- 更新日 : 2025年2月4日
請求書を送付しても未入金・未払いの場合は再発行すべき?催促状の例文やリスク軽減方法も
取引先に商品の販売をしたら、請求書を発行し取引先に送付します。支払期日になったら入金があるかどうかを確認しますが、入金がされていないこともあります。
では、未入金・未払いの場合は請求書を再発行したほうがよいのでしょうか。ここでは、請求書を送付しても未入金・未払いになる原因や対処方法、リスク軽減方法などについて解説します。
目次
請求書を送付しても未入金・未払いの場合は再発行すべき?
請求書を送付しても未入金・未払いだった場合、いきなり請求書を再発行するのではなく、まずは再発行前に取引先の担当者に連絡を入れましょう。入金のことをうっかり忘れていた場合などは、取引先の担当者に連絡をすれば、すぐに入金してくれることも多いです。
取引先が請求書を紛失したなどの理由で再発行を望む場合は、再発行をしても問題ありません。その場合は再発行の文字を印字するなど、再発行したことがわかるようにしましょう。
請求書を送付しても未入金・未払いになる原因
請求書を送付しても未入金・未払いになる原因は、取引先だけでなく自社にあることも考えられます。請求書を送付しても未入金・未払いになる主な原因として、以下のようなものがあります。
自社が請求書を送付するときのミス
自社が請求書を送付するときのミスとして、最も多いのが請求書の送付忘れです。この場合は、まず社内でどのように対応するか検討する必要があります。なぜなら、取引先には何も落ち度がなく、逆に迷惑をかけてしまうことになるためです。
入金日を遅らせることや先方に謝りに行くなど、社内での対応方法が決まり次第先方に連絡します。先方の許可が出た後に、新しい入金日が記載された請求書を再発行します。また、同じミスが起こらないように業務フローを確立させる必要があります。
取引先が請求書を受領した後のミス
取引先が請求書を受領した後のミスとして多いのが、請求書の紛失などで入金を忘れていたというものです。
入金を故意でなく、失念して忘れていた場合、取引先の担当者に連絡をすればすぐに入金してくれることが多いです。また、請求書の紛失があった場合は、新しい入金日などを取引先と相談し、請求書を再発行します。
取引先の故意によるもの
取引先によっては資金繰りが苦しいなどの理由で、故意に入金をしないケースもあります。この場合はしっかりとした対応が必要です。
まずは、取引先の担当者に連絡をします。取引先が期日を遅れたとしても支払いの意思があれば入金日を相談し、新しい入金日が記載された請求書を再発行します。
取引先の担当者と連絡がとれないなど、相手に支払いの意思が感じられない場合には、内容証明郵便を利用し文書を送ったり、支払督促を申請したりします。
請求書を送付しても未入金・未払いの場合の対処方法
請求書を送付しても未入金・未払いの場合には、原因に応じた正しい対処をする必要があります。正しい対処方法として、以下のようなものがあります。
自社のミスがないか確認する
請求書の未入金・未払いの原因として、自社側の不備も考えられます。とくに注意すべき3つのミスは「宛先間違い」「日付の記載ミス」「送り忘れ」です。
宛先間違いは、取引先が多い場合や大企業の支店を相手にする際に発生しやすく、念入りな確認が必要です。
日付の記載ミスは、入金期日に影響を与えます。たとえば、請求日を1日間違えただけでも入金が1か月遅れてしまうケースもあるため注意しましょう。
請求書の送り忘れは、とくに繁忙期に起こりやすいミスです。作成と送付の担当者が別の場合は、ダブルチェックをすることでミスを減らせます。
メールや電話で取引先に連絡する
自社にミスがない場合は、メールや電話で入金がない旨を取引先に連絡します。自社にミスがある場合は先方への対応方法を決め、電話で取引先に連絡します。
故意に入金を忘れた場合を除き、ほとんどの場合は取引先に連絡すればすぐに入金対応をしてくれることが多いです。場合によっては、入金期日を延長する相談を受けることもあります。
催促状を送付する
