートフォンを使用できること
法人事業者や、海外に居住する個人事業者は、パソコンからの申請が必要で、スマホでの登録はサポートされていません。
この制限は、個人事業者向けの特別な配慮です。スマホ対応によって、より多くの個人事業者や小規模事業者がスムーズに登録申請を行えるようになっています。
e-Taxでインボイス登録申請手続きを行うメリット
e-Taxを利用してインボイスの登録申請を行うことには多くのメリットがあります。24時間いつでも申請できるだけでなく、申請から登録までの時間も短縮され、書類の郵送や窓口訪問が不要になるため、忙しい経理担当者にとっては、非常に便利です。
ここでは、その他のメリットを紹介します。
WEB版ならスマホから問答形式で入力できる
直感的な操作が特徴の問答形式入力を採用しており、必要な情報を漏れなく簡単に、かつ正確に入力できます。スマートフォンの特性を活かした操作性で、入力ミスが減少し、移動中や外出先でも申請を進められるため利便性が向上しています。さらに、スマホならではの利便性で、必要な情報をその場で確認しながら申告できることで、より効率的で正確な税務申告が可能です。
登録通知を郵送提出より早く受け取れる
e-Taxを利用した申請では、登録通知をオンラインで迅速に受け取れます。
郵送の場合には、配達の遅延リスクや紛失の可能性があるため、登録番号の確認に時間がかかる場合があります。一方、e-Taxでは申請後速やかに通知を受け取れるため、登録番号を早い段階で確認可能です。
速やかに通知を受け取ることで、取引先への連絡や社内システムの更新など、インボイス制度の関連業務への対応もスムーズに進められます。
登録通知を紛失するリスクがない
e-Taxで受け取った登録通知は電子データとして安全に保存されるため、紙の通知書のように紛失するリスクがありません。
この電子化されたデータは、e-Taxのメッセージボックスからいつでも必要なときに即座に参照できます。また、データのバックアップも容易に取れるため、重要な情報の長期保存も確実です。
さらに、e-Taxシステムは高度なセキュリティ対策が施されており、暗号化通信や電子署名の利用などにより、情報の機密性と完全性が保たれています。
これらの特徴により、e-Taxは安全性と利便性を両立した信頼性の高い申請システムとなっています。
e-Taxでの登録申請にあたり準備するもの
e-Taxでインボイスの登録申請を行うには、いくつかの準備が必要です。
まず、申請を行うために必要な個人情報を用意します。これには、氏名、住所、生年月日などが含まれます。
次に、マイナンバーカードまたはe-Tax用の電子証明書が必要です。マイナンバーカードは、本人確認のための重要な証明書であり、e-Taxの利用には欠かせません。電子証明書は、申請の際にデジタル署名として機能するため、事前に取得しておきます。
次に、マイナンバーカードを読み取る機能を持つスマートフォンも準備します。最後に、e-Tax利用のための利用者識別番号が必要です。新規取得が可能なため、まだ持っていない方は、事前に準備してください。なお、この番号は、登録申請や税務処理に必要なため、安全な管理が求められます。
これらの準備を整えることで、e-Taxによるインボイス登録申請をスムーズに進められます。ここで紹介した事前に必要なものを確認し、万全の体制で手続きを行いましょう。
スマホで利用者識別番号を取得できる
e-Taxソフト(WEB版)を利用すれば、スマートフォン(マイナンバーカードの読取機能を持つもの)から簡単に利用者識別番号を取得できます。この番号は、e-Taxでの各種手続きに必要不可欠な個人識別コードです。
利用者識別番号の取得手順は以下の通りです:
- e-TaxのWEBサイトにアクセス
- 「はじめてe-Taxをご利用になる方」を選択
- 「利用者識別番号の取得」をクリック
- 必要事項を入力(氏名、住所、生年月日など)
- 入力内容を確認し、送信
この番号を取得することで、インボイス登録申請をはじめとするさまざまな税務手続きをオンラインで行えます。スマートフォンから簡単に取得できるため、時間や場所を問わず、効率的に手続きを進められます。なお、取得した利用者識別番号は大切に保管してください。紛失しないように、デジタルメモや安全な場所に記録しておくと安心です。
スマホでインボイス登録申請手続きを行う方法
