- 作成日 : 2022年4月8日
電子インボイス制度とは?メリットや「Peppol(ペポル)」について解説!

令和5年10月から開始予定のインボイス制度においては、適格請求書を電子データで運用することも想定されています。その電子インボイスの標準的なやり取りについては、海外の規格であるPeppol(ぺポル)というネットワークシステムを利用することになりました。
しかし、Peppol(ぺポル)とは何かをご存知ない方も多いでしょう。そこでこの記事では、Peppol(ペポル)の概要と利用効果、メリットについて解説します。
目次
電子インボイスとは?
電子インボイスとは、適格請求書などを電子化したデータのことです。
令和5年10月1日のインボイス制度開始からは、仕入税額控除は適格請求書(インボイス)についてのみ適用されます。
※「仕入税額控除」とは、課税売上にかかる消費税から課税仕入れに関する消費税を控除することです。
このように、インボイス制度においては適格請求書(インボイス)の運用が中心となります。
電子インボイスとは、この適格請求書(インボイス)を電磁的記録で提供したものをいいます。
電子インボイスを考える際、現行、紙で運用しているものを電子化するだけでは、それぞれバラバラの電子データが増えるだけとなります。
これに対して、規格が統一(標準化)されたデータを皆が運用すると、全体の運用が非常にスムーズになります。
そこで登場したのが、請求書などの電子文書運用の標準仕様であるPeppol(Pan European Public Procurement Online:ペポル)です。
Peppol(ペポル)のような標準化された電子インボイスは、標準化されたフォーマットやルールを各システム会社において共有しようという動きです。
税法上では、「必ずこの規格でなければならない」ということはありません。
しかしながら、どの会社の会計システムを利用しても統一された電子インボイスが生成されれば、海外との取引でも運用可能となります。したがって、今後は「会計システムの利用=Peppol(ぺポル)の利用」と考えてよいでしょう。
税法上は電子インボイスの提供は企業の義務ではありませんが、将来的には電子インボイスが求められるものと予想されます。
国際規格「Peppol(ペポル)」とは?
Peppol(ぺポル)とは、Open Peppol(ベルギーの国際的非営利組織)が管理を行っているネットワークに関する国際規格です。
Peppol(ぺポル)は、国境を超えた電子的な取引を可能とするグローバルな仕様であり、次の3つから構成されます。
- ネットワーク
- ドキュメントの仕様
- ネットワークガバナンスを定義する法的な枠組み
日本では、電子インボイス推進協議会「EIPA(エイパ)」によって、電子インボイスの標準化をPeppol(ぺポル)に準拠して策定することとしました。それにもとづき現在開発が進められています。
令和3年9月にデジタル庁が発足し、Peppol(ぺポル)をベースとした日本版の「Peppol BIS Billing JP」の策定を進めることとなりました。
ひと口にインボイスといっても、請求書だけを意味するわけではありません。日本の商習慣に対応するという観点から、仕入明細書や納品書などの整備も行われる予定です。
電子インボイスの導入によるメリット
電子インボイスの運用が始まると、紙媒体による運用に比べてさまざまな点で便利になると予想されます。
請求書は、そもそも社外との取引を前提とした書類であるため、授受や運用面でどのように活用できるのかを見ていきましょう。
適格請求書の管理が簡単にできる
インボイスの管理には、受け取ったインボイスの管理と交付したインボイス(写し)の管理があります。
インボイスを紙媒体で受け取った場合、次のステップとして支払処理を行わなければなりません。
しかし、電子インボイスを受領した場合は、データ取込処理を行い、そのデータをもって支払データとすることができます。
これによって担当者の入力が不要となり、債務管理が大幅に省力化できるのです。
なお、Peppol(ぺポル)のしくみそのものが、電子インボイスを企業の格納場所に保存するわけではありません。そのため、仕入税額を控除するには、受け取った電子インボイスを事業者が各自の格納場所に保存する必要があります。
一方、得意先に交付したインボイスについては、金融機関からの入金データとマッチングすることによって売掛金回収処理につなげることができます。
このように、電子インボイスで授受を行うと、入出金管理を非常に効率的に運用することが可能です。
具体的な運用のしかたは会計システムにより異なってくる可能性がありますが、請求書管理事務の効率化は進みます。
Peppol(ぺポル)においては、下図のようにそれぞれの会社のアクセスポイントを経由して電子インボイスの情報を入手することになります。
仕入先の電子インボイスは、仕入先のアクセスポイントを通じて当社のアクセスポイントから取得します。また、得意先への電子インボイスは、当社のアクセスポイントから連携するといったイメージです。
海外企業と効率的に取引できる
Peppol(ぺポル)の規格はすでに海外でも多く利用されているため、Peppol(ぺポル)を経由して将来的には海外企業との取引も効率化できると思われます。
輸出入については国内の手続きと同様にはいかないものの、電子インボイスの導入によって事務効率化につながります。頻繁に海外とのやり取りがある企業にとっては朗報といえるでしょう。
テレワーク・在宅勤務に対応できる
紙で会社の住所に届く請求書と異なり、電子インボイスが導入されるとテレワークや在宅勤務への移行がよりスムーズに実現します。
導入するシステムにもよりますが、社内経費の支払なども工夫すれば、入出金に関連する業務のリモート化が実現するでしょう。
リモートワークにおいては、端末やIDの管理などアクセスポイントへの接続におけるセキュリティ上の課題をクリアする必要があります。しかし、オフィスの場所を選ばない業務が可能になる点でメリットが大きいと思われます。
電子インボイスに対応したシステムを導入しましょう
2022年1月現在、EIPAに加入し電子インボイスを進めている会社は154社あります。
おそらく、会計システムが電子インボイスに対応しているかどうかが明確にわかるように表示されるとみられています。
会計システムを新たに導入、または更改する予定がある場合には、電子インボイスの利用を想定した業務改善を検討するとよいかもしれません。
よくある質問
電子インボイスとはなんですか?
令和5年10月1日から導入されるインボイス制度では、仕入税額控除するには適格請求書(インボイス)が必要となります。電子インボイスとは、この適格請求書(インボイス)を電磁的記録で提供したものをいいます。詳しくはこちらをご覧ください。
Peppolとはなんですか?
Peppol(ペポル)は請求書などの電子文書運用の標準仕様のことです。Peppolにより統一されたフォーマットなどを各システム会社で使用することにより、電子インボイスの運用が非常に効率的になります。詳しくはこちらをご覧ください。
Peppolを利用せずに電子インボイスを発行できますか?
可能です。しかし、単に電子化されただけのインボイスであれば、Peppol対応のシステムによる効率化は望めません。また、顧客からはPeppol対応を求められる可能性があります。詳しくはこちらをご覧ください。
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