取引先との連絡がとれない場合は、催促状を送ります。催促状は代金の支払いを促すものです。あくまで促すものであるため、同じような書状である督促状よりも強制力は弱いです。一般的に最初に催促状を送付し、それでも入金がなければ督促状を送付します。
督促状を送付する
催促状を送っても、何の連絡も入金もない場合には督促状を送付します。督促状は、時効の成立を伸ばすことを目的とする、あるいは法的措置に移行する前の最後通牒のような意味合いを持つ書状です。
2020年4月以降、請求書の時効は5年です。5年が経過すると売掛金を回収できなくなります。しかし、支払いを催促した一定の要件を満たす記録があれば、時効を6ヶ月間延長することができます。内容証明郵便で送付すると郵便物の内容が記録に残るので、時効を6ヶ月間延長することができます。
時効が伸びた間に、法的措置を講じる準備をします。督促状を送る際には、必ず内容証明郵便を利用しましょう。
法的措置を講じる
督促状の送付を行っても入金がない場合、最終的には法的措置を講じることになります。簡易裁判所に支払督促を申し立てることで、裁判所から支払督促が発付されることになります。
支払督促が発付されれば、取引先の異議の申し立てがない限り強制執行の手続きを行うことが可能です。2週間以内に異議の申し立てがあれば、裁判になります。
請求書の催促状・督促状の記載項目
催促状や督促状は、未払い金の回収を促すための重要な文書です。これらの文書を作成する際には、必要な情報を漏れなく、かつ適切に記載することが不可欠です。
正確で効果的な催促状・督促状は、未払い問題の迅速な解決につながり、取引先との良好な関係を維持しながら自社の権利を主張できます。
ここでは、催促状・督促状に記載すべき各重要項目について詳しく解説します。
発行日
催促状・督促状には作成日または送付日を明記することが重要です。これは、現時点での支払い遅延を正確に伝えるためであり、また将来的な手続きの際に催促状や督促状を特定するためにも必要です。
催促・督促の時点を明確にすることにより、支払遅延が経過している事実を明確に示すことを可能にし、債権者と債務者双方においても状況の経緯の把握やそれに基づく適切な対応ができます。
表題
表題とは、書類のタイトルを指し、どのような書類であるかを明確にするために書面の一番上に記載します。「催促状」や「督促状」などの表題は、書類の内容を一目で相手側に理解してもらうための重要な表記です。
催促状・督促状の発行は、担当者の個人的な判断ではなく、会社の正式な決定に基づいて行いましょう。また、最初の段階では「お支払のお願い」などの穏やかな表現を用いることが望まれます。
繰り返し送付しても相手からの反応がない場合には「催促状」や「督促状」と明記し、相手に支払いの責任を自覚させることが重要です。
差出人
「催促状」や「督促状」の差出人情報は、単に個人名を記すだけでは不十分です。会社名、所属部署、役職など、詳細な情報を明記することが重要です。これにより、督促が個人的な行為ではなく、組織を代表して行われていることを明確に伝えられます。
さらに、上司の記名と押印も加えることで督促の正当性と重要性が強調され、支払い遅延の問題に対する会社全体の姿勢を明確に伝えられます。
宛先
催促状や督促状を送付する際、宛先の正確な記載は非常に重要です。会社名、部署名、担当者名を明確に記載することで、確実に相手に届くようにしなければなりません。宛先を間違えると、会社の信用問題に発展する可能性があるため、郵送前に細心の注意を払い確認しましょう。
具体的な担当者が分かっている場合は、会社名・部署名・役職名・担当者名を漏れなく記載します。一方、特定の担当者が不明な場合や、会社全体に対して督促を行う場合は「株式会社〇〇御中」のように会社名に「御中」を付けて記載します。
支払いの要求
催促状や督促状の本文である要求内容部分では「請求日時」「請求内容」「支払期限」「振込状況」など、重要な情報を明確に記載します。ただし、表現には十分な配慮が必要です。「すぐに入金してください」のような直接的な要求は避け、相手の感情に配慮した丁寧な言葉遣いを心がけましょう。
【例文】
