• 更新日 : 2024年10月1日

信書の郵便料金はいくら?値上げの影響や送り方を解説

信書の具体例は、切手を貼った手紙やはがきなどの書状や請求書・契約書、履歴書などです。郵便法により、一部のサービスでは信書を送付できません。

信書を送れる定形・定形外郵便物やレターパック、スマートレターは2024年10月より値上げ予定です。本記事では、信書の送り方や値上げの対策を解説します。

信書とは?

信書とは、特定の受取人に対して差出人の意思を表示する文書や、事実を通知するための文書のことです。

信書における「特定の受取人」は差出人がとくに定めた相手、「文書」は文字や記号のように人の知覚で認識できる情報を記載された紙などを指します。そのため、USBメモリなどに情報をまとめた電磁的記録物は、信書にあたりません。

ここから、信書に該当するもの・信書に該当しないものの具体例を紹介します。

信書に該当するもの

信書に該当するものの具体例は、以下のとおりです。

  • 書状(手紙)
  • 請求書(納品書見積書、申告書なども含む)
  • 会議招集通知(結婚式の招待状など)
  • 許可書(免許証や各種資格の認定書など)
  • 証明書(印鑑証明書や戸籍謄本、履歴書など)
  • ダイレクトメール(文書に受取人名が記載されているもの)

なお、外部に出すものではなく社内でやり取りする場合でも、「意思を表示する」場合や「事実を通知する」場合は信書に該当します。

信書に該当しないもの

信書に該当しないものの具体例は、以下のとおりです。

  • 書籍(新聞やポスター、図面なども含む)
  • カタログ
  • 小切手(手形や株券なども含む)
  • プリペードカード(図書券や商品券など)
  • 乗車券(航空券や定期券なども含む)
  • クレジットカード(キャッシュカードやローンカードも含む)
  • 会員カード(ポイントカードやマイレージカードなど)
  • ダイレクトメール(新聞折込みのチラシや店頭で配布するリーフレットなど)

そのほか、機器・ソフトウェアの説明書や名刺、出勤簿なども信書には該当しません。

【参考】日本郵便株式会社 信書の送付について

【参考】総務省 信書のガイドライン

【参考】総務省 「信書に該当する文書に関する指針」Q&A集

信書を送ることができる郵便サービス

郵便局で信書を送れる主なサービスは、以下のとおりです。

  • 定形郵便物
  • 定形外郵便物
  • レターパック
  • スマートレター

それぞれの概要を紹介します。

定形郵便物

定形郵便物は日本郵便が定めた一定のサイズ・重さを満たした郵便物のことです。

定形郵便物のサイズは、最小が縦14cm・横9cm、最大が縦23.5cm・横12cm・高さ1cmと規定されています。また、重さは50g以内であることが条件です。

従来、重さ25g以内か50g以内かによって定形郵便物の料金に違いがありましたが、2024年10月1日より統一されます。

定形外郵便物

定形外郵便物とは、定形郵便物よりも大きい(重い)郵便物のことです。ただし、定形外郵便物にもサイズや重さの制限があります。

定形外郵便物(規格内)の場合、サイズは縦34cm・横25cm・高さ3cm、重さ1kgが上限です。一方、定形外郵便物(規格外)の場合、サイズは縦(長辺)60cmで3辺の合計が90cm、重さ4kgが上限として規定されています。

なお、規格内・規格外いずれも、円筒形などは直径30cm・長さ14cm、それ以外は縦14cm・横9cmが最小です。

【参考】日本郵便株式会社 第一種郵便物 手紙

レターパック

レターパックとは、A4サイズ・4kgまで全国一律料金で送れるサービスのことです。

手紙や荷物を郵便局窓口やコンビニエンスストアで購入した専用の紙袋(レターパック)に封入し、郵便局窓口や郵便ポストに投函します。郵便物の配達状況を随時確認できる追跡サービスがついていることや、土日休日を含めて毎日配達していることがレターパックの特徴です。

金額や送付方法は「レターパックプラス」か「レターパックライト」かによって異なります。レターパックプラスは対面で相手に届けて配達員が受領印や署名をもらうのに対し、レターパックライトは相手の郵便受けに届けるサービスです。

