- 更新日 : 2023年4月14日
請求書の書き方をわかりやすく解説!項目ごとの記載例やインボイス制度の対応も紹介

請求書は消費税にも関連する書類です。消費税の仕入税額控除を適用するためには必要事項の記載が求められることから、請求書の書き方には注意する必要があります。この記事では、請求書の書き方や記載が必要な項目、項目ごとの記載例など、請求書を作成する上で押さえておきたいポイントをわかりやすく解説していきます。
目次
請求書の書き方をケース別に紹介
請求書の作り方(書き方)は、請求書の発行の仕方によって変わり。電子的に請求書を発行する場合と、紙で請求書を発行する場合に分けて、請求書作成のケースを見ていきましょう。
電子的に発行する場合
請求書を電子的に発行する場合は、電子データで請求書を作成します。具体的には、WordやExcelなどのソフトを使って一から作成するか、テンプレートを利用するといった方法があるでしょう。
文書や表計算ソフト以外には、請求書作成サービスを利用して作成する方法もあります。請求書作成サービスは取引先情報などを記録しておくことで請求書を簡単に作成できたり、会計ソフトなどのほかのサービスと連携できるなど、利点も多いです。
紙で発行する場合
紙で発行する場合も、電子的に発行する場合と同じようにWordやExcelを利用して作成することが多いです。
テンプレートなどを利用して請求書を作成したらプリントアウトします。会社の慣習上、会社印を押印することも多いです。印刷した請求書に誤りがなければ封入して、郵送などの手続きを行います。
なお、稀なケースではありますが、手書きで請求書を作成することもあります。手書きで請求書を作成するケースについては、下記記事で詳しく説明しています。
請求書のテンプレートと記入例
請求書発行別の作り方について紹介しましたが、請求書自体はどのように作成していけばよいのでしょうか。
画像は適格請求書の見本です。この画像のExcelテンプレートは、以下よりダウンロードできます。
画像記載の番号は以下の項目を示したものです。
- 請求者名
- 取引年月日
- 取引内容
- 取引金額
- 請求書の交付を受ける事業者名
- タイトル(件名)
- 請求書番号
- 振込の期限
- 振込先の口座
- 振込手数料を負担する側
- 登録番号
- 軽減税率の対象である旨の表記
- 税抜価格または税率ごとに区分して合計した税込対価の額および適用税率
- 税率ごとに区分した消費税額等
それぞれの項目については、次の章で記載例と併せて詳しく説明していきます。なお、請求書の形式は法人と個人事業主で変わりません。どちらのケースでも、紹介しているテンプレートをご利用いただけます。
請求書に記載が必要な項目と記載例
消費税の仕入税額控除の適用を受けるには、請求者名、取引年月日、取引内容、取引金額、請求書の交付を受ける事業者名の記載が必要です。それぞれの必要項目と記載例について見ていきましょう。
インボイス制度が始まると、仕入税額控除の適用を受けるために必要な項目が増えますが、そちらについては別の章で解説します。
① 請求者名
請求者名とは、請求書の発行をする法人の名称や個人事業主の氏名のことです。必要項目は名称または氏名のみでです。商習慣として記載することの多い住所や電話番号の記載は、あってもなくても問題ありません。個人事業主の場合は屋号も併記することがあります。
②取引年月日
取引年月日は、請求書の発行日ではなく、請求書の発行者が実際に商品やサービスの引き渡しを行なった日です。
1ヶ月分をまとめて請求するような場合では、取引ごとに取引年月日を記載して請求書を発行する必要があります。請求書発行日と取引年月日が同日のときは、請求書の上部右側または左側に記載されることが多いです。
請求書に記載する取引年月日や発行日については、下記記事でも解説しています。
③取引内容
請求者が請求の対象として引き渡した商品名や製品名、数量(一式と記載することも可)など、取引の内容を具体的に記載します。従来の請求書から適格請求書までの期間に発行する区分記載請求書では、軽減税率がある場合はその旨を記載することも求められます。
トレイ 2ケース
④取引金額
請求金額の合計額を税込価格で記載します。区分記載請求書や適格請求書では、税率ごとに合計した取引金額の記載が必要です。
(8%対象10,000円 10%対象40,000円)
⑤請求書の交付を受ける事業者名
請求書を受領して請求書の金額を支払う必要がある事業者の名称や氏名も請求書の必要項目です。相手先の名称や氏名に敬称を付けて請求書を発行します。
○○株式会社御中
・個人宛の場合
◯◯◯◯ 様
なお、敬称の使い分けについては下記記事で詳しく説明しています。
請求書に記載しておいたほうがよい項目と記載例
消費税の仕入税額控除適用において法的には必要でない項目でも、請求書として発行する際には記載していたほうがよいものもあります。ここでは請求書にあったほうがよい項目と記載例を簡単に取り上げます。
⑥タイトル
タイトルは、書類の件名を表す項目です。通常は「請求書」と記載します。請求書の記載がないとほかの似たような書類と混同してしまう可能性がありますので、書類上部のわかりやすい位置に明記するようにしましょう。
