- 更新日 : 2021年6月3日
フリーランスと起業の違いは?独立するならどっち?メリット・デメリットを解説

昨今、フリーランスとして働く人が増えてきました。その背景には、インターネットの普及をはじめ、クラウドサービスやシェアオフィスなどの充実があります。
働く時間や場所を自分で決められるフリーランスという働き方を選ぶ方は、今後もさらに増えることが予想できるでしょう。しかしいざフリーランスとして独立するとなると「何から手をつけるべきか分からない」といった声が聞かれるのも事実です。
そこで本記事では、フリーランスと起業の違いやメリット、デメリット、個人事業主との違いなどについて紹介します。また開業準備におすすめのツールについても触れますのでご参考ください。
目次
フリーランスと起業の違いとは
フリーランスとは職種ではなく「働き方」を指す言葉です。まずは、新たな働き方として定着しつつあるフリーランスの概要などについて解説します。
フリーランスとは
フリーランスの定義は、特定の企業など組織や団体に属すことなく、在宅など個人で仕事を請け負う「働き方」を指します。依頼内容ごとに求められるスキルや技術、サービスを提供するその対価として、報酬を得る契約形態です。自らのスキルや技術を活用して仕事をすれば、職種に関わらず誰でもフリーランスと名乗れます。
また、個人事業主をフリーランスと同じ意味合いで捉えている人も多いですが、イコールではありません。フリーランスとはあくまでも前述の定義に合わせた働き方をする人を指します。
一方で、個人事業主は株式会社などの法人を設立せず、税務署に開業届を提出し「税務上の区分」として個人で事業を営む人のことです。両者の違いは「開業届」を税務署に提出しているかどうかという点です。
フリーランスに関する詳しい内容は、こちらで解説していますのでご参考ください。
起業とは
起業とは新しく事業を起こすことを指します。起業には個人事業主や株式会社といった種類があり、事業形態はその意味に関係しません。
起業家とは自らで新しく事業を起こす人のことです。ビジネスとして利益を上げているかどうかではなく事業を自分で起こし、会社の役員や自営業者となる人も総じて起業家といえます。そのためフリーランスで法人の方もいますし、個人事業主として起業している人もいるのです。
フリーランスから個人事業主になるには
前述のとおり、フリーランスと個人事業主の違いは事業を立ち上げて「開業届」を税務署に提出したかどうかです。つまり、フリーランスから個人事業主になるためには、まず税務署に開業届を提出することから始まります。
開業届が受理されれば「個人事業主」という税務上の区分となります。個人事業主として一定額の収入を得ると、青色申告や白色申告などの確定申告が必要です。青色申告や白色申告には所得税の控除額や提出書類などに違いがあり、自分に適した申告方法を選ばなければなりません。
青色申告は白色申告と比べて帳簿付けなどの手間がかかるものの、上手く活用できれば60万円を超える節税メリットが得られます。
フリーランスのメリット
フリーランスとしての活動で得られるメリットはいくつかあります。その中でも、仕事を自分で選択できることが、多くのフリーランスがメリットと感じる点といえるでしょう。
一般的に会社員は会社から与えられた仕事をする対価として給与を得る一方、フリーランスは自分で好きな仕事を選べます。よって、不得意な仕事をやる必要がなく、仕事のストレスが抑えられる点はフリーランスの大きなメリットです。
一方、会社員の収入は毎月定額であることが多いですが、フリーランスの場合は自分で稼いだ売上がそのまま収入になります。また、初期投資があまり必要ない業種を選べば、売上の大半を利益にすることも可能です。よって、会社員よりも年収を高めやすい点もフリーランスの大きなメリットだといえるでしょう。
フリーランスのデメリット
フリーランスとしての活動には多くのメリットがある反面、デメリットもあります。
フリーランスは自分で受ける仕事を決め、進捗を管理しなければなりません。よって、仕事とプライベートの切り替えが難しい点はデメリットの1つといえます。収入アップを目指すばかりに自分のキャパ以上の仕事を受けてしまい、体調を崩すといったケースも見受けられるようです。
フリーランスの場合、体調を崩して仕事が受けられなくなれば、その分収入は減少します。会社員のような安定した収入は期待できません。また、想定どおりに毎月の仕事を受注できるかどうかの保証も得にくく、収入面の不安定さはフリーランスの大きなデメリットの1つです。
また会社員に比べ、フリーランスは保険に関する負担が増加します。「健康保険」「厚生年金保険」については、会社員の場合は会社と折半です。しかしフリーランスの場合は、全額を自分で支払うことになります。
