• 更新日 : 2023年4月17日

領収書とは?書き方をテンプレートをもとに解説!領収証やレシートとの違いは?

領収書とは?書き方をテンプレートをもとに解説!領収証やレシートとの違いは?

社会人であれば会社員、フリーランス問わず様々な場面で目にする「領収書」について。正しい金額の書き方や保存に関する決まりなど、意外と知識があやふやな方も多いのではないでしょうか。

今回は、この領収書について印紙税法上の定義から、書き方、収入印紙の取扱い、具体的なQ&Aまで幅広く解説していきます。領収書に関する不明点がなくなるよう、知りたい内容に応じて確認してみてください。

目次

領収書とは

領収書とは印紙税法上、金銭または有価証券の受取書に該当し、金銭を支払ったという事実を証明するための書類(証憑書類)になります。

つまり金銭の授受が完了している事実が確認できるものであれば、たとえ領収書という表記でなくても、レシートや請求書納品書であったとしても領収書として取り扱うことができます。

また所得税法法人税法としての領収書は経費申告するための帳簿書類となるため、一定期間の保存が義務付けられています。それ以外にも、領収書の発行義務の法的な根拠は民法や商慣習に依存しているという側面があります。

領収書はその性質上複数の法律に関与しているため、様々な観点から解釈をすることが可能であり、それによって予期せぬトラブルが発生しやすいという面もあります。

領収書を発行する意味

領収書は商品やサービスに対して、お金を支払う側が確実に代金を支払ったということの証明に、またお金を受け取った側が確実に代金を受け取ったことを証明するために発行されます。

領収書と領収証の定義の違い

結論から言うと、一般的に領収書と領収証はほとんど同じ意味で使われており、2つに明確な違いはありません。

民法では、領収書と領収証の違いはなく、金銭を支払った者が受け取った者に渡す証拠書類のことを「受取証書」としています。また、国税庁では、印紙税が課される証拠書類について、領収書の中に領収証やレシート、預かり証があるとし、領収書を総称の扱いとしています。

このように、各法律により、スタンスは微妙に異なりますが、領収書と領収証はほとんど同じ意味で使われています。

レシートとの違い

レシートであったとしても領収書と同じ役割を果たすものであれば、領収書として認められるのが通例です。具体的には領収日付、売上代金に係る金額、発行元、受領した事実が認められる表記があるものは、すべて領収書に該当します。

預り証との違いはなにか

領収書とは、商品を販売することやサービスの提供に対して金銭授受を受ける際に発行されるものです。しかし、実際には資産が譲渡されたり役務が提供されなくても金銭の授受を行なうことがあります。

たとえば、前金を受け取った場合や内金や敷金、手付金を受け取った場合などに、いったん仮領収書を発行することがあります。そのような場合は領収書ではなく、預り証を発行します。

領収書と預り証は発行に至るまでのプロセスに違いがありますが、金銭を受領した事実を証明する書類であるという点で一致しています。

【参照】国税局|売掛金を集金した際に作成する預り証

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領収書の書き方と注意点

領収書の書き方と注意点

領収書を作成する上で最も重要なことは、以下の2点です。

  • 金銭授受の事実を証明するための事項を記載すること
  • 改ざんされないための措置をとること

そのため、以下で挙げる各項目については、それぞれこの重要点を念頭に記載していくということを頭に入れておきましょう。

なお、「マネーフォワード クラウド請求書」では領収書テンプレートを無料で提供しています。テンプレートは下記リンクから無料でダウンロードできます。

タイトルの書き方と記入例

領収書のタイトルの書き方と記入例

領収書のタイトルは、中央寄せ、文字のサイズを大きくするなどして、ひと目で領収書だということがわかるように表記することが大切です。

日付の書き方と記入例

領収書の日付の書き方と記入例

領収書の日付は実際に支払いが行われた日を記載します。先に商品を引き渡して後日代金が支払われた場合は、実際に支払いがあった日付になります。日付の書き方は西暦、和暦どちらでも構いません。

領収書の日付については、下記記事でも解説しています。

金額の書き方と記入例

領収書の金額の書き方と記入例

領収書には金銭を受け取った法人名や金銭授受日、売上金額などを記載します。金額の改ざんを防止するために金額の先頭には「¥」や「金」を、末尾には「※」や「−」を付けます。さらに金額の0表示3つごとに「,」を付けて記載します。