なお、レターパックライトは、厚さ3cmまでしか対応していません。

【参考】日本郵便株式会社 レターパック

スマートレター

スマートレターとは、A5サイズ・1kgまでであれば全国一律料金で送れるサービスのことです。郵便局やコンビニエンスストア、郵便局のネットショップで購入したスマートレターを使って、郵便窓口や郵便ポストに投函します。

スマートレターを利用する主なケースは、「申込書などのビジネス書類を送付する」「メッセージを添えて小さめのプレゼントを送る」「インターネットのオークションなどで取引したものを発送する」などです。縦25cm・横17cm、厚さ2cm、重さ1kgまでが条件として定められています。

なお、レターパックと異なりスマートレターには追跡サービスがついていません。また、土日休日は配達していない点にも注意が必要です。

【参考】日本郵便株式会社 スマートレター

信書を送ることができないサービス

ヤマト運輸株式会社のサービスなどでは、信書を送付できません。なぜなら、郵便法第4条で日本郵便株式会社以外は他人の信書を送達することを事業としてはいけないことなどが定められているためです。ただし、「一般信書便事業者(2024年6月20日現在、該当なし)が信書を送る場合」や「特定信書便事業者が特定信書便役務にかかる信書を送る場合」のように、例外的に日本郵便株式会社以外が信書を扱えるケースもあります(郵便法第3条)。

なお、日本郵便株式会社でも、ゆうパック・ゆうメール・ゆうパケット・クリックポストでは信書を送れません。送付物に関する簡単なあいさつ状や請求書などの無封の送り状などを添える場合のみ、対応可能です。

【参考】日本郵便株式会社 信書の送付について

【参考】総務省 信書の送達についてのお願い

【参考】ヤマト運輸株式会社 信書を発送できるサービスはありますか?

2024年10月1日より信書を送るときの郵便料金が値上げに

2024年10月1日より、郵便料金が値上げになります。郵便量の取り扱いが減っているにもかかわらず、依然として郵便物の配達には大きなコストがかかっており、営業赤字の改善が必要であることが、値上げの主な理由です。

値上げされるサービスの中には、日本郵便株式会社で信書を送れるサービス(定形郵便物・定形外郵便物・レターパック・スマートレター)も含まれています。それぞれの新旧料金を以下の表にまとめました。

種類重量旧料金新料金
定形郵便物25g以内84円110円
50g以内94円
定形外郵便物

(規格内)

50g以内120円140円
100g以内140円180円
150g以内210円270円
250g以内250円320円
500g以内390円510円
1kg以内580円750円
レターパックプラス4kg以内520円600円
レターパックライト4kg以内370円430円
スマートレター1kg以内180円210円

なお、上記以外にも、特定記録・簡易書留などを利用する際の料金が値上げになるため、2024年10月1日以降に郵便物を送る際は注意が必要です。

【参考】日本郵便株式会社 2024年10月1日(火)から郵便料金が変わります。

信書の送り方

信書を送る際は、書類に応じてサービスを使い分けましょう。

たとえば、配達を急がない手紙などを送る場合、定形郵便物・定形外郵便物にすればコストを抑えられます。一方、急ぐ場合は「速達」、追跡サービスをつける場合は「特定記録」や「簡易記録」といったオプションをつけると安心です。

急いでいて郵便窓口へ行く時間がない場合は、レターパックを検討しましょう。レターパックには、追跡サービスもついています。

信書の送り方は、サービスによってさまざまです。ここから、郵便局で送る場合・飛脚特定新初便で送る場合・信書を大量に送る場合に分けて、送り方を解説します。

郵便局で送る場合

定形郵便物・定形外郵便物に「特定記録」「簡易書留」などのオプションサービスを付帯する場合には、郵便局で手続きが必要です。「書留・特定記録郵便物等差出票」に郵送先の氏名など必要事項を記入し、追加料金を支払えば送付できます。

レターパックの場合は、郵便局窓口・郵便ポストどちらでも対応可能です。信書を入れたレターパックを郵便局窓口に提出するだけで、相手に届けられます。

なお、レターパックプラスの場合は、郵便局に電話するかWEB集荷サービスを利用することで、集荷を依頼可能です。

飛脚特定信書便で送る場合

飛脚特定信書便とは、請求書や証明書などを届けられる佐川急便株式会社のサービスです。飛脚特定信書便を利用すれば、北海道から沖縄まで全国各地に翌日までに配達できます(一部離島を除く)。