フリーランスに向いている人 / 向いていない人
フリーランスに向いている人と向いていない人にはいくつかの共通する特徴が存在します。それぞれの特徴を理解することで、自身がフリーランスになるべきかどうかの1つの判断基準にもなるでしょう。
フリーランスに向いている人の特徴
まずオンオフの切り替えが上手い人は、フリーランスに向いてるといえるでしょう。前述のとおり、フリーランスは自分自身でオンオフの切り替えができないと、疲労やストレスが溜まり、仕事に悪影響を与える可能性が高くなります。よって、仕事で高い成果を出すためには、適切にオンとオフの切り替えができる能力が必要です。
次に、スケジュール管理が得意な人もフリーランスには向いています。フリーランスで稼げるかどうかは、顧客の「信頼」にかかっているといっても過言ではありません。顧客からの信頼を積み重ねることで、仕事の依頼が継続的に来ることで収入が安定するのです。
そして、信頼を得るための重要な条件が「納期の遵守」です。顧客と約束した納期が守れなければ、次の依頼は無くなるものだと思っておくべきでしょう。先を見通し、自分をコントロールできる人がフリーランスに向いてるのです。
フリーランスに向いていない人の特徴
交渉が苦手な人は、フリーランスには向いていないでしょう。なぜなら、フリーランスとして活動するためには、顧客への納期や報酬などの交渉が欠かせないからです。
条件が曖昧な状態で仕事を引き受けてしまうと、期待した成果が出せず、顧客の信頼を失う可能性もあるでしょう。お互いの希望条件をすり合わせ、条件の着地点を決める交渉力は、フリーランスにとって必要不可欠なスキルといえます。
また、自身の仕事や発言に責任を持てない人も、フリーランスには向きません。もちろん責任感を持って仕事を行うことはすべての社会人にとって必須です。しかし、フリーランスにとっては、その重要度がより大きくなります。
顧客に「責任感がない」と判断された場合には、その後は仕事を依頼されない可能性が十分にあります。フリーランスの仕事においては、納品物の品質がそのまま評価に直結します。よって、仕事に対する責任感がなく、希望通りの納期や品質が保てない持てない人は、フリーランスには向きません。
起業のメリット
起業することで得られるメリットはいくつか存在します。その中でも、高い収入が得られる可能性がある点は起業の大きなメリットです。
事業が軌道に乗り、多くの顧客が獲得できれば、収入を大きく上げることができるでしょう。会社員の場合も大きな成果を上げることで、それに見合った収入を得ることは可能ですが、サラリーマンとして働くレベルでは限界があります。会社が一部上場を果たし、株やストックオプションを手に入れられれば、サラリーマンでは到達できないような年収を実現することもできるでしょう。
また、節税がしやすい点も企業のメリットです。主に個人の場合、売上から経費を引き、残った利益に対して、所得税、法人の場合は法人税が課税されます。起業することで経費として認められるものが増え、税法上の恩恵が受けやすくなり、節税効果が期待できるでしょう。
さらに、起業することによって、基本的には定年という概念がなくなり、自身が望めばいつまでも働き続けることが可能になります。会社員の場合、働く環境や仕事が担保される反面、会社が決めた定年に到達した場合には、退職しなければなりません。
起業のデメリット
起業のデメリットとしてまず挙げられるものが、すべての失敗に責任が伴う点です。
例えば、事業の失敗によって大きな負債を抱えてしまった場合でも、自分で問題を解決する必要があります。最悪の場合、その負債が家族に悪影響を与えるケースも十分に考えられるでしょう。
また、フリーランスは会社員のように毎月決まった収入を得られる保証がありません。単純に起業しただけでは売上は立たないため、売上を上げるための施策の実施が常に必要となります。起業はゴールではなくスタートです。事業を継続させるために、自分自身が四六時中奔走しなければならないケースも想定されますので、強い覚悟が必要になることを忘れないようにしましょう。
起業に向いてる人 / 向いていない人
起業に向いている人と向いていない人が存在することは事実でしょう。ただし、起業に向いていないから必ず失敗するというわけではありません。まずは、企業に向いている人の特徴を知ることが大切です。起業に向いてる人と向いていない人の特徴について詳しくみていきましょう。
起業に向いてる人の特徴
起業に向いてる人には「絶対にあきらめない」という強い決意がみられます。起業当初はさまざまな問題や障害が発生するため、強い気持ちがなければそれらを乗り越えられません。