【記入例】

  1. ¥□□□,□□□※
  2. ¥□□□,□□□−
  3. 金□□□,□□□円也

金額を漢数字で記載するケースについては、下記記事で詳しく解説しています。

但し書きの書き方と記入例

領収書の但し書きの書き方と記入例

お品物代などと表記するときの注意点

但し書きには、具体的に何の代金を領収したのかを記入します。

税法上、売上を上げるために必要な経費であったかを証明するために領収書が必要となります。「お品物代」や「お品代」だけでは売上のための使用用途が不明であり、税務調査の際に経費として認めてもらえない可能性が出てきます。

トラブルを避けるための但し書きの書き方

経費として認めてもらうためには、具体的な品目を記載します。「プリンターインク代として」「セミナー参加費として」といった記載方法が挙げられます。領収書の出ない交通費などがあれば、備忘録として記載しておいてもよいでしょう。購入した物品の値札やイベント参加のフライヤーなどの客観的な物的証拠があれば、一緒に保管しておきましょう。

また、品目を簡潔にまとめられない場合は、購入明細や納品書を添付する方法もあります。納品書の合計金額と領収書の合計金額が合致していることによって領収書の信憑性を高めることができるのです。軽減税率の対象品を含む場合は、その旨を明記する必要があります。

なお、領収書の但し書きについては、下記記事でも解説しています。

宛名の書き方と記入例

宛名の書き方と記入例

領収書の宛名に「上様」と記入してもらう商慣習がありますが、税法上宛名を記入する欄のない機械発行によるレシートであったとしても領収書として認めてもらえることから、「上様」と記入するのは必ずしも間違いではないと解釈することができます。

しかし、消費税法の仕入税額控除に係る帳簿の記載方法を援用して宛名がない領収書は無効であると解釈されているのが現状です。当事者同士でわかればよいという書類ではなく、具体的な宛名が記載されている書類のほうが客観的に事実関係を確認しやすいという観点から、誤認を避けるための安全対策として宛名には正式名称を記入すべきです。

(株)と省略せずに株式会社と記入するのはもちろんのこと、前株(会社名の前にある「株式会社」がくること)と後株(会社名の後ろに「株式会社」がくること)にも十分な注意を払います。

口頭で社名が聞きとりにくい場合は名刺をお借りして転記すると間違いがありません。電話などで社名を視覚的に確認できず聞き取らなければならない場合、すぐに領収書に記入するのではなく、一度領収書以外の紙に書いてから実際の領収書に記入するほうがよいでしょう。

領収書の宛名については、下記記事でも解説しています。

収入印紙の書き方と記入例

収入印紙の書き方と記入例

収入印紙とは、課税文書に貼り付けて印紙税を納税するためのものです。消費税やたばこ税は購入代金と一緒に現金で支払い、源泉所得税は給与から差し引かれますが、印紙税は収入印紙を購入し、文書そのものに貼り付けて割印をすることで納税します。

収入印紙は、郵便局や収入印紙の取扱いのあるコンビニエンスストアでも購入することができます。

郵便切手と形状が似ていますが、収入印紙は「日本政府」の記載があり、郵便切手には「日本郵便」の記載があるため、代用することはできない点にも注意が必要です。

領収書に記載されている金額が5万円以上の場合、売上金額に応じた収入印紙が必要になります。収入印紙は印紙とも呼ばれ、印紙税を納税するために使用するものです。印紙税は消費税や所得税とは性格や納税方法が異なるため、正確に把握しづらい面があります。

消費税は消費した(購入した)代金に対して8%課税された税額を現金などで支払い、受領した事業者が国に納付します。しかし印紙税は収入印紙を文書に貼り付け割印をすることによって納税する仕組みになっています。

課税文書、つまり収入印紙を貼る必要のある領収書であるにもかかわらず印紙税を納めない(収入印紙が貼り付けられていない)場合は、本来納めるべき税額のおよそ3倍相当額が過怠税として徴収されます。

請求書に収入印紙を添付するケースについて、詳しくは下記記事で解説しています。

領収書に必要な収入印紙の金額一覧

領収書に貼り付ける収入印紙は以下のとおりです。5万円以上の場合に印紙が必要となってきます。

領収書の金額収入印紙の金額
5万円未満の場合非課税
5万円以上で且つ100万円以下の場合200円
100万円を超え且つ200万円以下の場合400円
200万円を超え且つ300万円以下の場合600円
300万円を超え且つ500万円以下の場合1,000円
500万円を超え且つ1,000万円以下の場合2,000円
1,000万円を超え且つ2,000万円以下の場合4,000円
2,000万円を超え且つ3,000万円以下の場合6,000円
3,000万円を超え且つ5,000万円以下の場合10,000円
5,000万円を超え且つ1億円以下の場合20,000円
1億円を超え且つ2億円以下の場合40,000円
2億円を超え且つ3億円以下の場合60,000円
3億円を超え且つ5億円以下の場合100,000円
5億円を越え且つ10億円以下の場合150,000円
10億円を超える場合200,000円