【記載例】
請求書
⑦請求書番号
請求書番号は、請求書の発行者が発行する請求書を管理するために必要な番号です。通常は請求書発行者の名称などの近くに、発行者が決めた請求書番号を記載します。
⑧振込の期限
契約時に取り決めた振込期限(支払期限)などをもとに振込期限日を記載します。振込の期限を明記することで請求先へのリマインドになるほか、未払いや支払遅延などのトラブル防止にもなります。
⑨振込先の口座
事業者間取引では口座振り込みが広く行われていることから、請求書作成時には振込先の口座情報を記載することが多いです。請求先がスムーズに振込ができるよう、振込先の銀行前のほか、支店名、口座種別、口座番号、口座名義を記載します。
普通口座 ◯◯◯◯◯
口座名義 ○○○◯
⑩振込手数料を負担する側
通常は請求金額を支払う側が振込手数料を負担することが多いものの、取り決めによっては請求者が振込手数料を負担することもあります。トラブルを防止するためにも、振込手数料の負担については明記しておくとよいです。サービスの一環として請求者が振込手数料を負担するときは、振込手数料を差し引いた金額を請求します。
適格請求書(インボイス)に必要な項目と記載例
インボイス制度が2023年10月1日より開始されることにともない、消費税の課税事業者が仕入税額控除を受けるには、法人か個人事業主かを問わず、適格請求書発行事業者の発行する適格請求書を保存する必要があります。
適格請求書では従来の請求書の必要事項に加えどのような項目が必要となるのか、記載例と合わせて追加で必要な項目を見ていきましょう。
⑪登録番号
請求者となる適格請求書発行事業者の登録番号を記載します。
登録番号:T00…
⑫軽減税率の対象である旨の表記
区分記載請求書から記載が必要になった項目で適格請求書でも引き続き記載が必要になります。
【記載例】(※印が軽減税率を表す簡易的な記載例)
ドリンク ※
筆記具
⑬税抜価格または税率ごとに区分して合計した税込対価の額および適用税率
税抜価格を記載するか、税率ごとに区分して合計した税込価格と適用税率を記載することが求められます。
10%対象 50,000円
⑭税率ごとに区分した消費税額等
対価の額だけでなく消費税額も税率ごとに区分して記載する必要があります。
消費税額(10%) 5,000円
請求書を作成するうえで注意すべきポイント
請求書を作成・発行する際は次の点に注意しましょう。
必要事項と記載内容を確認して送付する
必要事項を記載していることはもちろんですが、記載事項の内容に誤りがあると大きな問題に発展することがあります。特に金額の間違いや振込先情報の間違いには注意が必要です。作成後は記載内容をよく確認してから送付するようにしましょう。
収入印紙は基本的に不要
請求書は基本的に収入印紙が必要ない書類です。誤って収入印紙を貼付して送付することのないようにしましょう。
郵送の際はメール便を利用しない
請求書は信書となるため、郵便局や宅配業者のメール便では送ることができません。郵送する場合は、必ず普通郵便やレターパックなどを利用して送付するようにしましょう。
電子発行の請求書は電子帳簿保存法に気をつける
電子帳簿保存法の改正より、電子メールやシステムを介してやり取りした電子取引データは電子保存が義務付けられました(※2023年12月31日までは印刷して保存することも認められます)。
請求書を電子発行する場合は電子帳簿保存法の電子取引に適った電子保存に対応しなければなりませんので、要件を確認しておきましょう。電子帳簿保存法の要件を満たして電子保存できるようなサービスもあります。
請求書の送り方は?
請求書の送り方について、紙で送付する場合と電子的に送付する場合に分けて紹介します。
紙を送付する場合
紙で送付する場合は、WordやExcelなどで作成した請求書をプリントアウトして紙の請求書を用意します。請求書を手渡しで渡すこともありますが、請求書を封入して請求先に郵送するのが一般的です。
請求書の封筒選びや送り方のマナーについては以下の記事を参照ください。
電子的に送付する場合
電子的に送付する方法には、電子データで作成した請求書をPDFにしてメールに添付し送付する方法、ファイル共有などを利用してシステム上にアップする方法などがあります。
請求書の書き方を知って作成してみよう
請求書の作成の仕方は紙で送付する場合と電子的に送付する場合とで異なります。また、請求書には必要な項目のほかあったほうがよい項目もありますので、初めて作成する場合はすべてを漏れなく網羅するのは難しい部分もあるでしょう。
請求書のテンプレートや請求書作成サービスなどもありますので、うまく活用するとよいでしょう。
よくある質問
請求書に記載が必要な項目は何ですか?
必要項目は、請求者名、取引年月日、取引内容、取引金額、請求書の交付を受ける事業者名、の5つです。詳しくはこちらをご覧ください。
請求書を作成する際に気をつけるべきポイントはありますか?
送付前に必要事項と記載内容を確認すること、収入印紙は貼付しないこと、メール便で郵送しないこと、電子交付では電子帳簿保存法に対応することなどに注意しましょう。詳しくはこちらをご覧ください。
※ 掲載している情報は記事更新時点のものです。