- 更新日 : 2024年10月17日
請求書の発行日はどう決める?発行タイミングや支払期日も解説
請求書を適切なタイミングで発行するには、その取引概要や取引先を正確に把握しておく必要があります。請求書を発行するタイミングを間違えてしまうと取引先に迷惑がかかるだけでなく、トラブルに発展してしまう可能性もあります。
本記事では請求書を発行するタイミングや、請求書に記載する日付について解説していきます。
目次
請求書の発行日の書き方
まずは請求書の発行日に関する基本的な考え方や記載の方法についてみていきましょう。
請求書に記載する発行日の役割
商取引では受注者には商品・サービスを提供する債務が、その対価として発注先には代金を支払う債務が発生します。請求書に発行日を記載することで、請求先に債務が発生した日を明らかにできます。
請求書の発行日は納品日やサービス提供日
原則として請求書の発行日は商品の納品やサービスを提供した日を記載します。都度支払いの場合は、この原則通りに発行日を記載します。
掛売方式を採用している場合は、複数回の取引で生じた売掛金を1カ月などの単位で一括請求することになるため、発注先が指定した締め日(20日や月末など)を発行日として設定するのが一般的です。請求書の発行日で発注者の債務が発生した日付がわかるようになりますが、掛売方式では、取引年月日と発行日が一致しないので注意しましょう。
請求書を発行するタイミングは2パターン
請求書は、提供した商品やサービスの対価を請求するために発行する書類です。そのため請求書を発行するタイミングは、原則として商品を納品した後やサービスを提供した後になります。
具体的な請求書の発行タイミングについて明確なルールがあるわけではありません。しかし、取引量に応じて「掛売方式」と「都度方式」のどちらかで発行するか、取引先と決めることになります。
「掛売方式」では月初に前月分の請求書を発行し、「都度方式」では商品やサービスの納品が終了する度に請求書を発行します。それぞれの方式を、詳しくみていきましょう。
掛売方式
請求書は一般的に掛売方式で発行されます。掛売方式とは継続して取引を行っている場合など、月に複数回の取引がある企業で採用されているものです。1カ月に発生した売上を20日や月末などで締めて一括で請求するため、お互いに業務負担を軽減することができます。
都度方式
都度方式では、商品の納品やサービスの提供が終了する度に請求書を発行します。掛売方式で請求書を発行するケースが多いですが、都度方式を希望する事業者もあります。取引を始めたばかりの企業や、継続的に取引を行うことを想定していない場合は都度方式による発行が求められる傾向にあるようです。
取引の度に請求書を発行していてはお互いに業務負担が生じるため、継続して月に複数回の取引を行うようになったタイミングで、掛売方式への移行を提案してもいいかもしれません。
請求書の支払期日はいつにすべき?
請求書の支払期日は月末締めの翌月末払いもしくは、月末締めの翌々月末払いとしているところがほとんどです。ただし、取引先によっては月末締めの翌月10日払いといったように、独自の入金日を設けている場合もあります。取引先とのトラブルを回避するためにも、契約を行う際に支払期日を定めておきましょう。
なお、「下請代金支払遅延等防止法」という法律により、商品やサービスを受領してから60日以内に下請代金(報酬)を支払うことが義務づけられているため、注意しましょう。
下請代金支払遅延等防止法については、以下の記事で詳しく解説しています。
発行した請求書も保管が必要?
請求書は領収書と同じように取引があったことを示す「証憑(しょうひょう)書類」とされ、税務申告の際に必要となります。自社が発行した請求書、他社から発行された請求書ともに保管が義務づけられています。
法人の場合は原則7年、個人事業主は原則5年間保管しなければなりません。保管方法は紙のまま保管する他、スキャナでスキャンして電子データとしてパソコンのハードディスクなどに保管する、マイクロフィルムで保管するといったことも可能です。ただし、要件を満たす必要があります。
請求書の保管期間や方法については、こちらの記事でも詳しくご説明しています。
請求書を再発行する際の発行日は?