飛脚特定信書便で送る場合は、初期登録が必要です。佐川急便株式会社の担当営業所やセールスドライバーに問い合わせて、事前に打ち合わせしましょう。

なお、飛脚特定信書便で送れるのは、長さ・幅・厚さの合計が73cm超160cm以内、または重量が4kg超30kg以内の荷物(飛脚特定信書便 1号)や、3辺合計160cm以内・重量30kg以内の荷物(飛脚特定信書便 3号)です。また、料金は元払い(現金・QRコード決済)・元払い(売掛)・着払い(現金・QRコード決済)・着払い(売掛)のいずれかの方法で支払います。

信書を大量に送る場合(DM・ダイレクトメール)

信書に該当するDM(ダイレクトメール)を大量に送る場合、多額のコストがかかります。そこで、事業者は「料金別納」や「料金後納」のサービスを利用することが一般的です。

料金別納を利用する場合、郵便物に切手を貼る手間を省き、料金を一括して支払うことにより送付できます。送付する際は、郵便物・荷物の表面左上部(横に長く使用する場合は右上部)に、「(差出郵便局名)」や「料金別納郵便」の表示が必要です。

料金後納を利用する場合も、料金別納と同様に切手を貼る手間を省けます。一方で、料金別納は送付の都度料金を支払うのに対し、料金後納は1か月分をまとめて支払う点が主な違いです。

料金後納を利用する場合は、以下の流れで進めます。

  1. 郵便物・荷物を毎月50通(個)以上差し出す
  2. 郵便局に問い合わせて「後納」の承認を得る
  3. 「後納郵便物等差出票」を添えて、対象の郵便局に郵便物・荷物を差し出す

なお、場合によって1か月間に差し出す郵便物・荷物の料金などの概算額の2倍以上に相当する担保を提供しなければならないことがあります。

【参考】日本郵便株式会社 料金別納

【参考】日本郵便株式会社 料金後納

信書の郵便料金値上げに伴う年間コストは?

100g以内の信書を毎月50先に定形外郵便物(規格内)で送付している場合、従来は年間84,000円(140円 × 50先 × 12か月)のコストを負担していたことになります。それに対し、2024年10月1日に対象の郵便物の郵送料が140円から180円になると、今までよりも2万円以上高いコスト(合計108,000円)を負担しなければならないでしょう。

また、レターパックプラスを利用して毎月50先に信書を送付している場合、従来年間312,000円(520円 × 50先 × 12か月)のコストを負担していたことになります。2024年10月1日にレターパックプラスの料金が520円から600円に増加すると、年間で5万円近くの追加コスト(合計360,000円)を負担しなければなりません。

信書の郵便料金を節約する方法

郵便料金の値上げに備えて、信書の郵便料金を節約する主な方法は以下のとおりです。

  • まとめて発送して大口・法人向け料金を適用する
  • 電子化を検討する

各方法について、詳しく解説します。

まとめて発送して大口・法人向け料金を適用する

信書をまとめて発送できる場合は、大口・法人向け料金で節約できる場合があります。大口・法人向け料金とは、最低1,000通以上(第一種郵便物・第二種郵便物の場合)を同時に発送する場合に適用できる割引料金のことです。

大口・法人向け料金を適用した場合の具体的な金額については、以下のページでシミュレーションできます。

【参考】日本郵便株式会社 大口・法人向け料金の計算

電子化を検討する

今まで郵便で送っていた信書を電子化することでも、コストを抑えられます。

たとえば、取引先に送付する案内状を電子メールで送れば、紙や切手代を節約できるでしょう。封筒に入れる作業や郵便局・郵便ポストへ持ち込む手間を省ける点もメリットです。

また、電子請求書発行システムを導入してコストを抑える方法もあります。電子請求書発行システムとは、電子請求書の作成や送付をすべてオンラインシステム上で完結させられるシステムのことです。

信書を送るコストの増加を見込み対策を検討

手紙や請求書、各種証明書といったさまざまな書類が信書に該当します。

信書を送付する主な方法は、定形郵便物・定形外郵便物・レターパック・スマートレターです。2024年10月1日の郵便料金変更に伴い、いずれの方法も料金の値上げが予定されています。

信書を送る機会の多い事業を営んでいる方は、今後のコスト増加を見込み電子化などの対策を検討しましょう。


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