発行者の書き方と記入例

領収書の発行者の書き方と記入例

領収書の発行者の住所・名称を記入します。こちらは手書きのかわりに社判を利用しても問題ありません。また、インボイス制度開始後は、適格請求書発行事業者の登録番号の記入も必要となります。

なお、発行者の印鑑については、押印がないからといって領収書が無効とされるわけではありません。商慣習で押印するのが一般的です。

金額の内訳を記載する場合と記入例

領収書の金額の内訳を記載する場合と記入例

内訳欄には、税率8%の商品・サービスと、税率10%の商品・サービスをそれぞれ合計し、記載します。

インボイス制度開始後は、記載例のように税率ごとに区分した適用税率と税込金額と同様に、税率ごとに区分した消費税額を記入する必要があります。

領収書を発行するまでの流れ

通常、領収書を発行する際の流れは以下の通りとなります。

  1. 正確な支払金額を確認の後、支払い側(取引相手)に対して領収書を発行
  2. 金額に応じた収入印紙を貼る
  3. 複写した領収書の控えを1部保管する

なお、2についてですが、受取金額が5万円未満の場合は非課税のため、収入印紙は不要です。しかしそれ以上の金額の場合は受取金額により、必要な収入印紙の金額が異なるため注意が必要です。

領収書を発行する側のおさえるべきポイント

領収書を発行する側には気を付ける点が7つあります。スムーズな領収書発行のために1つずつ確認していきましょう。

領収書の発行を拒否できるかどうか

領収書を発行しなければならない義務が定められた法律はありませんが、民法486条の「弁済をした者は、弁済を受領した者に対して受取証書の交付を請求することができる。」という規定に応じる形式で発行しているのが通例となっています。

また発行側が領収書を発行しないときは、受け取る側は同時履行の抗弁権を行使して支払いを拒むことができるとも解釈できることから、領収書の発行が強制的に行なわれているのが現実です。

しかし実際には金銭の授受をした事実を証明するための証憑(しょうひょう)書類となるため、架空取引に対する領収書の発行は拒否することができます。

収入印紙の金額の節約テクニック

領収書に貼り付ける収入印紙は記載金額が5万円未満であれば非課税となるため、収入印紙を貼り付ける必要がなくなります。合算して5万円以上になってしまうのであれば分割して領収書を発行することで節税することができます。

また消費税と本体価格が明確に分離されているのであれば、総額が5万円以上になってしまっていたとしても、本体価格が5万円未満であれば非課税文書となり収入印紙は不要となります。

たとえば「本体価格49,000円、消費税額3,920円、総額52,920円」という記載方法による領収書は非課税文書となるため収入印紙を貼り付ける必要はありません。

しかし「総額52,920円 消費税額8%を含む」といった記載方法のように消費税額が明らかになっていない場合は課税文書として取り扱われることとなり、上記例の場合は印紙税額200円の収入印紙を貼り付ける必要が出てきます。

また国や地方公共団体は非課税法人となるため、非課税法人が発行する領収書に収入印紙を貼り付ける必要はありません。さらに営業に関しない個人間取引などで発行される領収書も非課税となります。

【参照】国税局|課税文書の作成時期及び作成者

領収書の内容に不備があった場合

発行した領収書の内容に不備があった場合、まずは既に交付した領収書を相手から返却してもらいます。領収書は訂正印や修正テープなどを使用せずに新たに発行し直します。たとえ記載金額ではなく日付や但書きの部分など軽微な間違いであったとしても、二重線や訂正印によって修正するのではなく再発行の措置をとります。

複写式の手書きの領収書の場合、不備のあった領収書の原本に大きく×を記し、返却された領収書をホチキスなどで留めておきます。そうすることで連番になっている領収書に欠番があったとしても書き損じによるものだとすぐに確認することができるのです。