受領者が請求書を紛失してしまった場合や、発行者の記載ミスにより請求書を再発行することがあります。その場合は、以前作成した請求書と同じ発行日を使用します。
請求書を再発行したことが分かるように、請求書番号を連番にしたり再発行印を押したりして、以前の請求書と区別できるようにしておくと親切でしょう。紛失していた請求書が見つかったような場合に、1通目の請求書と混同しないようにできるからです。
なお、支払期日についても変更することはありませんが、支払期日を過ぎてから請求書の再発行を依頼された場合は新しく期日を設定する必要があります。延滞利息について契約書で定めていた場合は、延滞利息に関する文章を明記したうえで支払期日の変更を行いましょう。
請求書の発行に必要な情報は事前に確認しておこう
請求書を発行するタイミングや支払期日については、取引先と契約を行う際に確認しておきましょう。請求書は金銭のやり取りが発生する重要書類であるため、事前に必要な情報を確認しておかなければトラブルに発展してしまうおそれがあります。
また、WordやExcelなどを利用してご自身で請求書を作成する場合は、必要事項が記載されているかをしっかりと確認するようにしましょう。
よくある質問
請求書を発行するタイミングは?
請求書を発行するタイミングは「掛売方式」と「都度方式」で異なります。掛売方式では月初に前月分の請求書を発行し、都度方式では商品やサービスの納品が終了する度に請求書を発行します。詳しくはこちらをご覧ください。
請求書の発行日はいつ?
原則として、商品やサービスを納品した日を記載します。ただし、「掛売方式」を採用している場合は複数回の取引で生じた売上を一括で請求することになるため、先方が設定した締め日を発行日とするといいでしょう。詳しくはこちらをご覧ください。
※ 掲載している情報は記事更新時点のものです。
※本サイトは、法律的またはその他のアドバイスの提供を目的としたものではありません。当社は本サイトの記載内容(テンプレートを含む)の正確性、妥当性の確保に努めておりますが、ご利用にあたっては、個別の事情を適宜専門家にご相談いただくなど、ご自身の判断でご利用ください。
関連記事
請求書の宛名は会社名だけでよい?封筒の書き方や注意点を解説
請求書は取引に関する重要な証憑書類であり、取引先との信頼関係を維持するためには、適切に発行することが重要です。特に宛名の誤りは失礼な印象を与えてしまうため、注意深く記載しなければなりません。 ここでは、宛名の記載方法や敬称の使い分け、誤って…
詳しくみる請求書に発行者の住所は記載すべき?バーチャルオフィスでもいい?
発行者の住所を記載せずに請求書を発行しても、法律上問題ありません。ただし、拠点や会社の住所を記載すれば相手の信頼を得られるため、できる限り記載した方がよいでしょう。 相手とのトラブル回避の観点で書きたくない場合は、バーチャルオフィスを利用す…
詳しくみる請求書の訂正-発行側が気をつけたい日付や金額ミス、防止策を解説
請求書は取引先に対して入金の支払いを求める書類であるため、記載する内容に不備が無いように作成する必要があります。 そこで今回は、請求書を発行する際に気をつけたいポイントを「金額」と「日付」に絞って解説すると同時に、不備があった場合の具体的な…
詳しくみる請求書の数え方は?枚や通など単位の使い分けも解説
ビジネスにおいて、請求書の枚数はどのように数えるのでしょうか。1枚で完結する書類や複数の枚数にわたる書類など、書類や場面によって数え方の単位が異なります。今回は、請求書の数え方として使われる単位や取引内容の数え方、送付状に記載する際の数え方…
詳しくみる郵便料金はサイズでどれくらい変わる?発送方法別の料金をまとめて解説【2024年10月値上げ】
2024年10月1日から郵便料金が値上げされることをご存じでしょうか。たとえば、定形郵便であれば84円・94円から110円に上がるため、注意が必要です。 また、郵便料金の値上げにともない、請求書や領収書を取引先に郵送している企業では、コスト…
詳しくみる税理士の請求書の書き方
国家資格である税理士は、税理士試験に合格するなど一定の資格を得たうえで、日本税理士会連合会に備える税理士名簿に登録を受けてなることができます。税理士は、税務代理、税務署類の作成、税務相談、e-Taxの代理送信、その他各種税務相談などといった…
詳しくみる