フリーランスなら最低限知っておくべき「インボイス制度」のポイント

読了まで約 4

インボイス制度が話題です。2023年10月の本格実施はまだ先ですが、個人事業者や中小企業は、今から制度を理解して、早期に準備する必要があります。(執筆者:元国税局職員・お笑い芸人 さんきゅう倉田)

インボイス制度とは


インボイス制度=適格請求書等保存方式です。これが始まると、取引の相手が送ってくれた「適格請求書」がないと仕入税額控除ができなくなります

仕入税額控除とは、売上の消費税から仕入れの消費税を引くことです。例えば、あなたが、1,080万円でモノを売ったとします。そのモノは、972万円で仕入れました。この場合、売ったときは80万円、仕入れたときは72万円の消費税が含まれています。この80万円から72万円を引いた、8万円を消費税として納めます。

仕入税額控除

適格請求書がなければ、72万円が引けず、80万円を納めることになります。だからといって、すべての人と会社が適格請求書を用意するかと言うと、そうはなりません。

適格請求書とは

適格請求書とは、請求書や納品書のことだと思ってください。請求書や納品書は、これまでも取引先に提出していたと思います。「適格請求書発行事業者の登録申請書」を提出して登録した人や会社が、必要事項を記載して発行した請求書や納品書が「適格請求書」となります。

この必要事項の中で、通常の請求書や納品書と異なるのは、適格請求書発行事業者としての登録番号を記載することです。ただし、登録はすべての人と会社ができるわけではありません。

消費税の課税事業者が登録できる

適格請求書発行事業者として登録できるのは、消費税の課税事業者だけです。一般の方には馴染みがないと思いますが、会社や個人事業者は、消費税の確定申告と納税を行っています。先程の例でいうと、80万円から72万円を引く計算をして、8万円を納めるという作業です。

これを行っているのが課税事業者ですが、消費税の申告と納税をしなくて良いとされている人や会社もいます。これが「免税事業者」です。会社を設立したばかりであったり、売上が少なかったりすると免税事業者となり、売上でもらった消費税を自分たちの収益とすることができます。先程の計算で言うと、8万円を納めずに、自分のものにできます。

今までは優遇されていた免税事業者ですが、適格請求書発行事業者として登録することができません。

インボイス制度が始まると免税事業者はどうなるか

免税事業者に発注している人や会社は、免税事業者から適格請求書をもらえないので仕入税額控除が認められません。先程の計算で言うと、納める消費税は8万円から80万円に増えてしまいます。

仕入税額控除_できない

そうすると、免税事業者との取引を控えて、課税事業者と取引する人や会社が増えるのではないかと巷で噂されています。つまり、免税事業者は仕事が減るのではないかということです。

免税事業者が取れる「3つの選択肢」


インボイス制度に対して、免税事業者が取れる選択肢は3つあります。

<免税事業者の選択肢3つ>

①取引が減るのを覚悟で、免税事業者のまま事業を続ける

②売上はそのままでも「適格請求書発行事業者の登録申請書」を提出し、消費税の課税事業者になり、今まで必要のなかった消費税の申告と納税を行う
(通常、免税事業者が課税事業者を選ぶ場合「消費税課税事業者選択届出書」を提出する必要がありますが、特定の期間に「適格請求書発行事業者の登録申請書」を提出すれば不要)

③売上を増やして消費税の課税事業者になり、「適格請求書発行事業者の登録申請書」を提出する

ぼくは③を目指すのをおすすめします。消費税の課税事業者となるのは、前々年度の売上が1,000万円以上になった事業者です。売上が1,000万円を超えても、2年間は納税を免除されます。

インボイス制度の本格導入は2023年10月。2021年の売上が1,000万円以上であれば、2023年の制度導入時にはすでに課税事業者になっているので、免税と課税の選択に迷うこともありません。

悩ましいのは、今まで取引を行っていた取引先に負担を掛けること、あるいは、取引を打ち切られることです。消費税の確定申告など新たな作業は増えますが、課税事業者になることは避けられないでしょう。

さんきゅう倉田さんの記事一覧

■2019年7月11日掲載:
春風亭昇太さんも!落語家の結婚、昇進、襲名…ご祝儀は課税対象になる?

■2019年6月13日掲載:
ボーナスを貰ってから転職したい人は「賞与基準日」を意識せよ

■2019年5月20日掲載:
さんきゅう倉田の「はじめての営業」の思い出 フリーランスはどう仕事を増やす?

■2019年4月15日掲載:
本当にあったフリーランスへの“非常識な依頼” 嫌な仕事は断ってもいい

■2019年3月12日掲載:
確定申告の期限に間に合わなかったらどうなる? 待ち受ける「2つの罰則」

■2019年3月7日掲載:
「悪い個人事業主」に告ぐ、こんな確定申告は税務調査を覚悟せよ!

■2019年2月13日掲載:
確定申告時期の税務署は“戦場”だ 職員はこんなクレームを受けている

■2019年2月6日掲載:
副業別の「所得の種類」まとめ その副収入は雑所得?事業所得?

■2019年1月16日掲載:
確定申告のよくある間違いと修正方法~税務署で大暴れしないために!~

■2019年1月10日掲載:
【2019年版】確定申告時期! 1月・2月・3月にやること徹底ガイド

■2018年12月12日掲載:
元国税職員が見た「追徴課税の現場」 “謎の社員”の給与振込先は…

■2018年11月19日掲載:
「おじいさんは山へガサ入れに…」 元国税芸人さんきゅう倉田が「#税務童話」をつくってみた

※掲載している情報は記事更新時点のものです。

執筆:さんきゅう倉田(元国税職員/芸人)

大学卒業後、東京国税局を経て、よしもとクリエイティブ・エージェンシーで芸人に転身。将来の夢「天下り」、好きな領収証「コクヨ」、無人島に一つ持っていくとしたら「振替伝票」。著書に『読めば必ず得する税金の話』(総合法令出版)、『笑う数学』(KADOKAWA)がある。
Twitter:https://twitter.com/thankyoukurata
HP  :http://www.thankyoukurata.com/



【おすすめ】確定申告でお困りの方へ

マネーフォワード クラウド確定申告なら

  • 面倒な作業はすべて自動化
  • 万全のサポート体制で未経験者でも安心!
  • まずはお試し1ヶ月無料
マネーフォワード クラウド確定申告を無料で試してみる

「マネーフォワード クラウド」シリーズのサービス資料