• 更新日 : 2024年9月18日

送付状に適したフォントは?選び方やWindowsとMacの違いを解説

取引相手などに送付状や添え状を送る際、盛り込む内容や表現などに加え、フォントにも配慮が必要です。フォントには明朝体やゴシック体など、さまざまな種類があり、選ぶフォントによって受け取り手に与える印象が変わるからです。

ここでは、送付状に適したフォントの種類やサイズの選び方、フォントを選ぶ際の注意点、さらには挨拶状を書くときのマナーについても解説します。

送付状に適したフォントとは?

同じ文章でも、フォントが異なると相手に与える印象が変わるため、送付状を作る際には、書く内容や送る相手に応じて使うフォントを考える必要があります。

そもそも、送付状とは契約書や請求書、物品などを郵送するときに同封するもので、FAXで文書を送信するときにも添付します。ビジネスシーンにおいて、相手に何かを送るときには送付状を添付するのは慣例となっており、送付状を添えずに文書や物品を送ると、相手に失礼な印象を与えてしまうことがあります。

送付状の役割は以下の3つです。

  • 「本来なら直接うかがってお渡しするべきですが、郵送やFAXで失礼します」という気持ちを表明する
  • 送ったものの内容を通知する。相手方は過不足がないかすぐに確認できる
  • 送ったものについての補足説明を行う

送付状の意味や役割を考えると「相手が送付状を見たときに受ける印象」がとても重要であることがわかります。フォントが「見た目」に果たす役割は大きく、たとえば新聞や書籍でよく用いられる明朝体は真面目な印象、丸ゴシック体は親しみやすい印象を与えます。

送付状に適したフォントの選び方

送付状にもっとも適しているフォントは明朝体ですが、ほかにも送付状に適したフォントはいくつかあります。ここでは、送付状におすすめのフォントと使い方をご紹介します。

基本は明朝体

明朝体は縦線よりも横線が細く、字のハネやトメに「ウロコ」とよばれる飾りがつく点が特徴です。受け取った相手にかしこまった印象を与えることから新聞や書籍によく使われており、ビジネス文書にも適しています。

明朝体とひとくちにいっても、フォントを制作している企業によってさまざまです。たとえばWindows版『Microsoft (R)Word(以下『Word』)2021』に入っている明朝体には、以下のようなものがあります。

明朝体の種類制作企業
MS明朝リコー、マイクロソフトMS明朝 あいうえお明朝
BIZ UD明朝モリサワBIZ UD明朝 モリサワ※BIZ UD明朝体Medium
游明朝字游工房(現・モリサワグループ)游明朝 字游工房(現・モリサワグループ)

MS明朝体はリコーが制作し、マイクロソフトに権利を譲渡したフォントで『Word』にもともと標準搭載されているものです。BIZ UD明朝体と游明朝体は、読みやすさや文字の間隔などを考慮した明朝体で、游明朝体は『Word2016』以降のバージョンにおける『Word』の標準フォントになっています。

それぞれの明朝体は、文字の間隔や字の太さなどによってさらに細分化されています。いろいろ試してみるとよいでしょう。

ゴシック体

ゴシック体は縦横の線の太さに差がないフォントです。明朝体よりも読みやすく、ホームページや道路標識などによく使われています。明朝体よりもカジュアルで明るい印象を与えるため、エンドユーザーに送る商品などにつける送付状に使うとよいでしょう。

Windows版『Word2021』には明朝体同様、複数のゴシック体が装備されています。

ゴシック体の種類制作企業
MSゴシックリコー、マイクロソフトMSゴシック リコー、マイクロソフト
BIZ UDゴシックモリサワBIZ UDゴシック モリサワ
游ゴシック字游工房(現・モリサワグループ)游ゴシック 字游工房(現・モリサワグループ)

ゴシック体には文字を構成する線の端が四角いものと丸いものがあり、前者を角ゴシック、後者を丸ゴシックとよびます。上述した3つのゴシック体は「角ゴシック」に当たります。

メイリオ

メイリオはゴシック体よりも、さらに読みやすさや見やすさを考えて設計されたフォントで、均一な太さと丸みを帯びた線が特徴です。

ポップで明るい雰囲気のフォントで、プレゼンテーション資料やスライドなど、社内向けの文書に使われる傾向にあり、対外的な文書に使うと「緊張感がない」という印象を相手に与える可能性があります。

ゴシック同様、メイリオも送付状を添付する内容や対象に合わせて使うとよいでしょう。たとえば、若いエンドユーザーに商品やカタログなどに添える送付状に使うと、親しみやすい印象を与えることができます。

メイリオには、明朝体やゴシック体のようなバリエーションはありません。

メイリオ

その他のフォント形式

上記3つのフォントのほかに、送付状に適したフォントとして楷書体とヒラギノ角ゴシックがあります。

・楷書体

毛筆のような強弱をつけたフォントです。上品で格式高い印象を与えることができ、招待状や挨拶状などによく用いられます。

送付状に楷書体を使うと丁寧な印象を与えることができますが、事務的な書類の送付に楷書体を使った送付状を添えると仰々しくなってしまうこともあります。

楷書体

・ヒラギノ角ゴシック

macOSで標準装備されている「ヒラギノフォント」の角ゴシック体です(Windowsには装備されていません)。

「ゴシック体」の項で述べたように、読みやすさや見やすさに長けているため、ビジネス文書に適していますが、送付状を添える対象物によっては軽い印象を与えてしまうことがあるので、注意しましょう。

英語の送付状に適したフォントは?

