- 更新日 : 2025年1月30日
インボイス制度での短期前払費用の扱いは?2023年10月1日をまたぐケースも解説
短期前払費用とは、継続的に支出している前払費用のうち、支払日から1年以内に役務の提供を受ける費用のことです。前払費用は支出の効果が期間にわたり損金算入が必要ですが、短期前払費用には特例があります。インボイス制度下でも特例は適用できるのか、2023年10月1日をまたぐケースも含め解説します。
インボイス制度での短期前払費用の扱い
インボイス制度下でも、以前からの短期前払費用の扱いに変更はありません。
短期前払費用とは、法人税基本通達2-2-14の適用を受ける、支払いの日から1年以内に役務の提供を受ける費用のことです。火災保険料のように継続して支払いがある短期前払費用は、特例として、支払日に損金算入できます。
以上のような短期前払費用の扱いは、インボイス制度以降も継続しています。
短期前払費用やその特例については以下の記事をご参照ください。
短期前払費用の仕入税額控除を行うタイミング
短期前払費用は、支出日の属する課税期間に仕入税額控除の適用を受けられます。インボイス制度の開始以降も仕入税額控除のタイミングに変更はありません。
たとえば、前払費用として11,000円(うち消費税1,000円)を支出したとします。このうち、消費税の1,000円については、支出日を含む事業年度に全額を支出したものとして、消費税の仕入税額控除に算入できるということです。
なお、原則的には、前払費用は資産に計上し、支出の効果が及ぶ期間にわたって損金に算入しなければなりません。
たとえば、4月から翌3月までの1年を事業年度としている法人で、7月に支出の効果が1年に及ぶ前払費用11,000円(うち消費税1,000円)を支払ったとしましょう。
原則では、7月から翌3月分の消費税額750円と、翌4月から翌6月までの消費税額250円分を分けて仕入税額控除しなければなりません。しかし、短期前払費用に該当するときは、8月にまとめて消費税額1,000円の仕入税額控除を適用できます。
2023年10月1日をまたぐ場合の処理
2023年10月1日にインボイス制度が開始されました。インボイス制度以降、消費税の課税事業が仕入税額控除の適用を受けるには、原則として取引先から交付されたインボイス(適格請求書)の保存が要件となります。
インボイスが仕入税額控除の要件になったことで、支出の効果が2023年10月1日をまたぐ短期前払費用の扱いに悩むこともあるかと思います。
短期前払費用に対応する期間と交付を受けるべき請求書の種類は以下のとおりです。
短期前払費用の支出の効果が及ぶ期間 | 交付を受ける請求書 |
---|---|
2023年9月30日以前 | 区分記載請求書 |
2023年10月1日をまたぐ (例:2023年1月1日~12月31日まで) | 2023年9月30日以前に短期前払費用の処理をしていれば区分記載請求書が認められる |
2023年10月1日以降 | 適格請求書 |
上記の表に取り上げる請求書の保存等を行っていれば、以前の処理と同じように仕入税額控除の適用を受けられます。つまり、短期前払費用の支出日の属する事業年度に、消費税の仕入税額控除を全額受けられるということです。
インボイス制度後も短期前払費用の扱いは変わらない
短期前払費用には、支出日の属する事業年度に損金算入ができる特例があります。消費税も支出日の属する事業年度に仕入税額控除が可能です。インボイス制度の導入以降も短期前払費用の仕入税額控除の変更はありません。
しかし、インボイス制度開始の前後では、保存が必要な請求書の種類が変わります。2023年10月1日をまたぐ場合も含め、保存を要する請求書について確認しておきましょう。
※ 掲載している情報は記事更新時点のものです。
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