クレジットカードで支払われた場合領収書を発行する必要があるかどうか

支払いが現金ではなくクレジットカード決済だった場合の領収書ですが、原則として発行する必要はありません。

商品を販売した事実は同じにせよ、直接現金で受領したか、後日クレジットカード会社から支払われるのかに大きな違いがあります。実際にはクレジットカードを利用した際に発行されるクレジット売上票が領収書の代用となります。

クレジット売上票には領収書の表記がなくても領収書の役割を果たしますが、やはり領収書と書いてある方が安心するという点から、発行を依頼されることがあります。

その場合、領収書を発行しても問題ありませんが、金銭の授受が販売店と消費者との間で行われたわけではないため[クレジットカード利用]や[クレジット取扱]と記載する必要があります。クレジットカード利用の旨を記載しない総額5万円以上の領収書は課税文書として扱われます。

【参照】国税局|クレジット販売の場合の領収書

PDFで発行しても大丈夫かどうか

紙の媒体ではなく、PDFなどの電子媒体で領収書を発行することもできます。ただしメール送信したあとに現物を交付するなどの措置をとった場合には、収入印紙を貼り付ける必要が出てきます。

課税対象となる記載金額5万円以上の領収書を電子媒体で発行することになった場合、まずは所轄の税務署に確認してみましょう。そのうえでPDFなどの電子媒体で領収書を発行するかどうかを検討することをおすすめします。

【参照】国税局|請負契約に係る注文請書を電磁的記録に変換して電子メールで送信した場合の印紙税の課税関係について

宛名は空欄のままで大丈夫なのか

領収書の宛名に何も記入せず空欄にしたまま発行依頼されることがあります。印紙税法上は代金を受領したという事実が証明されている文書であれば、領収書という名称が記載されていなくても領収書として使用することができるため、宛名を空欄のままで発行したとしても発行側に落ち度があるとは考えられません。

原則として代金のやり取りを行なった当事者双方の名称が記載されていることが望ましいという商慣習に従うことで、予測可能なトラブルを回避することができます。しかし、それでもなお空欄のままで発行を依頼された場合は「宛名は空欄のままでよいとの指示あり」という念書や契約書を残しておくことで発行側のリスクを軽減させることができます。

領収書に印鑑が必要かどうかについて

領収書には必ず印鑑で押印しなければならない決まりはありませんが、偽造や改ざん防止のために押印することが商慣習となっています。印鑑がない領収書であったとしても無効とはなりませんが、相手の業務規程で押印が定められている場合はその規則に従うことで、取引をスムーズに進めることができます。

また法人の印章には角印と丸印があります。日常的に使用する領収書などの書類は会社の認印の印鑑として角印を使用し、公正証書などの法的拘束力を持つ書類に対しては実印登録した丸印を押印、もしくは丸印と角印の両方を押印することがあります。

領収書に押印することによって領収書発行者が記載法人であることを証明する効力が発生すると考えられます。しかし、角印は誰でも作成できるという側面を鑑みると、必ずしも信憑性が高いとは言い切れないのが現状です。しかし押印していない領収書に比べると見栄えがよくなるため、法的な根拠とは別の観点から押印する運用方法が一般的となっています。

領収書を受け取る側がおさえるべきポイント

領収書を受け取る際にも気を付ける点が9つあります。それぞれ確認しましょう。

領収書の発行を拒否された時の対処方法

民法第486条の受取証書の交付請求の条文では「弁済をした者は、弁済を受領した者に対して受取証書の交付を請求することができる。」と規定されていることから、領収書の発行を請求する権利があると解釈できます。

弁済とは金銭の支払いを行なうことですが、実際に金銭の授受と引き換えに物品を購入したという事実やサービスの提供を受けたという事実があれば、領収書は発行されるものと考えることができます。

しかし、弁済をした事実がない状態で領収書を発行することは、売上の架空計上をすることになるため、領収書の発行を拒否される可能性が極めて高くなります。

また信用取引などによってクレジットカード会社から後日支払いが行われるような場合や銀行振込による入金の場合、実際に金銭の授受をその場で行なっていないため、発行する側から領収書の発行を拒否されることも考えられます。

また再発行を依頼した場合、民法486条規定を適用すればそのことから免れることはできませんが。しかし、これはあくまでも任意規定となるため、予め再発行を拒否している場合は特約が付随していると解釈できます。その場合は領収書を再発行してもらえないことも考えられます。

発行を拒否された場合、出金伝票などに記録しておくとともに、発行依頼に応じてもらえなかったメールの文面などを一緒に保管しておくことで、領収書に関するトラブルを未然に防ぐことが可能となります。