○年○月○日付で弊社から請求いたしました○○の代金○○円(税込)につきまして、お支払い期日の○年○月○日を過ぎて1週間が経過した現在も、いまだにお振込みを確認できておりません。つきましては、○年○月○日までに、以下の口座にご入金いただきますようお願い申し上げます。
なお、本状と行き違いでお振込みいただきました場合は、あらかじめご容赦くださいますようお願い申し上げます。
効果的なアプローチとしては、事実を客観的に述べつつ、入金を促す穏やかな表現で記載することです。また「なお、本状と行き違いでお振込みいただきました場合は、あらかじめご容赦くださいますようお願い申し上げます。」といった文言を加えることで、誤解や重複払いの可能性にも配慮していることを示しておきましょう。
法的手段の告知
催促状や督促状に対して適切な対応がなされない場合、最終的には法的手段に移行する旨を通知する必要があります。記載例は、以下のとおりです。
【例文】
先日お送りした催促状にて、○○の代金○○円(税込)につきまして、令和○年○月○日までに代金のお支払いをお願いしましたが、いまだに入金が確認できておりません。
誠に遺憾ではございますが、強制執行を含む法的手段の検討を進めております。未払いの代金に加え、遅延損害金や再請求手数料、延滞利息もあわせてご請求させていただくことをご了承ください。
遅延損害金や再請求手数料、延滞利息についても明確に記載しておきましょう。
請求書の催促状・督促状の例文
督促状の作成に特定の規則はありませんが、債務者に明確に伝わる文章であることが重要です。文章の作成にあたっては、相手の立場を考慮し、丁寧かつわかりやすい表現を心がけましょう。
また、ここでも相手に高圧的な態度をとることは避けるべきです。過度に強い表現を用いると、脅迫と受け取られ、相手が必要以上に警戒心を抱く可能性があります。そのため、誠実な対応を基本とし、必要な情報のみを事務的に記載するようにしましょう。
一般的な未払金に対する催促状と督促状の文面の例文を紹介します。
令和〇年〇月〇日
(債権者側の社名、部署)
(債権者側の責任者名、押印)
(債務者側の社名や部署名、担当者名) 様
※担当者が不明な場合は「様」ではなく「御中」を記載
催促状(または「お支払のお願い」)
拝啓
御社におかれましては、ますますご清栄のこととお慶び申し上げます。
平素より格別のお引き立てを賜り御礼申し上げます。
さて、○年○月○日付で弊社から請求いたしました○○の代金○○円(税込)につきまして、お支払い期日の○年○月○日を過ぎて1週間が経過した現在も、いまだにお振込みを確認できておりません。つきましては、○年○月○日までに、以下の口座にご入金いただきますようお願い申し上げます。
お支払いの期限を過ぎていると思われますため、お手間をおかけしますが早急にお支払いをお願いいたします。
また、大変恐縮ではございますが、お支払いいただける日についてのご連絡をいただけると幸いです。ご多忙のところ、ご迷惑をおかけいたします。
なお、本状と行き違いでお振込みいただきました場合は、あらかじめご容赦くださいますようお願い申し上げます。
敬具
催促状や督促状に対して適切な対応がなされない場合、最終的には法的手段に移行する旨を通知する必要があります。この場合のテンプレートは、以下のとおりです。
令和〇年〇月〇日
(債権者側の社名、部署)
(債権者側の責任者名、押印)
(債務者側の社名や部署名、担当者名) 様
※担当者が不明な場合は「様」ではなく「御中」を記載
督促状
拝啓
御社におかれましては、ますますご清栄のこととお慶び申し上げます。
平素より格別のお引き立てを賜り御礼申し上げます。
さて、先日お送りした催促状にて、令和○年○月○日までに代金のお支払いをお願いしましたが、いまだに入金が確認できておりません。お手間をおかけしますが早急にお支払いをお願いいたします。
つきましては、△月△日までにお支払いを確認できない場合は、誠に遺憾ではございますが、強制執行を含む法的手段の検討を進めております。未払いの代金に加え、遅延損害金や再請求手数料、延滞利息もあわせてご請求させていただくことをご了承ください。
