- 更新日 : 2024年10月18日
請求書買取サービスのメリットは?利用時の注意点も解説
請求書買取サービスは、請求している代金を早期に入金させて資金繰りを良くしたい場合などに活用できる、債権を現金化できるサービスです。2社間で行うものと3社間で行うものなどで仕組みが異なります。
この記事では、請求書買取サービス利用時のメリットや注意点を解説していきます。
目次
請求書買取サービスで債権を現金化できる
請求書買取サービスはファクタリングともいい、請求書記載の債権の額から手数料を差し引いた額を支払期日よりも前に金銭として受け取れるサービスであり、同時に債権がファクタリング会社に移行する仕組みです。サービスによっては、債権を即日現金化することもできます。
ファクタリングには、債権の回収ができなくなった場合にファクタリング会社に保証金を支払ってもらう保証型のものも存在します。
ファクタリングの詳細や仕訳、勘定科目については以下の記事を参照ください。
ファクタリングの仕組み
請求書買取サービス(ファクタリングの一種)の仕組みには、基本的には2社間のファクタリングと3社間のファクタリングの2種類があります。これは法人が利用する場合であっても、個人事業主やフリーランスが利用する場合でも同じです。
それぞれの仕組みを簡単に説明します。
2社間のファクタリング
2社間のファクタリングは、ファクタリング会社とサービスの利用者だけで取引が完結する仕組みです。
利用者がファクタリングの申し込みを行い、審査に通過すれば、ファクタリング会社より手数料を差し引いた額が支払われます。ここで債権はファクタリング会社に移行し、ファクタリング会社が債権を持つことになります。そのため、取引先から請求書分の代金が利用者に支払われた後にファクタリング会社にその代金を支払います。
2社間ファクタリングでは、取引先が直接的に関与することがないため、取引先にファクタリングの利用を知られることはありません。取引先をはさまないことから、ファクタリング会社の請求書の買い取りも早い傾向にあります。
ただし、取引先の信用状況によってはファクタリングを断られる場合もあります。
3社間のファクタリング
3社間のファクタリングは、ファクタリング会社とサービス利用者、債務者である取引先の3社が関係する仕組みです。
3社間のファクタリングでは、サービス利用者が事前に売掛のある取引先にファクタリングの承諾を得ておく必要があります。取引先の承諾を得ることができたら、ファクタリング会社と売掛先を含めた3社間で契約を結ぶことになります。そして、サービス利用者はファクタリング会社から手数料を差し引いた額を受け取ります。
ファクタリング会社は契約の締結後、利用者の売掛先に対して買い取りの通知を行います。これにより債権がファクタリング会社に移行し、債務者はサービス利用者ではなく、ファクタリング会社に売掛分を直接支払うことになります。
3社間のファクタリングは債務者も含めたやり取りになるため、回収のリスクが低くなることから、2社間のファクタリングよりも手数料が安い傾向にあります。
請求書買取サービスのメリット
請求書買取サービス(ファクタリングの一種)を利用するメリットには、次のようなものがあります。
- 売上債権の早期回収で資金繰りの安定を図れる
- 融資よりも資金化が早い
- 基本的に担保や保証人が不要
- 個人事業主やフリーランスも利用できる可能性がある
- 貸倒れを回避できる
中でも大きなメリットは、売掛金などの売上債権を支払期日よりも前に現金化できることです。
サービスを利用する際の審査はありますが、融資のように担当者との面談や多くの書類を用意する必要はありません。新たに資金を貸すのではなく、すでに発生している債権を買い取る仕組みであるためです。最短即日入金のサービスを提供しているファクタリング会社もあり、契約や状況次第ではすぐに現金化することも可能です。
また、個人事業主やフリーランスは法人と比べて資金調達方法が限られてしまいますが、請求書買取サービスなら利用しやすいと言えます。個人事業主自身の経営状況などではなく、売掛先の返済能力が重視されるためです。売掛先の返済能力が十分にあると認められれば、個人事業主やフリーランスでも利用できる可能性があります。
さらに、請求書買取サービスの利用により、結果的に貸倒れを回避できることもメリットといえるでしょう。請求書買取サービスは売上債権の売買であるため、契約後は、債権者がファクタリング会社に移行します。そのため、請求書買取サービスでは、売掛先の急激な経営状況の悪化などで仮に未払いなどが発生しても、利用者がファクタリング会社に返済する義務は生じません。
請求書買取サービスを利用する際の注意点
便利な請求書買取サービスですが、次のような点に注意が必要です。
- 手数料がかかる
- 必ずしも買い取ってもらえるとは限らない