領収書を紛失してしまった場合のリスク

領収書を紛失すると、経費として申請することができません。代わりになる書類があれば経費申告することも可能ですが、会社の業務規程などで領収書以外の書類は受け付けてもらえないこともあるかもしれません。

また既に確定申告が終了している年度に関しても、最長10年間の保管義務が生じます。税務調査などで提出を求められたが紛失してしまい、それに応じることができなければ、当該年度の経費申告を認めてもらえないこともあります。

確定申告時に経費申告したり会社へ経費精算するための領収書ですが、受領したらすぐに手続きしたり決められた保管場所にまとめておくことで紛失によるリスクを軽減させることができます。

なぜ「上様」だと書いてくれない場合があるのか

領収書の宛名が「上様」である場合、当事者以外の第三者が確認したときに金銭授受の具体的な事実関係を読み取ることができません。

また代金返済を当事者以外の第三者が行なった場合、弁済による代位の観点から領収書の宛名が求償権となる場合があります。代金の支払先がその第三者に移転することを弁済の代位といい、第三者には本来代金を支払うはずだった債務者に対して支払いを求めることのできる求償権が発生します。

代金を代わりに支払ってくれた第三者が「上様」で領収書をもらってしまった場合、求償権を有しているという事実を明確にすることができません。そのため、宛名は正確に記載する必要があるのです。

領収書の保管義務について

領収書には税法上で定められている保管義務があり、最長で10年間保存する必要があります。

領収書は経費申告するために必要な根拠書類となるため、破棄や紛失により税務調査で提出に応じることができなければ、その年の必要経費として認められないことになります。

必要経費が認められないと追徴課税されることも考えられ、保存義務を怠ったとして青色申告事業者の承認が取り消されてしまうこともあります。

特に感熱紙のタイプの領収書はせっかく保存していたとしても経年劣化により判読不能になってしまう可能性があるため、念のためコピーをとった上で保管することをおすすめします。

クレジットカードの利用明細書は領収書として使えるかどうか

クレジットカードを利用した際に発行される「お客様控え」としてのクレジット売上票は、領収書という名称ではないものの領収書として使用することができます。しかし、後日送付される利用明細書はクレジット売上票に比べると証憑書類としての効力はやや劣ると考えることができます。

クレジットカードを利用した事実は支払いをした事実に変わりありませんが、領収書に記載されている本体価格や内消費税額がないだけでなく、信用取引であるため、売上や受領ではなく利用や請求という表現に置き換えられているからです。

しかし利用明細でも経費申請できたという事例もあるため、利用明細とクレジット売上票をセットで保管しておけば経費として認められるのか所轄の税務署に確認したほうがよいでしょう。

レシートは領収書の代わりになる?

たとえ領収書という表示がなくても売上代金に関する金銭授受の事実がわかる書類であれば、請求書や納品書であったとしても領収書の代用として経費計上することができます。

また個人が医療費控除を受けるための確定申告や還付申告の際に領収書が必要になりますが、バス代などの通常領収書が発行できないものに関しては、交通費内訳明細書といった書類を自身で作成することで経費申告することが可能となります。

電車代に関しては普通運賃に関しても券売機で領収書が発行される鉄道会社もあるため、予め確認しておくとよいでしょう。

交通費をICカード(Suicaなどの)で支払っていた場合に請求書領収書がない時の交通費の請求方法

ICカードで支払ったバス代や電車代などの交通費に関する領収書ですが、まずチャージしたときに券売機で領収書を発行します。さらに利用履歴の直近50件を券売機から発行し、プライベートで使用した以外の事業活動用に該当する項目を交通費として出金伝票を作成します。

領収書が発行されないものは出金伝票を作成することで経費計上することができますが、証拠なる書類は多ければ多いほど信憑性を高めることができます。利用履歴は直近50件より古いものは印字されないため、ICカードの使用頻度に応じて発行するようにしましょう。

またプライベートと事業活動用とをひとつひとつ照合する作業が面倒であれば、ICカードを別々にすることで煩雑な手間を省くことができます。

交通費がETCカードから引き落とされる時の請求方法

ETCカードを利用して交通費を支払った場合、支払い方法はクレジットカードによって精算されることになりますが、通常のクレジットカード決済とは異なり領収書の代わりとなるクレジット売上票が発行されない問題があります。