なお、本状と行き違いでお振込みいただきました場合は、あらかじめご容赦くださいますようお願い申し上げます。
敬具
請求書の未入金・未払いのリスクを軽減する方法
請求書が未入金となるリスクを軽減するには、現状の業務フローや管理体制を見直すことが必要です。ここでは、具体的な方法と期待される効果を解説します。
現状の業務フローや管理体制を見直す
請求書の送り漏れやミスを防ぐには、業務フローの見直しが必要です。具体的には、以下の対策があげられます。
- マニュアルの作成
- 従業員ごとの役割の明確化
- 請求書のダブルチェック
- 入金や進捗のチーム内共有
- 請求書業務の外注
とくに重要なのは、関連部署内での情報共有です。情報共有により、請求書の送付状況を適切に管理できるため、未払いが発生した際の原因特定も容易にできます。
また、ミスの早期発見と迅速な対処を可能にする環境整備も不可欠です。チェック体制の再構築や社員間のコミュニケーション強化などが効果的な方策でしょう。
取引先の与信管理を徹底して行う
未回収金は企業の財務健全性を脅かし、回収業務による従業員の負担を増大させます。与信管理を通じて取引先の支払能力を事前に評価することにより、これらのリスク軽減が可能です。
与信管理の実践方法にはさまざまなアプローチがあります。たとえば「取引先との直接対話」「財務状況の詳細な分析」「オンラインでの評判調査」「専門機関による信用調査の依頼」などです。これらの手法を組み合わせることで、取引先の信用度を多角的に評価できます。
また、与信管理は一度だけではなく、継続的に行うことが重要です。初回取引時だけでなく、取引関係が続く限り定期的に実施することで、取引先の経営状況の変化にも迅速に対応できます。
与信管理の徹底は、新規取引の獲得に一定の制約を課す可能性はありますが、未払いリスクの大幅な低減という利点が上回ります。企業の長期的な財務安定性を確保するためには、継続的かつ綿密な与信管理が不可欠です。
請求業務を効率化できるツールを導入する
請求業務を効率化できるツールを導入することで、未払いリスクの低減が期待できます。そのほか、請求書の作成や送付も自動化するため、業務負担の軽減も目指すことができます。
また、支払期日のアラート機能や自動催促機能を備えたシステムもあり、未払いへの初期対応が可能です。これによりヒューマンエラーを減らし、自社原因の未払いリスクの低減が可能です。
さらに、請求業務の自動化で従業員はコア業務に集中でき、費用対効果も高まるでしょうコストはかかりますが、ミスの減少と工数削減のメリットがあるため、導入を検討する価値はあるといえます。
マネーフォワード クラウドなら請求書の入金ステータスがひと目でわかる
請求書が未入金となるリスクを軽減するためには、入金管理をしっかりしておくことが必要です。そこで、おすすめなのが「マネーフォワード クラウド請求書」です。
マネーフォワード クラウド請求書には、請求書が未入金となるリスクを軽減するための工夫がされています。代表的な機能として「請求書の入金ステータス」があります。「下書き」「送付済み」「受領済み」「入金済み」などのステータスを一覧で確認できるので、請求書の送付ミスを防ぐことが可能です。
また、回収消込表でも未入金の残高や内訳が確認できるので、請求書の送付ミスだけではなく、代金の回収漏れも防ぐことができます。
請求書を送付しても未入金・未払いの場合は正しい対処を
請求書を送付しても未入金の場合は、速やかに対処をする必要があります。しかし、いきなり取引先に問い合わせの連絡をしてはいけません。なぜなら、自社が請求書の送付を忘れているかもしれないからです。請求書を送っていた場合は取引先に連絡をして、入金してもらうように依頼しましょう。
万が一連絡がとれない場合は催促状や督促状を送り、それでも入金がない場合は法的措置を講じます。また、請求書が未入金となるリスクを軽減するために、しっかり入金管理を行うことも大切です。
※ 掲載している情報は記事更新時点のものです。
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