• 更新日 : 2024年10月17日

インボイス制度で3万円未満の領収書も必要に!例外は?

2023年10月からインボイス制度(適格請求書等保存方式)が始まります。

これまで、3万円未満の仕入れについては領収書がなくても消費税の仕入税額控除が認められていました。しかし、インボイス制度導入後はこの特例がなくなります。

本記事では、インボイス制度において3万円未満に領収書が必要になる内容や例外について紹介します。

インボイス制度で3万円未満の領収書も必要に

2023年10月より導入されるインボイス制度のもとでは、税込み3万円未満の仕入れに認められていた特例がなくなります。領収書がなくても帳簿への記載だけで仕入税額控除が認められていた特例です。インボイス制度の導入後は、3万円未満でも領収書の受領と保存が必要になります。

3万円未満の特例が適用されてきた例として、社内で使用する飲料や文具類の購入費などがありますが、制度導入後はこれらの購入にも領収書が必要になります。

ただし、3万円未満のものでも例外があります。電車代や自販機で購入した飲料など、そもそも請求書・領収書が発行されない場合です。これらについては、制度の導入後もこれまでどおり帳簿に記載するだけで仕入税額控除が認められます。

ただし、令和5年度の税制改正により、インボイス制度の施行から6年間は1万円未満のものについて、領収書などの保存がなくても仕入税額控除が認められる特例が設けられました(帳簿への記載は必要)。

この特例は、基準期間の課税売上高が1億円以下、もしくは前事業年度上半期の課税売上高が5,000万円以下の事業者が対象です。

参考:インボイス制度の概要丨国税庁
「令和5年度税制改正」(令和5年3月発行)|財務省
「4.消費課税」

そもそもインボイス制度とは

インボイス制度は、正式名称を適格請求書等保存方式と呼びます。消費税額や消費税率を明確にすることを目的に、課税事業者にインボイスの発行を義務付ける制度です。

インボイスとは、取引内容や消費税率、消費税額などの要件を満たした適格請求書のことです。軽減税率の導入で仕入税額の中に8%と10%という2種類の税率が混在しているため、正しい消費税の把握には適格請求書の交付と保存が必要とされました。

商品の価格と税率が記載された書類を作成して交付し、要件を満たした適格請求書を保存することで、消費税の仕入税額控除を受けることができます。

インボイス制度で必要な記載事項

インボイス制度では、以下の9つの事項を記載した適格請求書の交付・保存が必要です。

  1. 発行者の氏名又は名称
  2. 取引年月日
  3. 取引内容
  4. 受領者の氏名又は名称
  5. 軽減税率の対象である旨の表記
  6. 適用税率ごとに区分した合計額
  7. インボイス制度の登録番号
  8. 適用税率
  9. 税率ごとの消費税額の合計

制度の導入により追加されるのは7〜9の3点で、ほかは従来と同じです。登録番号の記載で事業者が特定しやすくなり、計算の合計を記載することで消費税の納入も簡単になります。

制度についての詳細は、以下の記事が参考になります。ぜひチェックしてみてください。

例外的に帳簿のみの保存が認められるケース

インボイス制度のもとで適格請求書発行事業者は、相手からの求めに応じて3万円未満の売上でも適格請求書を発行しなければなりません。

しかし、適格請求書を交付することが難しい場合は義務が免除され、取引の相手方は帳簿の保存だけで仕入税額控除が認められます。適格請求書を交付することが難しく例外となるのは、以下の取引です。

  • 3万円未満の公共交通機関による運賃
  • 卸売市場で行われる生鮮食料品等の販売
  • 生産者が農業協同組合などに委託して行う農林水産物の販売
  • 3万円未満の自動販売機などによる商品の販売
  • 郵便や貨物サービス

特急料金など旅客の運送に直接附帯する対価については特例の対象です。 一方で、入場料金など、旅客の運送に直接附帯するとはいえないものは特例の対象ではありません。

自動販売機などによる商品の販売とは、代金の受領が自動で行われる機械装置で購入することで、それだけで支払いやサービスの提供が完結するものです。自動販売機による商品の購入やコインロッカー・コインランドリーなどのサービスが該当します。

これに対し、スーパーに設置されたセルフレジのように精算だけ行うもの、コインパーキングのようにサービスの提供は別途行われるようなものなどは該当しません。

例外が認められる事項については、以下の記事でさらに詳しく紹介しています。

請求書が必要になる3万円未満の仕入れについて把握しておこう

これまで3万円未満の仕入れでは不要だった請求書や領収書でも、インボイス制度のもとでは必要になります。会社で使用するお茶や文具類など低額な支出でも、領収書等を受け取らなければなりません。

これには例外があり、公共交通機関の運賃や自動販売機、コインロッカーなどの使用料はこれまで通り領収書等は不要です。

マネーフォワード クラウドなら、「適用税率ごとに区分した合計額」や「制度の登録番号」など、インボイス制度に対応した請求書も発行できます。さらに、発行した請求書は電子帳簿保存法の要件に則して「マネーフォワード クラウドBox」に自動で保存されます。
インボイス制度が導入される前に、請求書が必要になる3万円未満の仕入れについてよく確認した上で、対応を検討しておきましょう。

よくある質問

インボイス制度開始後は3万円未満の領収書も保存が必要になりますか?

基本的に、一部の例外を除いて3万円未満の場合でも領収書が必要です。詳しくはこちらをご覧ください。

帳簿のみの保存が認められるケースはありますか?

請求書等の交付を受けることが難しい場合、例外的に帳簿のみの保存が認められるケースがあります。詳しくはこちらをご覧ください。


※ 掲載している情報は記事更新時点のものです。

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