英字のフォントもシンプルなものからデザイン性の高いものまで、さまざまなものがあります。英語で送付状を作成する際は、シンプルなフォントを選びましょう。例として、3つのフォントをご紹介します。

Arial

文字に飾りが少ないシンプルなフォントです。雑誌や書籍、Webと幅広く使われており、WindowsとmacOSのいずれでも使えます。

英語の送付状に適したArial フォント

Time New Roman

1930年代にイギリスの新聞「Times」のためにつくられ、世界中に広がったフォントです。英文のビジネス文書でいちばんよく使われています。

英語の送付状に適したフォント Time New Roman

Cambria

Windowsに装備されているフォントです。文字に飾りがあってTime New Romanとフォントに似ていますが、文字の線が細く、文字内の空間が広く取られているので見やすくなっています。

英語の送付状に適したフォント Cambria

WindowsとMacではフォントの見え方が異なる場合がある

WindowsとMac、それぞれのパソコンでフォントの見え方が異なる場合があります。たとえば「游ゴシック」「游明朝」はWindowsにもMacにも入っているフォントですが、Windowの「游ゴシック」を使って作成した文書をMacで開くと、若干文字のフォルムが異なって表示されます。

実はMacに入っているフォントは「游ゴシック体」という名のフォントで、Macが「游ゴシック」と「游ゴシック体」を別のものと認識しているためと考えられます。

また、WindowsとMacの双方に対応していないフォントも少なくありません。そのようなフォントを使った場合、OSが自動で判断して適当な別のフォントに変換してしまいます。フォントは文字の大きさがそれぞれ異なるため、異なるフォントに変換されるとレイアウトが崩れることがあるのです。

このような事態を防ぐには、ネット上で公開されているWindowsとMacのどちらでも使える無料のフォントを活用するとよいでしょう。たとえばGoogleとAdobeが共同開発した「源ノ明朝」というフォントをWindowsとMac双方に入れると、どちらのパソコンでも同じように表示されます。

送付状のフォントを選ぶ際の注意点

送付状のフォントを選ぶときに注意すべき3つの点を解説します。

丸文字などポップなフォントは使用しない

丸文字のように、カジュアルすぎる印象を与えるフォントは使わないほうが無難です。送付状を受け取る人は、フォントの印象から「差出人が自分をどのように扱っているか」を読み取ります。

手書きの文字に親しんできた世代ほど、文字の形からさまざまなイメージを受け取る傾向にあり、ポップなフォントで書かれた送付状を見て「軽んじられている」と気分を害してしまうリスクがあります。

フォント形式を統一する

ひとつの送付状の中で複数のフォントを使うと紙面の情報が多くなってしまい、相手が読みにくく感じます。フォントは1種類にし、表題の文字サイズを大きくしたり、強調したい部分は下線や太字を使ったりしてメリハリをつけます。

文字サイズを小さくしすぎない

送付状の本文は10.5~12ポイントが最適です。これよりも小さくなると、読みにくくなります。送付年月日や送付先、発信者は本文と同じか少し小さめ、表題は本文よりも大きくして16~20ポイント程度にします。

送付状の書き方のマナー

送付状の書き方についても、見ておきましょう。

適度な改行や余白を取る

送付状は送付先や差出人、件名、本文などいくつかの要素で構成されています。要素ごとに余白を取り、本文は適度に改行を行い、受け取り手が読みやすいように配慮しましょう。

頭語・結語の組み合わせに注意する

送付状の本文には頭語と結語を置きますが、以下のように組み合わせが決まっているため、正しい組み合わせで使用しましょう。

頭語結語
拝啓敬具
謹啓敬白
恭啓謹言

適切な敬称を使用する

送付状の送付先宛名には、適切な敬称を使いましょう。個人や企業の特定の担当者に充てて送付状を送る場合は「様」、企業・団体の特定の個人ではなく、企業そのものや部署に充てて送る場合は「御中」をつけます。

また、特定の担当者に送る場合は「〇〇会社御中△△様」のように「御中」と「様」を併用しないようにしましょう。

適切なフォーマットとレイアウトを使用する

送付状に決まった書式はないものの、一般的に以下の要素で構成します。

  1. 送付年月日
  2. 送付先
  3. 差出人
  4. 件名
  5. 本文(頭語・時候の挨拶・用件・結語)
  6. 記(送付書類の内容など)

見やすさを考えながら、各要素をレイアウトします。特に3と4の間、5と6の間は文書全体のバランスを考えて余白をつくりましょう。

送付状のテンプレート-無料ダウンロード

以下のリンクで、送付状のテンプレートを無料でダウンロードできます。郵送用とFAX用の送付状があるほか、月ごとに異なる時候の挨拶を挿入した送付状もご用意しました。ご活用ください。

フォント選びは見やすさと相手に与える印象を考慮しよう

送付状は、契約書や商品などを送る際に添付する文書です。送ったものの内容確認と補足説明に加え、相手に「本来なら直接会って渡すところを郵送・FAXで失礼します」と詫びる意味も込められているため、相手に失礼な印象を与えないよう配慮する必要があります。

そのため、送付状に使うフォントは「見やすさ」と「相手に与える印象」を考えて、選ばなくてはなりません。明朝体と基本に、送り先や送るものに応じてゴシック体やメイリオなども活用するとよいでしょう。


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