後日クレジットカード会社から送付されるご利用代金明細書だけでは領収書の代用書類としては不十分であるため、証憑性を高めるためにETC利用照会サービスによる利用証明書を発行する方法が考えられます。

利用証明書を発行する以外にETCシステムを利用した証拠書類が提出できない以上、クレジットカードの利用明細書とセットで領収書の役割を果たすものと考えることができます。ETCで高速料金を頻繁に支払う場合、所轄の税務署に対応方法を確認したほうがよいでしょう。

領収書を受け取った後に返金が発生した場合の古い領収書の処理について

10万円の商品だと思っていたものが実は3万円の商品だった場合、購入先から7万円を返金してもらう方法と、一度10万円を払い戻してもらい改めて3万円を支払う方法があります。

購入先から7万円を返金してもらう方法は相殺と呼ばれ、この場合10万円の商品売上に対し3万円を相殺することで7万円を返金してもらうことになります。

その際に、3万円相殺した旨の領収書を購入者が購入先に対して発行する必要があります。結果として購入先から発行された10万円の領収書と、購入者が購入先に発行した相殺分としての3万円の領収書が対になっていることで7万円を返金してもらうことができるのです。

相殺するのではなく一旦払い戻す方法は、古い領収書を購入先に差し戻す必要があります。購入先が一度たててしまった売上をゼロに戻す必要があるからです。その場合、古い領収書と引き換えに10万円を返金してもらいすべての取引を一度ゼロに戻します。そのうえで3万円の商品を改めて購入し、正しい領収書を発行してもらいます。

一度すべての金額を戻してもらい、改めて購入する方法は一見面倒に感じられるかもしれませんが、購入者あなたが領収書を発行する必要はなくなります。

継続した取引のある相手であれば相殺による手段の方が簡便に思えることもあります。しかし金額ミスされた側が領収書を発行する作業を行なわなければならないのは、購入先の過失を客先が負担することになるため、払い戻しによる方法をとることが一般的です。

相殺による方法と払い戻しによる方法のどちらを選択しても、古い領収書は必要になると考えておけば問題ありません。

領収書の再発行はしてもらえるのかどうかについて

領収書の発行は原則として金銭授受の際に一度だけとなります。何度も発行できるとなれば売上の架空計上に繋がる恐れがあるためです。

また、領収書自体に再発行はしないという旨が記載されていることもあります。再発行不可の領収書であったとしても事情によっては発行に応じてくれることもあるかもしれません。

領収書発行元の解釈や紛失してしまった状況によって対応が異なります。また再発行の領収書には二重計上としないために(再)や(再発行)の記載が伴います。

領収書の無料エクセルテンプレートダウンロードはこちら

ここまで見てきた通り、領収書は市販のものを使わなければならないわけではありません。正しい形式と記載内容であれば、エクセルで作成されたものであっても、領収書として認められます。
下記のページでは、さまざまな種類の領収書の無料エクセルテンプレートをダウンロードできます。自社や自分の店舗などに合った領収書をダウンロードして、利用してみてはいかがでしょうか。

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領収書の業務は、意外と手間や時間がかかります。たとえば、領収書の作成であれば、データ上の領収書と印刷した領収書でイメージが違って作り直しに時間がかかったり、領収書一つひとつに宛て名を入力したりする必要があります。また、領収書の作成後には、領収書の送付と領収書の送付状況の確認などの作業をする必要が生じあります。

こうした領収書の業務の手間や時間を削減し、領収書の作成を簡便化できるのが「マネーフォワードクラウド請求書」です。マネーフォワードクラウド請求書では、取引先の情報をCSVファイルにより一括アップロードできたり、作成した領収書をマネーフォワードクラウド請求書上から一括削除したりすることができます。

また、作成した領収書は一括でメール送信ができるほか、下書き、送信、受領のステータスも一目で確認できるので、作業効率のアップや作業の抜け漏れを防げぐことができます。

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よくある質問

領収書とは?

印紙税法上、金銭または有価証券の受取書に該当し、金銭を支払ったという事実を証明するための書類(証憑書類)です。詳しくはこちらをご覧ください。

領収証やレシートとの違いは?

明確な違いはありません。領収証やレシートであっても同じ役割を果たすものであれば、領収書として認められるのが通例です。詳しくはこちらをご覧ください。

領収書を作成する際の注意点は?

金銭授受の事実を証明するための事項を記載すること、改ざんされないための措置をとることなどが挙げられます。詳しくはこちらをご覧ください。


※ 掲載している情報は記事更新時点のものです。

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