- 更新日 : 2026年4月16日
年度またぎでも経費精算できる?年度をまたぐ領収書の会計処理を解説
企業の経理担当者は、経費精算のタイミングに疑問を抱えたことがあるのではないでしょうか。とくに、事業年度をまたぐケースでは、どのタイミングで領収書を経費として計上するのでしょうか。本記事では、年度をまたぐ経費精算の会計処理や対策について解説します。
年度をまたいだ領収書で経費精算はできる?
まず、経費精算は原則、実際に経費が発生した「事業年度内」に処理をする必要があります。
しかし、年度をまたぐ長期の出張旅費など、年度をまたいで発生した領収書を手にする場面があります。その場合は、どのように処理するのでしょうか。
実務(会計)上の場合
実務上(企業会計)の処理については、「発生主義の原則」に基づいて経費精算を行います。発生主義の原則とは、金銭の授受があったタイミングではなく、取引が発生(取引が確定)したタイミングで費用と収益を計上するという考え方です。企業の財務状況を適切に把握するために、この方法で処理します。
結論として、年度をまたいだ場合は、取引が発生した事業年度に経費精算をする必要があります。
例として、事業年度(決算)が4月1日から3月31日のケースで確認します。
本年度である3月中に取引が発生して(商品の仕入れを行った)、金銭の授受(支払い)は次年度である4月だった場合は、「本年度の経費」として処理をします。
税務上の場合
企業会計のルールとほとんど同じ考え方で処理をします。事業年度内に発生した経費については、原則、損金として経費精算が認められています。しかし、年度をまたいで発生した経費(次年度の取引で発生した経費)については、本年度の経費として損金算入が認められません。その場合は、次年度の経費として損金計上します。つまり、金銭授受のタイミングではなく、取引が発生したタイミングによって計上時期が異なるということです。
年度またぎの経費精算が発生するケース
次に、年度をまたいで経費精算が発生するケースについて確認します。
そもそも年度またぎとは?
そもそも年度またぎとは、事業年度内の領収書などを翌事業年度にまたいで精算することをいいます。例えば、事業年度内に経費精算の必要があった立替金の申請を忘れていた場合や、長期間の出張で申請の手続きが間に合わなかった場合などが該当します。
利用期間が月をまたぐ
利用期間が月をまたぐケースとして、例えば、月末から出張に向かい月をまたいで会社に戻る場合の出張旅費(往路と復路で月をまたぐ場合)などが該当します。
会計の経理処理は、経過勘定(費用の発生と支払いのズレを調整する勘定科目)として「前払費用」や「未払費用」で処理します。
月末の経費を請求する
会社の規定で、経費精算の期日が決まっている場合が多いため、なるべく早く請求するようにしましょう。経理担当者は月末になると、とくに慌ただしくなります。
いち早く「収益」と「費用」を確定させるためにも、経費精算をタイムリーに行うことが重要です。
経費精算の申請が間に合わない
原則的に、会社規定の期日までに経費精算をする必要があります。もし経費精算の申請が間に合わなかった場合は、会社の事業年度内であれば、経費精算が可能です。
しかし、年度をまたいだ場合は、該当する事業年度での経費精算が難しくなります。その場合は、次年度での経費精算として処理することになります。
年度をまたぐ経費の会計処理
次に、会計処理について確認しましょう。年度をまたいで経費を会計処理する場合は、「経過勘定」を使います。経過勘定とは、収益や費用の発生と、金銭授受のタイミングとのズレを調整することです。勘定科目としては、「前払費用」や「未払費用」などを用いて計上します。
【例】4月1日から3月31日を事業年度としている会社の場合
■先払いのケース
事業年度末(3月末:5日間)から翌事業年度(4月初旬:5日間)にかけて出張のため宿泊施設への予約金を一括して10万円支払った場合は、下記の通り計上します。(仮として1泊1万円で計算)
| 借 方 | 貸 方 | |||
|---|---|---|---|---|
| 3月 | 旅費交通費 | 50,000円 | 現金 | 100,000円 |
| 前払費用 | 50,000円 | |||