一般的に起業時のアイディアをそのまま実現するだけで成功するケースは少ないものです。成功した起業家の多くは、常に事業やサービスを進化させることに注力しています。「どうすればうまくいくのか」と常に自問自答しながら、思いついたアイディアをすぐに実現する行動力が何よりも重要な素養といえます。
そして、誰がなんといおうと諦めずに「成功させる」という強い意思を持つことが、大きな成果につながる原動力になるのです。
起業に向いていない人の特徴
起業に向いていない人の特徴としては、他責である点が挙げられます。他責とは問題や障害を自分ではなく、他の誰か、もしくは何かの責任にするという考え方です。
「他人」「環境」「地域」「市場」などに責任を転嫁し、自分で責任と取ろうとしない人が起業家として大成することは困難でしょう。すべての物事を他責ではなく、自責で捉えられることが、起業家としての最低条件です。
また、起業自体をゴールとしている人も、起業には向かないでしょう。例えば、今の仕事や生活に不満を感じ、そこから逃げ出すことを目的とした起業は、失敗する可能性が高くなります。
起業はもちろん、事業やサービスを展開する場合は、苦労の連続が当たり前であり、今よりも大きな壁にぶつかることが十分に考えられます。そのため、起業後のほうが苦労することも多くなるわけです。
結局フリーランスと起業どっちがいいの?
ここまでフリーランスと起業のメリットやデメリットを紹介しました。しかし、フリーランスと起業のどちらが正解なのかわからないという人もいるでしょう。
そこで今回おすすめしたいのが、フリーランスとしてまず独立して、事業が安定して法人化したほうがよいタイミングで起業するという方法です。フリーランスとしてまず事業を軌道に乗せ、事業拡大するタイミングで起業すれば、リスクを抑えられるでしょう。
フリーランスであれば、起業よりも初期費用が安く済みます。事業が安定してきた段階で起業を行い、法人化することで税法上のメリットも得られます。もちろん、法人化ではなく個人事業主として開業することも1つの方法です。手続きの簡単な個人事業主であれば、すぐに開業できます。
個人事業主として事業を始めるなら開業届を出そう
前述のとおり、個人事業主として事業を始める場合には、開業届の提出が必要です。開業に必要な書類は、国税庁の公式サイトからダウンロードできます。
しかし、開業時はその他にもやるべきことが多くあり、書類探しや記入などに使う時間がなかなか確保できないケースも考えられます。そこでおすすめしたいのが「マネーフォワード 開業届」のような開業支援ツールの活用です。特にこれから個人事業主として活動しようとする方にはおすすめです。
開業届の作成だけでなく、開業の手続きに必要な「所得税の青色申告承認申請書」などもWeb上で簡単に作成できます。フォームに沿って入力を進めるだけで、開業に関する専門知識は特に不要です。
「マネーフォワード 開業届」を活用すれば、迷うことなく個人事業主として事業を始められ、節税メリットを得る準備が進められるでしょう。
フリーランスと起業の違いを正しく理解しよう
フリーランスと起業のどちらが自分に合うかどうかは、事前にしっかりと検討が必要です。
そのためにも「自分がなぜフリーランスや起業を目指すのか」という「動機」の部分を明確にすることが、起業への第一歩となります。自分の現状や理想を正しく把握し、強い意思をエネルギーに変えることができれば、成功する可能性が高まることでしょう。
フリーランスと起業には、初期投資や収入、手続きなどにも大きな違いがあり、まずはリスクの低いフリーランスからスタートすることをおすすめします。個人事業主として開業する際には「マネーフォワード クラウド開業届」などのツールを活用することで、より簡単に開業準備を進められるでしょう。
よくある質問
フリーランスとは?
「フリーランス」とは、会社や組織に所属せず、個人で仕事を請け負う働き方のことを指します。求められる技術やコンテンツを契約ごとに提供し、その対価としての報酬を受け取るというシンプルな契約形態です。詳しくはこちらをご覧ください。
フリーランスと起業家の違いとは?
フリーランスと起業家は、仕事の受け方に違いがあります。大まかにいうと、フリーランスは相手から仕事を請け負う、起業家は自分でサービスを提供するという働き方です。詳しくはこちらをご覧ください。
フリーランスと個人事業主の違いとは?
フリーランスとは働き方を指します。一方個人事業主とは税法上、税務署に個人事業主として開業届けを提出した人を指す名称です。詳しくはこちらをご覧ください。
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