インボイス制度の登録申請をスマートフォンで行うには、e-Taxソフト(WEB版)を利用します。以下に、具体的な手順を説明します。
なお、上述の「e-Taxでの登録申請にあたり準備するもの」で説明した準備物は事前にすべて用意しておいてください。
- e-Taxソフト(WEB版)にアクセス
- スマートフォンのブラウザでe-Taxソフト(WEB版)のサイトにアクセスします。
- ログイン
- マイナンバーカードを利用してログインします。
- マイナンバーカード対応のスマートフォンを使用してください。
- 「申請・届出」を選択
- メニューから「申請・届出」を選択します。
- 「消費税適格請求書発行事業者の登録申請書」を選択
- 申請書の一覧から該当する項目を選択します。
- 必要事項を入力
- 問答形式で案内されます。画面の指示に従って、必要な情報を入力します。
- 事業者の基本情報、課税事業者の選択、登録希望日などを正確に入力してください。
- 入力内容の確認
- 入力した内容を確認し、誤りがないかを確認します。
- マイナンバーカードの読取と電子署名
- マイナンバーカードを使用して電子署名を行います。
- 送信・受付結果の確認
- 最後に、入力内容を確認し、申請書を送信します。
- 送信が完了すると、e-Taxのメッセージボックスに申請受理の通知が届くため、しっかり確認しておきましょう。
注意点:
- スマートフォンの画面サイズによっては、入力が難しい場合があります。
- 安定したインターネット接続を確保してください。
- 途中で中断した場合は、一時保存機能を利用できます。
スマホからの操作であっても、パソコンと同様に手続きが完了し、ペーパーレスで申請できることが大きなメリットです。また、外出先や忙しい時間でも対応できるため、効率的に登録申請を完了させられます。
税理士が代理で登録手続きする場合もスマホを利用できる?
税理士による代理申請の場合、スマートフォンからの手続きには対応していません。e-Tax(WEB版)はパソコンからの利用が必要です。これは、納税者と税理士の利用者識別番号の使い分けや、データの組み込みなど、代理申請特有の操作がスマートフォンでは煩雑になりがちなためです。
代理申請には大きなメリットがあります。税理士に任せることで、専門的な知識を活かして正確な申請が可能となり、ミスを防げます。また、手続きを税理士に依頼することで、納税者本人の時間を節約できるでしょう。
したがって、税理士に代理申請を依頼する場合は、PCからの申請を前提に準備を進めましょう。確実な手続きのために、税理士とよく相談し、必要な書類や情報を事前に用意しておくことをお勧めします。
スマホで登録番号の確認はできる?
スマホでは、e-Taxのメッセージボックスか、国税庁の「適格請求書発行事業者公表サイト」からインボイス登録番号の確認が可能です。
e-Taxのメッセージボックス
e-Tax(WEB版)にスマホからマイナンバーカードを使ってログインし、メッセージボックスを確認することで、登録番号が通知されているか確認できます。
国税庁の公表サイト
スマホのブラウザから国税庁の「適格請求書発行事業者公表サイト」にアクセスし、事業者名、所在地、または登録番号を入力して検索することで、登録情報を確認できます。
注意点:
スマホ操作時は情報の入力ミスに注意してください。また、登録申請から通知までには一定の期間(おおむね1ヶ月程度)を要するため、通知が確認できない場合は、申請から十分な時間が経過しているかも確認してください。
インボイス登録申請のスマホ活用で効率的な経理業務を
スマホからのインボイス登録申請は、経理担当者の業務効率を大きく向上させる手段です。
e-Taxソフト(WEB版)を利用することで、時間や場所を問わず申請が可能となり、従来の紙の書類作成や郵送の手間を省けます。
特に小規模事業者や個人事業者にとって、スマホでの申請は大きなメリットです。パソコンと同様に正確でスムーズな申請が行えるよう設計されているため、手軽に活用できます。
このようなデジタル化の流れは、経理業務全体の改革につながる可能性を秘めています。インボイス登録申請を機に、他の経理業務もデジタル化することで、より効率的で正確な経理管理が実現できるでしょう。
ぜひこの機会に、確実なインボイス制度への対応とあわせて、自社の経理業務の効率化についてもご検討ください。
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