- 場合によっては債権譲渡登記が必要
- 資金調達できるのは売上債権の範囲
まず、手数料がかかることです。サービスによって異なりますが、数パーセントから10~30%、またはそれ以上の手数料がかかります。請求書買取サービスは短期的な資金調達や経営状況の改善にはなりますが、結果として手元に残る金銭は少なくなります。長期的な利用では資金繰りの悪化につながることもありますので、利用のタイミングや頻度には注意が必要です。
また、請求書買取サービスには審査があるので、買い取ってもらえないこともあります。利用者の信用度も少なからず審査に影響を与えることがあり、ファクタリング会社によっては個人事業主やフリーランスの利用が難しいこともあります。審査の度合いはサービスで異なるので、利用が必要な場合は複数で検討した方が良いでしょう。
さらに、ファクタリング会社との契約によっては、債権譲渡登記を求められることがあります。債権譲渡登記は、債権譲渡を公的に証明するためのものです。利用者の債権の二重譲渡防止に活用されます。譲渡は口約束や書面でも有効ですが、第三者には対抗できません。そのため、対抗要件として、ファクタリング会社と利用者間のみで契約する2社間のファクタリングでは債権譲渡登記を要件として求められることが多いです。契約時の手続きが増えるほか、登記費用が発生する点に注意が必要です。
請求書買取サービスは必要に応じて活用を検討しよう
請求書買取サービスは請求書の支払期日よりも前に現金化できることから、資金繰りの調整などに便利なサービスです。個人事業主やフリーランスが利用できるサービスもあります。しかし、買い取りにあたっては手数料が発生しますし、必ず買い取ってもらえるものでもないため注意が必要です。メリットだけでなく、注意点も把握したうえで、必要なときに必要に応じて活用すると良いでしょう。
よくある質問
請求書買取サービスとは何ですか?
請求書の支払期日前に債権を買い取ってもらうことで早期に現金化できるサービスをいいます。詳しくはこちらをご覧ください。
請求書買取サービスを利用するメリットは何ですか?
売上債権の早期回収により資金繰りの安定を図れること、貸倒れが回避できること、融資よりも利用しやすいことです。詳しくはこちらをご覧ください。
※ 掲載している情報は記事更新時点のものです。
※本サイトは、法律的またはその他のアドバイスの提供を目的としたものではありません。当社は本サイトの記載内容(テンプレートを含む)の正確性、妥当性の確保に努めておりますが、ご利用にあたっては、個別の事情を適宜専門家にご相談いただくなど、ご自身の判断でご利用ください。
関連記事
請求書の保存期間はいつまで?
仕事で扱う請求書の保存期間・保存方法をご存知ですか?請求業務を経理・請求専門の担当外の方が担当している企業は少なくありません。そのような方にまず知ってほしい請求書の基本的な保存期間と保存方法についてお伝えします。 受領した請求書の保存期間 …
詳しくみる請求書受領サービスとは?受取請求書を電子化するメリットや比較ポイントを解説!
これまで煩雑だった受取請求書の業務を電子化し、大幅に請求書業務の負担を削減してくれるのが請求書受領サービスです。最近、請求書受領サービスを導入している企業が増えています。また、請求書受領サービスを提供する企業も増えています。 この記事では、…
詳しくみる請求書に品目や名目はどう書く?具体例つきで解説
請求書を発行する際、品目や名目の書き方に悩んだことがある方も多いでしょう。品目の書き方にルールはありませんが、取引内容がわかるよう具体的に記載することが大切です。また、軽減税率やインボイス制度など、請求書を作成するうえで理解すべきポイントも…
詳しくみる司法書士の請求書テンプレートと書き方のポイントを紹介!
司法書士は、不動産登記や商業登記などの法務手続きを専門とする日本の法律専門職です。司法書士が「請求書」を使用するタイミングは、提供したサービスに対して報酬を請求する際です。 例えば、不動産の売買に伴う登記手続きを行った後、司法書士はその業務…
詳しくみるエクセルのデータ一覧から関数だけで請求書を作成する方法は?
請求書を作成する際に、エクセルを利用することはよく行われています。特にインボイスには盛り込む項目も多いため、気を付ける箇所は多々ありますが、請求書やその明細書などの作成には小回りの利くエクセルの利用をよく見かけます。 この記事では、極力手入…
詳しくみる請求書に同封する送り状の書き方は?テンプレートをもとに解説
取引先に商品代金等の請求書を送付する際は、送り状(添え状、カバーレター)を同封することが多いです。この送り状とはどのような役割を持つ書類なのでしょうか。 今回は送り状の記載項目や書き方、送る際に気をつけること、そして送り状が不要なケースにつ…
詳しくみる