| 4月 | 旅費交通費 | 50,000円 | 前払費用 | 50,000円 |
■後払いのケース
事業年度末(3月末:5日間)から翌事業年度(4月初旬:5日間)にかけて出張のため宿泊施設への支払いのため最終日にまとめて10万円支払った場合は、下記の通り計上します。(仮として1泊1万円で計算)
| 借 方 | 貸 方 | |||
|---|---|---|---|---|
| 3月 | 旅費交通費 | 50,000円 | 未払費用 | 50,000円 |
| 4月 | 旅費交通費 | 50,000円 | 現金 | 100,000円 |
| 未払費 | 50,000円 | |||
このように、会計処理は収益や費用の発生と金銭の授受とタイミングにズレが生じた場合は、「前払費用」や「未払費用」を使用します。
年度またぎの経費精算を最小限に抑える対策
年度またぎの経費精算を最小限に抑える対策について確認しましょう。
とくに経営者は会社の収益や費用などの数字をいち早く把握したいので、社内規定を整備してスムーズな経費精算を行うことが重要です。
社内規定を整備する
社内規定を整備して経費の提出期限を設けることが有効です。
例えば、前月の経費は「翌月10日まで」や、出張費の精算は出張から戻ってきてから「5日以内」など、期日を決めておくことで、従業員からの申請漏れや申請遅れを防ぐ効果があります。
取引が発生したタイミングで経費精算をしよう
会計と税務の経費精算は、現金等を支払ったタイミングではなく、取引が発生したタイミングで経費精算を行いましょう。また、税務の申告期限は事業年度末から2ヶ月以内とされているため、経費精算の処理はスムーズに行うことが大切です。従業員の経費精算の申請について、社内規定を整備して経費の提出期限を守るように周知徹底を心がけましょう。社内の罰則規定などを設けることも有効な手段といえるでしょう。
※ 掲載している情報は記事更新時点のものです。
※本サイトは、法律的またはその他のアドバイスの提供を目的としたものではありません。当社は本サイトの記載内容(テンプレートを含む)の正確性、妥当性の確保に努めておりますが、ご利用にあたっては、個別の事情を適宜専門家にご相談いただくなど、ご自身の判断でご利用ください。
領収書 経費精算の関連記事
新着記事
-
# 請求書
請求書とは?記載項目・作り方・インボイス制度との関係を解説
請求書とは何か? 請求書とは、商品やサービスを提供した事業者が取引相手に代金の支払いを依頼するための書類です。 取引内容・金額・支払期限などを記載する インボイスは要件を満たした適…
詳しくみる -
# 請求書
請求書の内税の書き方は?計算方法やインボイスの記載例も解説
請求書の内税はどう書く? 内税の請求書は、税込金額と適用税率・消費税額等を併記して記載します。 内税の消費税は税込金額×10/110で計算 インボイスは登録番号など法定事項が必須 …
詳しくみる -
# 請求書
請求書の書き方は?個人が手書きで作成する方法やインボイス対応を解説
請求書は手書きでも正式に使える? 個人事業主・フリーランスの請求書は手書きでも正式に発行でき、必要事項を満たせばインボイスにもなります。 書式の指定はなく手書きでも有効 宛名・金額…
詳しくみる -
# 請求書
精算表とは?意味や作り方、試算表との違いを解説
精算表とは何か? 精算表とは、試算表に決算整理を反映し、損益計算書・貸借対照表を作成するまでの計算過程を一覧にした表です。 残高試算表・整理記入・財務諸表の3欄で構成 試算表と違い…
詳しくみる -
# 領収書
ホテルの領収書を再発行するには?紛失時の依頼方法やインボイス・予約サイト利用時の対応を解説
ホテルの領収書は再発行できる? ホテルの領収書は、宿泊・決済記録が確認できれば再発行してもらえる場合があります。 再発行の義務はなくホテルごとに対応が異なる 依頼先は「誰に支払った…
詳しくみる -
# 領収書
領収証と領収書の違いは?意味・法的効力やレシートとの違い、書き方を解説
領収証と領収書の違いとは? 領収証と領収書は法令上の明確な区別はなく、どちらも代金受領を証明する同じ役割の書類です。 名称より記載内容で効力が決まる レシートも経費の証憑として利用…
詳しくみる