• 更新日 : 2023年7月25日

請求書の保存期間はいつまで?

請求書の保存期間はいつまで?

事業をしていると貯まっていく請求書は、捨ててしまっても大丈夫でしょうか。請求書の保存期間について、法人の場合、個人事業者の場合に分けて解説します。

請求書とは

請求書とは、商品やサービスの代金を請求するためのものです。また、請求書は領収書納品書とともに証憑(ひょう)書類と呼ばれており、取引の際の証拠となる書類です。事業をする際には大量に発生する書類ですが、会社の判断で勝手に破棄することは認められず、法律が定める保存期間は保管する義務があります。その保存期間は、所得税法、消費税法、法人税法などで定められており、法人、個人事業主で保存期間が異なります。

法人における請求書の保存期間

請求書を含む証憑書類の保存期間は7年間です。平成16年の法改正以前は、大法人、中小法人という分け方をしており、会社の規模により7年もしくは5年となっていましたが、平成27年現在は会社の規模にかかわらず7年間となっています。

請求書の保存期間の数え方

請求書の保存期間は、当該事業年度の確定申告書提出期限の翌日から7年間保存する必要があります。そのため、請求書の日付から数えて7年間ではないので注意しましょう。
例えば、9月30日決算の会社の場合、11月30日が確定申告書の提出期限ですので、平成27年10月1日から平成28年9月30日までに発生した請求書の保存期間は令和5年の11月30日までとなります。

ただし、平成20年4月1日以後に青色申告書を提出した事業年度の欠損金の繰越期間が9年とされたことで、欠損金の生じた事業年度においては、帳簿書類の保存期間が9年間となります。
また平成30年4月1日以後に開始する欠損金の生じる事業年度においては、帳簿書類の保存期間が10年間となります。

個人事業主における請求書の保存期間

個人事業主における請求書の保存期間は青色申告、白色申告にかかわらず5年間です。平成26年以降は、以前は帳簿、書類の保管義務がなかった前年あるいは前々年の事業所得が300万円以下の白色申告の個人事業主も、帳簿、書類の保存が義務付けられたため、新たに対象になった人は忘れず保管するようにしましょう。
なお、法律上義務付けられている請求書の保存期間は5年間ですが、帳簿は7年間保存する必要があるため、可能であれば請求書も7年間保存しておくとよいでしょう。

請求書の保存期間の数え方

個人事業主の場合、請求書の保存期間の起算点は確定申告の期限日の翌日です。個人事業主の場合も、請求書の日付から数えて5年間ではないため注意が必要です。

例えば、令和5年分の確定申告は、令和6年3月15日が申告期限日です。そのため、令和5年1月1日から令和5年12月31日までに発生した請求書は、令和11年3月15日までが保存期間となります。

消費税の納税義務者

個人事業主の請求書の保存期間は、所得税法の定めにより5年間ですが、消費税法により、消費税の納税義務者は7年間の保存期間が定められています。このような場合は、保存期間が長いほうの法律が優先されます。そのため、個人事業主であっても、消費税の納税義務がある場合は、請求書を7年間にわたり保管する必要があります。

なおインボイス制度施行後は、適格請求書を発行した場合、売り側・買い側ともに7年間、請求書を保存する義務があります。

保存方法

上記で述べた期間中は保存しなければならない請求書です。保存には以下の方法があります。

請求書をすべて紙媒体で5年もしくは7年保管すると、膨大な量になります。しかし、原則として紙で保存する必要があります。ただし、電子帳簿保存法の改正により紙ベース保存に変えて、スキャナーで読み取りタイムスタンプを付したデータによる保存(スキャナー保存)も認められています。

マイクロフィルム

要件を満たすことで、マイクロフィルムでの保存が認められる場合もあります。なお、マイクロフィルムでの保存をする場合、規定に則した、マイクロフィルムリーダもしくは、マイクロフィルムリーダプリンタの設置が必要で、マイクロフィルムによる保存ができるのは、最後の2年間(法人の場合、6年目と7年目)に限られます。

電磁気(電子データ)

パソコンでの取引が増えてきた背景もあり、紙での保存の負担を軽減するため、要件を満たせば、磁気テープやコンパクトディスク(CD)などに保存することも認められています。このような電子データ保存を希望する場合、以前は税務署長の承認が必要でしたが、2022年1月の電子帳簿保存法の施行で承認が不要になりました。なお、メールソフト等を利用して行った電子商取引については、タイムスタンプを付した電子データとして保存しなければなりません。

参考:No.5930 帳簿書類等の保存期間及び保存方法|法人税|国税庁

保存期間中の請求書管理には充分ご注意を

請求書の保存期間についてまとめました。税務調査の際に、保存されているべき書類がないと青色申告の取り消しや税金の再計算などが起こる可能性があるので、期間を確認し、決められた期間は請求書の紛失がおこらないようにしましょう。

参考:
個人で事業を行っている方の記帳・記簿等の保存について|国税庁
記帳や記簿等保存・青色申告|国税庁

よくある質問

法人における請求書の保存期間は?

請求書を含む証憑書類の保存期間は7年間です。詳しくはこちらをご覧ください。

個人事業主における請求書の保存期間は?

青色申告、白色申告にかかわらず5年間です。詳しくはこちらをご覧ください。

請求書の保存方法は?

紙、スキャナー保存、マイクロフィルム、電磁気(電子データ)で保存する方法があります。詳しくはこちらをご覧ください。


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